異世界創造NOSYUYO トビラ

RHone

文字の大きさ
132 / 366
8章  怪奇現象    『ゴーズ・オン・ゴースト』

書の8前半 王の渇望『生死を分ける種』

しおりを挟む
■書の8前半■ 王の渇望 An Ambitious Person

 久しぶりにぐっすり寝た。
 野営と同じだから一応見張りは立てているけど、交代で昼近くまでゆっくり休憩を取っている。洗濯物も一通りこなして、十分に準備を整えてそれからドリュアートに向けて再び山道に挑む。
 朝食には、焼きたての米粉比率の高い練りパンみたいなモノの焼きたてを頂く。昨日のうちに軽く生地を捏ねて発酵させておいたものだそうだ。釜は無いのでそこは、どうするのかと思ったらレッドの構築した熱魔法を駆使して焼いたっぽい。理論的なパン焼き温度さえ分かっていればオーブン機能を魔法で構築する事は容易い事です、とか言ってました。
 そこにハムやら香草やらを挟んでほおばりながら、俺はナッツとレッドの作戦会議を眺めている。一応口を挟めそうなら参加するつもりだが……無用かもしれんな。
 なんで黙っていたのか知らんがナッツの奴、宣教師視察とかでこの辺りを一度歩いた事あるらしい。ただその時奴一人で歩いた訳じゃなくて、付き人も色々居たそうである。ルートを自分で全部把握していた訳ではないみたいなので、頼りにされると嫌だから黙ってたのかね。割と奴は石橋叩いて渡るタイプだ。その性格のおかげで俺達色々助けられてる訳だけど。
 不動の大陸座、ドリュアートの居る場所はやはり『そこ』で良いみたいだな。
 シエンタからさらに森の北側。グランドライン山脈からシェイディ国の方向に伸びるノースロード山脈ってのがあるんだが、その分岐点あたり。
 グランドラインぞいに北上するか、一旦リーリス川の支流に出てこの川沿いに行くか。あ、リーリス川ってのはコウリーリス国の南方に広がる森に動脈状に走っている川の名前だ。イメージとしてはアマゾン川に近いな。エンスっていうデルタ地帯にある町に全部繋がっていて、間違いなく面積で言えば世界最大の川になるだろう。
 昔はエンスから川を遡ってドリュアートまで行けたらしいんだが……リーリス川って濁流だから結構ルートが激しく変わるらしいんだよな。
 レッド曰くドリュアートにも『ブーム』とかいうのがあるらしい。なんだそりゃって突っ込んだら、ようするにドリュアートを調査するブームってのがあるんだと。
 残念ながら今それは休閑期と言えるらしく、本来魔導都市ランから直通の転移門もあったはずなんだが、使う人が居なくなって管理されなくなり……今は無くなってしまったらしい。
 さて、所で結局その『不動のドリュアート』なるものが一体何であるのか、それを一度も説明してきてなかったように思える。戦士ヤトが当然と知っている事だったので思わずスルーしてたんだが、要するに、だ。
 その名前の通り、というのはリアルーサトウハヤト的な認識での名前の通りという意味だが――そいつは『木』なんである。リアル知識で言う所、ドリュアスとかドリュアデスとか、ドリュアードとかドライアードとか……そういう名称はファンタジーやゲームでお馴染みの存在だ。ギリシャ神話における『木の精霊』の事だ。なんつーか、大陸座の名前はこの辺りのゲームファンタジー好きお約束から引っ張られてきているのが多いので、名称を聞くだけでなんとなく、俺とかは属性が分かるんだよな……。
 ナーイアストとオレイアデントも同じくギリシャ神話のニンフから来てる名前なんだが、ドリュアードと比べれば若干マイナーな方なのでご存じない方も居られる事だろう。ちなみに、ユピテルトもローマ神話におけるゼウスに値するジュピターから来てる名前っぽい。
 それはともかく、リコレクトするまでもなく俺が名前の響きから連想していた通り、大陸座ドリュアートは木の属性をもれなく付随されており『動かない』とされている。
 不動の、っていう修飾語が付く事にも何ら疑問は感じていなかった。
 じゃ、大陸座のドリュアートは木そのものなのか?という事になるが。とどのつまりそうだと思う。少なくともリコレクトできる戦士ヤトの知識上ではその様だ。……違ってたりして?いや、普通に考えればそうなるじゃん?なんか特殊な木の事だと半ば、信仰に近く信じていたっぽいけど。
 とにかく名前の通り、唯一存在が一般的にも知られているドリュアートは動けないっていうんだから本性が木であろう。で……大陸座ドリュアートはそれの精霊みたいなイメージでいいのだ、とかレッドが言ってる。
 そりゃ、まんまやんけ。

 とはいえ調査されなくなって久しいらしいので、古い書物や伝聞が正しいかどうかは保証出来ません、とか恐ろしい事もレッドの奴、付け加えやがった。
 もし大陸座ドリュアートが不動ではなく、信仰の対象となっている木に居なかったらどーしてくれよう。

 ま、他にあてが在る訳じゃないから結局、行ってみて手がかり得るしかないんだけどな。


「昔、ドリュアートは一度枯れました」
「……らしいな」
 俺もその話は聞いた事がある。シエンタでもよく聞く昔話だ、多分……俺は爺さんからその話を聞いたと思う。
 レッド曰く、それが比較的近年におけるドリュアート調査ブームの到来を齎した事件だったそうだ。っても、数百年前の話になる訳だけど。
 突然枯れてしまった巨木……いや、イメージとして巨木だったろ?な?世界樹って奴?
 思うに某世界樹、中をあんなにくりぬいてダンジョンにしちゃったら木、枯れるんじゃね?とか突っ込んではいけない。そこらへんは『死を超越したモノ』属性ももれなく付いている、侮ってはいけません。
 世界樹の中は迷路っていうのはゲームでは、比較的多い表現である。ダンジョン化する訳だから巨大である事がデフォルトで想定されている事も多い。元になっているのは北欧神話におけるユグドラシルだろう。似たような神話は世界のあちこちにあるらしいが、それはリアルの事なのでここでは割愛するぞ。
 このトビラ世界、八精霊大陸におけるドリュアート、例えて界樹とも云えるこの存在は、リアルにおける神話と同じ背景を持っている訳ではない。そもそも世界樹とは言わない。あえて言うならそれは『世界の真ん中にあった木』、と言われる……らしい。この辺りは多分、レッドからの受け売り知識だな。
 過去形である事が重要だそうだ。
 今は世界の真ん中には無い、過去あった、と表現される。
 そもそも世界の中心ってドコですか?愛叫べますか?ヘソだったするんですか。何をもって中心とするのかよく分からん。そんな俺の疑問に、軍師のお二方は丁寧に答えてくださいました。
 この世界においてドリュアートは『柱』だったそうだ。大昔に二つに分かれていた世界を分かち、支えるもの……とか。うーむ、ゲームとかにそういった世界設定の例もいっぱいあるよなぁ。……それはさておき。
 トビラ世界における『神話』として、柱は2本あって一方がドリュアート。でもう一つが大地の柱オレイアデント、だそうだ。相当に昔の、もはや本当かどうかも分からない、ヘタすると何かを例えた作り話級の、神話として伝わる話だそうだ。一般教養ではないので、俺は教えられるまでそんな話は聞いた事が無かった。
 でその神話曰く、世界の真ん中にあった木は二つに分かれいたとされる古い時代の世界が、都合一つになる課程、折れたしまったんだそうだ。なんだかイメージの沸かない話だが……ナッツが、昔読んだ専門書に分かりやすい例えを見た事があるよ、とかいって図解で説明してくれました。

 ええと、中央に木が生えてこれが柱になっているわけです。で、世界の果てに大地の柱があってだな。この二つの柱で二つの世界が隔たっている。イメージ的には実はその世界の果て、大地の柱は実は柱じゃなくて壁って考えたら分かりやすいだろって説明された。ふむ……。
 球体もしくは立方体に例えてナッツは説明してくれた訳だがこれは、要するに……地球ってのは丸くて俺達はその外側にいるわけだけど、このゲーム世界の神話曰く、かつての八精霊大陸は球体の内側的な世界と考える訳だな。図によっては、円柱形の内側を世界とするモデルもあったってナッツが言っていた。確かに、それの方が分かり易い。それぞれ円形の天と地が別々の、二つの世界。その世界を隔てる円柱の外壁がオレイアデントで、円柱のど真ん中にドリュアートとされる木がぶっ刺さっていて二つの世界を繋いでいる……と。
 で、その中央の柱が折れたとする。
 すると、その真ん中の柱で支えられていた世界が、例えて円柱形の上にあった世界が……下の世界に壊れて降り注いできて……結局の所どっちの世界も破壊されてしまいましたーとかいう具合の出来事が過去があったそうなー的に神話として残っているんだそうだ。。
 一方の柱が折れてしまった為に、隔たっていた閉じた世界から解放されて……世界の果てが世界の果てに繋がって……例えて球体の中にあった世界が、球体の外側にひっくり返ったとも云う。
 おいおい、本当にそんな事あるのか?それこそゲームの話みたいだがって、まぁゲームだけどさ。

 思わず色々突っ込みたくなる訳だが、そういう神話だからと言われればそれまで。はい世界史終わり。

 ともかくだ、ドリュアートはこの球体の外に世界があるモデルである現世界において、もはや世界の中心ではない。ましてや柱が二本に折れてその片方も健在らしいぞ。
 ドリュアートの『木』は実は世界に2本あるのだ。
 コウリーリス国にある方に大陸座ドリュアートは御在中なさっている事になっている。もう一本のドリュアートは南国の遥か南方の森の中だとレッドが言ってた。

 かつて、世界の構造がどんなんだったのかは俺は知らん。
 だがいずれにせよ……生物には必ず寿命があり、その果てに死が待ち受けている。長生きの木だって例外じゃないのだ。ましてや真っ二つに折れた、なんてやってたらそりゃイタだろ。寿命を縮める致命的なダメージには成り得ると思うけどな。

 コウリーリスにあった『世界の真ん中にあった木』はそうやって、第7期に枯れてしまった。ちなみに今、第8期な。この期って単位は世界文明の節目でざっくりと分けられた時代推移なので、前期が何年、何百年前の話になるのかっていうのも実は、ざっくりとした単位でしか答えられない。大凡、3~5世紀くらい前の事を指してる事が多いな。
 リアルに例えれば、第二次世界大戦の前と後、くらいなイメージで良いと思う。
 さてこっちの事情に戻ろう。
 7期に枯れたとされるドリュアートの木に、新しい若木が育って居る事が確認されているという。枯れた『世界の真ん中にあった木』の中に若木が在る……その発見こそが例の、魔導師のドリュアート研究ブームを指すらしい。しかし後はこの木の生育を見守るだけという段階になり、研究は衰退し整備されていた転位門も閉じてしまった。
 俺達が目指すのは、第二の『世界の真ん中にあった木』って訳だ。
 朽ち果てた巨大な木の残骸の中に、一本生えているだろう若木。それが、今現在のコウリーリスにあるドリュアートだ。
 で……ソレを守っているのが大陸座のドリュアートだという考えがある訳だ。
 大陸座が実在するようになったのはたかだか十数年前だが、元々大陸座という概念はある。ドリュアートの大陸座はドリュアートの柱であった樹に、宿っているという信仰は昔っからある訳だよ。
 だから守護者という存在としてドリュアートの大陸座は割とメジャーなんだな。守護者なんだからドリュアートが動けなきゃ何処にも行けるはず無い。だから『不動』だと考えられている訳で……。

 ……まぁ、ファンタジーの世界には歩く木の種族ってのも居るから油断大敵な気はする。

「川沿いと山沿い、どっちが良いだろ?」
 川沿い、と答えたい所だが……幾筋にも支流に分かれるリーリス川のドレを辿ればドリュアートにたどり着くのか、何本もハズレのあるあみだくじを引くようなものである。
「川のルートは結局、詳細が分からないんだろ」
「ええ、近辺の最新情報は分かりましたが、最終的には手探りでの探索になります」
 とはいえ、山沿いはもっと辛いのだ。
 今までの道中が辛かったからそう言っている訳ではない。
 コウリーリスの開発が進まない理由は『緑の森』と呼ばれる深い森の存在が第一理由ではあるものの、実はもう一つある。

 突然現れる深い渓谷……底なし淵の存在だ。

 幸いシエンタ近辺には余りない、村の北上に……一つあるな。俺も一度だけじじいに連れて行って貰って、覗いた事がある。
 森の中に隠されて空からは滅多に見付けられない。細いもので幅たったの数十センチから大きくても数メートル。コウリーリス国の大地を横に裂く様に、底の見えない深い谷が森の中のそこらじゅうに走っていて、あっちこっちにばっくり口を開いているのだ。
 落ちたら戻って来る事は出来ないと教えられている。実際覗いてみて、それがよく分かったな。
 要するに、この森の地下にはとんでもない深さで大きな亀裂が入っているのだ。で、それを森が覆い隠している。森は、沢山亀裂の入った大地を覆い隠す様に広がっているという寸法だ。
 空を飛べる魔物でさえ、この亀裂の中に入ったりしないと伝わる。噂によるとこの淵の底では魔法が使えなくなるとか、毒が蔓延していていかなる生物も死んじまうとか。まぁ散々恐ろしい噂がある。
 山沿いを行くと云う事は。この淵に気を付けて進まなきゃ行けないって事だ。川を遡る限り、淵に落ちる心配が無いのは……わかるよな?川が淵に滝となって落ちている所もあるそうだが、下るんじゃなくて登る以上は落ちる心配はいらないだろ?
「川、だな」
 俺は結局そう答えた。
「そこまでしてその、淵とやらは恐れられているのですね」
 淵についての情報はある程度、村からも吸い上げていたようだな。
「魔導都市でも研究してるんじゃねぇのか?」
 レッドはメガネを押し上げて頷く。
「ええ、確かに潜ってみて無事に戻ってきた研究員が皆無ですね、魔法が上手く操れなくなり、場合によっては存在するというミストレアルで中毒死するそうですね。ミストレアルの操作方が失伝した今、研究したくてもお手上げになっている場所です」
「……うわ、魔法使えないとか毒があるとか、マジなんだ」
 ところで、ミストレアルって何だっけ?どっかで聞いたこともあるような?的な事が俺の顔に書いてあるのを軍師の皆さん、しっかり読み取ってくださいますね。
「ミストレアルを知っているのかい?」
「なんか、聞いた事がある様な……」
 嫌な予感がする、様な……。
「ミストレアルは古代の魔法的物質、とか言われるけど……ぶっちゃけてよくわからないものだね。レッドが言った通り失伝してるから」
「状態は気体ですがこの状況が毒でしてね、何らかの方法で結晶化出来るらしいのです。無毒化に成功したミストレアルは固体で魔法的な相性に最も適しているとされ、プラチナやミスリル銀よりも高価なものとして取り扱いされますよ。生成方法の分からない今は残存するものが全てです」
 む、やっぱり……それってもしかして、黄緑色の金属の事か……?
 いや、この話は止めよう。嫌な予感がする。……とりあえず、やっぱり淵は危険だって事だな。
「とりあえず、川でルートを絞り込みますか……」
 レッドが俺が無関心を装った事をどうやら、察してくれた様で話を元に戻した。
「そうだね」
 俺は残っていたサンドイッチを口に放り入れて咀嚼、味の薄い果実酒で流し込む。
「ヤト、例の子供の様子見てきてくれない?」
「えー?何で俺が?」
「まだ目を覚まさないって、アベルが側にいると思うから。起きたらとりあえず食事させて、話を聞かなきゃ」
 俺はしぶしぶ腰かけて居た倒木から立ち上がった。


 木陰に張られたテントの一群に俺は足を運ぶ。
 テリーとマツナギが昨晩の見張りだ、おかげでまだ寝ている。これを起こさないようにしないとな。
「アベル、いいか?」
 一応断ってマツナギが寝ている隣のテントを覗く。ああ、言っとくけどテントったって木にロープ渡して大きなシートをそこから掛けて、四隅を地面に固定した……三角柱横倒しみたいな感じの簡素な奴だからな。
 風は酷くないし虫よけは魔法とかで結界張れるから、コレで十分なんである。
「……なんだよ、いないじゃねぇか」
 そこには未だにシーツにくるまった頭だけが覗いているガキしかいない。何度見ても……やっぱり頭上に赤旗があるよな。
 俺は用心し、腰に差している剣をしっかり握って様子を見ようとしゃがみ込んだ。
「……おなか、減った」
 !、起きてるのか。
 警戒した俺の様子を察したように、真っ黒い目がこっそり俺を見上げた。
 外見は別に……普通だよなぁ。野性児っぽい感じだが。一見しただけじゃ赤旗の怪物には見えない。
 俺はため息を漏らす。アベルの奴と入れ違いになったんだな。こいつが起きたからアベル、ナッツを探しに行ったんだろう。軍師会議はテントから一寸離れた所でやってたからなぁ。見当たらないからって何処に行ったんだと探しに、あの壮絶方向音痴……。
 ぐんと引っ張られる気配に俺は、呆れて逸らしていた視線を慌てて戻す。
 すらりと……俺の腰に刺さっている剣が引き抜かれてしまって反射的に飛び退いた。一寸前までは緊張していたはずなのだ。しかし、予想に反して聞こえてきたガキの呟きと無防備さに俺は、たった一瞬気を緩めてしまったらしい。
 すぱりとテントを攣っていたロープの一つが切れる。
「何っ?」
 一瞬でも気を抜いた自分を呪いつつ、更にもう一歩下がろうとしてその前に俺は、腰から柄を抜いている。
 後ろに下がるより前に出る方が、テントの中だ。動作的には安定していると言える。初撃は躱したが次は避けられないと経験で悟っていた。
 迷い無く振りかざされた二撃目を俺は、同じ金属で出来ている鞘でなぎ払う。成る程な、剣を収めるものとして鞘も同じでなくちゃいけない、ジュリエで鞘を直してくれたルビスの親父の言葉を思い出す。
 切れ味、最高に良いんだからなその剣っ!
 鞘で渡り合うのが正解だ、水龍銀の篭手の槍とか盾で対応していたらジリ貧になっていただろう。
 相手も武器を手に取ったと理解し、しっかり構えた少年を俺は睨み付ける。鞘で弾き飛ばしたから距離を取れた、一端互いの動きが止まる。
「ちょっと、何?」
 当然テントの一角が崩れて隣のマツナギが異変に気が付いて非難の声を上げた。その声に、まるで弾かれるように少年が俺に突っ込んでくる。

 一寸待て、こんな危ないガキだとは聞いてないぞ!

 太刀筋がド素人……じゃねぇ?なんだ、なんなんだこいつ!
 かろうじて鞘で往なし、俺は攻撃に転じる隙を伺うのだが……くそ、長いぼさぼさの髪の間から覗く奴の目が、真っ直ぐ俺を見据えているのに思わず、悪態を付いてしまう。
 殺気と似ているが少し違う、向けられている感情の純粋さに俺はとまどい、上手く相手の意図を読む事が出来ていない。
「ヤト!」
 ペースが乱された事に対する苛立ちに、聞き慣れた声を掛けられて俺は一瞬安堵してしまった。
 テリーの声に相手の攻撃を弾く、方向を間違えた。もう一歩、たったの一歩だが相手の接近を許してしまった。ったく、俺とした事が!
 俺はすぐさま思考を切り替える。
 危機であればあるだけ研ぎ澄まされる、戦士としての感覚がディフェンス一辺倒からオフェンスへと切り替える。
 俺は鞘を持つ右手を背後に回した。
 相手が、捕らえたと振りかぶった剣に自ら飛び込んでいき、攻撃ペースを乱す。ガキの低い姿勢からさらに低く俺は攻撃をかいくぐり、すれ違い様に相手の腹に柄で一撃加えた。
 後でアベルから殴られるかもしれんがそん時は、そん時だ!
 少年がよろめいた、ナッツが栄養失調と判断した状態だ、必ずしも体力的に万全ではないだろう。しかし……案外頑丈だな、倒れずに踏ん張って耐える。
 俺はその僅かな隙に状況を素早く見渡して度肝を抜く。
 巨大な蜘蛛だ、いつの間にやら……あの8本足のイノシシでさえ抱え込みそうな程デカい蜘蛛が、その足の数本が、マツナギをテントごと押し潰しているではないか。

「マツナギ!」

 だが心配は無用のようだ、もぞもぞと動いている。単にテントの上から押さえ込まれているだけの様だ。……その一瞬、他に意識を飛ばした瞬間に状況が変わる。
 斬られた、
 傷の程度なんて確かめるヒマはないのに、緊張を保っていないとついその傷に手を伸ばしてしまう。
 傷は浅い、俺は完全に少年の間合いから離れていたはずだ。それでも相手の苦し紛れの一撃が、俺の脇腹を掠って、その切れ味の良い切っ先がシャツを裂いて肉まで到達してしまっただけであって……大した傷じゃないのだが……。

 だから、戦っている時はそういう判断を頭でやってるヒマはないんだって!

 殺し合いを生業とした剣闘士であった俺は、監督にそのように叩き込まれていたはずなんだがなぁ、最近ぬるい生活していて生活に張りが無くなった所為か、なんか色々緩んでてダメダメだ。
 僅かな出血によって漂う鉄の匂い、まるでそれに弾かれたように少年が俺に襲いかかって来た。……剣を振りかぶって来ていたなら俺は、まだなんとか対応出来たのだ、間違いない。

 だが俺は、最初っから相手の行動ペースが掴めていない。相手の意図が分からないで戸惑っている。

 少年は事もあろうか剣を捨て、俺に低い姿勢でのタックルをかましてきた。ようするに、今俺は引き倒されているわけだな。全く読めなかったこの状況を遅れて把握。
 武器を捨てての殴り合い、剣闘士時代こういう場合も確かにあった。だが少年は迷うことなく俺の脇腹、今しがた少しだけ裂けた腹の傷にに手を伸ばし、そこに指を立てて来たのである。
 理解した。
 そうだ、少年が俺に向けた視線に何か既視感があると思ったらそうだ、アレじゃねぇか。
 かつて旗を失ったテリーがこういう状況になって、俺の喉元に食らいついてきたよな!

 この野郎、腹減ったとか抜かして人間に食らい掛かるたぁ……どーいう教育されて育ちやがった!

 すぐさま俺は絞め技に入った。組みつかれた時にどう対処するか、っていうのも剣闘士時代キッチリ叩き込まれていたからな。無防備な首に腕を廻し、がっちりと固める。それでも俺の腹を裂こうとするガキの指が、ぐいぐいと脇腹を抉ってくる。
 俺がガキの意識を落とすのが先か、俺が内臓引き出されるのが先か、それとも?

 第三者の介入とか楽観的に願ったりした、俺がバカでした。

 生暖かく無臭の何かが俺の体に降りかかってきやがった!直感的に『ヤバい』って思うが避けようが無い。ガキを絞めつつ首を回そうとしたが……その途端ぐいっと布に巻かれるような感覚が襲う。
 蜘蛛の糸だ、気が付いた時にはぎゅっと縛り込まれて戦ってるどころじゃなくなる……が、とりあえず、ガキの意識は先に落ちてくれたようだ。指の進攻は止まったが……そのまま糸に絡まれて動けなくなってしまっているよ俺!
 でも流石にこれだけ大騒ぎしたら全員集まってきてくれるよな。

 次の瞬間熱いものがよぎった気配がして、焼き切れた蜘蛛の糸から俺と、少年は解放されてそれぞれに大地に転がっている。
 くっそぅ、乱暴に腹いじりやがって……。
 浅かったはずの傷が酷くなっているぞ。脇腹を押さえつつ俺はすぐに転がっていた自分の剣を拾った。そして構えた時、蜘蛛は少年の真上に陣取り、かつ俺を見下ろしている状況だ。

「おいおいレッド、致命傷負わせたんじゃねぇのか?」
「……虫には痛点が無いと聞きます」
 いけしゃぁと弁解すんじゃねぇよ。
 俺の背後にレッドとアベルが構えているのを感覚で理解する。目をつぶっても戦えるって前に言った通り、俺は勘働きが人よりも強い方だ。
「アベル、これでも保護するってのか?」
「……アンタが先に手ぇ出したんじゃないの?」
「あのなぁ、俺は何もしてないからな」
 剣を低く構え……成る程、この巨大な蜘蛛にも赤旗があるのを確認。なら、殺戮でいいよな。
 俺は負った怪我の存在を一時忘れ、一歩踏み出した。
「待て!」
 別の殺気を感じて俺はその場を飛び退いていた。飛び退いた足元に突き刺さっている剣を確認。
 この見慣れぬ剣に気を取られる、その瞬間蜘蛛は……倒れている少年を抱えて空高く跳躍。
 くそ、逃げる気か!
 慌てて振り返った俺が、何故かその次に空を飛ぶ羽目に!
「ええええっ!」
 どうやらまだ全部の糸が焼き切れていなかったみたい。蜘蛛もしくは少年に、俺は引きずられてしまったのだ。
「糸が!」
 空中に引き上げられた俺の体についているらしい糸を切るべく、レッドとナッツが魔法を放った様子が見える。
 ちょ、待て!
 糸切ってくれるのはいいが……こんな上空から叩き落とされるのもどうだろうか!
 振り回されていた感覚が失われる。

 糸、切れちゃたみたいー!?

 放物線上につり上げられ、燃えずに残っていた巨木に激突するかという寸前、何か柔らかいものにぶつかってして掬い上げられた俺。
 これは、糸の揺りかごだ。
 俺は木の枝からぶら下がったそれの中で暴れるのだが……すさまじい切れ味を誇るはずの剣も通用しなくて脱出出来そうに無い。恐らく……酷く間抜けな状態に陥ってますね俺。
 と、そんな必死な俺を他所に、突然の乱入者が現場に姿を現した様である。
「手を出すな、それは、俺の獲物だーッ!」
 息を切らして、森の中から現れた男を俺は糸の隙間から見て思わず脱力。
 おいこら!

 勇者同士が敵を取り合うなんて、そんなふざけた展開お前の番外編だけにしておけよ!

 スペアの剣を抜き放ち、こっちが呆れて放心しているのも気にせず――全く突然場に乱入して来た黒髪の勇者、ランドールは……落下から助けてくれたけどおかげで動けない、蜘蛛の糸の中にいる俺にビシリと剣を構えて言った。
「立ちはだかるなら容赦はしない、死ね!」
 いきなり死ねと来たか貴様、てゆーか!状況をよく見ろ!一般の人もそうやって容赦なくお前はジェノサイドするのか?……確かにしそうな性格ではあったが。
 ……いや待て、この場合立ちはだかったのは間違いなく貴様の方だろう!そのように多大にある反論を浴びせようとした所、恐らく必死に後を追いかけてきたのであろうその他取り巻きの皆さんが一斉に追いついて来て飛び出し、ランドールを押さえ込んだ。
「ちょっと坊ちゃん、ダメです、ダメですから!」
「放せ!」
 真っ先に押さえ込んだ……緑髪の巨人……ワイズが軽々と吹き飛ばされて、こっちに飛んできたのに俺は目を丸めてしまった。その次に背後から羽交い締めにした全身鎧が苦戦する間に、どうやら……睡眠魔法が入っったみたいで無防備に崩れ落ちたのが見える。場が急に静かになったぞ。
「何やってるんだよワイズ、」
 地面に叩き付けられたワイズを立ち上がらせながら、ナッツは呆れた声を上げている。
「や、やぁ……久しぶりですね代理……っててて」
「もう、無茶しちゃだめですよ」
 ……なんだ今のちょっと甲高い特徴のある声、どっから聞こえた?誰の声だ?
 明らかに愛想笑いを浮かべた背の高い女性がぺこりとこちらに頭を下げた。ええと、俺……何時までぶら下がってないといけないんでしょうか?
「ごめんなさいね、本当に……ってあら。タトラメルツの」
 その単語に俺はドキっとしてしまう。
 確かに……この連中とはタトラメルツで別れて以来な訳だが。
 背が高くて目の細い、独特な衣装を纏った女性は暫くして成る程と何か納得したように口の中で呟いたな。
 何が、成る程だ?
 っていうか、ランドールを追いかけて来たランドールパーティーの殆どが、今ようやく邂逅した相手がタトラメルツで分かれたもう一方の魔王討伐パーティーだと認識したっぽい。
「タトラメルツが半壊したと聞いている、無事だったか」
「ま、無事じゃない奴もいるが」
 ランドールパーティ唯一の良心に違いない、テニーさんの声に……トゲのある声で答えたのはその弟、テリーだな。

 っと、やべ、緊張解けて更に脱力したら……傷が痛い。
 ようやくレッドとアベルが蜘蛛の糸を取り除く作業を始めてくれた。
 地面に降ろされて、俺は脇腹を押さえてうずくまってしまうのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)

水鳥楓椛
恋愛
「お姉様、コレちょーだい」  無邪気な笑顔でオネガイする天使の皮を被った義妹のラテに、大好きなお人形も、ぬいぐるみも、おもちゃも、ドレスも、アクセサリーも、何もかもを譲って来た。  ラテの後ろでモカのことを蛇のような視線で睨みつける継母カプチーノの手前、譲らないなんていう選択肢なんて存在しなかった。  だからこそ、モカは今日も微笑んだ言う。 「———えぇ、いいわよ」 たとえ彼女が持っているものが愛しの婚約者であったとしても———、

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~

沢野 りお
ファンタジー
なんということもない普通の家族が「勇者召喚」で異世界に召喚されてしまった。 兄、橘葵二十八歳。一流商社のバリバリエリートのちメンタルに負担を受け退職後、一家の主夫として家事に精を出す独身。 姉、橘桜二十五歳。出版社に勤める美女。儚げで庇護欲をそそる美女。芸能人並みの美貌を持つオタク。あと家事が苦手で手料理は食べたら危険なレベル。 私、橘菊華二十一歳。どこにでいもいる普通の女子大生。趣味は手芸。 そして……最近、橘一家に加わった男の子、右近小次郎七歳。両親が事故に亡くなったあと、親戚をたらい回しにされ虐げられていた不憫な子。 我が家の末っ子として引き取った血の繋がらないこの子が、「勇者」らしい。 逃げました。 姉が「これはダメな勇者召喚」と断じたため、俗物丸出しのおっさん(国王)と吊り上がった細目のおばさん(王妃)の手から逃げ……られないよねぇ? お城の中で武器を持った騎士に追い詰められて万事休すの橘一家を助けたのは、この世界の神さまだった! 神さまは自分の落ち度で異世界召喚が行われたことは謝ってくれたけど、チート能力はくれなかった。ケチ。 兄には「生活魔法」が、姉には「治癒魔法」が、小次郎は「勇者」としてのチート能力が備わっているけど子どもだから鍛えないと使えない。 私には……「手芸創作」って、なにこれ? ダ神さまにもわからない能力をもらい、安住の地を求めて異世界を旅することになった橘一家。 兄の料理の腕におばさん軍団から優しくしてもらったり、姉の外見でおっさんたちから優遇してもらったり、小次郎がうっかりワイバーン討伐しちゃったり。 え? 私の「手芸創作」ってそんなことができちゃうの? そんな橘一家のドタバタ異世界道中記です。 ※更新は不定期です ※「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています ※ゆるい設定でなんちゃって世界観で書いております。

処理中です...