東北中學物語

つなかん

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君の眼球を舐めたい

君の眼球を舐めない

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「お前……なんで」

 勧誘の仕事の為、町を歩いていただけだった。まさか目の前に、彼が現れるなんて思いもしなかったのだ。

「なんでって、酷いなア。僕のこと、嫌いになった?」

 三木は数年前、居なくなったときと同じく突然帰ってきた。宮地はまだ混乱したままで、思考がまともにできない。

「それは――」

「それとも、浮気したから後ろめたい?」

 責めるような瞳で見つめられ、逆らえない恐怖が、また宮地を支配する。

「なんで、そんな――」

 なぜそんなことを知っているのだろう。たった一回だけだし、誰にも話していないはずだ。

「佐倉君? だっけ。に聞いたよ、色々と。学校も辞めたんだってね」

「あいつ……」

 そういえば捨人はそのことを知っていた。仕事に熱心になるうちに、学校を辞めたときは強く反対もされた。

「彼を責めちゃ駄目だよ。僕が無理に訊いたんだしね」

 後退りをする宮地に、ゆっくりと近付きながら言う。どうしよう。どうしたら良いのだろう。

「ごめん、でも俺――」

 別れよう、きっと三木も怒っている。宮地のことなんて、さすがにモウ飽きただろう。

「別れたいの?」

「え……?」

 言いたいことを先に言われてしまい、狼狽える。

「それは、ええっと……」

「うちに来て」

 言葉に詰まっていると、手を引かれる。思いの外強い力に、眉を顰めた。

「は? 俺はまだ仕事が――」

「そんなの、いい」

「いや、よくねエよ」

「なんで? 僕より仕事が大事?」

 宮地の意思に反して連れていこうとする三木。抵抗すればするほど、さらに強い力で腕を引かれた。こうなった三木を止める手段はない。

「痛い痛い、分かったから、行くから、離せ!」

 以前より強くなった力に、宮地は仕方なく従うのだった。


「よかった、来てくれて。今お茶出すね」

 想像よりも良い部屋だった。通された居間も六畳あるし、奥にもまだ部屋があるようだ。台所へと向かい、視界から消えた三木にほんの少し安堵して、ため息をつく。嫌いになったわけではないが、そこまで執着もない。別れても良いとは思ったが、それは許されないだろう。

「志忌君、背伸びたね。昔はちっちゃくて可愛かったけど」

 お茶を持って戻ってきた三木は、机にそれを置き、座布団の上に腰を下ろした。

「じゃあ今は価値ないだろ」

「そんなことないよ」

 答えて、お茶を少しすする。射抜くような瞳で宮地を見ると、持っていたお茶を置き、此方へ近付いた。

「嘘だったの? 僕のこと好きなのとか、他にも、全部」

 口を動かしながら近くに座る。肩に手を置かれて、引き寄せられた。

「それは、ちが……、あッ、ん、ふッ」

 嘘ではなかった。流されたようであったが、あの頃は自分も彼に惚れていたと思う。しかし時間が経った今では仕事が一番大事になっていた。

 突然に接吻をされて、抵抗する。相手が尊師ならともかく、こんなことは戒律違反だ。

「ちょっと離れただけで、心変わり?」

 唇を離し、呼吸を整える。

「違くて、これには深い訳が――」

 説明すべきことは山ほどある。とにかく、こんなことをしているのが露見たら大変だ。

「今入信してる宗教のことなら知ってる。でも、僕……」

 強く包容して、すぐに離す。肩に手を置いたまま、鼻をすすった。

「……会いたかった」

 はらりと涙が落ちる。

「な、泣くなよ」

 三木の泣き顔を見ると、昔の気持ちが思い出された。やはり自分は三木が好きだ。しかし、仕事や、信仰も捨てられない。

「俺も、好きだから」

 羞恥で目を逸らしながら言う。

「本当に!」

 パッと顔を輝かせて、笑う。今までの涙は嘘だったのではないかと思うほどだ。

「嬉しい」

 ぎゅッと抱きしめ、また唇を重ねてくる。逡巡する間もなく、床に倒された。

 首筋をべろりと舐められて、現実を思い出す。

「三木、悪いけど今日は……無理だ。戒律もあるし」

「そんなの露見なければ良い」

 表情を変えないまま服に手をかける。

「そういう問題じゃ……、だから、よせッ」

 服をはだけさせられ、混乱しているうちに、三木も自分の着物を脱ぐ。

 こんなことが露見たら大変だ。ましてや宮地は幹部だ。示しがつかない上、下手したら殺されるかもしれない。

「駄目、なの?」

「だって……」

 悲しそうな目で見られて、思わず抵抗を止める。次の瞬間、ぬるりとした指が、入ってきた。

「あッ……、本当に……やだって、んッ」

 唇を重ねて、舌を入れられる。歯茎をなぞり、舌を絡めてきた。

「はあ……」

 そうしている間にも指は蠢き、そこを拡げられる。既に何本入っているのか分からなかった。

「三木、もっと……」

 唇が離れると、宮地は再び接吻を強請る。

「ふッ……んんッ」

 甘い声が漏れ、そうしている間に指ではない太いものが入ってくる。痛みは既にない。代わりに緩い快感が支配する。

「はぁ。お前、目、舐めないのか?」

「え?」

 三木は驚いて宮地を見た。

「いつも、舐めるだろ」

 羞恥で、目を逸らしながら言う。自分からこんなことを言うのは、なんだか変な気分だ。

「舐めて欲しいの?」

「いや、それは嫌だけど……」

 三木の言葉に、すぐに反論する。あんなこと、して欲しいわけがない。

「嫌ならいいよ」

「は?」

 以前の三木では考えられない言葉だ。此方が嫌と言っても無理矢理してくる人間だったではないか。

「今日は、しない」

 驚く宮地の髪を撫でる。短いそれを、弄ぶようにくるくる回した。

「好きだよ、志忌君」

 軽く口唇に口付けると、すぐに離す。そして動きを始めた。同時に宮地のものに手をかけ、動かす。

「俺も、好き……んッ」

 気持ちの良い場所に当たり、声が漏れる。段々と速くなる動きに、翻弄された。

「はあ……志忌君、そろそろ、いい、かな」

 動きを一層激しくして言う。いつもある余裕が、感じられない。

「三木、も、無理。出る」

 宮地も限界が近く、直後に白濁を出した。中が収縮し、三木もいよいよ余裕がない。

「僕も、モウ、いく」

 そう言うのと同時に三木も果てた。
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