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41~最終話
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入室者は手にした皿をサイドボードに置くと、私の顔を覗き込んだ。
「おう、目が覚めたか」
ちゅっと額に口づけられて、大好きなディノの姿に私もほっと緊張を解く。
「体調はどうだ?」
「とってもダメ……」
掠れた声でそう告げれば、ディノは申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「ひでぇ声になっちまったな。すまない。水飲むか?」
「ん」
サイドボードに置かれていた水差しからグラスに水を注いだディノは、私の背中を支え起こしてそっとグラスを口に運んでくれる。
「んくっ、んくっ、んくっ……」
するすると喉を伝い落ちる水の冷たさが心地いい。
潤いが全身に染み渡って、生き返るようだ。
水を飲み干してふぅと息をつくと、幾分痛みの和らいだ喉で差し迫った要求を告げた。
「憚りっ!」
「はいよ、仰せのままに」
シーツでぐるぐると巻かれ、ひょいと抱きあげられた。
やわらかく煮込まれた具だくさんのスープを食べさせてもらい、空っぽの胃袋が満たされてようやくひと心地つく。
何くれとなく私の世話を焼きながら、ディノは終始上機嫌な様子だ。
「何もかも世話するってのも悪くねぇな。生まれたての子ヤマリスみてぇで」
ディノの甲斐甲斐しい介助に感動しかけて、はたと気付く。
そもそも、こんな状況に陥ったのはディノのせいだった。
「ディノが無茶したせいなんだからねっ」
「ああ、気絶させちまったのは悪かったよ。だが、チェリアが可愛すぎんのもいけねぇと思う」
「なっ!?」
まさか反論されるなんて思ってもみなかった私は、ディノの言い分に面食らった。
「ようやくチェリアが手に入るってんで限界まで興奮してるとこに、可愛いことばっか言って散々煽ってきたじゃねぇか」
「あおっ……!? そんなことしてないわっ! それに『いけない』って言うなら、気持ちよくしすぎないでって頼んだのに気持ちいいことばっかりしてきたディノのほうが悪いじゃない! 何されても気持ちよくって意識を拐われないように保つのがたいへ――」
「おい、チェリア。その口閉じろ」
「!」
地を這うような凄みの利いた声に、思わずきゅっと口を閉じる。
「おう、目が覚めたか」
ちゅっと額に口づけられて、大好きなディノの姿に私もほっと緊張を解く。
「体調はどうだ?」
「とってもダメ……」
掠れた声でそう告げれば、ディノは申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「ひでぇ声になっちまったな。すまない。水飲むか?」
「ん」
サイドボードに置かれていた水差しからグラスに水を注いだディノは、私の背中を支え起こしてそっとグラスを口に運んでくれる。
「んくっ、んくっ、んくっ……」
するすると喉を伝い落ちる水の冷たさが心地いい。
潤いが全身に染み渡って、生き返るようだ。
水を飲み干してふぅと息をつくと、幾分痛みの和らいだ喉で差し迫った要求を告げた。
「憚りっ!」
「はいよ、仰せのままに」
シーツでぐるぐると巻かれ、ひょいと抱きあげられた。
やわらかく煮込まれた具だくさんのスープを食べさせてもらい、空っぽの胃袋が満たされてようやくひと心地つく。
何くれとなく私の世話を焼きながら、ディノは終始上機嫌な様子だ。
「何もかも世話するってのも悪くねぇな。生まれたての子ヤマリスみてぇで」
ディノの甲斐甲斐しい介助に感動しかけて、はたと気付く。
そもそも、こんな状況に陥ったのはディノのせいだった。
「ディノが無茶したせいなんだからねっ」
「ああ、気絶させちまったのは悪かったよ。だが、チェリアが可愛すぎんのもいけねぇと思う」
「なっ!?」
まさか反論されるなんて思ってもみなかった私は、ディノの言い分に面食らった。
「ようやくチェリアが手に入るってんで限界まで興奮してるとこに、可愛いことばっか言って散々煽ってきたじゃねぇか」
「あおっ……!? そんなことしてないわっ! それに『いけない』って言うなら、気持ちよくしすぎないでって頼んだのに気持ちいいことばっかりしてきたディノのほうが悪いじゃない! 何されても気持ちよくって意識を拐われないように保つのがたいへ――」
「おい、チェリア。その口閉じろ」
「!」
地を這うような凄みの利いた声に、思わずきゅっと口を閉じる。
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