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三章『ギア編』
第186話 チワワクエスト11
しおりを挟むディザスターは俺とチワワの間に悠然と立ち続けている。
「俺の魔法をどうやって消した」
「消した? その解釈は違うな、正確には消したのではない、吸い寄せたのさ」
吸い寄せた、だと? あの火球と氷球をか。
「レイ、こいつの説明をしろ」
「え、あ、はい。ディザスター様は九大天王の中でも最強の防御力を誇る魔人です」
「他には?」
「私が知っている情報はそれだけです」
能力までは知らねぇか。どんな魔法を使うんだ?
「おい、もういいからそこを退け、今はチワワの相手が先だ」
「ああ、魔獣チワワか、旧魔王時代からいる古株だね」
ディザスターの話もお構いなしに、チワワが俺に襲いかかる。
「おっと、話の途中だよ」
ディザスターがそう言うと、ジャンプして空中にいたチワワが上から殴られたみてぇに真下に落ちる。
「重力魔法(グラビティマジック)・・・・・・」
レイが呟く。
「重力魔法(グラビティマジック)だと?」
「はい、今のは重力魔法(グラビティマジック)といって、重力を強くしたり弱くしたり、上級になると重力自体を発生させることもできます」
「なるほどな、その魔法を使って俺の魔法を吸い寄せたのか」
それでも疑問が残る、なぜ奴は無傷なのか。吸い寄せたってのが本当なら直撃したはずだ。
「別に隠すことでもないさ、周知の事実だからね。私は一つの星を凝縮して生まれた星の魔人なんだ」
「星を丸ごと一つだと」
「そうさ、こう見えてもこの体には凝縮された岩盤が何層もあるし、星だから熱にも寒さにも強いんだ」
桁がちげぇ、こんなのが、こんな生物がいるのか、星一つだと? その話が本当ならこいつは硬い硬くないの話を逸脱している。
火球は凄まじかったが核兵器ほどではねぇ。核兵器でも地球の表面、薄皮のさらに上澄みの部分を局所的に焼くことしかできねぇんだからな。そりゃ効かねぇわけだ。
「故に私は最硬の魔人、どんな攻撃でもビクともしない」
「はるるるる!」
チワワが立ち上がっている。その視線は俺にではなくディザスターに向けられている。
「おい、そんな目を向けたらダメじゃないか。仲間なんだ、争うつもりなんて」
チワワは超重力もなんのその、脚力任せにディザスターに飛びかかる。
魔物の体を豆腐のように切り裂いた爪がディザスターに当たる。
「落ち着くんだ、私は敵じゃない」
「がるぅ」
ディザスターは微動だにせず話を続けてやがる。
だがチワワは諦めない今度は牙だ。
「躾がなってない、1から教える必要がありそうだ」
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