執事と私

もちづき

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おかしのじかん(後編)

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「遅くなってすみません。お嬢さまが欲しいポテトチップスが何か全く分からなかったので、いろいろ買ってきてみました」
おじさんは2つの大きなかばんを肩から下ろし、中から大量のポテチを取り出した。私はあ然とした。どうせ適当にみつくろって2つ3つ買ってくるものだと思ってたのに。
「こんなにたくさん集めてくるの、大変…じゃなくて私、食べきれないんだけど?」
「では私も食べます。それで、お嬢さまご所望のものは御座いますでしょうか?」
あるも何も…正直テレビで紹介されてたのがどんな物かも覚えてないくせに言っただけだし…。
「こんないっぱいある中から見つけるの面倒くさいわ。そこのうす塩味、取って。」
「はい。」
相変わらずのむすっとした顔で、おじさんは私の指示したポテチを手渡す。
ガバッと乱暴に袋をあけ、薄っぺらいポテトチップスを口に入れた。
「…美味しい。」
ポテトの主張が少なくて、塩味がほどよい。軽い口ごたえで、いくらでも食べられるっていう感じ。今まで食べてきたポテチの中で、間違いなく1番美味しい。
もしかすると、凄腕のお菓子職人が作ったやつなんじゃ…
「ねえおじさん。これ、どこで買ってきたの?」
「駅前のコンビニです」
「………」
「私もそれ、食べていいですか?」
「だめ。のり塩のやつ食べて。私のり塩嫌いなの」
「そうですか…。のり塩も、うまいですけどね」
おじさんは私の隣に座り、ポリポリとのり塩味を食べた。ポテトチップスの上に乗っている海苔が、おじさんの無精ひげみたいに見えて、なんだか笑えてくる。
もう少し様子を見てみよう。嫌ならいつでも、解雇できるのだから。
そう思いながらおじさんを見上げてみる。意外と背が高いんだなあと、この時初めて気がついた。
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