異世界創造NOSYUYO トビラ

RHone

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7章  白旗争奪戦   『神を穿つ宿命』

書の3後半 半覚醒『黙って俺の質問に答えろ』

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■書の3後半■ 半覚醒 Awareness half done

 では早速、と差し出された石を受けとろうとした俺だったが、ちょっと待ってとマツナギから止められた。
「それ、受け取ってしまったらオレイアデントが消えてしまう。本当に沈黙する」
「……だろうな」
「暗黒神殿の連中が流石に黙っていないだろう」
 俺は奇妙な顔でレッドを伺った。
「……って事はどういう事だ?」
「ここからが修羅場だという事ですかねぇ」
 この野郎は相変わらず緊張感無く笑いがながら言うし。
「待てよマツナギ、どういう話をつけたんだ?俺達はどうしてここに入れたんだ?」
「というかね、あの暗がりに彼らは物理的に入れない。ナーイアストでのキリュウやユーステルの状況と全く同じだ。だからまずあたし達がここに入れた事に彼らは驚いているだろう」
 マツナギも同じく、昔入れないものだと勘違いしていた訳だ。ナーイアストの一件および、ブルーフラグが自分にある事を自覚したから突破できるのだと理解した。
 マツモトーナギとしての意識、それがプレイヤーを示す青い旗でありプレイヤーそのものである。
「入れるから話を付けてくる、とか持ちかけたとか?」
「そう言う事だね」
 軽く認めないでくださいよ。俺は苦笑して軍師二人に向けてどうするんだと視線を投げる。
 俺でも分かってるからな、デバイスツールもらっちゃうと大陸座が消えるって事は。一度ある事は二度目もあるものである。オレイアデントが暴露しなくたってそういう流れになるだろうと思っていた。
「それで、マツナギはどのように今後を躱すつもりだったんだい?」
 ナッツの質問にマツナギはレッドを窺いながら言った。
「他力本願で申し訳ないんだけど……適当に言い含めてもらえないかなと」
「レッド、お前それ先に承知してただろ」
「ええ、まぁ。暗黒神殿の事をお聞きした時に」
「じゃぁ何とか嘘八百で誤魔化す自信はあるんだな?」
「無いとは言いませんが、100%可能とも言い切れませんねと、ここは素直に言っておきます」
 俺は腕を組み……一同を見渡す。
「ヘタをするとここから本番、大脱走劇になるわけだな」
「もっと下手な具合には、今後ノースグランドに入ると自動的に命をねらわれるハメになるかと」
「かと、じゃねぇ!いや、」

『今後こんな所にゃもう来ねぇけど』

 びっくりな位意見のハモった俺らである。
 レッドが苦笑して肩をすくめた。

「はぁ……そういえばここまで来たって事は、またあの道のり戻らないといけねぇんだなぁ」
「馬鹿野郎、嫌な事思い出させんじゃねぇ」
 テリーの呻きに俺も途端にブルーになるぜ。
「レッドの魔法で何とか脱出出来ないの?」
「リレミトとデジョンは偉大だ、こんなにダンジョン脱出魔法が恋しくなった事はねぇ」
 遠慮無くNGワードで俺は言ってやった。大陸座の前なら経験値マイナスは無いだろ。
「行って帰ってくるまでが遠足ですよ」
「そう言う場合は遠足言うな、」
 行きて帰りし物語とか、もっと大御所があるだろう!
「……悪かったついでだ。ここを脱出したいなら脱出させてやらんでもないが」
 俺達は勢いよくオレイアデントを振り返っていた。

『是非よろしくお願いします!』

「……ただし、一つ了承してくれ」
「何スか」
「座標指定が出来ない。バカの一つ覚えの転移門、印が首都でバラバラになっているもんでね」


 とはいえ、壁にのめり込んでいたり土の中に出たりして即座ダイ、みたいなテレポートの間抜け事例は無いそうだ。何か知らんが印が広範囲にわたって拡散してしまった為、どこに出るのか指定できないし分からないという状況なのだそうである。
 だったらそれでお願いしますと、言ってしまう程ここまで来る道中がキツかった事を察して頂きたい。

 とはいえ……やっぱり後に頼むんじゃなかったと俺は後悔する事になるんだがな。
 楽な道には落とし穴がある。これ定石だ。



 石はマツナギに受け取らせた。
「じゃぁ……これで」
「ああ。バグ取りがんばれよ、陰ながら応援している」
「……あの、ダメで元々聞きますが……他の大陸座の居場所なんかはご存じでしょうか?」
「すまんが、全く知らん」
 あっさり全否定され、レッドはダメで元々言った癖に苦笑している。
 神様にも方便使うんじゃねぇよ、全く。
「これで俺はこの神殿から消える……ついでにお前らも首都シェイディまで転移させる。ここに働いていた障壁も俺が居なくなれば消えてしまう事だろう……全部一緒に消えちゃった事になるだろうな……どっちみち恨みは買うぞ?」
「すぐに首都を脱出すればいい。彼らはノースグランドから出れない……それが掟の一つだから」
 オレイアデントの姿が闇に飲まれていく。透明になって消えて行こうとしているのだ。
「そうだ、暗黒神って本来誰なんスか?」
 最後に俺は、好奇心から聞いておいた。
 ……む、レッドとナッツが苦笑した所……こいつら答え分かってるな。
「ん?知らないのかい?暗黒神と言ったらあれしかないだろう?ノースグランドの創造主とも言われている……」
 あ、嫌な予感。
「北神イン・テラールしかないじゃないか」

 その北神に対して、南国で聞いた説話の所為で知らなくてもいい側面を知ってしまっている俺は……顔をしかめた。
 泣く子も黙る暗黒神、という座右の銘があるんだったそういえば……などと今更リコレクトする。
 しかし、そんなおっかない慈悲という言葉が辞書に載ってないような神様でも、信仰している人はいるもんだ。関連づけてなかったのって俺だけか?……いや、アベルもだな。


 俺達の姿もぼんやりと霞み始めた。かわりに、灰色の世界がうっすらと見え始める。
 そう言えば暗視ゴーグルをつけっぱなしだ。見えてきた景色が神殿内部と知って俺は振り返る。
 ぼんやりと……多くの守護兵らしいものがこちらの様子をうかがっているんだろうなと思ったけど。

 予想に反し、そこに控えていたのはウラス……マツナギの父親だというおっさんだけだった。
 薄暗くてよく顔は俺には見えない。だけど……じっとそれを見つめているマツナギを俺は見た。彼女にはあのおっさんの表情が見えているんじゃないのかな。
 無言で別れてしまっていいのだろうか?などと……余計な御世話を焼いてみようかと思ったりもしたけど。

 不思議とマツナギの横顔は穏やかだったんで口を閉じてしまった。

 ともすると、良く見えないんだけどウラスのおっさんも同じく、微笑んで娘を見送っているのかもしれない、とか。
 俺は根拠もなくそんな風に想像してしまった。

 何だかんだ言ってやっぱ、娘の事は心配だったんかなとか……そんなん想像してみたり。ウラス一人しかいないって事は、禁忌を犯してまで二人の『マツナギ』の為に暗黒神殿に部外者を案内してくれたからだろう。マツナギには、厳しい顔で対応したのかもしれないが本当の所は、こうやって全面的に協力する事で応えてくれていたんだ。
 それがマツナギにも分かったんじゃないかな。
 その景色さえ歪み、俺達は次の瞬間には空間を跳んでいたのだった。


 ぐんと腕と言わず体ごと、どこかに引っ張られる感覚に俺は一瞬目を回す。


「ごぁっ!」
 背中からたたきつけられ、なおかつ後頭部を段差にぶつけて俺は悶絶。
 みっともねぇ着地をかましちまったみたいだ。

 慌てて立ち上がり、見慣れない風景に辺りを見回す。階段の折り返し地点の遊びで、圧迫するように高い建物が頭上にそびえている。高い所に掛けられているいくつもの橋が見えた。
 雰囲気的にシェイディのどこか、というのは分かるんだが……。詳細位置などさっぱり分からん。

 ボイラーが唸るような低音の中に甲高い音の混じった雑音が遠く聞こえる。
 狭い階段を見下ろしてみた。見上げても見る。

 誰もいない。

 ……え?ちょっと待って。もしかして……。
 座標指定出来ないって全体じゃなくて個別の話だったんか!?

 真っ先に自分の事より壮絶方向音痴として名高いアベルの心配をしてしまった俺を褒めてくれ!いいや俺、自分で褒めておく!

「うわやべぇ!」
 どうすりゃいいって、こんな時はヘタに動かない事だ。
 ナッツやレッドが見つけてくれるからな!アベル、動くんじゃないぞ!俺も迷子になるから動かないで待つに徹する!
 そう思ったんだけどな。いや、何もなければ黙って待っていたよ?
 でも、何かあったとなりゃ動かざるを得ない訳でして。
 長らく黙って待ってたんだ。数十分、やる事もなく通りかかる人もいないので階段に座って目を閉じて軽く休憩しちまえとウトウトしてた。ぶっちゃけ疲れている、何より精神的にこの、暗闇に参っていたのだろう。無事デバイスツールも受け取ったし、暗黒神殿も抜け出して来たという安心から気が緩んでいた事は間違いない。
 その無防備な俺の神経を逆なでする、額をちりちりと刺激する気配に気だるく目を開けた。
 誰かが俺を見ている……意識してこっちを見ている気配だ。
 こういうのはリアルでは自意識過剰の何者でもないのだが、こっちの世界ではちゃんと感覚として成り立っているのな。
 階段を、見下ろす。
 誰かがまっすぐこちらを見上げているのが目に入った……が、暗視ゴーグル在りとはいえ辺りは真っ暗なのだ、決して視界は良いとは言えない。俺には人影がこっちを向いているくらいしか分からない。
 だが……途端俺は跳ね上がるように立ち上がっていた。
 なぜって、こっちに向けられている意識の質が変わったからだ。

 そしてそのおかげで、相手が誰なのか分かっちまったからだよ。

 辺りを見渡した所で目新しいものがあるわけではない。俺は階段の上に誰もいない事を確認。
 一目散に駆け上がる、当然……逃げる為だっ!

 何しろナッツから脅されてる、無駄な血を流すなってな。もうあの増血剤のお世話になるのはごめんだ。
 もう無茶はしないッ!薬飲みたくないから無茶なんぞしないぞ俺!とにかく今は逃げる、ナッツ達で俺の状況を察して駆けつけてくれる事を祈るしかない。

 ところが悪い事は重なるばかりだ、俺は階段を駆け上がって通路に走り込んだ所で思わず天を仰いだ。高い建物が垂直に立つだけだ、逃げ場がねぇ。ものの見事に袋小路でありやがる!
 道理で人通りがない訳だよ、しかし引き返す訳にもいかないので見える扉という扉を引っ張ってみたが鍵掛かってる上に鉄扉!蹴破るのも無理だ!こうなったらよじ登るか?……幸い窓は……。
「おい、」
 く、短いタイムアップだった。
 俺は覚悟を決めて振り返った。こうなったら……一か八かの正面突破ッ!
 振り向きざまに剣を抜き放って飛びかかる。
 狭い通路だが獲物は剣だ、振れなくはない。槍だったらアウトだったろう。
 これで相手が怯んでくれればいいのだが如何せん、相手が悪い。
 最悪だ。
 行きなり斬りかかったであろう俺を、あきれ顔で迎えたのは大男。

 ギルだ。八逆星破壊魔王のあの、ギルである。

 怯まないのなら遠慮無く斬るのみ!と、見せかけて剣をおとりに後ろにすり抜けようとした。
 奴に剣で斬りかかる?生ぬるい!
 多分、切れないから!
 先に剣の方が折れるか曲がるかして終わるだろう。
 この剣、急いで吟味した奴だから質的には納得はしてなかった、この際惜しんではいれないんだ。短いつきあいだったがさらばだ我が剣よ!
 いくら何でも黙って一撃を受ける訳が無いだろうと踏んだ俺だったが……魂胆は、あまりに無遠慮な一撃で粉砕される。
 すり抜けようとした空間に突き出されている剣に牽制される。まさか相手も抜刀するとは想定外だ。俺の予測ではどちらかの腕を振り上げて剣を受け止めるか、どちらかの足で蹴りを入れてくるかの二択に絞り込んでいたのに。
 しかも、それをこっちに放り投げてくるとはもっと想定外だ!
 慌てて防御に姿勢を変える。
 振り上げていた剣で投げつけられて来た刃を受け止めたが……その放り投げられた勢いがあまりに強くて、俺の方がはじき飛ばされてしまう。

 どんだけ力有り余ってんだよこの男……!

「げ、」
 石床に綺麗に突き刺さっている剣に押し倒される格好から上半身起き上がると……あまりにあっけない最後だった。
 新調した剣は投げつけられた剣の力に負けて折れやがった!
 おかげで俺は無傷な訳だけど……くそう、やっぱりハズレを買ったな。

 剣っていうのは自分に合った一本に出会うのに苦労するんだ。いくらどんな武器でも戦えるように訓練した元剣闘士とはいえ……。

「……え?」
 ふと、俺は目の前のモノの存在を一瞬疑った。
 ギルが投げた、恐ろしい切れ味を誇る剣。地面は岩盤だぞ?そこにやわらかい地面に突き立ったかのように剣が刺さりこんでいるんだがこの……刀身には見覚えないが……握りは懐かしい?

 間違いなく、俺の折れた剣!

 ……だじゃれとか言うな!真剣なんだから!

「まさかこんな所で会うとは思わんかったぜ」
 このッ、それは俺のセリフだっ。
 その剣に俺が手を伸ばすより早く、ギルの手が剣の柄尻の上から被せられていた。途端俺は手を伸ばせなくなる。
 へたり込んだままの俺を見下ろす要領で奴は、しゃがみ込んできた。
「やっぱりこれはテメェの剣だな、持ち主に呼応するたぁ……いい剣持ってるじゃねぇか」
 いや、間違いなく偶然だと思うけど。しかも最悪な方。
「な、何をして……貴様、こんな所で」
「何って、剣直しに来たんだ。サガラ工房に頼むと金ふんだくられる上に何時アガる分からん。何とか修復してやった所だろうが」

 ……この、剣をか?

 俺は動けない、……ヘタに動くとまた『破壊』されるんではないかという予測が働いて……意識はまともなのに体の方で動かない。
 そんな俺をにやにや見下ろして、ギルが無遠慮に俺の頭を軽く叩く。
「ちったぁ懲りたようだな、結構」
 この野郎……俺が固まってるのを見抜いてやがる。
 意識的には精一杯反抗してるんだがな、体が動かない事はバレバレだ。
「こいつは返してやるぜ」
「何?」
 まさか素直にそう切り出してくるとは思わず、素で驚いた。正直うれしいが……多分。

 ただで、とは言わないんだろうな。

 警戒していたら勿論そういう方向性らしい。
 頭を捕まれて顔を引き寄せられ、超至近距離で睨まれる。口元は笑っているが目はマジだ。
「俺の質問に答えろ」
「それが、条件か?」
「そう言うこったな」
 唐突に突き飛ばされる。勢いよく再び後頭部を地面にぶつけてこっちが呻いた所、起き上がれない様に胸の上に足が置かれていた。片手に俺の剣の柄を握ったまま、引き倒した俺を口元だけ笑いながら見下ろしている。
 何を聞き出す気だ?
 答えの是非によってはこのまま踏み殺すってんじゃぁないだろうな?

 瞬間、自分の中にある押さえられている力を意識する。
 心がざわめく、一度手放したら上手く操る自信の無い力……。
 俺の中に立っている赤いフラグがもたらす、死の運命さえ容易く覆す力。
 これが俺をどこまで『救う』かは分からない。
 発動する時としない時がある――ーだから、きっと俺には制御不能だ。

 ぶっちゃけ、そんな物騒な力は欲しくないんだ。使うつもりもないしこれ以上、頼るつもりもない。
 例え俺が常に強きを求める求道者だとしても、だ。

 ふぅ……落ち着け俺。こういう訳の分からん力に暴走する例はわんさかある。ナッツと約束したんだ。
 そうそう暴走しては居られないぞ。また血を流すのは勘弁だ。
 睨んでいた目を緩めて……ギルを見上げる。
 冷静に冷静に……相手は比較的交友的じゃないか、熱くなるな俺……状況をよく理解しろ。

「そんなに怖がるんじゃねぇよ、何。ちょっとした質問に答えてもらいたいだけだ」
「だったらこの足退けろよ!」
 足蹴にされて踏みつけられているのは気分の良いもんじゃねぇぞ?
 こればっかりはやっぱ、簡単に妥協は出来んよなぁ、俺にだってプライドはある。
「相変わらず威勢がいい、だが俺の機嫌を損ねて良い立場か?頭の悪い奴だ」
 どうやらこの俺の生意気な口調が気に入らないのは本音であるようで……軽く足に力を込められてしまって俺は、強引に肺の空気を押し出されてうめき声を漏らしてしまう。
「黙って俺の質問に答えりゃいんだよ」
 ばーか、黙ってたら質問に答えらんねぇよ!頭悪いのはどっちだ!つか、どっこいどっこいか!
「お前、……どこの生まれだ」
「は?」
 惚けたらもう一回押し込まれた、肋骨が悲鳴を上げる、まてッ……折れる!
 俺は今度は素直にうめき声を上げて手で足を掴み、止めてくれと主張した。
「ちょ、待て!そんな唐突な質問すんじゃねぇ!誰だってボケるわ!」
「こっちは唐突を承知で聞いてんだよ」
 力を緩めてくれそうにない、問答無用で肋骨踏み折られそうだったので俺は喚いて答えた。
「コウリーリスだ!」
 ようやくギルは踏み込むのを止める。でも足をまだどかしてくれない。
「コウリーリスのどこだ?」
「そ、そんなん聞い……」
 再び力が掛かってきたので俺は言葉を途中で止めた。分かった、この俺の余計な詮索が無用だってんだな、くそっ!
「コウリーリスの、シエンタ……だ!」
 すっと胸が楽になる。
 足をのけて、剣からも手を離してギルは俺に背を向けた。
 そして唐突にバカみたいに笑い出す。
「納得だ!道理で頭悪ぃ訳だ!」
「な、何をぅ……っ」
 慌てて立ち上がる、そして。

 俺の、折れていた筈の剣を握った。

 懐かしいグリップ、間違いなくこれは俺が破格で手に入れたサガラ工房のリメイク作品。……と、この場合リメイクのリメイクになるのか?
「いいだろう、そいつは返す」
 そういや俺、ギルに致命傷を与えたはずなんだよな。
 えぐったはずの腕を見る。問題なく付いているな……義手とかの類ではなく生モノだ。肩のあたりは軽い鎧と服を着ているのでよく分からないけれど……。

 どうやって再生したんだろう?ああ、それは人の事言えないんだけど。

「流石にここでやらかすつもりはない。許可降りてねぇからな」
「……ナドゥの、か?」
「それもある、」
「貴様ら、この照明ダウンに関与してるのか?」
「さぁな、そこまで答えてやる義理はねぇ……じゃぁな。これで貸し借りは無しだ」
 出身地を答えるのでどうして、貸しを返せるのかよく分からない。
 むしろ俺は……。

 立ち上がれてなかった。座り込んだまま剣を握り、床から抜く。
 一度折れた剣を鍛え直したんだな、刀身は違うものになってるけど重さ、バランス、間違いなく元の通りだ。
 剣を構えてみてため息が漏れる。
 正直この剣が戻ってきてくれてうれしいけど。
 なんだか余計に貰いすぎた、そんな気分だ。
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