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41~50話
43a、悪女になったの
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「———ヴ、リヴ。朝だぞ」
「んー……」
肌触りのいいシーツの上でころりと寝返りを打つ。
「まだ身体が辛いだろう。俺はもう仕事に行かねばならないが、部屋の掃除は遅らせるよう言っておいたからゆっくり休んでいるといい」
伏せた枕のいい香りを嗅ぎながら心地よい低音に耳を澄ませ……徐々に頭が覚醒してくると同時に、急速に自分の置かれた状況を理解した。
「私———っぐ!」
ガバッと跳ね起きた途端腰に鈍い痛みが走り、よろよろパタリとシーツに引き返す。
腰だけではない。
股関節は油を切らしたかのようにぎしぎしと痛むし、内ももはひどい筋肉痛、発した声も喉の痛みで掠れている。
「すまない……、昨夜は無茶をさせた。今日はゆっくりと休んでいてくれ」
数時間に及ぶ行為によって疲労困憊、睡眠時間だって削られたはずなのに、グレニスは妙に元気そうだ。
まあ、疲れで仕事に支障を来してしまうよりはいいけれど……。
私の前髪を撫でつけ額に一つ口付けを落とすと、「いってくる」と言い残して部屋を後にした。
首だけを動かし周囲を見渡す。
ここは昨夜連れられて入ったグレニスの寝室。
私は広いベッドの端の方に寝ていて、すぐ横のサイドボードには水差しとゴブレットが置かれている。
いつの間に清めてくれたのか、あんなに汗をかいたはずの身体はさっぱりとして、下着とネグリジェもきちんと元通りに着せつけられていた。
「んっしょ……」
よろよろと重い身体を起こす。
「———ヴ、リヴ。朝だぞ」
「んー……」
肌触りのいいシーツの上でころりと寝返りを打つ。
「まだ身体が辛いだろう。俺はもう仕事に行かねばならないが、部屋の掃除は遅らせるよう言っておいたからゆっくり休んでいるといい」
伏せた枕のいい香りを嗅ぎながら心地よい低音に耳を澄ませ……徐々に頭が覚醒してくると同時に、急速に自分の置かれた状況を理解した。
「私———っぐ!」
ガバッと跳ね起きた途端腰に鈍い痛みが走り、よろよろパタリとシーツに引き返す。
腰だけではない。
股関節は油を切らしたかのようにぎしぎしと痛むし、内ももはひどい筋肉痛、発した声も喉の痛みで掠れている。
「すまない……、昨夜は無茶をさせた。今日はゆっくりと休んでいてくれ」
数時間に及ぶ行為によって疲労困憊、睡眠時間だって削られたはずなのに、グレニスは妙に元気そうだ。
まあ、疲れで仕事に支障を来してしまうよりはいいけれど……。
私の前髪を撫でつけ額に一つ口付けを落とすと、「いってくる」と言い残して部屋を後にした。
首だけを動かし周囲を見渡す。
ここは昨夜連れられて入ったグレニスの寝室。
私は広いベッドの端の方に寝ていて、すぐ横のサイドボードには水差しとゴブレットが置かれている。
いつの間に清めてくれたのか、あんなに汗をかいたはずの身体はさっぱりとして、下着とネグリジェもきちんと元通りに着せつけられていた。
「んっしょ……」
よろよろと重い身体を起こす。
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