偽聖女の汚名を着せられ婚約破棄された元聖女ですが、『結界魔法』がことのほか便利なので魔獣の森でもふもふスローライフ始めます!

南田 此仁

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5c、もふもふと幸せな暮らし

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 球体は呆気なくパリョンと壊れて消え、中の光が傷口に降り注ぐ。

「……は?」

「どう!?」

 えへんと胸を張る私とを数度往復したダーナンの視線は、最終的に私に向いて止まった。

「治癒魔法、ですか?」

「そう! 治癒魔法を弱い結界の中に閉じ込めてみたの!」

 もう一つ差し出せば、ダーナンは大切そうに摘まみあげて陽にかざした。
 透き通った球体は陽の光を乱反射して、二人の頭上にきらきらと光の雨を降らせる。

「綺麗なもんですねぇ……。まるで天からの祝福だ」

「本当に綺麗……」

「……これも『独自の改良』ってやつで?」

「ええ。街で売れないかと思って!」

 意気揚々と答えると、ダーナンは困ったように首をかしげた。

「金のことなら心配いただかなくとも、魔獣の毛皮や魔石、薬草なんかを売った儲けで十分すぎるほど足りてますが?」

「……私だって薬草摘みだけじゃなく、もう少し役に立ちたいんだもの」

 今は生活のほとんどをダーナンに頼りきりなので、もっと私も生活維持に貢献したかったのだ。
 だって、二人の生活なのだから。

「あのね、名前も考えたの! 『ちゆボンボン』なんて可愛くないかしら!? 千切れかけの腕くらいまでならこれで治せるのよ。噛んで飲めば、ちょっとした病気なんかも治るし。私が死ねば解除されてしまう魔法だから、『長期保管はできません』って言っておく必要があるけれど」

「そんなら向こう五十年は保ちますね」

「え、でも……」

のことは、俺が一生お側でお守りするんで」

 きょとんと目を瞬く。
 ダーナンが、自分の言葉でみるみる顔を真っ赤に染めていたから。

「——ふふっ。ちゃんと一生側にいてね、ダン!」

 そう言って抱きつくと、ダーナンは夕日よりも真っ赤に燃えてビシリと固まってしまった。

「ダン? ダーナン? ………………『もふもふ』していてもいいかしら……」
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