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二章『パテ編』
第109話 キラーキラー3
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小龍(ワイバーン)は思ったより近くにいた。広場で屋台をひっくり返して頭を突っ込んでいる。あの屋台はケバブのように肉の塊を太い鉄の棒に巻いてある。切り分ける前の肉の塊にかぶりついている。腹が減っているのか。
民衆は混乱状態だ。我先へと走り出し通路を詰まらせてしまっている。あれでは国民の避難を遅らせるだけだ。ここは勇者の出番だろう。
俺は椅子に乗ってから屋台の上に飛び乗る。そして声を張り上げた。
「静まれ静まれーい! この姿が目に入らぬかぁ!」
俺の大声に民衆は目を向ける。
勇者がハンバーガーなのは周知の事実。つまりこの世界で唯一喋れるハンバーガーの俺はどんな身分証明書や紋所よりも、俺の存在そのものが勇者としての身分を証明できる生きた証なのだ。
国民が口々に「勇者」というワードを口にする。
「俺が来たからにはもう安心だ、慌てず並んで避難しろ!」
よしよし、一度冷静にさせてしまえば、その後は大丈夫だろう。小龍(ワイバーン)も食い物に夢中なようだ。
国民の避難が終わる。まだ周りに人はいるかもしれないが、この広場と大通りがあけば問題あるまい。
食事を終えた小龍(ワイバーン)は屋台から顔を抜いてこちらを見ている。このまま帰ってくれないかな。あれ、口を開いて? 何するつもり、
放たれたのは灼熱の炎。俺がいつも使っている火炎(ファイヤー)の吐息(ブレス)だ。
俺は全力で跳ねて飛び降りる。屋台が炎に抱かれて消し炭になる。熱い! なんて熱量だ! 直撃しなくとも呼吸をする生き物なら肺が焼かれていただろう。
小龍(ワイバーン)は喉を鳴らして威嚇している。やるしかないのか。上空の小龍(ワイバーン)たちが降りてくる様子はない。そりゃ制空権を簡単に手放すわけがないか。
そして1つ気になることがある。スーはあの時、誰かと戦っていると言っていた。
そしてあの少女、魔物が村に来た、と言っていたな、この小龍(ワイバーン)たちのことか? 1人で村の危機を伝えに来たのか······。
この小龍(ワイバーン)もよく見れば、浅いが鱗に傷が目立つ。首元には特に大きな古傷がある。一体何と戦っているんだ?
と、考えつつも俺は狙いを定められないように動き回っている、吐息系の技は肺の中で魔力と空気を混ぜ合わせる必要があるため通常、連発はできないようになっている(とルフレオが言っていた)。
火炎(ファイヤー)の吐息(ブレス)のクールタイムはどのくらいだ? 今の俺の具材で戦えるのか? 否、やるしかあるまい。
薬草は使い切ってしまった。残るは混合肉から検出された威力も効果もわからない魔法、殺戮蹴(ジェノサイドキック)りが1発のみ、しかもそれを使えば具材を使い果たしてしまい何もできなくなる。
だが周りは、奴にとっても俺にとっても宝の山だ。
「ふ、小龍(ワイバーン)が飯を求めてきてくれて助かった。飯イコール俺の力なのだからな。ここが出店の並ぶ場所で本当によかった」
民衆は混乱状態だ。我先へと走り出し通路を詰まらせてしまっている。あれでは国民の避難を遅らせるだけだ。ここは勇者の出番だろう。
俺は椅子に乗ってから屋台の上に飛び乗る。そして声を張り上げた。
「静まれ静まれーい! この姿が目に入らぬかぁ!」
俺の大声に民衆は目を向ける。
勇者がハンバーガーなのは周知の事実。つまりこの世界で唯一喋れるハンバーガーの俺はどんな身分証明書や紋所よりも、俺の存在そのものが勇者としての身分を証明できる生きた証なのだ。
国民が口々に「勇者」というワードを口にする。
「俺が来たからにはもう安心だ、慌てず並んで避難しろ!」
よしよし、一度冷静にさせてしまえば、その後は大丈夫だろう。小龍(ワイバーン)も食い物に夢中なようだ。
国民の避難が終わる。まだ周りに人はいるかもしれないが、この広場と大通りがあけば問題あるまい。
食事を終えた小龍(ワイバーン)は屋台から顔を抜いてこちらを見ている。このまま帰ってくれないかな。あれ、口を開いて? 何するつもり、
放たれたのは灼熱の炎。俺がいつも使っている火炎(ファイヤー)の吐息(ブレス)だ。
俺は全力で跳ねて飛び降りる。屋台が炎に抱かれて消し炭になる。熱い! なんて熱量だ! 直撃しなくとも呼吸をする生き物なら肺が焼かれていただろう。
小龍(ワイバーン)は喉を鳴らして威嚇している。やるしかないのか。上空の小龍(ワイバーン)たちが降りてくる様子はない。そりゃ制空権を簡単に手放すわけがないか。
そして1つ気になることがある。スーはあの時、誰かと戦っていると言っていた。
そしてあの少女、魔物が村に来た、と言っていたな、この小龍(ワイバーン)たちのことか? 1人で村の危機を伝えに来たのか······。
この小龍(ワイバーン)もよく見れば、浅いが鱗に傷が目立つ。首元には特に大きな古傷がある。一体何と戦っているんだ?
と、考えつつも俺は狙いを定められないように動き回っている、吐息系の技は肺の中で魔力と空気を混ぜ合わせる必要があるため通常、連発はできないようになっている(とルフレオが言っていた)。
火炎(ファイヤー)の吐息(ブレス)のクールタイムはどのくらいだ? 今の俺の具材で戦えるのか? 否、やるしかあるまい。
薬草は使い切ってしまった。残るは混合肉から検出された威力も効果もわからない魔法、殺戮蹴(ジェノサイドキック)りが1発のみ、しかもそれを使えば具材を使い果たしてしまい何もできなくなる。
だが周りは、奴にとっても俺にとっても宝の山だ。
「ふ、小龍(ワイバーン)が飯を求めてきてくれて助かった。飯イコール俺の力なのだからな。ここが出店の並ぶ場所で本当によかった」
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