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三章『ギア編』
第176話 チワワクエスト1
しおりを挟むまぁ気持ち悪いと言われても気にしないんだがな。
「じゃあ、ホネルトンの右腕を治していいんだな?」
「ああ、別に構わん、この間は虫の居所が悪かっただけだからな。そうだ我が治してやろう、ホネルトン、右腕を向けよ」
「はっ、失礼します」
ホネルトンは失った右腕を魔王に向ける。
それを見たメアが小声で俺に話しかける。
「やっぱりあの右腕はギアがやったのね」
「ああ」
「それで謝りに来たのね」
「ああ」
「なら私の顔に頭突きしたことも謝りなさいよ」
「やだ」
「なんでよ! それでチャラにしてあげようって言ってるのに!」
こいつは何を言ってるんだ。
そうこうしている間にも話は進む。ホネルトンの右腕のあった部分に魔王が手を向ける。
どす黒い煙のようなものが魔王の手のひらから放たれる。それがホネルトンの右腕の切断面に触れると黒煙は右腕の形になる、そして気体から固体にかわる(別に凍ったわけじゃねぇ、どっちかってっと材質は違うがコンクリートが固まる時のような感じだ)。
「できたぞ、どれ、動かしてみよ」
「はっ」
ホネルトンは新しい漆黒の右腕を動かす、握ってみたり、肘を曲げてみたり、適当に動かしている。少ししてホネルトンが魔王に向き直り。
「以前よりも動かしやすくなりました、ありがとうございます」
ホネルトンはその場に膝まづいて頭を垂れる。魔王は満足げに頷く。
「うむ、我の魔力から作った右腕だ、我のために使え」
「はっ」
へえ、その方が強くなるのか。なら全身黒くしてもらったらいいんじゃねぇの?
「他には用はないのか?」
「ある」
「申してみよ」
「魔鉱石をとりに行きてぇ」
「魔鉱石? そんなもの勝手にとりに行けばいいではないか」
「チワワが邪魔で採掘できねぇんだとよ」
「魔獣チワワか、旧魔王の置き土産か」
魔王が目を細める。何かあるな。
「その前魔王ってのはなんだ」
「そのままの意味だ、前任の魔王、名をイズクンゾ・ダークロードという」
「へえ、てっきりあんたが立ち上げた会社だと思ってたぜ」
「会社? まぁよい。我は神龍、そもそも魔の者たちとは根本的に違う生き物だ」
「つまりそのイズクンゾってのが、創始者ってことでいいんだな」
「そうだ、世界を手に入れることしか考えていない、自分の欲を満たすためならどんな事でもする、魔王の名を欲しいままにした男よ」
そんな奴が易々と魔王の座を明け渡すのか? っと今はそんな事はどうでもいい。魔鉱石だ。
「話がそれちまったな、その置き土産の犬をどけて欲しいんだ」
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「ならさっさと殺しちまおう」
「今の我はこの世界の理に深く干渉をする事はできぬ、やるのならば許可こそ出すが手は出さん」
ちぃ、ハンコ押しか。
「分かった、俺らで駆除してくるぁ」
「手は回しておいてやる、手厚くな、絶者の腕前見せてもらおう」
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