ヤンデレ監禁エンドから始める極楽だらだライフ

南田 此仁@書籍発売中

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終わりなく続くかに思える【下】

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 手袋をつけた手で、無遠慮にグイと私の顎持ち上げる。

「嫌悪も、絶望の色もない……。ねぇ、僕のことを怒ってないの? それとも君にとって僕は、そんなにも取るに足らない存在?」

「なっ――! 怒ってるに決まってるでしょう!? 人を監禁するなんて許されることじゃないわ!」

 信じられない言い草にカッとなって強く手を払いのけた拍子、勢い余ってシヴュロスの頰にまで手が当たってしまった。
 爪が掠めたのか、頬から唇の端にかけて筋状にが浮かぶ。

「――っ!」

 私ったらなんてことを……! いくら不条理な状況だからって、それを理由に傷つけるつもりなんてなかったのに!
 ……こんな状況になってもまだ、私のなかでシヴュロスは、嘲笑も蔑みもなく会話してくれた数少ない学友の一人なのだ。

「ご、ごめんなさい」

 見上げたフードのなかは逆光で、いつも以上に表情が読み取れない。
 シヴュロスは血の滲む頰に触れ、感情の読めない声で言った。

「君は躊躇なく僕に触れるね」

「叩くつもりはなかったの。本当にごめんなさい、痛むわよね……」

 ゆっくりと、フードからのぞくシヴュロスの頰に手を伸ばす。ビクッとシヴュロスの身体が強張ったのは、再び叩くと警戒されてしまったからだろうか。
 物寂しさを感じつつもそっと指先を触れて治癒魔法を注げば、傷は跡形もなく消えてなくなった。

「……ちゃんと痛みも消えたかしら?」

「…………あ、ぁ」

 シヴュロスはぎこちなくそれだけ答えると、サッと身をひるがえして足速に部屋を出ていってしまった。

 バタンッと、私を責めるような音を立てて扉が閉まる。

「…………はぁ。さっそく怒らせちゃったみたいね」

 監禁されている状況で鍵主のシヴュロスを怒らせて、いいことなど一つもないだろう。
 仕返しに危害を加えられたりはしなかったけれど、私の生殺与奪はシヴュロスの手に握られているのだ。

 一人きりの部屋でふっと緊張を解くと、テーブルのほうから焼けた肉とソースの美味しそうな香りが漂ってくるのに気付いた。

「そういえばお昼も食べてないんだった……」

 クゥゥンと、お腹が捨て犬のような鳴き声をあげる。
 けれどシヴュロスの目的がわからない今、出された食事に無闇に手をつけるのは危険だ。睡眠薬で眠らされて弄ばれたり、依存性のある薬物を摂らせてここを出て行けない身体にされる可能性だってある。

 緊張感で空腹を忘れていたのに、気付いてしまえばクゥクゥとお腹が騒ぐ。目の前に大好物があるのに食べられないとは、なんという拷問か。

 本当に、この監禁の『ゴール』はどこにあるのだろう……。
 途方に暮れて天を仰ぎ、パタリとベッドに倒れ込んだ。
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