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12章 望むが侭に 『果たして世界は誰の為』
書の3前半 魔王的願望『それで、お前は、どーするの?』
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■書の3前半■ 魔王的願望 Will you realize Satanic Request
状況が全く掴めておりません俺。
じゃぁね、と無邪気に手を振ってインティ似の子は、ルミザと呼んだ青年の手を引いて俺が寝ていた小屋を出て行った。
俺達も出て行く。
ん?じゃぁこの小屋は誰の家なんだ?
ルミザ、どっかで聞いた事があるような気がする名前だな。
視線を泳がすに、どうにも彼が作ったらしい家庭菜園が見える。結構本格的だ。
俺は腕を組んでリコレクトする。おバカな俺の頭は暫くしてようやくその正体を思い出し顔を上げた。
「あ、南方方位神の名前か!」
「ほーいしん?」
ギルが惚ける。知らないのか無学め、俺も割と無学な方だが勝ち誇って解説してやるぜ。
「大陸座より前から認知されてる神様、みたいなもんだよ。東西南北中央と、17包囲に座してるっていう」
「ふぅん、知らねぇ」
……割と好都合だ。これ以上突っ込まれても俺が困る。
なんで方位神が?……いや、よく考えたらここ中央大陸だったな。神の庭だ、なんでもアリだ。開発者レイヤーと呼ばれている場所でもある。
なら、突然大陸座の誰かしらが出てきても……
「ルミザー!あーっそびーましょー!」
……お、驚かないんだからっ!
頭上の高い木々を伝って元気なおねーさんが現れたのに、でも、やっぱり俺は驚いてしまうのでした。
ダメだなぁ戦士ヤト、実は根本ではチキンなんだもん。
「あれれ?ヤト君じゃなーい?」
「キリさん!?……はぁ、やっぱりここは中央大陸で間違いないんだなぁ……」
現れました元気なお姐さんは大陸座イシュタルトのキリさんである。額にあった第三眼は……無い。それは俺に預けてきたもんな。そーいや、あとはルミザひっつかまえて遊ぶとか何とか言ってた気がするなぁ。
「残念だったな、今しがた『出て行く』とかってどっかいったぞ、なんか知らんがガキと一緒に」
「なんですって!」
キリさん、驚愕の顔が悔しさに変わる。
「もぅっ!ルミザはアンタのものじゃないのよっ!」
「……あれ、誰?」
「誰って知らないの?」
知りませんが?
「イン・テラールよ!ルーちゃんにちょっかい出すってったら彼しかいないじゃない!」
俺はそれを聞き当然吹き出した。
何、ナンだと?
無く子も黙る悪神、慈悲なき平等の賢者、北方方位神イン・テラールだと!?
あれが!?イメージと激しく違うんだが!!
なんつーぶっちゃけた世界だ。……遅い、気付くの遅いよ俺。
だが、そのぶっちゃけ具合を把握していないギルはどーでもいいような顔をしている。
……そうだな、知らない場合別にどーってことはない事なのかもしれない。
日常的に突然芸能人に出会ってしまったような感覚だ。
だが、思うに芸能人ってのはテレビなどのメディアの中に居てこそ光ってるわけで。奴らだって人間である、バーチャルアイドルじゃない。だから、日常があるのは当たり前なんだから街角で偶然であったら騒がずひっそり一人の人間として接してやるべきなのかもしれない。
で、街角で突然あった人物に芸能人という『仮面』がある事を知らないならば、今俺が味わっている微妙な感覚を喚起する事もないだろう。
珍しい人に会っちゃった、という高揚感と……奴らの人間らしい日常かいま見ちまったという……がっかり感?
神は神の座にいて神聖化されているからこそであり、芸能人もまた仮想世界の中に居てこそ、なんだろうなぁ。
ああ、すげぇ微妙。
同時に俺も仮想世界上の『ヤト』が主に認識されている人格である以上、ホンモノのサトウーハヤトの実体なんて……。
誰にも、特に『ヤト』という仮面で俺を認識している奴らには知られるべきじゃねぇのかも。
そんな事も考えてしまう俺です。
仮面被って生活するという事はそう言う事だ。
味けねぇもんだよな。
……そう、誰にだって日常はある。人が思っている程立派じゃない日常があってしかるべきなんだろう。
仮面の下での付き合いが現実で、それ以外の仮面同士のやり取りなんてどこまでも仮想なんだよな。
当たり前なんだけど。
「ん、どうしたのビミョーな顔しちゃって」
「……いや、……状況がよくわからんなぁと思って。奴らは何処に行くんだ?」
キリさん、その問いににんまりと笑った。
「さてね、それはキミにも言えないなぁ」
「ミツクビリュウ、って、なんだ?」
キリさん、笑って俺達に背を向けた。
「そうねぇ、言うなれば……この世界を人知れずこっそりと支えているもの、かな」
「……神様?」
「どうだろう、そもそもあたしや彼らを君は、神と呼べるの?」
それは、微妙だ。俺は苦笑を漏らしてしまった。
神ってものは本来、もっと厳粛で……手で触れられない。存在しないけどそうとしか言い様がない物を表現するに作られた言葉だけの『概念』な訳だろ?
まぁ、ゲーム世界だったらキリさんが神でも別に驚かねぇけどなっ!
しかしゲームと言い切るにはここは、あまりにリアル過ぎる。それだけに微妙だ、と思うに留めておこう。
キリさん、くるりと振り返って笑った。
「喜ぶべきなのかもね、君達が開いたトビラが認められた事。キミ達が壊さず守り抜いたトビラの世界。少なくとも私は祝福するわ、全員がそうではないかもしれない。でももうここは神の庭じゃなくなったのよ。誰でも辿り着ける大陸の一つに戻ったわ」
「本当か?」
その理屈、俺は知っている。
この世界の理屈でじゃない、それは……世界へトビラを開いた者の事情で、だ。
今わかる。むしろそうやってトビラを閉じていたのは開発者達の方だって事。神の庭へのトビラを閉ざしていた。
なぜか。……簡単に言えば逆流が起きるからだな。
サトウーハヤトの世界からトビラの中へは一方通行だ。逆はない。トビラの中からサトウーハヤトの世界へ、というトビラがようするに、閉じている。
そりゃ、閉じておかなきゃいけねぇだろう。それを安易に開ければ現実世界に影響が出ちまう事にも繋がる。それは無い、リアル世界の理論上『無い』からこの仮想世界の中でも『無かった』。
しかし、その禁忌のトビラ開けちゃって良いのかって?
……そうだなぁ、いいのだろうか。
「いいのよ」
答えたのはキリさん。この人、やっぱり俺の頭の中を読んでいるんだろうか?まぁ、曲がりなりにも神の庭の人物、世界にとっては神と呼んでも差し支えのない存在だ。そうかもしれない。
「障害は、出ないのか?」
「出るはず無いじゃない」
なんでだよ、小難しい事は俺には分からない。
「影響を出さないためにトビラにしたんだから」
トビラ、一方通行という意味。
よくある物語のようにあり得ない異世界と繋がってしまったら、その境の事をきっと『門』って言うだろう。
ところが門じゃない。
設置され、開け放たれたのはトビラだ。
今、ようやく世界はこの異世界から一方的に何かが入り込んでくるトビラを容認した。
世界も、開かれたトビラを真似て……第三のトビラを開いたというのか?
なんで第三って、俺達トビラ二つ開けてるからだ。来る用と帰る用。ログの逆流を用心して、帰る用の扉はエントランスっていう、こっちの世界とは別の所に置いてある。
つまり、交わらない。交差しない。
今、八精霊大陸から俺達の現実へ、実は名前がないあの世界への一方通行のトビラが新たに開かれた、と云う事か……!?
それが影響を及ぼす事が無いのかって、無いよな。安易に答えがでる。だって。
俺は現実でこの世界に影響されている事など何もない。
現実に帰ったらこの世界であった事は全て夢で片づく。夢物語だ、夢オチなんだ。
二つの世界は交差しない。どんなに似ていても、どんなに現実的に思えても。
ここのリアルはここのもの。アッチのリアルはアッチのものだ。
中途半端に干渉してるとなると、同等の世界としてある事が許さてないって事でもある。二つの世界の重さが同じなら、一方通行ではバランスが取れない。均衡が取れなくなる危険性を感じ、世界は全てを許せるようにシステムの、全ての鍵を、トビラを、開けるように促したのかもしれない。
等価だ。
俺の現実も『俺』の現実も。
その世界に属する以上どこまでも現実。
「ああ、トーナ先輩の気配がする」
ふっと顔を上げてキリさんが言った。その言葉にギルが一瞬顔を顰めたのを俺は偶々見てしまう。
「なんだよ、知り合いか?」
なので、ギルに聞いていた。ギルは、顔を顰めたのを俺に見られたのを知ってばつが悪そうに顔を反らした。
「……ファマメントだ」
そして、思い立ったように荷物を担ぎ走り出した。
「ちょ、おい待て!何処に行く!」
ギルを追っかけて走る、ギルは魔王八逆星という怪物だが走る速度は…………ん?あれ?
俺は木々の間を走っていくギルを追いかけながら、なんとか目を擦った。
奴の頭上に、赤い旗が……見あたらない!?
バカな!なぜだと問いただしたい所だがそもそも、ギルは自分の頭上に赤い旗があることなど知らないのだから奴になぜだと聞いたって無駄か!しかし、どうしてだ!?
「おい、何処に行くんだ!ランドール達を追っかけてるんだろうな?」
ここが中央大陸だとするなら俺に地理感は全く無い。地図さえもない。
当たり前だがこっちに魔王の気配がするとか、そんな器用な感覚は拾えないしアインさんみたいに匂い認識も出来ない。
「おい、ギル!どこに向かってんだよ!」
そこでようやくギルは俺を振り返る。でも走りっぱなし。速度緩めるつもりはないようだ。
「そんなに奴らが気になるなら自分で探せ、俺には俺の用事が出来た!」
「んな事言ったって、どっち行けばいいんだよ!」
舌打ちしてギルの奴、俺の存在を無視する事に決めたようだ。返答せず顔を前に向け直してしまう。
「この野郎!何なんだよ!ナッツと約束したんだろうが、俺をギガースん所に届けるって!」
「案内はした、テメェが寝こけているのが悪い」
そう言われると言い返せないぞ俺!
「何しようってんだ!トーナ?ファマメント?」
大陸座ファマメントの事か?ええと……消去法で行くと大陸座ファマメントは開発者側面で言うと……サイトウーナギサさんだよな。
名前の真ん中あたりを取ると……トウナ。トーナか!はっ!やっぱり安直だ!
「まさか、復讐しようってんじゃねぇだろうな!」
そこでギル、ようやく止まる。急ブレーキだ。
振り返ると同時に俺を睨み付け、例によって殺気を叩き付けて背負っていた武器を構えた。
「復讐だと?……誰に?ハクガイコウにか!?」
「俺が聞いてんだよそれはっ!」
叩き付けられている殺気に、俺は……武器の柄に手を当てて構えてしまうぞ。
雰囲気的に話し合いなど通用しそうにない。そう戦士としての本能が警告するからこその護身動作だ。
「……くそッ!」
危機に対する予測って、俺結構鋭いんだなと自分の事ながら思う。この小心があるからこそ数々の致命的な危機を回避出来ているんだ。
突然牙を剥いたギルの一撃を俺は、攻撃されるという予測によって競り勝ち辛うじて避ける。おお、いつもの衝撃波が無い、フツーの剣撃だ。
これって、手加減してるんだろうか?
そう思いつつ俺は、剣を抜きはなって構えていた。
冷静に考えてみる。
……戦って勝てる相手じゃねぇはずなんだけどなぁ……。出来れば戦いたくない相手だ。
こいつに勝つつもりなら、俺は……不本意だが俺自身というものを手放す必要があるだろう。ヤト・ガザミでは恐らく相手に成らん。
怪物と化し、魔王化したのをヤト・ガザミだと言って良いなら話は別だけど……なんとなく、それは違う生物のように思えるんだ。
元々『俺』にしてみればヤト・ガザミなんて他人事のように思えてしまう事もしばしばあった。
けど、怪物化し『俺』で制御が全く出来ないものは輪を掛けて強く『俺じゃない』って思える。
そんな事を考えつつ、改めて奴の頭上を見てみた。
間違いない。
赤い旗が消えてしまった。
つまり……今、奴は怪物じゃない?
……だったらこのまま戦っても勝算あるのだろうか?
俺は一瞬悩み、脳裏に響いてきた『一人で無茶をするな』という数々の仲間達の罵倒をリコレクトしてしまった。
一気に緊張感緩んだわ、やめよう。
俺、仲間がいない所では無茶しない。
「今更これはねぇだろう、俺は、こんなものを願った訳じゃねぇんだ!」
ワケの分からん事を吠えながらギル、巨大な剣で斬りかかってきた……ッ切り込みが早い、避けようがないっ!
……やっぱりおかしいぞ、フツーに斬り結べてしまった。
逆に俺が戸惑ってしまう。どうした、弱体化!?
どうした破壊魔王!
しかしだからといって俺が圧倒的に優位に立てる訳ではない。ギルは巨大な剣を振り回している、一撃一撃の重さはハンパねぇ。しかも巨体の癖に動きが速い!あの巨大な剣を、俺が片手で剣を扱うのと同じ速度で振るってくるってんだ。今のままでの十分に怪物じみている気もする。
斬り結んだも一瞬で、完全に力負けして俺は吹っ飛ばされた。が、例の破壊衝撃はオマケについて来ない。
おかげで木の幹に叩き付けられるだけで俺は、なんとか持ち直した。背中超痛ぇ。
吹っ飛ばされたのは分かったのでちゃんと身構えた、痛みは多分にあるがダメージはさほどでもない。
問題なく体が動く事を確認、剣を構える。
「なんなんだよお前!中途半端に手ぇ抜いて、何がしたいんだ?」
「……別に手は抜いてねぇ」
「なんだと?」
その瞬間例の凄まじい気迫に気圧され俺は、その場を転がり逃げた。
瞬間踏み込んできたギルの一撃が、巨大な木の幹に突き刺さっている。いや、突き刺さっているなんて甘っちょろい状況ではなかった。剣が、斜めに巨木の幹に切り込まれている。
幹周りが3人分腕を繋げる必要がありそうな巨木が、ギルの怒りにまかせた一撃で……真っ二つに折れちゃいました。
……これはこれで十分に怪物だ……。
ばきばきと折れた木が、他の木や巨大な枝を盛大に巻き込みながら倒れる轟音が、低い衝突音が、幾重にも響き渡った。
間一髪俺はそれらに巻き込まれずに地面に転がっている状況。
正直、余りの事に開いた口が塞がらん。
「俺が望んだのは自身の破滅だ、こんなんじゃねぇ……!ただ、それを訴えに行くだけだ……!」
「貴方が欲したのは自由じゃないのね」
「……そうだ」
ふっとギルが力を抜き、聞えてきた声に答えた。
森に差込む光の中、ぞろぞろと現れた人影に俺は立ち上がる。殺気が消えた、ようやく安心し、やってきた一団を出迎える。
先頭を歩いてきた見慣れない女性は……眩しい。
森の中、逆光を背負いながら現れた錯覚に俺は目を眇めてしまう。
その背後から一歩前に踏み出してきたのは逆に、黒い人。
「約束通り、追いつきました。文句在りませんね?」
レッド!それにナッツ、マツナギ、テリーにアインさん、それから……アベル。
本当に来たんだ。
俺は、彼らの所に歩み寄って……紫色のマントに触れてみる。
幻じゃない、本当に、こんなに早く追いついてきたのか!
見慣れぬ女性と、なんだか見知っているローブ姿の人が一緒だが……一部……見て見ぬ振りをしよう。
握り込んだマントを手放し、俺はどういう事だと状況説明を求めた。
「あれから、どうにか中央大陸に行く手立てを考えたのです。で、この通り」
「だから、どうやって来たんだ?」
「まず、状況が変わりましたとお伝えしないといけませんね」
……それ、インティ似の北神も言ってたな。
大陸座イシュタルトのキリさんも言っていた。
「どう変わったってんだ」
レッドは眼鏡のブリッジを押し上げる。
「中央大陸とはそもそも……神の庭。我々低次の存在が認識できる場所ではないのです。もし認識してしまったとするなら、二度と同じ階層には『戻れない』のでしょう」
それが、中央大陸を幻として認識させた『システム』か。
神の庭とはすなわち、開発者レイヤーの事だ。それは実は何人たりとも辿り着けないとされる中央大陸の事でもある。
「しかし、中央大陸はこの世界に『戻ってきました』」
「……戻ってきた?」
中央大陸がフツーの大陸に戻った、という話は確かに、キリさんから聞いている……が。
レッドは頷いて小声で囁いた。
「上の都合です、つまり神の庭がこの世界の階層に『戻ってきた』のです。元来中央大陸とは八精霊大陸にあったもの。それを、都合があって切り離してあったという訳ですよ……長い間ね。そしてそれが当たり前になっていた。それは開発者高松さんたちの都合で言えば、世界を管理する者が集う場であるからです」
「……俺達がそれを望んだからか?」
レッドは笑って目を閉じた。
「さて、どうでしょう」
「どうでしょう、って」
「上は、実はそれ程強く八精霊大陸について干渉出来ないという都合をお忘れですか?」
上、とはすなわち……開発者だな。
ゲームとしてこの世界『トビラ』を開発した、高松さんを筆頭にした開発者の皆さん。
彼らが世界の創造主として強行に振る舞う事が出来るなら、そもそも赤旗の存在なんてキー操作一つで消去出来てるだろう。
ところがそれが出来ないときた。
いや、出来るには出来るが……その場合折角作った世界、あるいは開いたトビラをリセット掛けて消し去らなきゃいけない状態だ。
出来ないからこそ俺達が中の方からあくせくやってる。
つまり、高松さんらの都合では中央大陸の階層を元に戻すのは出来ないって事か?
なら、誰がそんな事を許した。
リコレクトする。
ミツクビリュウ、って奴か……?
「僕らが望み、大陸座が了承し……そしてこの『世界』も許した。そんな所でしょう。もしこれで何か問題が起きたとしても、自分の所為だと考える事はしない事です」
う、俺の懸念が先読みされましたッ!
「とはいえすぐにここが中央大陸が認知される事はないでしょう。今暫くこの大陸は地図に記載されていない謎の土地として認識されるのでしょうね」
そのように言ってから小声でレッドは再び俺に囁いた。
「……あと、僕らの都合で言えば開発者レイヤーの消去は取りやめになったと言う事です」
「……なに?」
開発者レイヤー、すなわち中央大陸の消去はしない?
そもそも、消去してしまえと言っていた開発者レイヤーが実は中央大陸だったとはつい最近分かった事でもある。
中央大陸解禁にしたのは分かったが、最終的に中央大陸を消すか、消さないかは別の話だよな。
しかし消さない、それは決定事項?
「……問題無いのか?」
「分かりません、何か問題が起きるかも知れません」
ああ、でもその責任を俺らが背負っちゃいけねぇ、だったな。
しかし開発者レイヤー消去取りやめになった事情は、トビラは完全に開いたとかよくワケの分からない状況と何か関係があるのだろうか?
「中央大陸を八精霊大陸に戻すとは、つまり……消去はしないという意味でもあるのです」
よく分からんけど、上のシステム的にそういう事?
「ですので、僕らも方向転換が必要です」
「デバイスツール受け取らなくてよくなった、とか?」
「いえ、それは続けます。大陸座は今や管理者ではありません。ただ一人のキャラクターに戻っています。デバイスツールという力を手放し、失ってしまえば強制転生もしません。彼らには消滅が訪れる」
神と呼べるはずのものに手が届くって訳か。
神の庭が下界に降りてきたんだ。ようするに、そういう事だよな。
俺は神妙な顔でこの、不思議な森を見上げてため息を漏らす。
「僕らをここに連れてきてくれたのは彼女です」
彼女、つまりあの……純白を纏った見慣れない女の人か。
「誰なんだ?」
「元大陸座、ファマメントのトーナさんです」
成る程、これがそのトーナさん。
よくわからんが、彼女の力添えでレッドらは中央大陸に乗り込んできたって事?
背中に間違いなく純白の翼をつけた有翼人の、トーナさんが振り返る。真っ白い髪に赤い目の、典型的なアルビノ配色なのだが儚いイメージは無い。
間違いなく勝ち気な雰囲気を纏っている。
「ではトーナさん、僕らはこれで」
「少し待って」
お世話になったなら俺からも一言ありがとくらい言わせろよ、とも思ったが。レッド、何故だか少し不機嫌な様子だ。普段顔に出さないだけに露骨である。
……うん?なんか怒ってる?珍しくレッドは声を苛立たせてトーナさんに向き直る。
「何を待つというのです、貴方は貴方のつとめを果たした。僕らは今から貴方の尻ぬぐいを行いに行くのですよ?緊急性を有するものです。違いますか」
「……分かっている、でも時期に私もここから消えるから、その前にこの人と決着をつけたいの」
それ僕らに関係在るんですか、みたいな顔してるぞレッド。
トーナさんは勢いを失ってそのままゆっくりと、剣を地面に突き刺し突っ立っているギルを振り返った。
「約束通り、貴方に影は返した」
「……違うだろう、こうじゃない」
ギルは歯ぎしりし、自分の胸を押さえるように一歩前に踏み出して吠えた。
「それに、俺は約束を果たしていない!俺はギガースを倒せなかったんだぞ!?サービス過剰だろう、迷惑なんだよ!」
「いいえ、貴方はちゃんとギガースを斬ったわ」
その言葉にギルは明らかに怯んだ。
「だから今の状況があるのよ。貴方はちゃんと彼を斬ったの」
「違う、違う!」
「ちゃんと貴方はそれを望んだ。……私がそうやって貴方を選んだのだもの。でもそんな貴方の望みも私の望みも……利用されてしまったのかもしれないわね」
「違う、滅ぼせてねぇんだよ!ハクガイコウ、あれは滅んじゃいねぇんだ!別段ナドゥのやっている事が間違いだと思ってるワケじゃねぇよ俺は!」
「分かっている。……分かっていたわ」
トーナさんは疲れたように視線を落とす。
「私の望みは不当だった、真実が知れて、私は願ってはいけない事を願ってしまった」
一体……どういうどういうご関係なんだ!?
一人空気を読んでいないらしい俺。レッドに状況を説明しろよと無言で突っついてみるが、今大事なトコです大人しくしてなさい、的な視線を返された。
くそぅ、全員状況把握してるっぽいのに俺だけ分かってないじゃん!背に腹は抱えられん、俺は一歩背後に下がってアベルを突いた。小声で状況を尋ねる。
「何なんだ、あのトーナさんは何を言っている?」
「アンタ、少し落ち着いて状況見てなさいよ!」
「うっせぇ、ワケわかんねぇんだよ!」
ナッツが咳払い、黙って俺とアベルの腕を掴んで……少し離れた所へ連れていく。
「ナッツ、あれが……ハクガイコウだよな?大陸座ファマメント」
「ああ、そうだよ」
離れたとはいえ小声でな。彼女らの会話を邪魔しないように。
「ギルと顔見知りなのか」
「それはそうさ、彼に魔王ギガース討伐を命令したのは彼女だ。魔王八逆星が元々魔王討伐隊第一陣だってのは把握してるだろ?」
「もしかして、……よろしい関係だったとか?」
あ、完全に白けられました。
かなり的はずれな事を言ったらしい。
「じゃぁ何なんだよ、あのやり取りは」
「……たとえ話をしよう」
ナッツはため息を漏らし、アベルと俺を交互に見てから口を開いた。
「好きな人が乱心して魔王になったとする」
「…………」
俺とアベルは互いに黙り込んでしまった。
「君らならどうする?」
なんだ、そのたとえ話。
俺は呆れるが、アベルは真剣な顔で答えやがった。
「あたしだったらそいつ、ぶん殴りに行くと思うわ」
「う、確かに来そうだ」
俺は近い未来をつい想像してしまってすでに殴られた気分になって頭を抑えてしまう。
「お前は?」
ナッツは俺に話を振る。えー、俺も答えるのか?……そうだなぁ……。俺は誰を魔王に例えればいいのだろうって、悩むまでもねぇ。レッドだろうな。
ああ、俺もソイツをぶん殴りに行くかもしれない。
いや、すでに一度ぶん殴りに行った事になるんだよな。苦笑いが漏れてしまう。
「トーナさんも出来ればそうしたかったんだと思う。彼女の性格上、出来るならそうしてると思うんだ」
「出来なかったってのか」
「……大陸座だったからね。だから……彼女はその役割をギルに託したんだよ。大陸座という制約の下、バルトアンデルトのギガースの元に直接駆けつける事が出来なかったんだ」
ナッツは視線を眇める。
「でも同時に……自分の手で決着をつけられないという事に迷いもあったんだろう。どうしても、彼女は直接ギガースと話がしたかったし、出来ればギガースの望みを叶えたいと願ったみたいだ」
……たとえ話だったな。
好きな人がいて、その人が乱心して魔王になっちまったらどうする?っていう。
つまりトーナさんは…………ギガースが好きだったと言う事か。
状況が全く掴めておりません俺。
じゃぁね、と無邪気に手を振ってインティ似の子は、ルミザと呼んだ青年の手を引いて俺が寝ていた小屋を出て行った。
俺達も出て行く。
ん?じゃぁこの小屋は誰の家なんだ?
ルミザ、どっかで聞いた事があるような気がする名前だな。
視線を泳がすに、どうにも彼が作ったらしい家庭菜園が見える。結構本格的だ。
俺は腕を組んでリコレクトする。おバカな俺の頭は暫くしてようやくその正体を思い出し顔を上げた。
「あ、南方方位神の名前か!」
「ほーいしん?」
ギルが惚ける。知らないのか無学め、俺も割と無学な方だが勝ち誇って解説してやるぜ。
「大陸座より前から認知されてる神様、みたいなもんだよ。東西南北中央と、17包囲に座してるっていう」
「ふぅん、知らねぇ」
……割と好都合だ。これ以上突っ込まれても俺が困る。
なんで方位神が?……いや、よく考えたらここ中央大陸だったな。神の庭だ、なんでもアリだ。開発者レイヤーと呼ばれている場所でもある。
なら、突然大陸座の誰かしらが出てきても……
「ルミザー!あーっそびーましょー!」
……お、驚かないんだからっ!
頭上の高い木々を伝って元気なおねーさんが現れたのに、でも、やっぱり俺は驚いてしまうのでした。
ダメだなぁ戦士ヤト、実は根本ではチキンなんだもん。
「あれれ?ヤト君じゃなーい?」
「キリさん!?……はぁ、やっぱりここは中央大陸で間違いないんだなぁ……」
現れました元気なお姐さんは大陸座イシュタルトのキリさんである。額にあった第三眼は……無い。それは俺に預けてきたもんな。そーいや、あとはルミザひっつかまえて遊ぶとか何とか言ってた気がするなぁ。
「残念だったな、今しがた『出て行く』とかってどっかいったぞ、なんか知らんがガキと一緒に」
「なんですって!」
キリさん、驚愕の顔が悔しさに変わる。
「もぅっ!ルミザはアンタのものじゃないのよっ!」
「……あれ、誰?」
「誰って知らないの?」
知りませんが?
「イン・テラールよ!ルーちゃんにちょっかい出すってったら彼しかいないじゃない!」
俺はそれを聞き当然吹き出した。
何、ナンだと?
無く子も黙る悪神、慈悲なき平等の賢者、北方方位神イン・テラールだと!?
あれが!?イメージと激しく違うんだが!!
なんつーぶっちゃけた世界だ。……遅い、気付くの遅いよ俺。
だが、そのぶっちゃけ具合を把握していないギルはどーでもいいような顔をしている。
……そうだな、知らない場合別にどーってことはない事なのかもしれない。
日常的に突然芸能人に出会ってしまったような感覚だ。
だが、思うに芸能人ってのはテレビなどのメディアの中に居てこそ光ってるわけで。奴らだって人間である、バーチャルアイドルじゃない。だから、日常があるのは当たり前なんだから街角で偶然であったら騒がずひっそり一人の人間として接してやるべきなのかもしれない。
で、街角で突然あった人物に芸能人という『仮面』がある事を知らないならば、今俺が味わっている微妙な感覚を喚起する事もないだろう。
珍しい人に会っちゃった、という高揚感と……奴らの人間らしい日常かいま見ちまったという……がっかり感?
神は神の座にいて神聖化されているからこそであり、芸能人もまた仮想世界の中に居てこそ、なんだろうなぁ。
ああ、すげぇ微妙。
同時に俺も仮想世界上の『ヤト』が主に認識されている人格である以上、ホンモノのサトウーハヤトの実体なんて……。
誰にも、特に『ヤト』という仮面で俺を認識している奴らには知られるべきじゃねぇのかも。
そんな事も考えてしまう俺です。
仮面被って生活するという事はそう言う事だ。
味けねぇもんだよな。
……そう、誰にだって日常はある。人が思っている程立派じゃない日常があってしかるべきなんだろう。
仮面の下での付き合いが現実で、それ以外の仮面同士のやり取りなんてどこまでも仮想なんだよな。
当たり前なんだけど。
「ん、どうしたのビミョーな顔しちゃって」
「……いや、……状況がよくわからんなぁと思って。奴らは何処に行くんだ?」
キリさん、その問いににんまりと笑った。
「さてね、それはキミにも言えないなぁ」
「ミツクビリュウ、って、なんだ?」
キリさん、笑って俺達に背を向けた。
「そうねぇ、言うなれば……この世界を人知れずこっそりと支えているもの、かな」
「……神様?」
「どうだろう、そもそもあたしや彼らを君は、神と呼べるの?」
それは、微妙だ。俺は苦笑を漏らしてしまった。
神ってものは本来、もっと厳粛で……手で触れられない。存在しないけどそうとしか言い様がない物を表現するに作られた言葉だけの『概念』な訳だろ?
まぁ、ゲーム世界だったらキリさんが神でも別に驚かねぇけどなっ!
しかしゲームと言い切るにはここは、あまりにリアル過ぎる。それだけに微妙だ、と思うに留めておこう。
キリさん、くるりと振り返って笑った。
「喜ぶべきなのかもね、君達が開いたトビラが認められた事。キミ達が壊さず守り抜いたトビラの世界。少なくとも私は祝福するわ、全員がそうではないかもしれない。でももうここは神の庭じゃなくなったのよ。誰でも辿り着ける大陸の一つに戻ったわ」
「本当か?」
その理屈、俺は知っている。
この世界の理屈でじゃない、それは……世界へトビラを開いた者の事情で、だ。
今わかる。むしろそうやってトビラを閉じていたのは開発者達の方だって事。神の庭へのトビラを閉ざしていた。
なぜか。……簡単に言えば逆流が起きるからだな。
サトウーハヤトの世界からトビラの中へは一方通行だ。逆はない。トビラの中からサトウーハヤトの世界へ、というトビラがようするに、閉じている。
そりゃ、閉じておかなきゃいけねぇだろう。それを安易に開ければ現実世界に影響が出ちまう事にも繋がる。それは無い、リアル世界の理論上『無い』からこの仮想世界の中でも『無かった』。
しかし、その禁忌のトビラ開けちゃって良いのかって?
……そうだなぁ、いいのだろうか。
「いいのよ」
答えたのはキリさん。この人、やっぱり俺の頭の中を読んでいるんだろうか?まぁ、曲がりなりにも神の庭の人物、世界にとっては神と呼んでも差し支えのない存在だ。そうかもしれない。
「障害は、出ないのか?」
「出るはず無いじゃない」
なんでだよ、小難しい事は俺には分からない。
「影響を出さないためにトビラにしたんだから」
トビラ、一方通行という意味。
よくある物語のようにあり得ない異世界と繋がってしまったら、その境の事をきっと『門』って言うだろう。
ところが門じゃない。
設置され、開け放たれたのはトビラだ。
今、ようやく世界はこの異世界から一方的に何かが入り込んでくるトビラを容認した。
世界も、開かれたトビラを真似て……第三のトビラを開いたというのか?
なんで第三って、俺達トビラ二つ開けてるからだ。来る用と帰る用。ログの逆流を用心して、帰る用の扉はエントランスっていう、こっちの世界とは別の所に置いてある。
つまり、交わらない。交差しない。
今、八精霊大陸から俺達の現実へ、実は名前がないあの世界への一方通行のトビラが新たに開かれた、と云う事か……!?
それが影響を及ぼす事が無いのかって、無いよな。安易に答えがでる。だって。
俺は現実でこの世界に影響されている事など何もない。
現実に帰ったらこの世界であった事は全て夢で片づく。夢物語だ、夢オチなんだ。
二つの世界は交差しない。どんなに似ていても、どんなに現実的に思えても。
ここのリアルはここのもの。アッチのリアルはアッチのものだ。
中途半端に干渉してるとなると、同等の世界としてある事が許さてないって事でもある。二つの世界の重さが同じなら、一方通行ではバランスが取れない。均衡が取れなくなる危険性を感じ、世界は全てを許せるようにシステムの、全ての鍵を、トビラを、開けるように促したのかもしれない。
等価だ。
俺の現実も『俺』の現実も。
その世界に属する以上どこまでも現実。
「ああ、トーナ先輩の気配がする」
ふっと顔を上げてキリさんが言った。その言葉にギルが一瞬顔を顰めたのを俺は偶々見てしまう。
「なんだよ、知り合いか?」
なので、ギルに聞いていた。ギルは、顔を顰めたのを俺に見られたのを知ってばつが悪そうに顔を反らした。
「……ファマメントだ」
そして、思い立ったように荷物を担ぎ走り出した。
「ちょ、おい待て!何処に行く!」
ギルを追っかけて走る、ギルは魔王八逆星という怪物だが走る速度は…………ん?あれ?
俺は木々の間を走っていくギルを追いかけながら、なんとか目を擦った。
奴の頭上に、赤い旗が……見あたらない!?
バカな!なぜだと問いただしたい所だがそもそも、ギルは自分の頭上に赤い旗があることなど知らないのだから奴になぜだと聞いたって無駄か!しかし、どうしてだ!?
「おい、何処に行くんだ!ランドール達を追っかけてるんだろうな?」
ここが中央大陸だとするなら俺に地理感は全く無い。地図さえもない。
当たり前だがこっちに魔王の気配がするとか、そんな器用な感覚は拾えないしアインさんみたいに匂い認識も出来ない。
「おい、ギル!どこに向かってんだよ!」
そこでようやくギルは俺を振り返る。でも走りっぱなし。速度緩めるつもりはないようだ。
「そんなに奴らが気になるなら自分で探せ、俺には俺の用事が出来た!」
「んな事言ったって、どっち行けばいいんだよ!」
舌打ちしてギルの奴、俺の存在を無視する事に決めたようだ。返答せず顔を前に向け直してしまう。
「この野郎!何なんだよ!ナッツと約束したんだろうが、俺をギガースん所に届けるって!」
「案内はした、テメェが寝こけているのが悪い」
そう言われると言い返せないぞ俺!
「何しようってんだ!トーナ?ファマメント?」
大陸座ファマメントの事か?ええと……消去法で行くと大陸座ファマメントは開発者側面で言うと……サイトウーナギサさんだよな。
名前の真ん中あたりを取ると……トウナ。トーナか!はっ!やっぱり安直だ!
「まさか、復讐しようってんじゃねぇだろうな!」
そこでギル、ようやく止まる。急ブレーキだ。
振り返ると同時に俺を睨み付け、例によって殺気を叩き付けて背負っていた武器を構えた。
「復讐だと?……誰に?ハクガイコウにか!?」
「俺が聞いてんだよそれはっ!」
叩き付けられている殺気に、俺は……武器の柄に手を当てて構えてしまうぞ。
雰囲気的に話し合いなど通用しそうにない。そう戦士としての本能が警告するからこその護身動作だ。
「……くそッ!」
危機に対する予測って、俺結構鋭いんだなと自分の事ながら思う。この小心があるからこそ数々の致命的な危機を回避出来ているんだ。
突然牙を剥いたギルの一撃を俺は、攻撃されるという予測によって競り勝ち辛うじて避ける。おお、いつもの衝撃波が無い、フツーの剣撃だ。
これって、手加減してるんだろうか?
そう思いつつ俺は、剣を抜きはなって構えていた。
冷静に考えてみる。
……戦って勝てる相手じゃねぇはずなんだけどなぁ……。出来れば戦いたくない相手だ。
こいつに勝つつもりなら、俺は……不本意だが俺自身というものを手放す必要があるだろう。ヤト・ガザミでは恐らく相手に成らん。
怪物と化し、魔王化したのをヤト・ガザミだと言って良いなら話は別だけど……なんとなく、それは違う生物のように思えるんだ。
元々『俺』にしてみればヤト・ガザミなんて他人事のように思えてしまう事もしばしばあった。
けど、怪物化し『俺』で制御が全く出来ないものは輪を掛けて強く『俺じゃない』って思える。
そんな事を考えつつ、改めて奴の頭上を見てみた。
間違いない。
赤い旗が消えてしまった。
つまり……今、奴は怪物じゃない?
……だったらこのまま戦っても勝算あるのだろうか?
俺は一瞬悩み、脳裏に響いてきた『一人で無茶をするな』という数々の仲間達の罵倒をリコレクトしてしまった。
一気に緊張感緩んだわ、やめよう。
俺、仲間がいない所では無茶しない。
「今更これはねぇだろう、俺は、こんなものを願った訳じゃねぇんだ!」
ワケの分からん事を吠えながらギル、巨大な剣で斬りかかってきた……ッ切り込みが早い、避けようがないっ!
……やっぱりおかしいぞ、フツーに斬り結べてしまった。
逆に俺が戸惑ってしまう。どうした、弱体化!?
どうした破壊魔王!
しかしだからといって俺が圧倒的に優位に立てる訳ではない。ギルは巨大な剣を振り回している、一撃一撃の重さはハンパねぇ。しかも巨体の癖に動きが速い!あの巨大な剣を、俺が片手で剣を扱うのと同じ速度で振るってくるってんだ。今のままでの十分に怪物じみている気もする。
斬り結んだも一瞬で、完全に力負けして俺は吹っ飛ばされた。が、例の破壊衝撃はオマケについて来ない。
おかげで木の幹に叩き付けられるだけで俺は、なんとか持ち直した。背中超痛ぇ。
吹っ飛ばされたのは分かったのでちゃんと身構えた、痛みは多分にあるがダメージはさほどでもない。
問題なく体が動く事を確認、剣を構える。
「なんなんだよお前!中途半端に手ぇ抜いて、何がしたいんだ?」
「……別に手は抜いてねぇ」
「なんだと?」
その瞬間例の凄まじい気迫に気圧され俺は、その場を転がり逃げた。
瞬間踏み込んできたギルの一撃が、巨大な木の幹に突き刺さっている。いや、突き刺さっているなんて甘っちょろい状況ではなかった。剣が、斜めに巨木の幹に切り込まれている。
幹周りが3人分腕を繋げる必要がありそうな巨木が、ギルの怒りにまかせた一撃で……真っ二つに折れちゃいました。
……これはこれで十分に怪物だ……。
ばきばきと折れた木が、他の木や巨大な枝を盛大に巻き込みながら倒れる轟音が、低い衝突音が、幾重にも響き渡った。
間一髪俺はそれらに巻き込まれずに地面に転がっている状況。
正直、余りの事に開いた口が塞がらん。
「俺が望んだのは自身の破滅だ、こんなんじゃねぇ……!ただ、それを訴えに行くだけだ……!」
「貴方が欲したのは自由じゃないのね」
「……そうだ」
ふっとギルが力を抜き、聞えてきた声に答えた。
森に差込む光の中、ぞろぞろと現れた人影に俺は立ち上がる。殺気が消えた、ようやく安心し、やってきた一団を出迎える。
先頭を歩いてきた見慣れない女性は……眩しい。
森の中、逆光を背負いながら現れた錯覚に俺は目を眇めてしまう。
その背後から一歩前に踏み出してきたのは逆に、黒い人。
「約束通り、追いつきました。文句在りませんね?」
レッド!それにナッツ、マツナギ、テリーにアインさん、それから……アベル。
本当に来たんだ。
俺は、彼らの所に歩み寄って……紫色のマントに触れてみる。
幻じゃない、本当に、こんなに早く追いついてきたのか!
見慣れぬ女性と、なんだか見知っているローブ姿の人が一緒だが……一部……見て見ぬ振りをしよう。
握り込んだマントを手放し、俺はどういう事だと状況説明を求めた。
「あれから、どうにか中央大陸に行く手立てを考えたのです。で、この通り」
「だから、どうやって来たんだ?」
「まず、状況が変わりましたとお伝えしないといけませんね」
……それ、インティ似の北神も言ってたな。
大陸座イシュタルトのキリさんも言っていた。
「どう変わったってんだ」
レッドは眼鏡のブリッジを押し上げる。
「中央大陸とはそもそも……神の庭。我々低次の存在が認識できる場所ではないのです。もし認識してしまったとするなら、二度と同じ階層には『戻れない』のでしょう」
それが、中央大陸を幻として認識させた『システム』か。
神の庭とはすなわち、開発者レイヤーの事だ。それは実は何人たりとも辿り着けないとされる中央大陸の事でもある。
「しかし、中央大陸はこの世界に『戻ってきました』」
「……戻ってきた?」
中央大陸がフツーの大陸に戻った、という話は確かに、キリさんから聞いている……が。
レッドは頷いて小声で囁いた。
「上の都合です、つまり神の庭がこの世界の階層に『戻ってきた』のです。元来中央大陸とは八精霊大陸にあったもの。それを、都合があって切り離してあったという訳ですよ……長い間ね。そしてそれが当たり前になっていた。それは開発者高松さんたちの都合で言えば、世界を管理する者が集う場であるからです」
「……俺達がそれを望んだからか?」
レッドは笑って目を閉じた。
「さて、どうでしょう」
「どうでしょう、って」
「上は、実はそれ程強く八精霊大陸について干渉出来ないという都合をお忘れですか?」
上、とはすなわち……開発者だな。
ゲームとしてこの世界『トビラ』を開発した、高松さんを筆頭にした開発者の皆さん。
彼らが世界の創造主として強行に振る舞う事が出来るなら、そもそも赤旗の存在なんてキー操作一つで消去出来てるだろう。
ところがそれが出来ないときた。
いや、出来るには出来るが……その場合折角作った世界、あるいは開いたトビラをリセット掛けて消し去らなきゃいけない状態だ。
出来ないからこそ俺達が中の方からあくせくやってる。
つまり、高松さんらの都合では中央大陸の階層を元に戻すのは出来ないって事か?
なら、誰がそんな事を許した。
リコレクトする。
ミツクビリュウ、って奴か……?
「僕らが望み、大陸座が了承し……そしてこの『世界』も許した。そんな所でしょう。もしこれで何か問題が起きたとしても、自分の所為だと考える事はしない事です」
う、俺の懸念が先読みされましたッ!
「とはいえすぐにここが中央大陸が認知される事はないでしょう。今暫くこの大陸は地図に記載されていない謎の土地として認識されるのでしょうね」
そのように言ってから小声でレッドは再び俺に囁いた。
「……あと、僕らの都合で言えば開発者レイヤーの消去は取りやめになったと言う事です」
「……なに?」
開発者レイヤー、すなわち中央大陸の消去はしない?
そもそも、消去してしまえと言っていた開発者レイヤーが実は中央大陸だったとはつい最近分かった事でもある。
中央大陸解禁にしたのは分かったが、最終的に中央大陸を消すか、消さないかは別の話だよな。
しかし消さない、それは決定事項?
「……問題無いのか?」
「分かりません、何か問題が起きるかも知れません」
ああ、でもその責任を俺らが背負っちゃいけねぇ、だったな。
しかし開発者レイヤー消去取りやめになった事情は、トビラは完全に開いたとかよくワケの分からない状況と何か関係があるのだろうか?
「中央大陸を八精霊大陸に戻すとは、つまり……消去はしないという意味でもあるのです」
よく分からんけど、上のシステム的にそういう事?
「ですので、僕らも方向転換が必要です」
「デバイスツール受け取らなくてよくなった、とか?」
「いえ、それは続けます。大陸座は今や管理者ではありません。ただ一人のキャラクターに戻っています。デバイスツールという力を手放し、失ってしまえば強制転生もしません。彼らには消滅が訪れる」
神と呼べるはずのものに手が届くって訳か。
神の庭が下界に降りてきたんだ。ようするに、そういう事だよな。
俺は神妙な顔でこの、不思議な森を見上げてため息を漏らす。
「僕らをここに連れてきてくれたのは彼女です」
彼女、つまりあの……純白を纏った見慣れない女の人か。
「誰なんだ?」
「元大陸座、ファマメントのトーナさんです」
成る程、これがそのトーナさん。
よくわからんが、彼女の力添えでレッドらは中央大陸に乗り込んできたって事?
背中に間違いなく純白の翼をつけた有翼人の、トーナさんが振り返る。真っ白い髪に赤い目の、典型的なアルビノ配色なのだが儚いイメージは無い。
間違いなく勝ち気な雰囲気を纏っている。
「ではトーナさん、僕らはこれで」
「少し待って」
お世話になったなら俺からも一言ありがとくらい言わせろよ、とも思ったが。レッド、何故だか少し不機嫌な様子だ。普段顔に出さないだけに露骨である。
……うん?なんか怒ってる?珍しくレッドは声を苛立たせてトーナさんに向き直る。
「何を待つというのです、貴方は貴方のつとめを果たした。僕らは今から貴方の尻ぬぐいを行いに行くのですよ?緊急性を有するものです。違いますか」
「……分かっている、でも時期に私もここから消えるから、その前にこの人と決着をつけたいの」
それ僕らに関係在るんですか、みたいな顔してるぞレッド。
トーナさんは勢いを失ってそのままゆっくりと、剣を地面に突き刺し突っ立っているギルを振り返った。
「約束通り、貴方に影は返した」
「……違うだろう、こうじゃない」
ギルは歯ぎしりし、自分の胸を押さえるように一歩前に踏み出して吠えた。
「それに、俺は約束を果たしていない!俺はギガースを倒せなかったんだぞ!?サービス過剰だろう、迷惑なんだよ!」
「いいえ、貴方はちゃんとギガースを斬ったわ」
その言葉にギルは明らかに怯んだ。
「だから今の状況があるのよ。貴方はちゃんと彼を斬ったの」
「違う、違う!」
「ちゃんと貴方はそれを望んだ。……私がそうやって貴方を選んだのだもの。でもそんな貴方の望みも私の望みも……利用されてしまったのかもしれないわね」
「違う、滅ぼせてねぇんだよ!ハクガイコウ、あれは滅んじゃいねぇんだ!別段ナドゥのやっている事が間違いだと思ってるワケじゃねぇよ俺は!」
「分かっている。……分かっていたわ」
トーナさんは疲れたように視線を落とす。
「私の望みは不当だった、真実が知れて、私は願ってはいけない事を願ってしまった」
一体……どういうどういうご関係なんだ!?
一人空気を読んでいないらしい俺。レッドに状況を説明しろよと無言で突っついてみるが、今大事なトコです大人しくしてなさい、的な視線を返された。
くそぅ、全員状況把握してるっぽいのに俺だけ分かってないじゃん!背に腹は抱えられん、俺は一歩背後に下がってアベルを突いた。小声で状況を尋ねる。
「何なんだ、あのトーナさんは何を言っている?」
「アンタ、少し落ち着いて状況見てなさいよ!」
「うっせぇ、ワケわかんねぇんだよ!」
ナッツが咳払い、黙って俺とアベルの腕を掴んで……少し離れた所へ連れていく。
「ナッツ、あれが……ハクガイコウだよな?大陸座ファマメント」
「ああ、そうだよ」
離れたとはいえ小声でな。彼女らの会話を邪魔しないように。
「ギルと顔見知りなのか」
「それはそうさ、彼に魔王ギガース討伐を命令したのは彼女だ。魔王八逆星が元々魔王討伐隊第一陣だってのは把握してるだろ?」
「もしかして、……よろしい関係だったとか?」
あ、完全に白けられました。
かなり的はずれな事を言ったらしい。
「じゃぁ何なんだよ、あのやり取りは」
「……たとえ話をしよう」
ナッツはため息を漏らし、アベルと俺を交互に見てから口を開いた。
「好きな人が乱心して魔王になったとする」
「…………」
俺とアベルは互いに黙り込んでしまった。
「君らならどうする?」
なんだ、そのたとえ話。
俺は呆れるが、アベルは真剣な顔で答えやがった。
「あたしだったらそいつ、ぶん殴りに行くと思うわ」
「う、確かに来そうだ」
俺は近い未来をつい想像してしまってすでに殴られた気分になって頭を抑えてしまう。
「お前は?」
ナッツは俺に話を振る。えー、俺も答えるのか?……そうだなぁ……。俺は誰を魔王に例えればいいのだろうって、悩むまでもねぇ。レッドだろうな。
ああ、俺もソイツをぶん殴りに行くかもしれない。
いや、すでに一度ぶん殴りに行った事になるんだよな。苦笑いが漏れてしまう。
「トーナさんも出来ればそうしたかったんだと思う。彼女の性格上、出来るならそうしてると思うんだ」
「出来なかったってのか」
「……大陸座だったからね。だから……彼女はその役割をギルに託したんだよ。大陸座という制約の下、バルトアンデルトのギガースの元に直接駆けつける事が出来なかったんだ」
ナッツは視線を眇める。
「でも同時に……自分の手で決着をつけられないという事に迷いもあったんだろう。どうしても、彼女は直接ギガースと話がしたかったし、出来ればギガースの望みを叶えたいと願ったみたいだ」
……たとえ話だったな。
好きな人がいて、その人が乱心して魔王になっちまったらどうする?っていう。
つまりトーナさんは…………ギガースが好きだったと言う事か。
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