異世界創造NOSYUYO トビラ

RHone

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12章  望むが侭に   『果たして世界は誰の為』

書の7前半 指さす先『彼女の望む、世界の果てに』

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■書の7前半■ 指さす先 No sense of direction Pointed to your desire

「死霊たル私の存在を、君はどノように、救うのかネ?」
 二頭の馬の頭に釣り合った巨大な腕を差し上げ、エルドロウは俺に笑った。
「……ようするに、存在を認めてやりゃいいんだろ?」
「死ンだ者はかえらなイのだゾ?」
「生き返る必要はあるのか?」
 俺はエルドロウを見上げる。その頭上にある赤い旗の元、歪に存在が許されている事を再確認する。
「あるんだろ、俺達には見えないが学士の城、とかいう所が。そこには死んでも死に切れないっていう、死霊化した魔導師連中の存在を許して、世界から匿っている訳だろう。俺には果たしてそれに生産性があるのかどーかは分からんけどな、」
 大人しく墓に入れておいても大人しく死んでてくれない位、自分の研究に執着している連中を封じて置く場所なんだろう、多分。
「お前らは別に何かを作るためにその頭を働かせてる訳じゃねぇんだろ。あくまで自分のため、自分の欲望のため。自分がやりたいからひたすら何かを考える、解き明かす」
「……学士の城はもう存在しナい」
 そうなのか?俺は目を細め、レッドとナッツを伺う。
「……学士の城は東方方位神ラウェイの住まうとされている所でもあります。しかし、方位神はすでにここ、中央大陸に撤退している。」
「学士の城は、方位神に替わり大陸座ジーンウイントのキシさんが後を継いでいたそうだよ。でも、そのキシさんもデバイスツールを手放してここに退避している。……多分、エルドロウの言っている事は正しい」
 方位神の存在によって開発者レイヤーに近かった学士の城とやらを、大陸座のキシが維持していたといった感じか。でもそのキシがデバイスツールを手放し中央大陸に戻っているなら……学士の城は解体され、今東方大陸には路頭に迷った魔導師の幽霊がうろついているという訳か。
 成る程な、ははは、都合が良いじゃねぇか。
 俺は笑ってエルドロウを再度見上げた。
「なら、お前が次の学士の城を作ればいいじゃないか」
 俺の言葉にレッドが、ちょっと驚いた顔で俺を振り向いた気がする。
「………」
「居場所無いなら作ればいい、ほら、都合の良い土地もあるぞ。ここしばらく中央大陸は誰のものでもない。お前は死霊の町でも作って、生きる屍に市民権を与える町でも作ればいい」
「……簡単に言ってくれるナ」
「努力をしろと俺は言っている。他人に頼ってんじゃねぇ、お前、いつまでもナドゥに頼りたくねぇんだろ?」
 どうにもエルドロウはナドゥに足元見られてて、奴の言いなりになってる所があるんだろう。
 というか、多分……ナドゥしか認めてくれないんだな。エルドロウが存在出来る居場所。
 魔王八逆星だが、エルドロウは滅びたいんじゃない。お前が俺を滅ぼしてやる、は受け入れられないのだ。それで喜んでくれるのは滅びたいギルとか、インティくらいで全部が全部ああではないらしい。
 一つ抱える願望を把握し、存在を縛り操っていたのはナドゥだろう。
 そしてそれもナドゥが抱く何らかの目的の為であったりするらしい。
 世界平和、そういう建て前の奥に仕舞い込まれた根本願望を叶えるためにナドゥは分裂し、暗躍している。
「俺が、いや。俺達がお前の存在を認めてやる」
「勝手に意見を纏めないでください。せめて多数決取って頂きたいですね」
 しれっとレッドが隣でツッコミを入れてくる。
「煩いぞ、リーダーである俺の意見に逆らうのか」
「不当であれば文句は言います」
「不当か?」
 そのように振り返るにレッド、苦笑して肩をすくめて見せる。どうやら言葉ほど俺の意見に反対、と云う訳ではなさそうだ。いや、むしろ乗り気だからこそ具体的な事を詰めようと話に首を突っ込んできたと見える。
「魔導師の立場的には、第二のエルドロウを輩出しない為にも……魔王八逆星という存在を許さない方向になるでしょうねぇ」
「天使教の教義としてもまぁ、死霊は悪しきと教えてる訳で、それは西教も同じだ。魔王連中が死霊に近いとするなら、それを見逃すのは色々と問題があるねぇ」
 そう言いつつもナッツ、深刻な顔はしていなかったりする。
「そもそも、恨みを抱きながら死ぬなと西方では教えているはずだよ、魔導師が未練を持って死霊として三界の解放を拒否するのは、教義的に拒否するのって難しいんじゃないかな?思いが歪んで怨みになるなら問題だけど……学士の城は、魔導師の未練を歪ませないために在るべき機関だったのかもしれない。今後も何らかの形で必要なのでは?」
 ナッツはレッドを向いて言った。レッドもまた、頷いてこれに応える。
「僕は、エルドロウの立ち位置を目的にしてもいいかなと思っていたりしましたね。もはや魔導師の本来の立場になど拘りませんし、むしろ邪魔と思い始めていた所です。……とするなら正直、貴方の提案はありがたいものかもしれませんね」
 そう言って、俺に目配せし、ナッツも笑って頷く。
「教義はどうあれ、それで最終的に魂が救われるなら僕は強制的な調伏はしなくても良いと思うよ。……あれ、結構リスク高いし」
 ……つまり、俺の意見に文句ねぇって事だよな?
 ウチの軍師連中がOK出してしまえばこの提案、通ったも同じだ。死霊に悪いイメージを抱いているのは……。
 振り返るに、テリーだけが怪訝な顔だな。
「マジで言ってるのか?」
「……お前、天使教ガチガチだもんな」
 見ろ、天使教最高神官なんかえらく簡単にOK出したんだぞ?何をうろたえてんだ?あ、そんなに幽霊が怖いんでしょうかね?そんな弱点があるとは知らなかったが。
「前向きに考えちゃうなぁ、そうかぁ……死霊を苦労して退散させずに受け入れてくれる所があるなら天使教としては手間が減っていいかもなぁ」
「そんな事したら政府は喜んで天使教の権力削りに乗り出してくるぞ?」
 ……違った、テリーは幽霊が怖いんじゃないのか。
 多分、もっと複雑な事を危惧している。
「……いいじゃない」
 テリーの言葉にナッツは笑う。
「僕は元来、天使教のあの政府を傀儡化しようと目論む上層部の腐りきった連中は好きじゃないし」
「それでも、天使教の影響力がなければ政府の暴走は誰にも止められなくなる、俺や、ランドールが!」
 死霊の存在を『許す』事で、ファマメントのパワーバランスが崩れる事をテリーは察し、杞憂したんだな。
「ねぇテリー」
 ナッツはやんわりと腕を組み、微笑む。
「ヤトは努力しろって言ったよ。他人に頼ってばかりいるなって。僕には耳が痛い言葉だよ。僕は、他力本願だった。トーナさんの影響力に引きずられてなんとなく天使教幹部を続けているような状況だった。……望めばもっと強い影響力を僕自身で持てるのに。僕はそれを望んではいけないと、そう思っていたってのもあるけど……でもそれって、やっぱり逃げてるよね」
「……何が言いたい」
「君は正規のウィン家当主なんだろう」
 そんな事をナッツ、確かに言っていたな。
 テリーの口からは一切そんな事聞いてない。きっとバラして欲しくない事なのだろう、怒るかと思ったが……テリーは目元を顰めて地面を睨む。
「そろそろ戻ってこないかい?」
「……俺にも力があるだろと、そう言いたいのか?」
「努力しようよ」
 苦笑気味なナッツのその言葉に……テリーは深くため息を漏らした。
「正直僕も国を見限っている所はあるよ。でも、ファマメント政府の中身をどうにか出来るなら努力してもいいかもしれない。僕は何も自分の力ではやってこなかった。……努力か、今ならそれをしても良いと思っている。全体的なバランスで現状維持を望まないで、根本から、良い方に変えればいいじゃない。……君自身の事もだ。ファマメントの状況が改善するなら僕は、惜しみなく協力するよ」
 ナッツはテリーに笑いかける。
「もうそろそろ帰っておいでよ。何時までも逃げてちゃライバルから笑われちゃうだろ?」
「お、笑って欲しいのか」
 挑発ドコロと察した俺にテリー、露骨に嫌な顔をする。
「そこまで人生似てると流石に嫌なんだけどな」
「なんかよくわかんねぇけど、ようするにテリオス君にファマメント国のマツリゴトに戻って来いよとナッツは言ってるんだろ?」
「……お前、俺に政治が出来ると思うか?」
「思わない」
「即答すんな」
 しかしテリーは笑っている。頭を掻きながら軽く舌打ち。
「無理だよなぁ、とは思っているが。やんなきゃいけねぇなら……努力しろよ、か……」
 そのまま頭上のエルドロウを伺う。
「とはいえ、ナッツ皮算料もお前の返答しだいだがな」
 テリー俺を親指で示しながら呆れぎみに言葉を続けた。
「コイツは何でも物事を簡単そうに言いやがる。……お前には死霊を束ねる意思と技量があるのか?」
 エルドロウ、ため息を漏らして笑った。
 馬二頭の大きな口と鼻から、深く長いため息を漏らして、大きく口角を上げた。
「適わヌわ」

 瞬間、黙って状況を見守っていたGMが動く。

 両腕の鎖を目の前のエルドロウに投げつけた。しかしそれをエルドロウは両腕を交差させて物理盾を発生させ防いでいて、そのまま背後にふわりと逃げる。巨体の癖に、重さがないような動きだ。
 と同時に頭上のGMがバランスを崩す。

 エルドロウが張っていた結界が解けたんだ……!

 GMが落ちてくるのに俺達は飛び退く。
 対するエルドロウ、巨漢の癖にふわりと見えない羽でも纏っているみたいに地面に着地した。なんつーか、浮遊術みたいな感じな。
「では、私の存在を救っテ貰うとしよウ」
 説得は成功。だがしかし。
「魔導師ってのはどいつもこいつも、こう節操ねぇ生物なのか?」
「なんで僕に同意を求めるのですか」
 レッド、にっこり笑いながら言うな、その真っ黒い胸に手を当ててよっく考えやがれ!
 俺は剣を引き抜き、わざとエルドロウに向けてみる。
「俺が、こうする、という事を疑ったりしねぇのかよ?」
 笑う時だけは馬なのだ。エルドロウ、ぶるると巨大な唇を振るわせて笑った。
「お前ハ、嘘を付ける性分ではなイと見る」
 俺の向ける剣に殺気が無いのは察しているんだな。俺も笑って剣を引き戻した。
「嘘を付かないって美徳だなぁ」
 隣の嘘吐き魔神に向けてわざとらしく言ってみるぜ。
「必要な時に嘘の一つも言えない、そういう貴方のために僕は嘘をつくんです」
「俺は頼んでない」
「ええ、別に頼まれてません。僕の都合です」
 ああいえばこういう。
 俺は、レッドとの会話に疲れ……静かな殺気をこちらに向けてくるGMに向き直る。

 俺が剣を抜いたのはこっちに向けて、だ。

 長い前髪の隙間から、俺と同じく緑掛かった瞳がこちらをじっと睨み付けている。
 突然エルドロウに攻撃したり、何かイライラした雰囲気を必死に押さえ込んでいるように俺には思える。
 剣を上段に構えるに、これに仲間達が倣った。
「どうした、何か言いたい事でもあるのか?」
 どうにもGMの性根が悪そうなので俺は、この仕合わせた仲間達を誇り、必死に押さえ込もうとしている感情を煽ってやる。

 ようするに、こういうの全部気に入らないんだろ、お前は!

「……くだらない」
 GMは呟いて両手の枷からぶら下がる長い鎖を軽く引き寄せる。その動作によって腕に隠していた短いナイフを両手に握った。
 流石にそのながーい鎖だけが武器じゃないんだな。
 もっとも、これを効率よく操るだけでも立派な武器になるだろう。
 時にこうやって手元にあるものだけで戦闘を辛くも勝利する、という事もあり得るとして訓練はひたすら受けている。戦闘は闘技場だけに限らず、日常で突然仕掛けられるなんて事もよくあったので、今は振り返って有り難く思っておきます。
 ……GMの鎖捌きは相当に注意が必要だ。
 あれが俺なら、上手くそれを『武器』として使いこなしてくるだろう。
 慎重に対応を考え構えた俺だが、……ん?なぜかテリーが構えないで隣に突っ立っている?俺の視線を受けて少し遅れて拳を固めたが、本気で構えてない感じがするな。
 奴の性格的に、情で手を緩めるような事などしないと思うのだが。
「……お前なんか居ても、居なくても俺には関係ない」
 何かを呟き、GMは両腕を大きく振りかぶる。
 長い、恐らく身長の2倍以上はあるだろう長さの鎖を全て空中に引き上げあたりの細い木々の枝をへし折った。
 それが左右から大きな範囲で叩き付けられてくる。土を抉りながら迫るそれらをレッドの氷の盾が、ナッツの物理防御壁が辛くも跳ね返す。
 両手の鎖を重りにしてGMは宙を舞っている。
 マツナギが遠慮無く射った矢は短剣でたたき落とし、鎖を引き戻しながら俺とアベル、テリーの近辺に無遠慮に着地、長い鎖に巻き込まれるのを敬遠し散会する俺達。
 しかし近距離で迷い無く、GMは俺に向けて左の鎖を叩き付けてきた。
 それでも真っ先に滅ぼしたいのは俺か。まぁ、そうだよな。
 上手い角度だ、避けるに避けられない絶妙なバランスで投げ出された鎖は、叩き落とすしか手段が無い。一刀両断しようとするもその瞬間を見逃さずGMは鎖の勢いを緩める事で鎖による打撃をキャンセルする。
 中空に漂うものを叩っ斬るのは難しいんだぞ。舞い落ちる木の葉をまっぷたつにするようなものだ。対象が強い力を帯びていれば、サガラの最強硬度を誇る刃でもって叩き付けられてくる力を逆に利用し、切る事は出来るだろう。
 がしかし、俺には舞い落ちる葉を斬るような真似は出来ません。サガラの剣はどっちかっていうと斬る武器だと前に言ったが、クオリティ的にはリアル日本刀よりは劣るだろう。多分、もっと斬るに特化した剣なら落ち葉切りとかも不可能では無いだろうが……。
 鎖が叩きつけられてくる勢いが消され、のれんに腕押したように俺の力は受け流されてしまった。
 その後に、鎖は遠慮無く剣に巻き付いている。
 引き寄せられる。今、強い力が再び鎖に宿っているのを悟って拮抗しようとしたがその途端、計ったように再び鎖は緩んでGMの手元に戻っていく。

 くそぅ、流石俺、やり辛ぇ!

 GMはそのまま立ち位置を変えて……鎖を引き戻しながら背後に逃げた。

 ……逃げる?

「ヤト!あいつは逃げるぞ!」
 テリーから言われ、そうだ、俺、こんな多勢に無勢だったら遠慮無く、体勢を立て直す為に逃げるよな!
 それをテリーさんたら最初から察していたから構えないでいた訳かよ!早く言え!

 引き戻っていく鎖を踏んづけようとしたが失敗する。肉を削がれてもいいから掴もうとしたがこれも失敗。

「待ちがやがれッ!」
 GMは鎖を手元に巻き付けながら今は、遠慮無く背中を向けて全力疾走で逃げ出した。
 背後でヘタに追いかけては行けません、とかレッドが制止する声が届く。
 その言葉に、一瞬追いかけない方が良いのか、と思ったが……その途端、俺の隣をアービスが走り抜けた。
 重い鎧をものともせずGMを追いかけようとするアービスが居るのに俺は、立ち止まるわけにはいかないよな。
 一瞬足を止めたがやっぱり追いかける事にするのだった。


 遅れてアベルが俺に追いついてくる。
 で、俺の隣を走っている。

「おい、お前ならアレに追いつけるだろうが!さっさととっつかまえろ!アービスが追いつく前に……」
「捕まえてどうするの?」
 俺が全力疾走だというのに涼しい顔で、隣を走りながらアベルは……少し目を伏せる。
 俺は、今更弱気になっているアベルに一括。
「俺は認めただろ、ちゃんと。お前に言った!GMは俺だったって、分かったよ俺ってば逃げてたよ!認めるよ、あれは俺だ、俺でした!だからあそこにいるのはGMじゃない、GMは、ヤト・ガザミは俺だ、あいつじゃない!違うのか!?」
 走りながら怒鳴るもんじゃねぇな。
 途端首根っこを掴まれた感覚に更に息が詰まる。マントが引っ張られ首を圧迫したのだ。
「ぐ、ぇッ!」
 足が宙を浮く。
 アベルの怪力に掴まれ、俺ではすでに地面を蹴っていない事に遅れて気が付いた。
 まるで空を跳ぶように一蹴りで、低く地面を滑空しアベルが凡人には体感しようがない速度で走る。というかこれは、もはや飛ぶ、に近い。
 あっという間にアービスを追い越した。驚いたアービスの顔が呆れたのを見送り、俺は顔を前に戻す。
 遠くなりかけていたGMの背中がぐんぐん近くなる。GM、明らかに俺より足早い。装備の違い?いや……ポテンシャルの違いなんだろうか?
 アベルがものすごい勢いで近づいてくる事に気が付いてGMがこちらを振り返る。
 無遠慮に投げ出された右の鎖を避けるためにアベル、急ブレーキ。引きずられている俺にはかなりきっつい。
 さらにそっから急転換、俺を引っ掴んだままアベルは鎖を避けてから再び大地を蹴って超加速。やっぱり俺には相当にきつい。しかしそこからまた攻撃をしかけられてきて、アベルは俺を掴んだままで身をさばくのを諦めたようだ。
 俺は、そのまま草むらに投げ出されて受け身なんぞ取っても意味がないというように転がって藪に突っ込むハメに。
 しかしアベルはそんな俺の惨状に構っているヒマがなく、左の鎖を投げてきたGMと渡り合う為に納めていたサーベルを引き抜き……怪力でもって鎖をはじき飛ばしていた。
 うぁ、刃の悲鳴が俺には聞える。
 怪力はいいが武器の性能はそのままだからな。絶対今サーベルの刃ぁ欠けたぞ。剣の扱いがぞんざいすぎる、俺は藪にはまった足を引き抜き、絡まったマントを引き剥がす。その間にも戦局はめまぐるしく変わる。
 地面を抉る右の鎖を避けるためアベルが跳ぶと、左で引き戻し立て直した鎖で絡め取ろうとしてくる。アベル、器用にも叩き付けられた鎖を足で蹴り上げて中空で二段ジャンプ。人間技じゃないですって、アイツ人間じゃないんだった。
 空中で一回転してGMの頭上からサーベルを構えて落ちていく。
 GM、鎖を引き戻すのは間に合わないと判断し短剣を構え……頭上から飛び込んできたアベルを受止め、勢いを殺すためにしゃがみ込み、なんとか耐える。俺なら引き倒されてる状況だぞ……?
 そうか、奴は改めて怪物と名乗る通り、完全に暗黒比混種、という魔物化現象を受け入れているのかもしれない。あの長ったらしい鎖、相当な重量があるはずだもんな……。
 しゃがみ込んだ所立ち上がり、アベルを突き放す。
 素早くアベルは地面に着地、即座GMと距離を取らずに斬り掛りに行った。
 その判断は正しい、あの武器は形状の関係、超近距離戦に持ち込んだ方が断然に優位だ。
 ようやく藪から抜け出し、俺は投げ出された時身の安全から一時的に手放した武器を拾い上げる。
 俺が参戦してきた事に気が付いてGM、軽い腕の動作でもって寝かせてあった鎖を操り俺を牽制してきた。怖くなんかねぇぞ、俺は今度こそ左の鎖の中途を踏み込んで、押さえ込んで……剣を叩き付けて鎖を切り離した。
 バランスを崩すGMの、左の胸ががら空きになる。俺だったら遠慮無く急所を狙い、武器を刺し込んでいるだろう。それだけにGMはようやくそこで焦りの表情を見せた。
「あんたでも死ぬのは怖いのね……!」
 アベルのサーベルの一撃は……ちょっとだけ遅かったな。判断が素人だ、本職剣士じゃないから仕方がない。それでGMは急所を辛うじて避け、脇腹を切り裂かれるだけで右に転がり逃げた。
「……なんだよ、またお前が俺を殺すのか?」
 卑劣だぞGM、アベルの弱点を的確に突きその感情を弄ぶ事で危機を脱しようとしやがる。
 アベルはどんな顔をしてるのか、俺の立ち位置からは後頭部が見えるだけなんだよな。これ以上相手させるのも辛いだろう、もういい俺がやると肩を叩こうとしたが、伸ばした手は空振りしている。
 アベルは素早く前に出て今度は遠慮無く。
 脇腹を切られこっちの動きを卑劣な言葉で止めようとしたGMの胸にサーベルを一刺し。
「残念だけど。もうあたしはそれ、認めてるの」
 それを止めようとしたGMの手は、遅かった。そんだけアベルの踏み込みが人間離れしていたという事だ。
 胸に突き刺さった細いサーベルを今更に掴み、血がしたたり落ちるのにぬめり、滑り落ちる。
「……迷いなんか無い。そうよ、貴方を殺したのは私だわ」
 アベルは静かにサーベルを引き抜く。GMはそれに引きずられ、項垂れた。
「く……ッ散々迷って、何も出来ずに、どこにも行けずに……」
 GMの呪詛を受け入れて、アベルは握っていたサーベルを取り落とした。
 ……俺が慌てて駆けつけるとその横顔は……少し悲しそうで。何と言って良いのか。
 俺も黙ってGMを見下ろしていた。
「そう、そうやって……私が未熟だったから貴方を殺したし、エトオノを没落させたんだわ。あたしは知ってた。誰かの所為じゃない、新聞に書いてあった真実なんてどうだっていい……それでも、エトオノをツブしちゃったのは私の所為なの知ってた」
 認めたくなかっただけ。認めるのが怖くて逃げ回っていただけ。
 そう言って……倒れたGMを抱きかかえる。
「あたしが一人我慢すればよかったの。ただそれだけで、多くの人が不幸にならなくて済んだのに、」

 ……アベルはエトオノの跡取り娘だ。婚約者がいた。

「我が儘を願ってしまった」

 でも、その婚約者の事がすんげぇ大嫌いで。大嫌い、それだけの理由で……

「強い立場で、弱い人を沢山踏みにじったの」

 立場を捨てて、どうしても結婚をしたくないと言い張った。
 そうする事で自分の家が、そこで暮らす多くの人が迷う事も厭わずに、顧みずに。親が悲しむのも構わずに。

「そういう事をする自分が一番嫌いだったのに……!」

 ……アベルは逃げた。逃げようとした。
 俺の、助言に従って。
 俺は、目の前で血を吐いて笑うGMに重なり合う。

「……アベル」
「あんたが、例え私を好きじゃなくても、立場を利用するだけでも、何でもいいから……弱い私の側にいてくれれば良かったのに」
「……俺は、それを、断ったよ、な」
 俺もやっぱり逃げたんだ。自信がなかったんだ。
 幸せにする自信が無くて釣り合わないと信じて、俺は好きという感情をどうしても持てなかった。愛しているんじゃない。
 大切だと思うだけだ。
 何しろ俺は愛する事が出来ない。そうする自信がないし、そうする資格もハナから無い。
「あんたは私の為に、自分の手を汚しても良いって言ってくれた。けどあたしはそれも嫌がったわ、嬉しかったのに、あたしはそう言ってくれたアンタの気持ちに縋るだけで何もしなかった。……もう沢山よね、当然よ」
 咳き込みと一緒に血を吐き出し、GMは手を伸ばしアベルの肩を抱く。
 ……俺は……目の前にいる自分のもう一つの姿を見下ろしていて、僅かな感情の変化を感じとる。
「……最期にあたしの所為で命を落とすんですもの」
 理解される思い。

 それを、俺は……素直に受け取る事が出来ない訳じゃない。
 でもそれは、嬉しくなかった。
 マツナギに抱き留められた時に感じた息苦しさをリコレクトしている。

 それはどっちかっていうと、なぜ今更という幼稚な思いに入れ替わり、重く心を押し潰す。

「……ああ」
 低い返答を返したのは俺じゃない。
 同調が解ける、俺はヤトとして覚醒し顔を上げた。
「アベル、……離れろ!」
 肩を掴んで引き剥がそうとしたが抵抗される。GMの左腕が強くアベルの右腕を掴み込んでいる。
「嬉しいよ……運命は覆らない。ソイツに殺されるよりだったら俺は、お前に殺された方がいい」
 アベルを掴むGMの腕から蔦が伸びる。
 忘れてた、そうだ、GMが俺なら奴にも、こうなる可能性は在るじゃねぇか……!
「でも俺は死にたくなんかねぇ」

 ひたすらに生きろという生命の根本願望が叫んでいる。

 自殺をする生物というのは限られている。自らの意思でもって誰の糧にもならない消滅を願うのは、心という機関を持って、自分の存在に悩むモノだけなんだ。
 びしびしという怪しい音を立て、アベルの両腕を掴むGMの腕から蔓が伸びて締め付ける。
 それを引きちぎろうとアベルが必死の抵抗をしている。怪力で左腕は引きちぎったがその反動を利用してGMは右の鎖を投げつけた。鎖がアベル腹と胸に食い込んで絡みつく。
「側に居たいんだろ、逃げるなよ、こっちに来い」
 低く囁くGMの声が笑いに震える。
「特別に許してやってもいいぜ、俺の側で今度はひたすら搾取してやるよ!」
 アベルが苦しそうに呻いたのに俺は反射的に剣を振り上げる、しかし何時の間にやら背後に迫っていた蔓に押さえ込まれてしまった。
 剣を握った両腕ごと自由が奪われ、俺はそれに必死に抵抗したが一瞬、その下で笑う俺の顔が目に入って抵抗を止める。
 両腕をひっぱられる、その力に拮抗する。

 嫌だ、アベルがきっぱりと拒否の叫びを上げている。

 やめろ、触るな、俺の大切なものに不用意に俺の手で触れるな!

 それを触って良いのは俺が許した人だけだ。
 俺は、許されていないんだ。
 俺は、それに触れてはいけないんだ……!

 その声は叫びにならず、視線に乗せて投げつけた。きっとそれだけで奴には通じている。
 何しろあれは俺だ。
 俺が何を思い、何を欲し、何を忌避したいのかなんて手に取るように分かるに決まっている。

 人が嫌がっている事を嗜虐的な笑みを浮かべて実行しながらGMは低く唱える。

「嫌か、……ならその思いを許してやる」
 世界に一人だけの世界の王として傲慢に、自分の世界に存在するものを選択する。
「心の自由を許してやる」
 引っ張られる、抵抗する。
 同時にあれは俺であったりもする。だから、俺に何をさせようとしているかわかるんだよ!
 俺は抵抗するぞ、死んでもこの剣を振り下ろす事は出来ない……!
 今蔦に抑え込まれているが俺は、この剣を真っ直ぐ下に振り下ろす様に仕組まれているのを悟っている。際どいバランスで抵抗しているんだ、手放されたら勢いで切り降ろしてしまう。かといって力を緩めれば容赦なく体そのものを捉えて操ろうと蔦が侵入してくる。
「ただし、それ以外は俺のものだ」
 必至になって抵抗しているが、どーしようもない力の差があるのを俺は理解できない訳じゃない。
 悔しいが俺の方が弱い。俺は……たぶん、弱さを選んだ。

 逆に、奴はとことん強さを求めたのだな。
 力の差があるのは当然だろう。致命的な差だ。
 まずいぞ、俺一人ではこの状況を脱せ無い……!目を閉じた、観念したわけじゃねぇ、無いアタマで解決策を探してんだ!
 ……その時、一人で何でも解決しようとするな、という親友の言葉が脳裏に思い出される。
「助けてくれアービス!」
 叫ぶより早く、ようやく追いついて来たアービスの剣が俺を縛り込んでいた蔦と枝を切り裂きながら飛び込んでくる。
 奴は重剣士だ、全身を鎧で固めてあるので盾を持つ必要がない。
 まぁ、だから走る速度は普通だよな、むしろ遅い?
 俺よりも一回り大きなブロードソードを両手に構え、俺の隣に着地した瞬間前に踏み込みアービスは、その大きな剣を振り回す。
 一撃により俺の下半身を捕えていた蔦を切り裂きそのまま、GMの頭に向けて一刀両断……すると思ったが、抵抗されたな。下まで振りぬいたと思った剣はGMの額に届くギリギリで止まっている。奴の両腕から伸びた巨大な枝が交差して剣を止めている状況だ。
「アンタに恨まれる筋合いは無い!」
 GMが吠えたと同時に剣を止めている枝から細い鋭い枝が何本も突き出し、俺の前に出たアービスを突き刺した。いや、サガラの剣が打ち負けた黒亀製の鎧に弾かれ、多くの枝の軌道がずれたり、折れたりている。
 しかし何本かが鎧の隙間に入り込んで鮮血が飛び散った。アービスは微かにうめき声を漏らしている。
 ……目の前にアービスがいてくれなかったら俺、多分串刺しで即死の状況よな……。
 低いうなり声のようなものを漏らし、アービスは一瞬剣を上に浮かせ渾身の力を込めてもう一度振り下ろそうとする。
 いや、待て!
「アベル!」
 俺の叫びの意図を全く察しない、そういう人ですよねお兄さん貴方は!
 アービスは止まらない。GMはアービスの一撃を今度こそ受止め損ね二つの太い枝をへし折られた。GM本体がとっさに俺から見て左に逃げようとしたが間に合わず、肩口に切っ先がのめりこんでいる。
 痛覚はちゃんと備わっているらしい。獣のような唸り声を上げて噴き出すはずの血の代わりに蔦が溢れだす。
 アベルが左地面に投げ出されていた。

 ……?
 あれ?GMは……アベルを逃がした……?

 何かのしぶきが俺の頬に掛かる。血だ、これはアービスの血だ。
 剣を引き上げて吠える……アービス、この状況は『怒りに我を忘れている』か……!?
 3度剣を引き上げて……今にも打ち下ろそうとしているのを見てアベルを掴んで転がり逃げた。
 絡め取られていたアベルの体を俺が、GMから引き抜くのと、アービスが剣を地面まで打ち下ろしたのは寸の差だったろう。
 死にたくない、そんな聞き取りにくい叫びと同時にGMの姿は歪み、黒い影になってアービスに襲いかかる。
 伸ばしていた枝も、蔦も影のように黒くなり立体感が失せ、黒い鎧のアービスを覆い隠す。
 影が溢れる。
 血の替わりに黒い影がぶちまかれ、蔦が早送りで伸びるように辺りに広がった。
 しかし不思議な事にそれらは見事に俺を……というか、アベルを避けてる?

 ……覚えがある。
 思い出せ、これは……俺が、タトラメルツで完全に暴走した状況と同じだ……!

 背後にまだ逃げるスペースを発見して俺は、アベルを引きずり走り出した。
 飲み込まれたら『破壊される』!
 つんのめりながらなんとか気を失っているアベルを担ぎ、追いかけてきた仲間達の所へ急ぐ。
 遅れて追いかけて来た中では断トツに移動スピードが高いマツナギとナッツが飛び出してくる。
 背後なんて振り返っているヒマねぇ!とにかく空を飛ぶナッツが差し出した腕にアベルをねじ込み、その動作で姿勢制御が崩れた俺をマツナギが支え、そのままマツナギは俺を掴んで跳躍。
 お世話になります、俺ってば走るのそんなに早くないんです!
 四の五の言う間に逃げるべきだという事は全員把握しているらしいが……
「いや待て、ここ谷だ、逃場ねぇぞ!」
 と同時に俺は、ここにあるギガースの籠の事を思い出した。
 マツナギに完全に抱えられて移動している俺はようやく背後を振り返る事が出来る。黒い影が生えている木々に遮られ進行はそれ程早くない事を確認した。
「谷を出ましょう」
 レッドはすでに飛行魔法を発動させていた。同じく巨体で空を飛んでいるエルドロウ、頷いている。
「手伝おウ」
「待て、ちょっと待て、ストップ!」
 俺はマツナギの腕の中で暴れ、ああ、柔らかい感触がッ!
「ギガース!」
 を、忘れるなという俺の叫びにレッドが少し素で惚けた顔をする。
「……あ」
 忘れてんじゃねぇよ!かわいそうだろう大魔王!
 お前は、ごくたま―にそうやって抜けてるよな!
「そういえばここにいるんでしたっけね、」
「いいじゃねぇか、アレに飲み込まれて死んじまえば万々歳だ」
 テリーが走りながら背後を指す。
 そ、そうかもしれないと一瞬思ったが俺は、イタい勇者サマの思考で思いとどまる。
「エルドロウ、お前、魔王が入ってる籠くらい持って飛べるよな?」
 スゴい魔導師らしいからそんくらいできるよなお前?とけしかけてみる。
「……私にアレを運べト言うのかネ?」
 ……そういや、魔王八逆星はギガースに近づきたくないんだったな。
 ええいッ!
「レッド!」
「はいはい、逆らいませんよリーダー。エルドロウ、転移扉で空間転移させますのでどこか安全な所に用意しておいてください」
「……心得タ」
 魔導師同士、作法とか確認するまでもない事らしい。
 俺はマツナギと別れ、宙を飛んでるレッドに捕まりギガースがいる崖下へ急いだ。
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