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第六十一筆 二次創作者との対峙!
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読物マルシェは終わり、日常へと帰ってきた龍。
どんちゃん騒ぎの古田島達創作者チームの打ち上げは終わり、ただの配送ドライバーに戻っていた。
そして、龍は一人の創作者として己の創作道を開拓しようと決心したのだが――。
「うーむ……」
創作における生みの苦しみは常に伴う。
では、果たして『自分が書きたいもの』とは何だろうか。
そう問われると、明確な答えが出なかった。
龍の部屋のちゃぶ台の上には紙が置かれ、シャーペン書きの文字が並ぶ。
その文字は『友情』『努力』『勝利』『愛』『拳』『令嬢』『ファンタジー』『エスパー』エトセトラ、エトセトラ。
思いつく限りの単語を書き出すことで『答え』を見つけ出そうとしていた。
「ムサアアアアア!」
龍は紙を破り捨てた。
文字を羅列して書いただけで答えなど見つかるはずもない。
「ライオン令嬢もすっかりエタってしまったぜ」
某探偵のように頭をボリボリとかく龍。
己だけの令嬢ものを書こうと決心したが、読物マルシェとの出会い以降、ここ数日全く書けないでいた。
というよりも、Web小説から少しづつ距離を置いている状況だ。
最近では古田島の作品である『月夜の竜と光の湖』を読む毎日であった。
「この作風の作品はWebではスコップしないと見つからないし、あったとしても受けないだろうな」
龍はポツリと言葉を述べる。
古田島の『月夜の竜と光の湖』は児童文学的な作品だった。
内容は幻想的な森と湖に囲まれた小さな村に住む幼い兄妹が主人公の物語であった。
兄と妹はある日、森の奥にある光の湖『エルヴァーナ』が満月の光で輝くのを目にした。
古くから村では、その湖には『月夜の竜』が住んでいるという言い伝えがあったのだ。
ある夜、兄妹は好奇心に駆られて湖へと向かい、月光の下で美しい銀色の鱗を持つ『月夜の竜』に出会った。
この龍は人間の言葉を話し、兄妹に『湖の光を守る使命』を与える。
龍によると、湖の光は森と村の平和を保つ力の源であり、それを狙う『影の獣』が迫っているという――。
「……俺にはとてもじゃないが書けない」
龍は破った紙と一緒に置かれる『月夜の竜と光の湖』の表紙を見つめる。
それと同時にため息も出る。
このような作品は自分では絶対に書けないものであろうことを理解していたからだ。
「他のWeb小説家も書けない人の方が多いんじゃないか」
と述べながら龍は赤いスマホを取り出した。
半ば自分の才能の無さに呆れ、SNSを眺めることにした。
悩んでイライラしたところでしょうがない。
気分展開の一環として、各Web小説家のポストでどのようなことを呟いているかチェックすることにしたのだ。
ひょっとしたら、そこに龍の創作のヒントが隠されているのかもしれないからだ。
「毎度のことながら、流行とか、ランキング攻略とか、コンテストの選考とかそんな話ばっかりだな」
ため息がより一層強くなる。
Web小説家のポストはいつもの通りだった。
龍が述べるように、Web小説家のポスト内容は投稿サイトの流行やランキング攻略などで溢れている。
そして、各投稿サイトで行われるコンテストの選考内容で一喜一憂する姿、書籍化の報告。
龍は指を動かしながらスクロールしながら確認するも、まるでbotのように繰り返されるポスト群。
自分は何故創作活動をするのか、何を創っていきたいのか――。
そういった、創作の原点と目標を語るポストをとうとう目にすることがなかった。
「そういえば、うまむすこさんは低浮上気味になったな」
龍はスクロールしていって気づいた。
最近シュートが強いうまむすこのポストが流れてこない。
うまむすこだけではない、腐ったみかんスミスなど他のアンチストギル梁山泊達のポストが流れてこなくなったのだ。
それもそのハズ、彼らはいつの間にかアンチ活動を止めており、アカウントは低浮上気味でポストがほぼない。
あるとしても、スポーツや著名人に関するニュースなどのリポストしかしていない。
どこかのラノベ作家やWeb小説家のポストに噛みつくような仕草をやめていたのだ。
思えば、うまむすこは「アンチ活動を続けてきたがそれも最近は疲れてきた」と言っていた。
あのDMでのやり取り以降、彼らがWeb小説に対するアンチ活動は終わりを見せ始めていたのだ――。
「……ん?」
龍にある宣伝ポストが目に入った。
それはアンチ活動から寝返った二次創作の雄、色帯寸止めのものであった。
色帯寸止め:📢 契約作品!『無比無敵のオッサン魔導師とビギナー美少女冒険者達の迷宮配信!』🔮色帯寸止めが贈る迷宮配信バトルが始まる!🔮無敵のオッサン魔導師と、初心者冒険者の美少女達が繰り広げるスリリングでハプニングだらけの生配信!📖 ガウロンセンで今すぐチェック!
「これは……」
それは敬愛していた色帯寸止めの作品宣伝のポスト。
小説投稿サイト『ガウロンセン』のオープンと同時に発表された作品である。
そういえば、黒鳥のサイバーラウンジで紹介していたことを龍はすっかり忘れていた。
何でも『1PVにつき報酬が貰える』という斬新なシステムの新興サイト。
そこで色帯寸止めは『契約作品』として新作を発表している。
「ちょっと見てみるか」
龍はガウロンセンがどのようなサイトか確認することにした。
「……ここか」
ガウロンセンで検索し、公式ホームページに入る。
そこには作品が各ジャンルごとにわけられて、人気順に作品タイトルが並んでいた。
やはり、ここでも人気なのは異世界ファンタジーや異世界恋愛といった作品である。
「他の大手サイトとそんなに変わらんな」
龍は「やっぱりな」という気持ちで画面を見つめていた。
結局どんなサイトがオープンされようとも、書き手達の多くが自分の創作ではなく、流行を追うスタイルを変えない限りは同じである。
どこかで見たようなタイトルや内容、別サイトの転載作品がギッシリと掲載されていたのだ。
「これか、色帯寸止め先生の作品は」
龍はガウロンセン内の検索画面で作品を見つけた。
色帯寸止めが満を持して発表した一次創作作品『無比無敵のオッサン魔導師』である。(正式タイトルは長いため略称)
あらすじはストギル内によくある配信物であった。
ダンジョン配信をしているパーティがあったが、そこに峠を過ぎた中年男性が一人いた。
だが、パーティの足を引っ張る中年男性は「役立たず」とされ追放されてしまう。
その中年男性は途方に暮れるが、偶然にもチート級のスキルを手に入れてしまう。
そこから男の快進撃が始まり、冒険途中で美少女達に惚れられダンジョン配信の人気もうなぎのぼり――という展開である。
「よくある内容だな」
龍は自然とそう述べてしまった。
数話ほど読み進めていくと、あまりにもご都合展開のオンパレード。
特に追放されてから努力もしていない中年男性が、棚ぼた的に能力を身につけてから人生を好転させるという内容が腑に落ちない。
何だか宝くじを当てたら幸せになりました程度のことで、龍の心には全く響かなかった。
それにこの内容、よくあるダンジョン配信ものであったが気づいたことがある。
「……ダンジョンオデッセイの二次創作じゃないか」
そう、この『無比無敵のオッサン魔導師』。
登場する魔物が、ダンジョン探索型RPG『ダンジョンオデッセイ』のものをそのまま流用していたのだ。
また、武器や防具、アイテムも少しばかり名前を変えただけで全くの同じもの。
つまり、色帯寸止めが小説家として全盛期だった頃のゲームノベライズをテンプレ的に改造しただけのものであった。
「色帯寸止め先生……あなたは二次創作しか書けないんですね」
龍は哀しい表情になりながら決心する。
この『無比無敵のオッサン魔導師』の感想を色帯寸止め先生に送ることにしたのだ。
ギアドラゴン:色帯寸止め先生の『無比無敵のオッサン魔導師』を読ませて頂きました。あれは先生が過去に書いておられた『ダンジョンオデッセイ』のノベライズを意識したものですか?
それは感想欄ではなくDMという形である。
直接的なフルコンタクトはDMの方がよいと龍が判断したからだ。
さて、色帯寸止めからの返答はあるのだろうか――。
どんちゃん騒ぎの古田島達創作者チームの打ち上げは終わり、ただの配送ドライバーに戻っていた。
そして、龍は一人の創作者として己の創作道を開拓しようと決心したのだが――。
「うーむ……」
創作における生みの苦しみは常に伴う。
では、果たして『自分が書きたいもの』とは何だろうか。
そう問われると、明確な答えが出なかった。
龍の部屋のちゃぶ台の上には紙が置かれ、シャーペン書きの文字が並ぶ。
その文字は『友情』『努力』『勝利』『愛』『拳』『令嬢』『ファンタジー』『エスパー』エトセトラ、エトセトラ。
思いつく限りの単語を書き出すことで『答え』を見つけ出そうとしていた。
「ムサアアアアア!」
龍は紙を破り捨てた。
文字を羅列して書いただけで答えなど見つかるはずもない。
「ライオン令嬢もすっかりエタってしまったぜ」
某探偵のように頭をボリボリとかく龍。
己だけの令嬢ものを書こうと決心したが、読物マルシェとの出会い以降、ここ数日全く書けないでいた。
というよりも、Web小説から少しづつ距離を置いている状況だ。
最近では古田島の作品である『月夜の竜と光の湖』を読む毎日であった。
「この作風の作品はWebではスコップしないと見つからないし、あったとしても受けないだろうな」
龍はポツリと言葉を述べる。
古田島の『月夜の竜と光の湖』は児童文学的な作品だった。
内容は幻想的な森と湖に囲まれた小さな村に住む幼い兄妹が主人公の物語であった。
兄と妹はある日、森の奥にある光の湖『エルヴァーナ』が満月の光で輝くのを目にした。
古くから村では、その湖には『月夜の竜』が住んでいるという言い伝えがあったのだ。
ある夜、兄妹は好奇心に駆られて湖へと向かい、月光の下で美しい銀色の鱗を持つ『月夜の竜』に出会った。
この龍は人間の言葉を話し、兄妹に『湖の光を守る使命』を与える。
龍によると、湖の光は森と村の平和を保つ力の源であり、それを狙う『影の獣』が迫っているという――。
「……俺にはとてもじゃないが書けない」
龍は破った紙と一緒に置かれる『月夜の竜と光の湖』の表紙を見つめる。
それと同時にため息も出る。
このような作品は自分では絶対に書けないものであろうことを理解していたからだ。
「他のWeb小説家も書けない人の方が多いんじゃないか」
と述べながら龍は赤いスマホを取り出した。
半ば自分の才能の無さに呆れ、SNSを眺めることにした。
悩んでイライラしたところでしょうがない。
気分展開の一環として、各Web小説家のポストでどのようなことを呟いているかチェックすることにしたのだ。
ひょっとしたら、そこに龍の創作のヒントが隠されているのかもしれないからだ。
「毎度のことながら、流行とか、ランキング攻略とか、コンテストの選考とかそんな話ばっかりだな」
ため息がより一層強くなる。
Web小説家のポストはいつもの通りだった。
龍が述べるように、Web小説家のポスト内容は投稿サイトの流行やランキング攻略などで溢れている。
そして、各投稿サイトで行われるコンテストの選考内容で一喜一憂する姿、書籍化の報告。
龍は指を動かしながらスクロールしながら確認するも、まるでbotのように繰り返されるポスト群。
自分は何故創作活動をするのか、何を創っていきたいのか――。
そういった、創作の原点と目標を語るポストをとうとう目にすることがなかった。
「そういえば、うまむすこさんは低浮上気味になったな」
龍はスクロールしていって気づいた。
最近シュートが強いうまむすこのポストが流れてこない。
うまむすこだけではない、腐ったみかんスミスなど他のアンチストギル梁山泊達のポストが流れてこなくなったのだ。
それもそのハズ、彼らはいつの間にかアンチ活動を止めており、アカウントは低浮上気味でポストがほぼない。
あるとしても、スポーツや著名人に関するニュースなどのリポストしかしていない。
どこかのラノベ作家やWeb小説家のポストに噛みつくような仕草をやめていたのだ。
思えば、うまむすこは「アンチ活動を続けてきたがそれも最近は疲れてきた」と言っていた。
あのDMでのやり取り以降、彼らがWeb小説に対するアンチ活動は終わりを見せ始めていたのだ――。
「……ん?」
龍にある宣伝ポストが目に入った。
それはアンチ活動から寝返った二次創作の雄、色帯寸止めのものであった。
色帯寸止め:📢 契約作品!『無比無敵のオッサン魔導師とビギナー美少女冒険者達の迷宮配信!』🔮色帯寸止めが贈る迷宮配信バトルが始まる!🔮無敵のオッサン魔導師と、初心者冒険者の美少女達が繰り広げるスリリングでハプニングだらけの生配信!📖 ガウロンセンで今すぐチェック!
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それは敬愛していた色帯寸止めの作品宣伝のポスト。
小説投稿サイト『ガウロンセン』のオープンと同時に発表された作品である。
そういえば、黒鳥のサイバーラウンジで紹介していたことを龍はすっかり忘れていた。
何でも『1PVにつき報酬が貰える』という斬新なシステムの新興サイト。
そこで色帯寸止めは『契約作品』として新作を発表している。
「ちょっと見てみるか」
龍はガウロンセンがどのようなサイトか確認することにした。
「……ここか」
ガウロンセンで検索し、公式ホームページに入る。
そこには作品が各ジャンルごとにわけられて、人気順に作品タイトルが並んでいた。
やはり、ここでも人気なのは異世界ファンタジーや異世界恋愛といった作品である。
「他の大手サイトとそんなに変わらんな」
龍は「やっぱりな」という気持ちで画面を見つめていた。
結局どんなサイトがオープンされようとも、書き手達の多くが自分の創作ではなく、流行を追うスタイルを変えない限りは同じである。
どこかで見たようなタイトルや内容、別サイトの転載作品がギッシリと掲載されていたのだ。
「これか、色帯寸止め先生の作品は」
龍はガウロンセン内の検索画面で作品を見つけた。
色帯寸止めが満を持して発表した一次創作作品『無比無敵のオッサン魔導師』である。(正式タイトルは長いため略称)
あらすじはストギル内によくある配信物であった。
ダンジョン配信をしているパーティがあったが、そこに峠を過ぎた中年男性が一人いた。
だが、パーティの足を引っ張る中年男性は「役立たず」とされ追放されてしまう。
その中年男性は途方に暮れるが、偶然にもチート級のスキルを手に入れてしまう。
そこから男の快進撃が始まり、冒険途中で美少女達に惚れられダンジョン配信の人気もうなぎのぼり――という展開である。
「よくある内容だな」
龍は自然とそう述べてしまった。
数話ほど読み進めていくと、あまりにもご都合展開のオンパレード。
特に追放されてから努力もしていない中年男性が、棚ぼた的に能力を身につけてから人生を好転させるという内容が腑に落ちない。
何だか宝くじを当てたら幸せになりました程度のことで、龍の心には全く響かなかった。
それにこの内容、よくあるダンジョン配信ものであったが気づいたことがある。
「……ダンジョンオデッセイの二次創作じゃないか」
そう、この『無比無敵のオッサン魔導師』。
登場する魔物が、ダンジョン探索型RPG『ダンジョンオデッセイ』のものをそのまま流用していたのだ。
また、武器や防具、アイテムも少しばかり名前を変えただけで全くの同じもの。
つまり、色帯寸止めが小説家として全盛期だった頃のゲームノベライズをテンプレ的に改造しただけのものであった。
「色帯寸止め先生……あなたは二次創作しか書けないんですね」
龍は哀しい表情になりながら決心する。
この『無比無敵のオッサン魔導師』の感想を色帯寸止め先生に送ることにしたのだ。
ギアドラゴン:色帯寸止め先生の『無比無敵のオッサン魔導師』を読ませて頂きました。あれは先生が過去に書いておられた『ダンジョンオデッセイ』のノベライズを意識したものですか?
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