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二章『パテ編』
第122話 キラーキラー16
しおりを挟む勇者パーティは全員揃った、だがこの状況を打開する策が思い浮かばない。
ジゼルが辺りを見渡して声を張る。
「バーガー、アイナ、どこにいる?」
「ああ、アイナと俺はジゼルの前にいるぞ」
「······思ったより近かった。状況は?」
「エリノアが吹き飛ばされた」
「そう」
「そうって、なんだ、心配しないのか?」
「エリーは追い詰められてからが本番」
「それはどういう」
「ほら出てくる」
ジゼルの言った通り煙が晴れる。エリノアが立ち上がっている。頭からは血が滴っている。確かにあれは追い詰めまれているが······。
「にゃは······結構いいのもらっちゃったにゃ、久しぶりにまともにゃダメージを喰らったにゃ」
「エリー、スキルは?」
「んー、このくらいでも、まぁ使えんことはにゃいにゃ」
なんだ? 何の話をしているんだ? 状況は悪くなっているというのに、なんだあの余裕な感じは?
「そういえば、この旅ではまだスキルを使ったことがにゃかったにゃ。使うような相手がいにゃかったから仕方にゃいにゃ」
エリノアは歩き出す。無傷の時よりも威圧感がある。
「根性、底力、執念、逆境、不屈、同時発動だにゃ」
エリノアの体が赤く光る。追い詰められているはずなのに、その眼光は強烈な力を感じさせる。
「エリーのスキルは体力が減らないと使えないものばかり、だから今まで使うことができなかった」
なるほどな、追い詰められて花が咲くタイプということか。
エリノアは機械兵の目の前に立つと見上げる、機械兵の頭を睨みつけている。
「見たことのにゃい魔物だにゃ、魔王軍の新兵器かにゃ?」
機械兵の返事は振りかぶった斧の一撃だ。エリノアは一歩も動かない。やはりさっきのダメージで足にきているのだ。
「エリノア避けろ!」
次の瞬間、エリノアは片手剣を使い、振り降ろされた斧を受け止める。エリノアの足が地面にめり込む。
なんて腕力だ! それにあの剣はどんな素材でできているんだ?
「あの剣は最硬度を誇る剣、その名も『折れずの剣』」
「折れずの剣」
「そう。エリーは『コスパ最高』と言って、折れない、ずっと使える剣を選んだ。値段は小龍(ワイバーン)1頭分」
エリノアは斧を弾き飛ばす。さらに迫る剣と槍の連撃を捌く。
そして横薙ぎの槌の一撃をバク転して回避する。回避速度もとてつもなく速い。
「へ! 見せてやるにゃ、ミーの剣技を!」
エリノアは剣を掲げる。柄の部分の装飾に赤い光が灯る。その光は刀身へと続き、剣全体が赤く輝く。
「獣王斬!」
振り降ろされた剣から赤い光が解き放たれる。赤い光は獅子を形取り、鋭い爪と牙が機械兵を襲う!
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