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1~10話
あなた色に染まる【中】 ※
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口では抗いながらも、ディノは私を突き飛ばすことも脚を閉じることもしない。
ディノが本気で抵抗すれば小柄な私なんて指一本で弾き飛ばせてしまうだろうに、やはりディノも本音では自分の症状が不安なのだろう。
しかし……やり方は合っているはずなのに、だんだんと腫れが悪化してきているような……。
次々とあふれ出る粘液がべっとりと巨塔を濡らし、手の動きに合わせてぐっちゅぐっちゅと音を立てる。
大きな手のひらが手探りに耳に触れたのを感じて見上げれば、目隠しの目元を紅く染め、全身の筋肉を強張らせて耐えるように荒い息を吐くディノの姿があった。
「――っ!」
鋼のように鍛えあげられた巨体が、むき出しの急所を私に委ね、こんな小さな手の動き一つにビクビクと全身を弾ませている。
ひとたび意識してしまえば止めようもなく。
浴室に反響する湿った音も、荒い呼吸も、苦しげに寄せられた眉も、上気した頬も、血管の凹凸がぬるぬると手のひらを擦りあげるくすぐったいような感触さえも、何もかもが違った意味を孕んで見えてくる。
――ゴクッ
唾液を嚥下する音がいやに耳に響く。
なんだか、すごくイケナイことをしている気分だわ……。
「こっ、こうやって膿を出せば腫れが治まるのよね!? ねっ!? 治療だものね!?」
妙な気分を紛らわせたくて早口に話しかける。
わかりきったことではあるが、人の口から改めて『治療』と聞けば幾分冷静さも取り戻せる気がした。
――ところが。
「っんな治療、あってたまるか……っ!」
「……え??」
治療じゃ、ない?
治療でないならコレは……。
私は……。
せっせと巨塔に手を這わせ、一体何をしているのだろうか?
「こりゃ……手淫、だろっ! ぅくっ……」
「シュイン…………しゅい……えっ!? しゅっ!? えっっっ!!?」
慌てて引っ込めかけた私の右手ごと、大きな手のひらがぐっと巨塔を握りしめた。
ディノが本気で抵抗すれば小柄な私なんて指一本で弾き飛ばせてしまうだろうに、やはりディノも本音では自分の症状が不安なのだろう。
しかし……やり方は合っているはずなのに、だんだんと腫れが悪化してきているような……。
次々とあふれ出る粘液がべっとりと巨塔を濡らし、手の動きに合わせてぐっちゅぐっちゅと音を立てる。
大きな手のひらが手探りに耳に触れたのを感じて見上げれば、目隠しの目元を紅く染め、全身の筋肉を強張らせて耐えるように荒い息を吐くディノの姿があった。
「――っ!」
鋼のように鍛えあげられた巨体が、むき出しの急所を私に委ね、こんな小さな手の動き一つにビクビクと全身を弾ませている。
ひとたび意識してしまえば止めようもなく。
浴室に反響する湿った音も、荒い呼吸も、苦しげに寄せられた眉も、上気した頬も、血管の凹凸がぬるぬると手のひらを擦りあげるくすぐったいような感触さえも、何もかもが違った意味を孕んで見えてくる。
――ゴクッ
唾液を嚥下する音がいやに耳に響く。
なんだか、すごくイケナイことをしている気分だわ……。
「こっ、こうやって膿を出せば腫れが治まるのよね!? ねっ!? 治療だものね!?」
妙な気分を紛らわせたくて早口に話しかける。
わかりきったことではあるが、人の口から改めて『治療』と聞けば幾分冷静さも取り戻せる気がした。
――ところが。
「っんな治療、あってたまるか……っ!」
「……え??」
治療じゃ、ない?
治療でないならコレは……。
私は……。
せっせと巨塔に手を這わせ、一体何をしているのだろうか?
「こりゃ……手淫、だろっ! ぅくっ……」
「シュイン…………しゅい……えっ!? しゅっ!? えっっっ!!?」
慌てて引っ込めかけた私の右手ごと、大きな手のひらがぐっと巨塔を握りしめた。
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