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1〜10話
悪夢ならば幸せだった【中】
――ああ、そうか。
シヴュロスが私の顔色をうかがってコソコソする意味などないのだ。何をされようと力では敵わないし、逃げ出せもしないのだから。
ようやく『正しい意味』で現状を理解した。
いつ何時でも、シヴュロスの思うままに私を扱うことができる。自由を奪われるとは、そういうことだ――。
知らず落ちた視線の先に、かけた覚えのない肌掛けが映った。
昨日はベッドに倒れ込んでいつの間にか眠ってしまったから、何もかけていなかったはずなのに。その証拠に、見慣れた色柄の掛け布団は私のお尻の下敷きになっている。
「……この家に使用人はいる?」
「ここには僕と君の二人だけだ。大声で助けを求めようとしても無駄だよ」
「……そう」
それなら、この肌掛けをかけてくれたのは……。
「そんなことより、昨日は夕食に手をつけなかったね? 朝食はちゃんと食べてもらうよ」
「いらないわ。お腹が空いてな――」
クュルルルルーッ!
私の強がりを遮って、お腹の虫が叫び声をあげた。
「身体は素直みたいだね」
「…………」
いっそ空腹で気絶してしまえればいいのに……。
俯けた顔はじわじわと熱を持ち、顔を上げることができない。
シヴュロスが動く気配がして。大人しく出ていってくれるのかと思いきや、ベッドを映していた視界に湯気の立つスープとパンが入り込んだ。
シヴュロスが私の顔色をうかがってコソコソする意味などないのだ。何をされようと力では敵わないし、逃げ出せもしないのだから。
ようやく『正しい意味』で現状を理解した。
いつ何時でも、シヴュロスの思うままに私を扱うことができる。自由を奪われるとは、そういうことだ――。
知らず落ちた視線の先に、かけた覚えのない肌掛けが映った。
昨日はベッドに倒れ込んでいつの間にか眠ってしまったから、何もかけていなかったはずなのに。その証拠に、見慣れた色柄の掛け布団は私のお尻の下敷きになっている。
「……この家に使用人はいる?」
「ここには僕と君の二人だけだ。大声で助けを求めようとしても無駄だよ」
「……そう」
それなら、この肌掛けをかけてくれたのは……。
「そんなことより、昨日は夕食に手をつけなかったね? 朝食はちゃんと食べてもらうよ」
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クュルルルルーッ!
私の強がりを遮って、お腹の虫が叫び声をあげた。
「身体は素直みたいだね」
「…………」
いっそ空腹で気絶してしまえればいいのに……。
俯けた顔はじわじわと熱を持ち、顔を上げることができない。
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