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61~最終話
61c、何を隠そう
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嬉しい気持ちの溢れるまま、ニコニコとしてグレニスを見上げる。
「グレンも、すごく凛々しくて見惚れちゃいます! よく似合ってますよ———その甲冑」
グレニスの首から下すべてを覆っているのは、真新しい光沢を放つ金属製の鎧。
以前見た実用的なものとは違い、全体に精緻な彫刻の施された装飾的なものだ。
今日のため特別に誂えた甲冑は、銀色の金属板の上に金を乗せて浮き彫りにされており、浮き出た模様部分が金色、彫り込まれた部分には地の銀色が透けて見える。
彫刻の模様は、勝利と愛の女神フィフォルシュオーネの神話をモチーフに。
全体に入った模様によって、遠くから見れば金色に、近づいて見れば銀色とわかる不思議な作りだ。
グレニスの表情はいつも通り険しく。きっちりと後ろへ撫で付けられたアッシュブロンドが精悍さを一層引き立てている。
「あの……兜はまだ着けないんですか?」
「ああ、向こうに着いてから………………はぁ。わかったわかった」
たっぷりの期待を込めて上目遣いに見つめれば、グレニスは諦めたようにため息をついて、従僕に持たせていた兜を被った。
「わぁぁ! とーっても素敵です!!」
「……それは何よりだ」
鎧同様、兜にも装飾的な彫刻が施されている。
形状は以前見たものに似て、上部の羽根飾りは濃い紫色をしていた。
「では、行くか」
「はい!」
差し出された腕に手をかければ、内部の熱を移した甲冑がじんわりと指先に熱を伝えた。
「グレンも、すごく凛々しくて見惚れちゃいます! よく似合ってますよ———その甲冑」
グレニスの首から下すべてを覆っているのは、真新しい光沢を放つ金属製の鎧。
以前見た実用的なものとは違い、全体に精緻な彫刻の施された装飾的なものだ。
今日のため特別に誂えた甲冑は、銀色の金属板の上に金を乗せて浮き彫りにされており、浮き出た模様部分が金色、彫り込まれた部分には地の銀色が透けて見える。
彫刻の模様は、勝利と愛の女神フィフォルシュオーネの神話をモチーフに。
全体に入った模様によって、遠くから見れば金色に、近づいて見れば銀色とわかる不思議な作りだ。
グレニスの表情はいつも通り険しく。きっちりと後ろへ撫で付けられたアッシュブロンドが精悍さを一層引き立てている。
「あの……兜はまだ着けないんですか?」
「ああ、向こうに着いてから………………はぁ。わかったわかった」
たっぷりの期待を込めて上目遣いに見つめれば、グレニスは諦めたようにため息をついて、従僕に持たせていた兜を被った。
「わぁぁ! とーっても素敵です!!」
「……それは何よりだ」
鎧同様、兜にも装飾的な彫刻が施されている。
形状は以前見たものに似て、上部の羽根飾りは濃い紫色をしていた。
「では、行くか」
「はい!」
差し出された腕に手をかければ、内部の熱を移した甲冑がじんわりと指先に熱を伝えた。
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