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おかしのじかん(前編)
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家で漫画を読んでいた。
昨日、親に全巻買ってもらった少女漫画だ。
「お嬢さま、漫画と一緒にお菓子はいかがですか。」
「…どうも」
新しくうちに来た執事は、無愛想で話しかけづらくて苦手だ。しかもおじさん。もっと若くてイケメンで優しそうなのがよかったのに。
私の親は、ほとんど家にいない。
1人娘の私のために、お仕事を頑張ってくれているらしい。
だからこうやって、私の面倒を見てくれる人を雇っている。
親も懲りないな。
だってこの人だってどうせ…
出してくれたお菓子を食べて、眉を寄せる。
「ねぇ、ちょっとおじさん。」
「お、おじさん…?」
「なにこのポテチ。マズイんだけど。
どこで買ってきたの?」
「はい、たしか、高倉屋のチカで」
「ふーん。この前テレビでやってた、あのーなんだっけ?有名なやつ。分かるでしょ。買ってきて。」
「そんなアバウトに言われましても…」
「早く。違うの買ってきたら許さないから。」
おじさんはちょっと困ったような顔をしてこっちを見てきたけど、私は無視して漫画を読んだ。するとしばらく黙り込み、おじさんはテーブルの上にあったタバコと車のキーを持って部屋から出ていった。
何人目の執事だろう。うちに来た執事はみんな辞めていく。原因は他でもなく私だ。嫌いだから、使えないからって言えば、すぐに辞めてくれた。
だから言ってるのに。私は1人でいいんだって。なのにどうして、お母さんもお父さんも、次から次へと執事を呼んでくるのか。本当、意味が分からない。
ページをめくりながら考える。少女漫画のヒロインは、可愛くて優しくて、いい子ばかりだ。可愛くもないし、わがままな奴のもとで働いたって、いいことなんて1つもない。
五巻を読み終わったところで、ふと時計を見ると、もう6時を回っていた。
おじさん、遅いな。もうそろそろ帰ってきてもいい頃なんだけど…まさか本当に探し回っているんだろうか?
いや、そんな訳ない。きっとどこかでタバコ吸って暇つぶしてるんだ。ここに居たくないから。私と居るのが、嫌だから。
「遅くなってすみません。」
後ろから、あのおじさんの声がした。
昨日、親に全巻買ってもらった少女漫画だ。
「お嬢さま、漫画と一緒にお菓子はいかがですか。」
「…どうも」
新しくうちに来た執事は、無愛想で話しかけづらくて苦手だ。しかもおじさん。もっと若くてイケメンで優しそうなのがよかったのに。
私の親は、ほとんど家にいない。
1人娘の私のために、お仕事を頑張ってくれているらしい。
だからこうやって、私の面倒を見てくれる人を雇っている。
親も懲りないな。
だってこの人だってどうせ…
出してくれたお菓子を食べて、眉を寄せる。
「ねぇ、ちょっとおじさん。」
「お、おじさん…?」
「なにこのポテチ。マズイんだけど。
どこで買ってきたの?」
「はい、たしか、高倉屋のチカで」
「ふーん。この前テレビでやってた、あのーなんだっけ?有名なやつ。分かるでしょ。買ってきて。」
「そんなアバウトに言われましても…」
「早く。違うの買ってきたら許さないから。」
おじさんはちょっと困ったような顔をしてこっちを見てきたけど、私は無視して漫画を読んだ。するとしばらく黙り込み、おじさんはテーブルの上にあったタバコと車のキーを持って部屋から出ていった。
何人目の執事だろう。うちに来た執事はみんな辞めていく。原因は他でもなく私だ。嫌いだから、使えないからって言えば、すぐに辞めてくれた。
だから言ってるのに。私は1人でいいんだって。なのにどうして、お母さんもお父さんも、次から次へと執事を呼んでくるのか。本当、意味が分からない。
ページをめくりながら考える。少女漫画のヒロインは、可愛くて優しくて、いい子ばかりだ。可愛くもないし、わがままな奴のもとで働いたって、いいことなんて1つもない。
五巻を読み終わったところで、ふと時計を見ると、もう6時を回っていた。
おじさん、遅いな。もうそろそろ帰ってきてもいい頃なんだけど…まさか本当に探し回っているんだろうか?
いや、そんな訳ない。きっとどこかでタバコ吸って暇つぶしてるんだ。ここに居たくないから。私と居るのが、嫌だから。
「遅くなってすみません。」
後ろから、あのおじさんの声がした。
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