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11~20話
19b、…………あれっ??
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「……お時間は大丈夫れふか?」
「ああ、元々見舞いに寄る予定だったからな。少し遅れると伝えてある」
「そうれふか」
それなら、今この時間は思う存分嗅ぎ放題ということだろうか。
心ゆくまで香りを——————そういえば。
「今朝は……誰が付き添ったんれふか?」
想像の中でグレニスと抱き合っていた、あの役割を勤めたのは。
「ティニエラだったな」
先輩メイドの名前が挙がる。
自分から聞いたことだというのに。ぼんやりとした想像が俄然具体的になって、ままならない恋心がツキツキと痛みを訴えてくる。
「ティニエラふぁんにも、その……」
「うん?」
「香りを……嗅がへてあげたりしたんれふか……?」
こうやって、抱きしめ合って。
質問を口にした瞬間、グレニスの肩がピクリと動いた。
「———っく、ははっ! まさか! 俺の匂いなんて嗅ぎたがるのはリヴェリーくらいのものだろう」
抱きついた身体を通し、くつくつと笑う振動が伝わってくる。
でも、だって、わからないじゃないか!
グレニスはきっと、私の時のように泣いて頼まれたなら叶えてあげようとするはずだから。
まだくつくつと震える肩にむぅと口を尖らせる。
なんだ、人が真剣に悩んでいるというのに。いっそこのまま噛りついてくれようか。
「ああ、元々見舞いに寄る予定だったからな。少し遅れると伝えてある」
「そうれふか」
それなら、今この時間は思う存分嗅ぎ放題ということだろうか。
心ゆくまで香りを——————そういえば。
「今朝は……誰が付き添ったんれふか?」
想像の中でグレニスと抱き合っていた、あの役割を勤めたのは。
「ティニエラだったな」
先輩メイドの名前が挙がる。
自分から聞いたことだというのに。ぼんやりとした想像が俄然具体的になって、ままならない恋心がツキツキと痛みを訴えてくる。
「ティニエラふぁんにも、その……」
「うん?」
「香りを……嗅がへてあげたりしたんれふか……?」
こうやって、抱きしめ合って。
質問を口にした瞬間、グレニスの肩がピクリと動いた。
「———っく、ははっ! まさか! 俺の匂いなんて嗅ぎたがるのはリヴェリーくらいのものだろう」
抱きついた身体を通し、くつくつと笑う振動が伝わってくる。
でも、だって、わからないじゃないか!
グレニスはきっと、私の時のように泣いて頼まれたなら叶えてあげようとするはずだから。
まだくつくつと震える肩にむぅと口を尖らせる。
なんだ、人が真剣に悩んでいるというのに。いっそこのまま噛りついてくれようか。
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