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1~10話
魔法はありませんでした(真顔【中】
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……ゴクリ
思わず込み上げた唾液を飲み込む。
美味しそうなものを食べる姿を見ていると、こちらまでお腹が空いたような気がしてくるから不思議だ。『空腹感』なんて、ここではあるわけないのに。
二粒三粒ブドウを食べ終えた家主が、よいしょと立ち上がる。
出ていくのだろうかと期待して見つめていると、家主は部屋の隅に立ち、室内に向けて右手をかざした。
「クリーン」
「……!?」
滑るように全方位へ動かされていく手のひらが、こちらを向いたほんの一瞬。
ふわりと清涼な風に、全身を撫でられたような心地がした。
今、何かされた……?
家主は今一度室内を見渡すと、何事もなかったかのようにあっさりと部屋を出ていった。
バタンッ
「………………魔法、的な?」
一人きりになった静かな室内で、ぽつりと呟く。
身体を見下ろしても変化はないけれど、それでもあの一瞬、たしかに不思議な感覚がしたのだ。
口にしていた言葉からするに……きっと、対象を綺麗にする類いの魔法ではないだろうか。
夢の中なら、魔法だって使えてもおかしくはないのだから。
――それならば!
「『クリーン』!」
自分の左手に右手をかざし、ハァッと気合いを入れて呪文を唱えてみる。
「…………」
……何も起こらない。
左手に清涼な風の一つも、魔法を発動したような感覚も、微かな違和感さえも全く全然何もない。
「な、なーんちゃって……」
自分の行動を取り消すようにゴシゴシと部屋着の腰で両手を拭うと、置いていたカプセルを抱えそそくさとドールハウスの探索に戻った。
館全体を探索して、わかったことがいくつかある。
まず、このドールハウスはライフラインが整備されている。
水こそ出なかったものの、コンロに嵌め込まれた鮮やかな石に触れれば火がつくし、玄関ホールの壁に嵌め込まれた石に触れた途端、全部屋の明かりがついた。
ドールハウスのどこかに電池でも内蔵されているのだろうか。
「それか……『魔法』?」
苦々しい気持ちで左手を見つめ、ふいと目を逸らす。
思わず込み上げた唾液を飲み込む。
美味しそうなものを食べる姿を見ていると、こちらまでお腹が空いたような気がしてくるから不思議だ。『空腹感』なんて、ここではあるわけないのに。
二粒三粒ブドウを食べ終えた家主が、よいしょと立ち上がる。
出ていくのだろうかと期待して見つめていると、家主は部屋の隅に立ち、室内に向けて右手をかざした。
「クリーン」
「……!?」
滑るように全方位へ動かされていく手のひらが、こちらを向いたほんの一瞬。
ふわりと清涼な風に、全身を撫でられたような心地がした。
今、何かされた……?
家主は今一度室内を見渡すと、何事もなかったかのようにあっさりと部屋を出ていった。
バタンッ
「………………魔法、的な?」
一人きりになった静かな室内で、ぽつりと呟く。
身体を見下ろしても変化はないけれど、それでもあの一瞬、たしかに不思議な感覚がしたのだ。
口にしていた言葉からするに……きっと、対象を綺麗にする類いの魔法ではないだろうか。
夢の中なら、魔法だって使えてもおかしくはないのだから。
――それならば!
「『クリーン』!」
自分の左手に右手をかざし、ハァッと気合いを入れて呪文を唱えてみる。
「…………」
……何も起こらない。
左手に清涼な風の一つも、魔法を発動したような感覚も、微かな違和感さえも全く全然何もない。
「な、なーんちゃって……」
自分の行動を取り消すようにゴシゴシと部屋着の腰で両手を拭うと、置いていたカプセルを抱えそそくさとドールハウスの探索に戻った。
館全体を探索して、わかったことがいくつかある。
まず、このドールハウスはライフラインが整備されている。
水こそ出なかったものの、コンロに嵌め込まれた鮮やかな石に触れれば火がつくし、玄関ホールの壁に嵌め込まれた石に触れた途端、全部屋の明かりがついた。
ドールハウスのどこかに電池でも内蔵されているのだろうか。
「それか……『魔法』?」
苦々しい気持ちで左手を見つめ、ふいと目を逸らす。
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