首輪 〜性奴隷 律の調教〜

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S side  誕生日会 ep7

急いで車に替えのスーツを取りに走って着替えてから会場に戻るまで、10分も掛かっていない筈だった。
不在にしていた間にメインのイベントは終わったのか、会場のステージは既に無人となっている。パーティの主役は失ったものの、飯塚に媚を売りに来た顔見知りだらけの会場は騒がしく歓談が続いていた。

立食形式のせいで人の行き来が邪魔になり、中々律を見付けられない。
律は周囲の状況に人一倍神経を張り巡らせている。こういう時一番に、俺が戻ったことに気付いて側に寄って来そうなものなのに。

自分の存在が目立たぬように、気配ごと消してどこかに佇んでいるのかとフロアの端や設営の物陰を覗いても見付からない。トイレに探しに行っても良いが、瀬戸の話によれば律は決められた時間にしか排泄しない。その時間でも一々瀬戸の許可を欲しがる。中々普通のようには戻せない習慣だとぼやいていた。

どこ行ったんだ。
ここで律が迷う訳が無いのは分かっている。律が人生の殆どを過ごした屋敷だ。
どんな人生だったか想像したくもないような、律の生きてきた時間の殆どを。

フロアから出て会場の辺りを見渡しながら廊下を小走りに進んでいると、トイレから出て来た一人の初老の男と目が合った。
いかにもな金持ちと言うよりは、生まれながらの裕福な育ちが外見に滲み出ているような、一見穏やかそうな見た目の男だ。パーティ会場で、執拗に律を見ていた。
そしてこの顔に俺は既視感があるが、誰だか直ぐに思い出せない。

居なくなった律を探して、明らかに焦りが顔に出ているであろう俺の姿を見たその男は、楽しげに、舐めるように俺の全身にべったりと視線を這わせてから口を開く。

「どなたかお探しですか?」
上品な出で立ちに余りにも不似合いな、下卑た笑いを堪えたような、こちらを蔑むような表情に俺は嫌悪感を覚える。

そしてその嫌悪感が俺の記憶を呼び起こす。
ああ、こいつは、俺が引き取る直前まで律を個人的に買っていた男だ。
こいつのせいで律は大怪我をして引き取る日が延長された。

「…ええ。同伴者を」
声に怒りが混らないよう苦労した。

「御無沙汰しております。細川さん」
今でも律は、こういう男達の遊び玩具なのか。

後から付け加えた挨拶で、細川は俺が名前を覚えていた事に少々驚いた様子だったが、直ぐに笑顔を顔面に貼り付けて俺に向き直る。
「久しぶりだね、桐山君。リツ君なら、飯塚さんと凛ちゃんに連れられて、二階に行かれましたよ。かなり前に終わったお誕生日のお祝いをしてもらえるとかで。君に言わないで行くなんて、信じられないけど」

柔和な声で紡がれる言葉一つ一つに、胸が抉られる。

「そうですか。有難う御座います」
まだ何か言おうとする相手に俺は話を切り上げ、踵を返して階段を駆け上がる。

当たり前のように、今も飯塚の為に生きている律。
誰にも祝われなかった誕生日。
最後に見せた、不安げな瞳。

飯塚にいざなわれたら、律は断る事なんか出来ない。

そんな事、分かっていたのに。
飯塚はもう律を痛め付ける事に飽きてしまっている。
あの男が見たいのは、大金叩いて律を買っても律の心を手に入れられない俺の無様な姿だろう。
俺が自分のものにならない律に苛立ち悔しがるのを見て楽しみたいだけだ。
それだけの為に、律が弄ばれる。

何故置いて行ったのか、こんな場所で律を一人にしたのか、今更後悔が押し寄せる。

二階、と言われても階段を登った先の長い廊下には両側に延々と部屋が並んでいた。
一つ一つ扉を叩きドアを開けて中を確認するが、人の気配はどこにもない。

俺に見せる事が目的なら隠れるような真似はしない筈だ。

幾つ目かの扉を開けた時、甲高い子供の笑い声が奥から漏れ聞こえた。
かなり豪華な造りの寝室で、恐らく飯塚のものだろう。中に入るとあのガキとのツーショットの写真が至る所に並んでいる。奥に隣の部屋と繋いでいるらしい内扉が見えた。

「ろーく、なーな、はーち」
その扉の先から聞こえたのは、間違い無くあのクソガキの声だった。面白くて堪らない、と言いたげな笑い声を上げながら数を数えている。

その声とは別に、明らかに異常な人間の呻き声に気付いて、走り疲れて息が切れかけていた俺の呼吸が止まりそうになる。
律だ。律の声だ。この先の部屋に居る。

この内扉に鍵が掛かっていても、叩き壊すつもりで俺はドアノブを荒く押す。
「律!!」
ドアはあっさりと開いた。

そしてそこで俺が見たものは、地獄絵図の方がまだ生ぬるいような、異様で残忍な光景だった。
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