異世界創造NOSYUYO トビラ

RHone

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7章~8章間+10章までの 番外編

◆戦え!ボクらのゆうしゃ ランドール◆第二無礼武

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※ これは第9章直前までの某勇者パーティーの番外編です ※

◆第二無礼武◆『vs山賊団!野獣撲滅掃討大作戦』

 きゃうーん、ランドール様ァ~~。

 一体、何の生物だか良く分からない甘ったるい声が飛び交うのだけは……僕は、どうしても慣れる事が出来なかったりする。種族的な特徴だからどーしようもないんだけど、音とかにも割と敏感な性かな?
「今日は一段と凄いですね~」
 遠く、黒山がわさわさ動いて行くのを眺めながら僕は鉄仮面の上に手を置いて他人のふり。
「ふぉっふぉっふぉ、ラン様も大変じゃのぅ」
「ホント、僕だったらあんなのに追いかけ回されたら絶対に全速力で逃げ出してるよ」
 エース爺さんはローブを被った長い鼻顔を上げて僕を見上げている。
「お前さんだって良い歳なんだから、色のある話の一つや二つあってもよかろうに」
「無理だよ、僕顔が不細工だし……それに、ずっと男臭い所で育ったからさ、ああいうの免疫無いんだよね」
 僕の出身は西方騎士団なんだけど実は、その国って実際『西』には無かったりする。
 地理的に云うと南東にあるにもかかわらず、長年の伝統で『西国』を名乗っているディアス国の元騎士っていうのが僕の肩書なんだ。男尊女卑の傾向が最も強い国である為に……騎士はオトコの職場だったりするんだよね。僕はそこの北魔槍騎士団に所属していた。騎士団の中で唯一魔種混血が所属できる所なんだよ。
 ところが色々あって……僕はその騎士団を追い出される事になってしまったんだ。
 そこの所、拾ってくれたのがランドールぼっちゃんという訳。
「全く、魅力は良くわかるけれどちょっとサービスしすぎよラン様……ッ」
 ……で、隣でハンカチを噛み千切らんかという勢いで口に当てて遠くランドールぼっちゃんの様子を監視しているのが……平原貴族種のシリア。ランドールぼっちゃんの太鼓持ちの一人。
「……シリアはさぁ、ぼっちゃんのドコが良いの?」
 確かにランドールぼっちゃんは鱗顔の不細工な僕と違って間違いなく、美顔の好青年だよ。竜鱗鬼の美的感覚は人間寄りだからね、ぼっちゃんが男前なのは分かる。身体特徴の個体差が激しいんだよ、僕の種族って。ましてや僕は人間とのハーフだから、先祖返りか何かを起したのかな。外見が逆にトカゲの方に近づいてしまったようで本当に、がっかりな姿をしているんだ。
 ぼっちゃんは本当に、黙って立っていれば綺麗な人だと思う。
 漆黒の黒髪はサラサラで風が吹く度に揺れるし、肌は白すぎず、適度に焼けていて健康そうだし……それに対比して歯が白い。有名人は歯が命、とか言うらしいけど本当だろうか?でも、にっこり笑いかけるたびに白い歯が覗き、それが輝く様は……確かに色々な意味であっけに取られる。
 名ばかりではなく、坊ちゃんはそれなりに腕の立つ剣士でもあるんだ。赤みがかった立派な鎧に身を包んだ姿は本当にサマになっていて……。
 見た目は良い。本当にとても良い。ああやって老若男女……困った事に追っかけにはたまに男性も混じっている―――が、黒山を作って取り囲む位にカリスマ性があるのは認める。けれども、ほら。
 僕らは彼の本性を知ってるわけでしょ?
 黙っていれば美形だよ?
 見た目だけは確かに、すごいカッコいい。

 でも、中身が、ね?

 シリアは何言ってるのよ、とハンカチを噛みながら断言した。
「完璧じゃない、ラン様の何が良いって?……全てよ!!」
 僕はシリアから見えない仮面の下、呆れた笑みを浮かべておいた。
 どうにも彼女、ぼっちゃんの都合の良い所しか見えないらしい。恋は盲目とは良く言ったものだよね。


 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「幾らだ」
 ぼっちゃんが四肢をソファに投げ出して、脇に立っているテニーさんを見上げもせずに聞いた。

 ……関係者以外立ち入り禁止という札を、宿泊している部屋の扉の前に掛ける様に薦めたのはリオだという。
 うん、それ結構重要だと思う。
 テニーさんはしっかりしている様でシリアと同じく盲目的な所がある。なぜ一般人立ち入り禁止にする必要性があるのかよくわかってないみたいだけど……勿論、ランドールぼっちゃんは……。
 分かってるみたいだね。

 遠慮なく尊大に、ずうずうしく、本性に戻れる場所というのは大切だ。

「はい、犠牲者の人数一人につき金貨3グラムで」
「幾らになる」
「45グラムです」
 そんくらい計算しなよ……というのは思うだけにしておこう。
 この町でどれだけの犠牲者が出ているのかは、散々聴いてる話じゃないか。
「諸経費を含めると?」
「全部で60グラムに」
「どうなんだ?」
 主語が抜けているから、僕には何がドウなのか良く分からないけれど……。
「かなりイケているかと」
 なぜか、リオやグランソールには話が通じていて会話がちゃんと成立するんだ。
 後にエース爺さんに意味を尋ねてみたら……つまり、仕事の質や報酬の高さのランクについてぼっちゃんは尋ねているらしい。
 ちなみに、グランソールが笑いながらイケてると答えるという事は……かなりぼったくったという意味なのだそうだ。
 グラン、ぼっちゃんの為って言いながら絶対、交渉とか楽しんでぼったくって来てるよね?

「よし、じゃぁ行くか」
 イケてる評価に俄然、我等が勇者ランドールはやる気を出してしまったらしい。
「って、今から?」
 リオの突っ込みは儀礼であって……意味が無い。
 ぼっちゃんが行くと言ったら行くというのが……僕らブレイブの宿命なのだから。



 とはいえ、絶対的に不利なら魔導師でもあるグランソールが詭弁を使って何が何でもぼっちゃんを止めるそうだ。
 止めないという事は、今出かけても問題は無いという事なのだろう。
「こんな暗闇の中、大丈夫なの?」
 でも一応、こっそりグランソールに訊ねてみたら……。
「んー、マースは暗視持ちだろう?」
「……確かに」
 僕は暗闇でも良く見える目を持っているし、人間には見えない光とか、熱とかも『見える』わけだけど……。
 なんとなく展開が読めて来た僕は鉄仮面の下で口を歪めてしまっていた。


   ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


 西方大陸のトライアンから北東、リューストからだと南側に……物凄く物騒な地域があるんだ。
 昔からモンスターや山賊などが数多くひしめいている所で、『西方トライアン地方の魔域』として恐れられている山脈地域だ。
 そうなった理由はちゃんとあるらしい。
 トライアンがまだ国だった頃……あ、今はファマメント国に属していているんだけど……トライアンは政治に失敗して、国政が酷い時代があったんだって。それで結局国として破綻して、ファマメント国に吸収されてしまったんだそうだ。
 貧富の格差が広がって、物凄いインフレが起こって……戦争難民が沢山出て……まさしく地獄みたいな時代だったって長生きで物知りなエース爺さんが、怖い話をするノリで僕に教えてくれた。
 その後トライアン地方には『ファマメント国』という、今までに無い別の政治体系を持った国家が羽を伸ばして来た訳だけどその余波で……魔物と人との住み分けがはっきりしてしまったのだそうだ。
 西方魔域として恐れられている山岳地帯の北側には、トライアン地方最大の湖であるミラーエアがある。これはファマメント国にとって聖域なんだって。そしてその湖のさらに北側にある山脈がファマメント政府の置かれた都市部になるんだけど。
 この聖域から北側の山脈に、魔物が住めないような細工をしたのだってさ。具体的には良く分かんないんだけど、エース爺さん曰く魔法的な結界を敷いてしまって魔物が居づらい環境にしてしまった、とかなんとか。
 おかげであぶれた魔物や、山賊なんかが魔域と恐れられる地域に逃げて行って、集結してしまったって訳。
 元々その魔域は、コウリーリス国の森と狭い海峡を挟んで隣り合っている。コウリーリス側から来る人や魔物の流入も、元から多かった場所なんだね。

 トライアンからリューストに向う道中、その山の付近に道があるんだけど例外なく物騒だ。
 山賊盗賊の縄張り争いの激しい地域で……人通りは物凄く少ない。それでも昔から、そんな道沿いに村を作って暮らしている人はいる。
 今回の依頼はそんな寂れた村からのものだ。

 自称勇者はどこにだっていく。
 ……払うものさえ払ってくれれば……。


「背に腹は抱えられなかったんでしょうねぇ」
 暗闇に松明や、魔法の明かりを灯してずんずんと進んでいく僕ら。ここが問題の『魔域』だって事が怖いとか?多分、全くそんな事思っていないだろう。僕も物騒な所だなぁ、とは思うけど怖いとは思わないね。
 そんな、弱い人を抱えていられる程、僕らの仕事は甘く無い。
「でもまぁ、これは確かに異常事態よね」
 そうだね、僕もそう思う。
 魔域というからには、こんな風にカモになりそうなパーティーが山に入り込んだが最後。
 ひっきりなしに山賊、魔物、盗賊、また魔物……と、襲い掛かってきてもおかしくないだろうに。
 しかも連中の『時間』である夜中に、だよ?
 棚から牡丹餅で間違いない状況だというのに……さっきから1時間は歩いているけど周りに、生物の気配が全く無い。
 いや。
 僕は低い鼻を仮面の下で鳴らす。
「……リオさん」
「ええ、どうやらそろそろ縄張りに入った様ね」
 先頭を歩いていたランドールぼっちゃんも足を止めた。ちょっと上り坂で……周りには木が鬱蒼と茂っている。
「足場が悪いな……テニー」
「はッ!」
 テニーさんは……松明を木々にさえぎられた空に向って振って合図を送る。すると風の音が近づいて来て、ついでにバサバサという羽音が、遠くに……。
「伏せて!」
 リオさんの声に僕らは一斉に体を屈めた。すると……目の前を閃光が走りぬけてすさまじい爆撃音が響き渡る。熱波が鉄仮面の隙間から僕の頑丈な皮膚を焦がす程だ。
 暫くして静か暗くなってから顔を上げると……目の前の木々がなぎ倒され、土はえぐれ……焼け爛れて平らにならされていた。
「よし、ここで待ち構えるぞ」
 まだ熱に燻る焦土に遠慮なく足を運ぶぼっちゃん。
 月まで丸見えになった空の遠く頭上で、大きな影が羽ばたいているのにテニーさんが叫んだ。
「シリア!獲物が逃げるからヒノトは遠ざけろ!」
 ……てゆーかこんな物騒なファイアブレスを吐くドラゴンを引き連れた一行に、今回の『敵』は計画通りに挑んできてくれるのだろうか?

 しかして、僕の余計な心配をよそに、平らに均され遮る物の無くなった直径五十メートルはあるだろう広場に……そいつはちゃんと現れた。

 月明かりのまぶしい夜中だ。
 待つのに疲れたという事で、今しがたリオさんがお茶を沸かして……ランドールぼっちゃんがそれを手に取り口に運ぼうか、という時分だった。
 巨大な顔が月明かりの下、燃えずに闇を作る森の中から現れる。
 不気味な姿だった。太い首を切断したような真平らの顔にぼこぼこと浮かび上がっている瘤。良く見るとそれが全員人の顔の形をしている。顔の集合体の中央には大きな目玉がたった一つ。
 その怪物が吼えた。無数の人の形をした瘤についている口が一斉に雄たけびを上げるから、軍隊が一個師団いるみたいだ。
 森の中から這い出したそれは太くて長い蛇かと思ったけどよく見ると何か無数に生えている。人間のものだけではないね、獣や虫に似た形もある、数多くの手足が側面に生えた芋虫、もしくは百足を連想する。
 ……シリアがここに居たなら間違いなく悲鳴を上げているであろう、グロテスクなモンスターが姿をあらわした。
 シリアは、巨大な虫系のモンスターだけは苦手だったはず。
「あれか」
 茶を啜りながらランドールは微動だにしない。
 この肝の据わりっぷりが……ある意味凄い所なのかもしれない。
「これは凄いですなぁ、自己修復型合成獣という情報は当たっておりますな」
 同じく、暢気に茶を啜るエース爺さん。
「で、あれが……何匹居るって?」
 僕にとってはそれが問題だから……この場合は質問くらいさせてもらおう。
「5匹、だそうだ」
 はぁ、と僕はため息を洩らす。洩らしながら……剣を抜いた。
「大体さぁ、どうしてああいう得体の知れない生物を育てようなんて考えたんだろうね」
「ま、知らんかったんじゃろ?山賊どもがここいらで開発されておった合成獣のえげつなさなど、知るはずも無い」
「違うわよ、育てようとした訳じゃなくって」
 リオさんはため息を洩らしながら言った。
「村の山賊団は見つけた5つの妖しい卵を……食べちゃったのよ」
「で……逆に食べられちゃったと」
 嫌だなぁ……。僕、卵大好物なのに。嫌いになりそうな勢いだよ。
「そういう危険な自己修復型合成獣の卵じゃった訳だから、あの様にな……」
「どうでもいい」
 飲み終えたお茶碗を組み立て式テーブルの上にトンと置き、パイプ椅子からぼっちゃんが立ち上がった。
 すらりと腰の剣を抜き放つ。
「滅殺せよ!」

 さり気なく坊ちゃん以外の目が僕に注がれているよ。

「いや、あたし実践向きじゃないし」
「わしは茶ぁ飲み終わってないし」
「……ちょっと視界が利かないからな」
 リオさんとエース爺さん、そして最後にテニーさんが申し訳なさそうに言った。
「……援護は?」
「一応するよ」
 ……一応なんだ。グランが相変わらず笑った顔で言った言葉に僕は、仕方が無くぼっちゃんの隣で剣を構えた。


 ぼっちゃんは、こういう時戦わない訳ではない。
 実際、戦って弱い訳じゃなく……かなり結構強い方だと思う。その実力は僕も認める事ながら……。

  気が向いた時しか戦ってくれないというのが困った所だ。


 僕は剣を抜き放ち、体をうねらせながら迫ってくる怪物の目玉めがけて両断。
 しかし自己修復型合成獣とはよく言ったもので……あっという間に切断面から細い糸を伸ばして修復しようとする。
 その間にも別の合成獣が現れた。小柄でこっちは蛇団子みたいな奴と……もはや何の形なのか良く分からないやはりけどやっぱり芋虫みたいな奴。……襲い掛かってこないでじっとしている。
 何をするんだろうと動向を伺いながら、僕は襲い掛かってくる巨大な怪物の手足を切り捨てる。
 すると、なるほど。
 連中は強い個体のお零れを戴こうとしているらしい。
 飛び散った合成獣の肉片に飛びつき咥えると、一目散に逃げ出そうとしている。
「逃がすな!」
 ランドールの一喝に、一匹を氷の槍が、もう一匹は火達磨になって転がっていた。
 こっそり背後をうかがったらようやく爺さん、お茶を飲み終えたらしい、両手を突き出して魔法を放った様だ。
 けたたましい声がして、鳥の羽がいくつも連凧みたいに連なった蛇みたいな合成獣も空からやってくる。体をうねらせながら広場の空を舞い踊っている。
「……飛ぶ事を封じる」
 グランソールの宣言と共に、空から合成獣が地面に叩き落とされた。グランは魔導師だけど、本職は封印師でソッチ系の魔法が得意なんだって。
「もう一匹は……」
「ここだ」
 僕はギョッとする。何時の間にやら坊ちゃんが戦いに参加しているじゃないか。
 怪物の頭上から再び、剣を振り下ろして真っ二つに引き裂いた。
「マース、そっちを持て!」
「うへーッ」
 切断面から糸を発し、再び接合しようとする片方をぼっちゃん、糸に絡まりながらもしっかりと掴むと……ああ、真っ二つに引き裂こうっていうのか。
 僕は仕方なくもう片方に分断された怪物の頭を抱え持つ。瘤のように生えている人の顔が腕に噛み付いてくるが……重装備は伊達じゃない。僕には痛くも痒くもないね。気持ちは悪いけど。
 僕とぼっちゃんで、真っ二つになった顔を掴んでお互い反対側へ引き裂いていく。
「テニー!」
 引き裂かれた間に、テニーさんが剣を振るって裂け目を入れて行く。
 ……どっかで食べた事があるなぁ、裂けるチーズとかいう、食感の良いおつまみがあったんだけど。まさしくあんな感じで……糸を引きながら二つに分断されていく怪物。
 ごんと、テニーさんの剣が何か固いものを捉えた音がする。
「それだ!テニー、引き抜け!」
 テニーさんが一抱えもある巨大な黒い塊を糸引く肉塊の中から引き抜いた。途端、ぐにゃりと形を変えた合成獣の核が、テニーさんを取り込もうとしたのに……僕とぼっちゃんの剣が突き入る。
「滅しろ!」
 黒い液体が溢れ出て、核は……ぱっくりと二つに割れた。
 噛み合っていた二つの核はさらに体液を染み出させながら……シュウシュウと煙を上げながら萎んでいく。
 そっか、この一体が巨大だったのは、二つの合成獣が合体していたからかぁ。
「危機一髪でしたなぁ」
 絡まる糸を引き剥がしている所へひょいと、やってきた爺さんがしげしげと合成獣の亡骸を眺めている。
「何がだ?」
 不機嫌なぼっちゃんに、竜顔の爺さんは髭を撫でながら爪の長い指を差す。
「危うく新たな卵を産む所じゃったよ、交尾中じゃぁな」
 僕は仮面の下で顔を顰めた。
「これって人工合成獣だよね?生態系があるの?」
「それがこの地方の合成獣の素晴らしい……いやいや、えげつない所じゃて」
 爺さんは笑いながら……生成されつつあった怪物の卵巣を炎で、焼き払ってくれた。


 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


 村の人達に盛大な見送りをされて……次の町へ旅立つ僕達。
 シリアさんは渡された報酬の多さにホクホク顔だ。


 でも、ちょっと待って?見送った人達の顔ぶれとかを見て、僕は遠ざかってからシリアに聞いた。

「……あのさ、……あの村って……もしかして生業が山賊団じゃないの?」
「らしいわねぇ」
 シリアは歩きながらグラム金貨を数えつつ、気楽に答えた。
「って事は、そのお金って略奪されたものだよね?」
「いいじゃない」
 シリアは何が問題あるのだ?という風に僕を振り返った。
「お金はお金よ?それに、不正裏金よりは全然綺麗だと思わない?人食いモンスターを成敗した報酬なんだもの」

 いや、その前に。
 略奪をする山賊団は放置でいいのだろうか?などという野暮な質問は……討伐に報酬が無ければ動かないランドール・ブレイブに対しては無意味なんだなぁ……と。
 僕は、大人しく口を閉じるのだった。

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