現代最強は楽しいハンバーガーに転生しました

黒木シロウ

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二章『パテ編』

第110話 キラーキラー4

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 小龍(ワイバーン)の大きさは全長10mほどだ。翼があるせいでより大きく見える。火炎(ファイヤー)の吐息(ブレス)を放ったため口角から煙がのぼっている。

 完全に俺を敵視している、もしかして人の言葉を理解できるのか? だとしたら勇者だとバレてしまったわけだが、こいつは魔王側なのか?

 スーの眷属とはいっても、魔王もスーと同じ神龍だ。今の殺意のこもった攻撃を見るに、魔王側に付いている可能性が高い。

 俺はクラウンを高速回転させる。その一瞬だけで周りの情報を獲得する。使えそうな屋台は、たこ(っぽいもの)焼きに焼き(をいれた)そば、じゃが(いものようなものに)バター(みたいなものをのっけたもの)にチキン(みたいな)ステーキ辺りか。

 もちろん、この世界のたこ焼きのタコは現代にいたタコとは違う。

 この世界の食文化には魔物の肉を使った料理が多い。俺のいたタスレ村や、エルフ系の村なんかはベジタリアンとまではいかないでも、魔物の肉を食べないところは例外的にあるが、ほとんどが食べている。

 よって、既存の料理を挟むだけでも俺は力を獲得することができる。まずはたこ焼きからだ。

 俺はランダムに動き回るのをやめて、たこ焼きの屋台に向かって跳ね出す。

 慌てて逃げたのだろう。少し焼きすぎてしまっているが、俺は鉄板の上にあるたこ焼きを加えて挟む。あっつ! だが我慢できる! 死ぬよりましだ! 俺は解析を開始する。念じると脳内に女神の声が流れる『陸蛸(ランドオクトパス)から、八本足(テンタクルエイト)を検出、1回使用可能』

 テンタ······なんだ? よく分からんが、唱えてみるか。

「『八本足(テンタクルエイト)』」

 俺のヒールの部分に赤色のタコ足が魔力生成される。一本一本が太く、俺の意思通りに動く。不思議と8本も触手が生えても、俺の脳内はキャパオーバーを起こさなかった。そういう魔法なのだろう。

 敵の前だが試しに動いてみる(無論警戒は怠らない)。おお、足がある分、立体的な動きが可能となった! これだけ動ければ十分に戦うことができる!

 待てよ、足があると言うことはだ。殺戮蹴(ジェノサイドキック)りをちゃんと使えるんじゃないか? どんな魔法か分からないが、名前にキックと銘打っている以上、足はあった方がいいだろう。

 俺はさらにたこ焼きを頬張り、魔法を使ったあとの魔力切れ対策をする。

「早速だが、この一撃に全て掛ける!」
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