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1~10話
魔法はありませんでした(真顔【下】
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次に、『住人』の数は四体。
それぞれ違った服を着せられた四体のリスは、たぶん家族なのだと思う。
しかし出会うたび心臓に悪いので、住人のいる部屋はもう開けないでおこうと心に決めた。
最後に、トイレの中の謎のプルプル。
個室に設置された、座面を丸くくり抜かれた木製の椅子――たぶんトイレ――の中を覗いてみると、透明でプルプルした丸っこい物体が入っていた。
すべてのトイレに同じものが入っていたので、排泄物ではない。と、信じたい。
さすがに手を突っ込んで触る勇気はなく、謎は謎のままだけれど……。
すべての部屋の探索を終えると、万一また家主が来ても気付かれないよう、元通りドールハウスの明かりを消しておいた。
「ふぅー。結構歩き回ったし、疲れちゃった」
広い館の中を、二時間近くは探索していた気がする。
ずっと抱えているカプセルもそれなりに重さがあって、そろそろ腕も辛い。
夢の中なのに疲れるとは、まったく変なところがリアルで困る。
となれば、次にするべきは。
「休憩、休憩っと」
勝手知ったる足取りで、探索中に目星を付けておいた二階の一室へと向かう。
ガパッと扉を開ければ、広々とした部屋の正面には豪華な天蓋つきベッド。
左右の壁沿いに置かれた本当に引き出せるチェストに、大きな鏡のついた鏡台。
『外』の見える廊下からは離れた、奥まった位置にある部屋だというのもポイントが高い。
「こんな部屋、ホテルでだって泊まれないでしょー」
一泊何十万もするようなスイートルームなら、こういった部屋もあるのだろうか。
まあ、あったところで泊まれないことに変わりはない。
タオルの入ったバスケットをベッドサイドに寄せると、いそいそと大事なカプセルを寝かせる。
「おじいちゃんはここね。で、私は――」
勢いをつけて跳び跳ね、大きなベッドにダイブした。
バフンッ
「んんーっ、ちゃーんとふかふか!」
夢の中で寝たら、現実で目が覚めてしまうだろうか。
せっかく楽しい夢なのだから、もう少し見ていたい気持ちはあるけれど……。
「あー、でもダメ……。横になったらすっごい眠……っふゎぁ~ぁ。おやふみなふぁーい……」
やわらかな布団に包まれた私は、迫りくる眠気に抗わずするりと意識を手放した。
それぞれ違った服を着せられた四体のリスは、たぶん家族なのだと思う。
しかし出会うたび心臓に悪いので、住人のいる部屋はもう開けないでおこうと心に決めた。
最後に、トイレの中の謎のプルプル。
個室に設置された、座面を丸くくり抜かれた木製の椅子――たぶんトイレ――の中を覗いてみると、透明でプルプルした丸っこい物体が入っていた。
すべてのトイレに同じものが入っていたので、排泄物ではない。と、信じたい。
さすがに手を突っ込んで触る勇気はなく、謎は謎のままだけれど……。
すべての部屋の探索を終えると、万一また家主が来ても気付かれないよう、元通りドールハウスの明かりを消しておいた。
「ふぅー。結構歩き回ったし、疲れちゃった」
広い館の中を、二時間近くは探索していた気がする。
ずっと抱えているカプセルもそれなりに重さがあって、そろそろ腕も辛い。
夢の中なのに疲れるとは、まったく変なところがリアルで困る。
となれば、次にするべきは。
「休憩、休憩っと」
勝手知ったる足取りで、探索中に目星を付けておいた二階の一室へと向かう。
ガパッと扉を開ければ、広々とした部屋の正面には豪華な天蓋つきベッド。
左右の壁沿いに置かれた本当に引き出せるチェストに、大きな鏡のついた鏡台。
『外』の見える廊下からは離れた、奥まった位置にある部屋だというのもポイントが高い。
「こんな部屋、ホテルでだって泊まれないでしょー」
一泊何十万もするようなスイートルームなら、こういった部屋もあるのだろうか。
まあ、あったところで泊まれないことに変わりはない。
タオルの入ったバスケットをベッドサイドに寄せると、いそいそと大事なカプセルを寝かせる。
「おじいちゃんはここね。で、私は――」
勢いをつけて跳び跳ね、大きなベッドにダイブした。
バフンッ
「んんーっ、ちゃーんとふかふか!」
夢の中で寝たら、現実で目が覚めてしまうだろうか。
せっかく楽しい夢なのだから、もう少し見ていたい気持ちはあるけれど……。
「あー、でもダメ……。横になったらすっごい眠……っふゎぁ~ぁ。おやふみなふぁーい……」
やわらかな布団に包まれた私は、迫りくる眠気に抗わずするりと意識を手放した。
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