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後日談 楓と直樹のその後の話
95. 紫水晶と焦燥※ side. 直樹
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朝の気配に瞳を開けると、まだ見慣れぬ大きなベッドの上、俺の腕の中で眠る楓が目に入った。
カーテンの隙間から差し込んだ光がキラキラと楓の鬱くしさを引き立てていて、思わず見惚れてしまう。
楓を見つめていると、奇跡のような昨日のことが、俺の脳裏を駆け巡った。
じぃちゃんのおかげで、このマンションに住む決心ができたこと。
ショウに『楓は一生俺のものだから手を出すな』と宣言したこと。
悠斗と葵ちゃんに夢の中で再会し、楓と結婚することになったこと。
そして、楓と誓い合ったこと。
誰にも負ける気がしない『最強感』は、誓いの後のお風呂やベッドでの睦み合いで、更に増し、一晩経った今も続いている。
楓を閉じ込めてしまいそうな自分が怖くて、この部屋に住むのを躊躇っていたけれど、そんな心配はもう要らないのかもしれない。
ホッとした気持ちになっていると、楓が身じろぎをした。
「ん……」
眠そうな声も、伸びをするあどけない仕草も、可愛くて仕方がない。
楓の髪を撫でると、長い睫毛が微かに動く。
そして大きな瞳がゆっくりと開かれた。
「楓、おはよう」
「……直樹さん、おはようございます」
楓が嬉しそうに微笑む。
俺の大好きな無邪気な笑顔だ。
油断していると、この無邪気な笑顔から繰り出される提案に、煽られるんだけど。
そんなことを考えていると、楓が何かを思い出したように口を開いた。
「直樹さん、覚悟してくださいっ! 今度こそ、私が気持ち良くするのでっ!」
「うん、いっぱい気持ち良くしてもらったよ?」
俺がそう言うと、楓は盛大に項垂れた。
「ううう、そういうことではなくて……! お風呂では、直樹さんのこと気持ち良くするはずだったのに、結局私ばっかりされて終わっちゃったじゃないですかっ! それに、寝る前は、お風呂のリベンジしようとしたら返り討ちされて、いつの間にか寝ちゃって悔しいんですっ!」
「お風呂も、寝る前も、楓のナカ、めちゃくちゃ気持ち良かったよ?」
「もぉおお! 違うんですっ! 私が、気持ち良くしたいんですっ」
楓がそう言って、俺の下腹部に乗った。
「「!」」
寝起きに楓の姿を見てから反応を始めていた俺のモノは、今の会話で昨夜のアレコレを思い出し、すっかり勃ち上がっていた。
そこに、楓の昨夜の名残で蕩けたままの秘裂がダイレクトに当たり、俺の身体がビクリと跳ねる。
楓も快感に耐えるそぶりを見せているのに、得意気な表情を浮かべた。
「な、直樹さん、気持ち、良い、……んですね? もっと気持ち良くしてあげますっ」
前にもこんなことがあったことを思い出す。
記憶を辿り、バレンタインデーの前日のことを思い出した。
あの時は、……。
「ーーーっ」
記憶を辿ろうとしていた俺は、楓が前後に腰を動かしたことで、中断させられた。
「か、えで……っ」
「なおきさん、きもちい?」
「うん……くっ」
楓の腰の動きに合わせて、快感が押し寄せる。
すると、すっかりそり返った俺のモノを楓が自身の太ももで挟んだ。
「え?! 楓……うぁっ」
「なおきさん、こうするの、好き?」
そのまま楓が腰を上下し、その度に俺の体がビクビク震える。
楓が快感を必死に堪えながらも動こうとする姿は、更に俺を高めた。
「……っ、……っ、……ふ」
「きもちよさそう……なおきさん、可愛い」
バレンタインのあの時は、楓はすぐに快感で動けなくなっていたのに。
「まって、楓、イきそ……だから」
「イって?」
「楓のナカがいい……」
楓の腰の動きが止まる。
「挿れていい?」
楓は少し逡巡したあと、こくんと頷いた。
「いいですけど、直樹さんは動いちゃダメですからね?」
「……わかった。じゃあ、付けてくるね」
俺がそう言うと、楓がふるふると首を振った。
「今日は私が付けたいですっ」
「えっ?!」
今まで外されたことはあったけど、付けてもらったことはなかった。
楓はベッドから身を乗り出し、ベッドの横にあるサイドチェストを指差す。
「ここでしたよね?」
「うん」
ベッドの横にある引き出しから避妊具を取り出した楓は、袋を開封した。
避妊具を右手に持った楓は、俺の足の間に正座になる。
そして、俺の竿を左手で持つと、……先端をペロリと舐めた。
「っっっ!!!」
予想外の快感に驚いた俺の反応に、楓が嬉しそうに微笑んだ。
「直樹さん、可愛い……!」
楓は左手で竿を握り込み上下に動かし、先端をぱくりと咥え込んでじゅるじゅると吸う。
「か、え、で……っ! だ、だめっ! おしまいっ」
俺は必死で上半身を起こし、楓の肩に手を置き止めた。
「楓のナカで、楓と一緒にイきたいから、ダメっ!」
「……わかりました」
楓が不服そうな顔をする。そんな顔も可愛い。
楓の意向に沿いたい気持ちもあったけど、それ以上に楓のナカに入りたい欲のほうが勝った。
楓が器用に避妊具を装着する。
先ほどの手と口よりは刺激は弱いけれど、楓が着けてくれるという事実が、俺の鼓動を早くする。
そして、根元まで俺のモノが覆われたところで、楓が俺を見た。
「じゃあ、直樹さんが動いちゃダメですからね?」
「……うん」
俺が頷くと、楓が腰を上げ、楓のしなやかな指が俺のモノに触れた。
楓は手で俺の角度を調整しながら、先端を蜜口にあてがった。
「「……っ」」
楓が腰を落としていくと同時に、楓の瞳が潤んでいく。
「かえ、で……っ」
「なおき、さん……っ」
完全に俺のモノがおさまると、楓はふるふると体を震わせた。
「ふああっ」
「~~~~っ」
その扇情的な姿とうねるナカが俺の射精感を高め、俺も持っていかれないよう必死で耐えた。
楓は大きな波をやり過ごしたようで、必死に余裕があるような表情を見せる。
「ふふふっ、直樹さん、ここからですよっ」
「う、ん」
楓は涙目だし、頬は紅潮しているし、実際には全然余裕はなさそうなんだけど、そこがたまらなく可愛い。
だけど、思わず顔が綻んでしまった俺に、楓の火がついたようだ。
「直樹さん! 余裕ぶってられるのも今のうちですからねっ」
そう言って、楓が腰を動かした。
「「……っ」」
ゆっくり円を描くように腰を回す。
「か、えで……っ」
「んっ、ふ、……ぁあっ」
楓の腰の動きと、楓が感じるたびに蠢くナカの動き、そして必死に快感に耐えながら動く楓の姿に、俺の余裕はどんどん削られていく。
それは楓も同じだったみたいで、楓はだんだん動きが小さく、緩やかになっていく。
「んぅ、ぅう~~」
この生殺しのような状態は俺も辛いし、楓はもっと辛そうだ。
「楓、今のままじゃ、辛いでしょ? 俺も辛いから動いていい?」
楓が目を見開き、戸惑う様子を見せた。
「で、でもぉ、それじゃリベンジが……」
「うん、もう十分気持ち良くしてもらったから。ありがとう」
「なおきさん……ひぅっ~~~!!!」
俺の名を呼び笑顔を見せる楓が可愛くて、衝動のまま突き上げた。
俺の先端が楓の良いところに当たったらしく、楓の身体がビクビク震える。
「あっ、あ、あーーーっ」
そのまま数度突き上げると、楓は脱力し、俺に密着するよう身体を倒した。
その角度は楓のもっと良い場所を刺激したみたいで、身体には力が入らなさそうなのに、ナカはぐねぐねと俺から搾り取るような動きをする。
「ふぁ、あん、ああ、あーん」
強い快感を逃がそうと腰を引く楓のお尻を鷲掴んだ。
「楓、逃げちゃダメ」
「なおき、さぁん」
俺が楓の方に顔を向けると、楓も蕩けきった顔を俺に向ける。
楓の後頭部を片手で固定し、気持ち良さそうに涎で濡れた唇に深く口付けた。
楓の甘い唾液を吸いながら、抽送を激しくする。
「ん、んっ、んぅ、んーっ」
2人の限界が近いことを悟り、俺は楓の奥に突き上げた。
「んぅうーーーっっっ」
「ーーーーーっっっ」
俺の上に乗り脱力する楓の髪を撫でた。
快感の波から戻った楓が、悔しげな表情を浮かべる。
「やっぱり、上手くできなくて、……悔しいです」
バレンタインの時も同じこと言っていたことを思い出し、俺は思わず吹き出した。
楓の頭をぽんぽんと撫でて、俺は口を開く。
「ううん、すっごく気持ちよかったよ」
「……リベンジしたいです」
俺の中心がまた熱を持つのを感じたけど、今日は指輪を見に行く予定だ。
そろそろ起きて、朝食の準備をする時間だ。
コーヒーも淹れて、バルコニーで朝食にしたいし。
必死にスイッチをオフにしようとするのだけど、反応を始めた俺のモノが、うねうねと外から刺激され、更に大きくなるのを感じた。
「「!!!」」
楓のナカに挿れたままだったことを思い出す。
反応し膨らみ硬さを持っていく俺のモノに、楓のナカが反応しヒクヒクと動き蜜を溢して、更に俺のモノが反応する。
反応し合う無限ループから抜け出せない。
「「……」」
まぁ、1日は長いから、いいか。
見つめ合った俺と楓はキスをした。
「……替えてくる」
「あっ、私がやりたいですっ」
「えっ?! ……ぅあっ」
「直樹さん、可愛い……!」
結局ベッドから出られたのは、日がすっかり高くなった後だった。
◇◇◇
たっぷりと寝坊して、朝食を兼ねた昼食をとったあと、俺と楓は結婚指輪を見るため、ジュエリーショップが立ち並ぶ街に出かけた。
「楓はどんなデザインがいいの?」
「私、宝石が付いてないのが良いです」
「えっ?!」
「なるべく常に付けていたいから、石があるとお手洗いや水仕事の時気になりますし、……石が取れて失くしてしまったりしたら嫌だなぁと思ったんです」
「そっか……!」
理由が俺との結婚の証を『常に付けていたい』だなんて、嬉しくてつい頬が緩んでしまう。
「じゃあ、その分婚約指輪の方に、大きい石を付けようか」
「婚約指輪はいらないです!」
「えぇっ?!」
まさか結婚指輪の宝石だけじゃなくて、婚約指輪までいらないと言われるなんて予想もしていなかったので、声を荒げてしまった。
「結婚指輪は直樹さんとお揃いだから欲しいなって思うんですけど、婚約指輪は1人で付けるから、寂しいなと思ってしまって」
「そ、そっか……!!」
俺とお揃いが良いだなんて、可愛すぎる楓に、俺の『最強感』がまたもやぐんと高揚するのを感じた。
◇
いくつかのジュエリーショップを見て、セミオーダーの指輪を見つけた。
特にそのお店のセミオーダーでは、指輪の内側の形が選べるのが良かったみたいだ。
付けた時の楓の表情が他と全然違っていた。
「これにしよう」
「えっ?! 私は気に入りましたけど、……直樹さんはいいんですか?」
「うん、俺もこれがいい」
「でも、昨夜、結婚が決まったばかりなのに……?」
「他に気に入ったのが見つかったら、それも買えばいいよ」
「そんな訳には……!」
「じゃあ、待ってて」
「待っててって、私も、というか私が払いたいですよ?!」
「ダメ」
少々強引だったかなと思いつつ、戸惑う楓を強引にその場に置いて、購入の手続きを終えた。
楓と俺を繋ぐものがまた一つ増えたことに俺の『最強感』は増していく。
戻ってくると、ショーケースに視線を落とす楓の姿を見つけた。
声をかけようとしたその時、ショーケースを見つめたままの楓が瞳を見開いた。
思わず楓の視線の先を見やると、そこに飾られていたのは、銀色のネックレスだった。
ペンダントトップには、アメジストが付いている。
ーーー生まれ変わった葵ちゃんの瞳の色だ。
俺の心臓は嫌な音を立てる。
楓を見やると、微かに頬を染め、切なそうな微笑みを浮かべていた。
それはまさに、もう会えない、実らない恋の相手を思い浮かべてる顔だった。
一瞬で、俺の『最強感』が霧散していく。
楓には、俺だけを見て欲しい。
閉じ込めたいという欲望が渦巻いていく。
そう思うと同時に、嫉妬なんかしたくないとも思う。
楓が大切な人を想うことさえ受け入れられない自身の狭量さに落ち込んだ。
ふと、昨日の悠斗との会話を思い出した。
……俺が変わるには、ものすごく時間がかかりそうだ。
カーテンの隙間から差し込んだ光がキラキラと楓の鬱くしさを引き立てていて、思わず見惚れてしまう。
楓を見つめていると、奇跡のような昨日のことが、俺の脳裏を駆け巡った。
じぃちゃんのおかげで、このマンションに住む決心ができたこと。
ショウに『楓は一生俺のものだから手を出すな』と宣言したこと。
悠斗と葵ちゃんに夢の中で再会し、楓と結婚することになったこと。
そして、楓と誓い合ったこと。
誰にも負ける気がしない『最強感』は、誓いの後のお風呂やベッドでの睦み合いで、更に増し、一晩経った今も続いている。
楓を閉じ込めてしまいそうな自分が怖くて、この部屋に住むのを躊躇っていたけれど、そんな心配はもう要らないのかもしれない。
ホッとした気持ちになっていると、楓が身じろぎをした。
「ん……」
眠そうな声も、伸びをするあどけない仕草も、可愛くて仕方がない。
楓の髪を撫でると、長い睫毛が微かに動く。
そして大きな瞳がゆっくりと開かれた。
「楓、おはよう」
「……直樹さん、おはようございます」
楓が嬉しそうに微笑む。
俺の大好きな無邪気な笑顔だ。
油断していると、この無邪気な笑顔から繰り出される提案に、煽られるんだけど。
そんなことを考えていると、楓が何かを思い出したように口を開いた。
「直樹さん、覚悟してくださいっ! 今度こそ、私が気持ち良くするのでっ!」
「うん、いっぱい気持ち良くしてもらったよ?」
俺がそう言うと、楓は盛大に項垂れた。
「ううう、そういうことではなくて……! お風呂では、直樹さんのこと気持ち良くするはずだったのに、結局私ばっかりされて終わっちゃったじゃないですかっ! それに、寝る前は、お風呂のリベンジしようとしたら返り討ちされて、いつの間にか寝ちゃって悔しいんですっ!」
「お風呂も、寝る前も、楓のナカ、めちゃくちゃ気持ち良かったよ?」
「もぉおお! 違うんですっ! 私が、気持ち良くしたいんですっ」
楓がそう言って、俺の下腹部に乗った。
「「!」」
寝起きに楓の姿を見てから反応を始めていた俺のモノは、今の会話で昨夜のアレコレを思い出し、すっかり勃ち上がっていた。
そこに、楓の昨夜の名残で蕩けたままの秘裂がダイレクトに当たり、俺の身体がビクリと跳ねる。
楓も快感に耐えるそぶりを見せているのに、得意気な表情を浮かべた。
「な、直樹さん、気持ち、良い、……んですね? もっと気持ち良くしてあげますっ」
前にもこんなことがあったことを思い出す。
記憶を辿り、バレンタインデーの前日のことを思い出した。
あの時は、……。
「ーーーっ」
記憶を辿ろうとしていた俺は、楓が前後に腰を動かしたことで、中断させられた。
「か、えで……っ」
「なおきさん、きもちい?」
「うん……くっ」
楓の腰の動きに合わせて、快感が押し寄せる。
すると、すっかりそり返った俺のモノを楓が自身の太ももで挟んだ。
「え?! 楓……うぁっ」
「なおきさん、こうするの、好き?」
そのまま楓が腰を上下し、その度に俺の体がビクビク震える。
楓が快感を必死に堪えながらも動こうとする姿は、更に俺を高めた。
「……っ、……っ、……ふ」
「きもちよさそう……なおきさん、可愛い」
バレンタインのあの時は、楓はすぐに快感で動けなくなっていたのに。
「まって、楓、イきそ……だから」
「イって?」
「楓のナカがいい……」
楓の腰の動きが止まる。
「挿れていい?」
楓は少し逡巡したあと、こくんと頷いた。
「いいですけど、直樹さんは動いちゃダメですからね?」
「……わかった。じゃあ、付けてくるね」
俺がそう言うと、楓がふるふると首を振った。
「今日は私が付けたいですっ」
「えっ?!」
今まで外されたことはあったけど、付けてもらったことはなかった。
楓はベッドから身を乗り出し、ベッドの横にあるサイドチェストを指差す。
「ここでしたよね?」
「うん」
ベッドの横にある引き出しから避妊具を取り出した楓は、袋を開封した。
避妊具を右手に持った楓は、俺の足の間に正座になる。
そして、俺の竿を左手で持つと、……先端をペロリと舐めた。
「っっっ!!!」
予想外の快感に驚いた俺の反応に、楓が嬉しそうに微笑んだ。
「直樹さん、可愛い……!」
楓は左手で竿を握り込み上下に動かし、先端をぱくりと咥え込んでじゅるじゅると吸う。
「か、え、で……っ! だ、だめっ! おしまいっ」
俺は必死で上半身を起こし、楓の肩に手を置き止めた。
「楓のナカで、楓と一緒にイきたいから、ダメっ!」
「……わかりました」
楓が不服そうな顔をする。そんな顔も可愛い。
楓の意向に沿いたい気持ちもあったけど、それ以上に楓のナカに入りたい欲のほうが勝った。
楓が器用に避妊具を装着する。
先ほどの手と口よりは刺激は弱いけれど、楓が着けてくれるという事実が、俺の鼓動を早くする。
そして、根元まで俺のモノが覆われたところで、楓が俺を見た。
「じゃあ、直樹さんが動いちゃダメですからね?」
「……うん」
俺が頷くと、楓が腰を上げ、楓のしなやかな指が俺のモノに触れた。
楓は手で俺の角度を調整しながら、先端を蜜口にあてがった。
「「……っ」」
楓が腰を落としていくと同時に、楓の瞳が潤んでいく。
「かえ、で……っ」
「なおき、さん……っ」
完全に俺のモノがおさまると、楓はふるふると体を震わせた。
「ふああっ」
「~~~~っ」
その扇情的な姿とうねるナカが俺の射精感を高め、俺も持っていかれないよう必死で耐えた。
楓は大きな波をやり過ごしたようで、必死に余裕があるような表情を見せる。
「ふふふっ、直樹さん、ここからですよっ」
「う、ん」
楓は涙目だし、頬は紅潮しているし、実際には全然余裕はなさそうなんだけど、そこがたまらなく可愛い。
だけど、思わず顔が綻んでしまった俺に、楓の火がついたようだ。
「直樹さん! 余裕ぶってられるのも今のうちですからねっ」
そう言って、楓が腰を動かした。
「「……っ」」
ゆっくり円を描くように腰を回す。
「か、えで……っ」
「んっ、ふ、……ぁあっ」
楓の腰の動きと、楓が感じるたびに蠢くナカの動き、そして必死に快感に耐えながら動く楓の姿に、俺の余裕はどんどん削られていく。
それは楓も同じだったみたいで、楓はだんだん動きが小さく、緩やかになっていく。
「んぅ、ぅう~~」
この生殺しのような状態は俺も辛いし、楓はもっと辛そうだ。
「楓、今のままじゃ、辛いでしょ? 俺も辛いから動いていい?」
楓が目を見開き、戸惑う様子を見せた。
「で、でもぉ、それじゃリベンジが……」
「うん、もう十分気持ち良くしてもらったから。ありがとう」
「なおきさん……ひぅっ~~~!!!」
俺の名を呼び笑顔を見せる楓が可愛くて、衝動のまま突き上げた。
俺の先端が楓の良いところに当たったらしく、楓の身体がビクビク震える。
「あっ、あ、あーーーっ」
そのまま数度突き上げると、楓は脱力し、俺に密着するよう身体を倒した。
その角度は楓のもっと良い場所を刺激したみたいで、身体には力が入らなさそうなのに、ナカはぐねぐねと俺から搾り取るような動きをする。
「ふぁ、あん、ああ、あーん」
強い快感を逃がそうと腰を引く楓のお尻を鷲掴んだ。
「楓、逃げちゃダメ」
「なおき、さぁん」
俺が楓の方に顔を向けると、楓も蕩けきった顔を俺に向ける。
楓の後頭部を片手で固定し、気持ち良さそうに涎で濡れた唇に深く口付けた。
楓の甘い唾液を吸いながら、抽送を激しくする。
「ん、んっ、んぅ、んーっ」
2人の限界が近いことを悟り、俺は楓の奥に突き上げた。
「んぅうーーーっっっ」
「ーーーーーっっっ」
俺の上に乗り脱力する楓の髪を撫でた。
快感の波から戻った楓が、悔しげな表情を浮かべる。
「やっぱり、上手くできなくて、……悔しいです」
バレンタインの時も同じこと言っていたことを思い出し、俺は思わず吹き出した。
楓の頭をぽんぽんと撫でて、俺は口を開く。
「ううん、すっごく気持ちよかったよ」
「……リベンジしたいです」
俺の中心がまた熱を持つのを感じたけど、今日は指輪を見に行く予定だ。
そろそろ起きて、朝食の準備をする時間だ。
コーヒーも淹れて、バルコニーで朝食にしたいし。
必死にスイッチをオフにしようとするのだけど、反応を始めた俺のモノが、うねうねと外から刺激され、更に大きくなるのを感じた。
「「!!!」」
楓のナカに挿れたままだったことを思い出す。
反応し膨らみ硬さを持っていく俺のモノに、楓のナカが反応しヒクヒクと動き蜜を溢して、更に俺のモノが反応する。
反応し合う無限ループから抜け出せない。
「「……」」
まぁ、1日は長いから、いいか。
見つめ合った俺と楓はキスをした。
「……替えてくる」
「あっ、私がやりたいですっ」
「えっ?! ……ぅあっ」
「直樹さん、可愛い……!」
結局ベッドから出られたのは、日がすっかり高くなった後だった。
◇◇◇
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「楓はどんなデザインがいいの?」
「私、宝石が付いてないのが良いです」
「えっ?!」
「なるべく常に付けていたいから、石があるとお手洗いや水仕事の時気になりますし、……石が取れて失くしてしまったりしたら嫌だなぁと思ったんです」
「そっか……!」
理由が俺との結婚の証を『常に付けていたい』だなんて、嬉しくてつい頬が緩んでしまう。
「じゃあ、その分婚約指輪の方に、大きい石を付けようか」
「婚約指輪はいらないです!」
「えぇっ?!」
まさか結婚指輪の宝石だけじゃなくて、婚約指輪までいらないと言われるなんて予想もしていなかったので、声を荒げてしまった。
「結婚指輪は直樹さんとお揃いだから欲しいなって思うんですけど、婚約指輪は1人で付けるから、寂しいなと思ってしまって」
「そ、そっか……!!」
俺とお揃いが良いだなんて、可愛すぎる楓に、俺の『最強感』がまたもやぐんと高揚するのを感じた。
◇
いくつかのジュエリーショップを見て、セミオーダーの指輪を見つけた。
特にそのお店のセミオーダーでは、指輪の内側の形が選べるのが良かったみたいだ。
付けた時の楓の表情が他と全然違っていた。
「これにしよう」
「えっ?! 私は気に入りましたけど、……直樹さんはいいんですか?」
「うん、俺もこれがいい」
「でも、昨夜、結婚が決まったばかりなのに……?」
「他に気に入ったのが見つかったら、それも買えばいいよ」
「そんな訳には……!」
「じゃあ、待ってて」
「待っててって、私も、というか私が払いたいですよ?!」
「ダメ」
少々強引だったかなと思いつつ、戸惑う楓を強引にその場に置いて、購入の手続きを終えた。
楓と俺を繋ぐものがまた一つ増えたことに俺の『最強感』は増していく。
戻ってくると、ショーケースに視線を落とす楓の姿を見つけた。
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思わず楓の視線の先を見やると、そこに飾られていたのは、銀色のネックレスだった。
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ーーー生まれ変わった葵ちゃんの瞳の色だ。
俺の心臓は嫌な音を立てる。
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それはまさに、もう会えない、実らない恋の相手を思い浮かべてる顔だった。
一瞬で、俺の『最強感』が霧散していく。
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そう思うと同時に、嫉妬なんかしたくないとも思う。
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ふと、昨日の悠斗との会話を思い出した。
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突然の取引提案に戸惑う優美。
しかし借金に追われる現状では、断る選択肢はなかった。
恋愛経験ゼロの優美と、完璧に見えて不器用な副社長。
立場も境遇も違う二人が紡ぐラブストーリー。
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