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本編後推奨あとがきとオマケの章
番外編短編-5『嫁にキてもいいですか』
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裏ページ □ ○date : ナッツさんは公認、心の嫁 □から分岐しました
番外編短編-5『嫁にキてもいいですか』
お互い示し合わせていた訳じゃないんだけど、たまたま上京予定が次期的に同じで、久しぶりに会ったら一緒に上京しようって事で意気投合になった。
慣れない環境で一人暮らすのは心もとないのは誰だって同じだ。
そうやって東京に出てその年のクリスマス、クリスマスだという事をゲーム画面の中で味わっている俺は、一応成り行きでケーキと酒という最悪な食い合せをやらかしながら…………ヤトん家にいた。
困った事に男ばかりの二人きりクリスマスだ。
いや、クリスマスというのは関係なく、こうやっていつもの通り一緒にネットゲームしてただけなんだけど……。
たまたま俺は会社の付き合いで良い酒を手に入れたので持ち寄り、ヤトもバイト先で予約させられたというクリスマスケーキを持って……仮想世界でクリスマス一色に飾り付けられた様子を空しく眺めながら、いたしかたなくクリスマスというものを認識せざるを得なくなっていたりして。
「お前は特に誰かと予定とか、なかったのかよ」
自然と話はそーいう方向になってしまう。
俺たちはただのゲームバカだけど一応、男だし。
「無い、今日の定例がクリスマス特例で無くなったのに嫉妬の炎をたぎらせてるトコだ」
ケーキ半分にぶったぎったのをもくもくと食べながらヤトはぶっきらぼうに答え、ひたすらゲーム画面を眺めている。
「何当然の事聞いてんの」
「この所忙しくて、定例が休みになったの分かってなかっただけだよ」
MMORPGゲームをするに、よく俺はヤトん家に上がりこんで一緒に定例と言われるゲーム内の集まりに参加している。
決まった曜日に行っているものなんだけど、今回たまたまクリスマスにぶつかり、クランの仲間達はクリスマスに用事があるとかで欠席が相次いだ。それで、クランリーダーのコピさんがキレてクリスマス一時解散宣言が出ている。
コピさんはキレついでにクリスマスシーズン、オンしないとまで宣言しちゃってね、クラン仲間うちでは冗談交じりに封印期間とされて、クラン仲間達のオンライン率がやや低い。
コピさんがキレる気持ちは分かる方だけどさ、しょうがないだろう。ウチのクランは妻子持ちや旦那持ちのプレイヤーも結構いるんだからさ。
家庭サービスで参加出来ない時だってあるだろ?
まぁ、俺も一人さびしいクリスマスが嫌でヤトん家に来てるわけだけど。
「……あえて聞いてなかったけど、今年正月どうすんだ?」
俺は持ってきた焼酎を開けながら尋ねる。
「実家帰るのか?」
「いや、帰らないけど。……久し振りに自宅でゆっくりするつもり」
「あ、じゃぁ久しぶりに俺がお前ん家行ってもいいか?」
「……俺は久しぶりに自宅でゆっくりしたいんだが」
「つまり俺ん家に遊びに来てくれないって事だろ?」
確かに、寂しいからいつでも遠慮なく来て、というこいつのお言葉に甘えこうやって入り浸っているとはいえ……男二人、いつまでもこれはいけないと思うんだけどなぁ。
さびしいんだよ、と遠慮なく甘えてくる親友のおでこを叩いてやる。
「引っ付くな!」
「あ、俺にも一杯」
空のコップを差し出してくるヤトに、俺は……少しだけ注いでやる。度数高いんだけど、まぁ今日は別に他とパーティーは組まないし……酔っぱらって寝落ちになってもいいか。
量の少なさにケチといいつつ、うわツヨ、とかいいながら舐めるようにおっかなびっくり飲んでいるヤト。
俺は結構酒に強いと自覚するけど、ヤトはそうでもないからな。というか、俺のペースに合わせて飲もうとして潰れてしまう事が結構ある。
潰さないように俺がセーブすればいいんだけど……どうにもあるとガンガン飲んでしまう俺。
焼酎1本くらい、とか俺は思っているが、一緒に飲んでいる方はそうでもない。
……。
気がついたらヤトのゲーム操作が大変怪しい事になっている。
チャット打つに盛大に誤爆したり、間違ってシャウトしたり、マクロボタン押し間違えたり。
戦闘中に寝てて気がついたら敵いっぱいリンクさせててタコ殴りにされて死んでたり。
ゲームにならないからオチろと言ったら、ぐだぐだ文句言い始めるし。
酔いを覚まさせるために、寒い外に連れ出す事にした。
ケーキをつまみにしたのは不味かった。どうにも口がさびしくなったのでコンビニで買い出し行ってくるって言ったら、俺を一人にしないでくれとか何とか、ああもぅ。
「寒いなぁ」
「ちょっと、お前何薄着で来てるんだよ。風邪ひくぞ」
「大丈夫大丈夫」
そういって遠慮なく抱きついてくる、この酔っ払い。
「おおい、重くて歩けないぞ」
「寒いんだよぅ」
「だから、上着着て来いって言っただろ」
とはいえ、ここから家に戻すと……そもそもちゃんと戻れるのか、途中で倒れて寝たりしないか、家の戸をあけっぱなしにしたりするんじゃないのか、とにかく諸々心配だ。
……俺が心配するのもどーかとも思ったけどほおっておけない、そんな自分にため息を漏らす。
「離れろってば、人から見られたら恥ずかしいだろ?」
「なんで?」
「なんでって、おい、いい加減しゃっきっとしろよ!」
人通りがある通りに出る前になんとかヤトを引きはがそうとするが、まだアルコールが存分に回っているらしく奴め、楽しそうに俺をからかい始める。
引きはがそうとするとパッと離れ、油断した俺の背後からがっちり掴みかかったり……お前、ほとんどマトモな意識ねーだろ?
そのように暴れていたらぐん、と一層背後にしがみつく重さが増す。
「何やってんだお前ら」
そう言って俺の腰にしがみついてたヤトを引きはがし、遠慮なく壁に叩きつけ抑え込みながら立っているのは……クランリーダーのコピさんだ。
僕らより10歳ほど年上だったりする、商社勤めのサラリーマンなんだけど……真面目な勤務の裏ではとんでもない本性を持つ、元ネトゲ廃人。今は一応昼間はちゃんと会社勤めしているらしいが、その本性は見事に隠しているのだろうな。
一見真面目そうな姿をしているけれど、とんでもない!
この人、とんでもない人なんだよ!
「あ、久しぶりですね」
ゲーム内ではほぼ毎日チャットしているけど、リアルで会うのは月数回くらい。
「おぅ、定例一時解散だから遊びに来てやったぞ。どーせお前らは俺と同じでヒマだろうからな」
そう言って、足でヤトの背中を抑えてビルの壁に貼り付けたままコピさんは……暴れているヤトを見やる。
「なんだ?何飲ませた?」
「……焼酎を少々」
「弱ぇなぁ相変わらず。おらヤト、しっかりしろよ」
そう言って……襟首つかんで引きよせて遠慮なく頬を殴打。
「ん?コピさん?」
「目ぇ覚めたか」
「……そのコート暖かそうだなぁ」
……覚めてないね。
モコモコした羽毛コートを着た、ドSなピコさんにがっちりしがみつく。
……いい度胸だ。
「寒いのか?」
「うん、ちょっと……ね」
「しゃぁねぇな、コート貸してやるから一旦離れろ」
素直に離れたヤトに、コピさん命令。
「じゃ、まずそこに座れ。正坐」
なぜか素直にその通りにしてしまう……ヤト。条件反射かもしれない。
「背筋伸ばせ」
「寒いよコピさん~コートくださいよぅ」
「誰もあげるとはいってねぇ、貸してやるだけだ」
「じゃぁ早く貸してくださいよ、貸してくださいコピ様」
そう言って、土下座が必要なのだろうと日頃叩きこまれている習性に基づき冷たいコンクリの床に座っているヤトだ。
……会うたびに、どっちかっていうとドMなヤトはこうやってドSなコピさんに苛められているんだね。で、その時に叩き込まれた作法がしっかりしみついてるみたい。
「まぁまて、今からあったかくしてやっからよ、」
そう言って、正坐して組んだ上から足を乗っけて行動を制限しておいて、遠慮なく……ヤトの上着を引っぺがすコピさん。
あーあぁ~……。
知らないぞ俺は。コピさんおっかないから俺は、逆らったりしないんだからな。
そんなこんなするうちにどうやら酔いは冷めたようだ。
明るいコンビニ店内に、ヤトは借りたコートをきっちり上までチャックを絞め……蒼白な顔で入店。ニヤニヤ笑っているコピさんに背中を無理やり押されながら、籠を持つように言われ苦しい表情を浮かべようとして、笑えよと頬をなでられている。
……実はコートの下、上半身裸にされたあげく着ていた服で簡易緊縛されてんのな。
籠を持つ手が震えているのは体勢がキツいからだろう。かといって、体を曲げたら決して長くはないコートの背中がめくれて背中丸出し、縛られているのが丸見えになってしまうのだ。
胸の前でそろえている両手は、実は巧妙に隠されているがしっかり縛られている。その両手で握るカゴに、遠慮なくビールやら重いものをぶちこむコピさん。
この人のドSっぷりは半端ないからな……。
おしおきはまだ続く。
「よぅし、レジのお姉ちゃんが空いたから、そっちに並ぼうか」
こそっと背後から囁き、動けないでいるヤトの尻を叩く。
「あと、おにぎりはあったかくして貰えよ」
そう言って万札を動かせない右手指の隙間にねじ込む。
「おつりはしっかり返してもらうからな」
そういって……俺の腕を強引に掴み、俺達は外で待ってるぞと……かわいそうな状況のヤトを中に放置。
外に出て、コピさん満足そうに笑う。
「くははは……あいつ、恥ずかしくて耳まで真赤になって出てくるぜ!」
「相変わらず容赦ないですねぇ……」
「ふん、俺が容赦なくなったらこんなもんじゃすまねぇよ」
ガードレールに腰かけて、コピさんは俺を横目で窺う。
「お前が止めてなきゃあいつは今頃、俺の行きつけの地下クラブで心身ともどもズタボロになってんじゃねぇの?いいかデイト、人間の格付けってのはあるんだ。何度も言うようだがあいつはクズだ」
コピさんは吐き捨てて、コンビニ店内で手が動かせず苦労しているヤトを……少し睨む。
「地下で生きてる奴らにはそれなりの意義や理由がある。それを何一つ持たない奴はクズになるしかねぇ、最低な奴らがいきつく先は破滅だ。俺はクズ野郎は大嫌いだ、どうしてもイジめたくなっちまう。……あいつに社会勉強させてやるつもりだったんだぞ。なんで止めた」
うん、止めた事があるね。
東京出てきて初めてネット友人のコピさんとリアルで会ってみて、楽して大金稼げるバイトを所望したヤトにいいとこ案内してやんよとコピさんが寄ってきたのを……。
俺は、マトモなトコじゃないからやめておけって止めたんだよな。
「……コピさんが言うとおり、多分ヤトは潰れちゃうよ」
「クズなら潰れちまってもそれまでだろうな、とは思っていたがな。居ても迷惑なだけだ。そう思うだろ」
「コピさんはいいじゃないか。強いからそうやって誰かを踏みにじる事が出来るんだろ。俺は……たぶん、全面的にアイツの事こきおろせないから」
「くくく……弱いものを隣に置いてないと安心できねぇ、二流が」
「ほんと容赦ないや」
……否定は出来ない。
俺は、多分ダメな親友を隣に感じる事で、自分はダメじゃない事を確認しているのかもしれない。
「ところで、俺は別にサドを極めるつもりないんだけど」
「何トボケてやがるんだか。お前がいなきゃあれは、俺が貰ってたんだぞ」
コピさんはゲイなのかって?違うよ、単純に男に対しても女に対してもドSなだけ。苛める対象の性別は問わないというもっぱらの話だから……性癖的には両刀なのかな?
「で、お前らどこまで行った?」
「ああ、一応前回落としたレベル分は挽回したけど、調整がキツいかなぁ。絶対この前の調整はおかしいから、そのうちまた修正入ると思うんだけど、それ待ってたらダメかな?」
「何の話をしている」
「何って、……ゲームだろ?」
「ちげぇよ、お前らどうやら夫婦らしいともっぱらの噂じゃねぇかよ」
「コピさん、噂で動いても何もウマい事はないと思うよ」
俺は、にっこり笑って慌てず騒がず対処する。
ここで取り乱してはコピさんのペースにはまってしまう事をよぉく知っているからね。隙を見たらば誰であろうと、ひたすらイジメようとするんだよこの人。
ヤトを隣で見ているからこそ、ああはなってたまるかという意識が俺には、あるよ?
「何言ってやがる、クリスマスに路上で抱きあってる奴らが」
「路上で脱がせて緊縛SMおつかいプレイするような人から言われたくないです」
「ナッツぅううう!」
「ぐわっ!」
胸の前から動かせない両手に、重い袋とお釣りをなんとか握りしめたヤトからタックルを決められ、コピさんからの言葉攻めに対処してた俺はバランスを崩し、枯れて葉の落ちたツツジの生垣に倒れてしまう。
「いたた、いた、どいてって!」
「待って、あたた、動けないんだってば俺!ちょっとナッツ、ちゃんと受け止めてよ俺の事!」
「バカ言うな、突っ込んでくると分かってれば避けてるよ!」
「ひどいよナッツさん~!」
「おいおいヤト、せっかくあっためて貰ったおにぎり潰すんじゃねぇよ」
身動きできないヤトを背後から掴みあげ、取り除いてくれてなんとか俺は起き上がる。
「お釣りもばら撒きやがって、ほら、拾え、残さず拾え。デイト、手伝うな、ヤトにやらせろ」
「ひでぇよコピさん、」
「文句垂れるな、酔っぱらって前後不覚になってたのはどこのどいつだ?デイトが居なかったら危うく俺から誘拐監禁されてるところだぞ?」
「冗談も程ほどにしろよ!てか、屈めないんですが!解いてもらわないと拾えないんですが!」
「違う、解いてくださいだろう。最近の奴らは礼儀がまずなってねぇ。土下座しろ、頭を地面にこすりつけながら俺の靴を舐めろ」
「いい加減にしろよホント、ああ、なんで俺こんな事になってんだよ!」
ようやく本当に酔いが覚めてきたらしい。
俺はため息を漏らし、コピさんから舌打ちされながらもヤトの腕を解いてやった。
もぅ、きつく縛るなよな……。
よれよれになった服を着て、ヤトはコピさんを警戒し俺の背後にしがみついている。
「なんなんだよ、なんでアンタがここにいるんだ?」
「何、どうせ独り身でゲームしているだろうお前にクリスマスらしい飾り付けてもしてやろうかと思ってな。そしたらなんだ、二人でいちゃつきやがって」
「いちゃついてなんかいねーよ!」
バカだなぁ、反抗したらますます面白がって苛められるぞヤト。
「どうだ、暖まっただろう」
「バーカ!コピさんのバーカ!ドエス野郎!」
「そんな褒めたらご褒美やりたくなるじゃねぇか」
と、言って拳を両手で握って鳴らすコピさん。
「帰ろうぜナッツ、寒いよマジで」
「薄着で出てくるお前が悪いんだろ?」
その通りだと、ヤトはバツが悪そうな顔をしている。
「とにかく、俺先帰ってるから!」
「じゃ、後でゆっくり旦那と一緒にうかがうぜ」
そういって、コピさんわざとらしく俺の首に手を回す。
「ああ?……何言ってるんだ、コピさんはうちに出入り禁止!鍵かけてやる」
「じゃぁ、デイトも入れないな……。よぅ、たまには一緒に飲みにでも行くかデイト?」
「いいね、そうしようかな」
コピさんも結構酒強いらしいけど、俺も結構強い自信あるからね?一度酔いつぶしてなんとかこの人の弱みを握るのもいいかもしれない。
「えええ~」
一人寂しいのヤダというのを露骨にヤトが非難の声を上げる。
コピさん、ニヤニヤ笑って目を細めた。
「旦那取られてやきもちか?」
「旦那って何だよ、わけわからん」
「お前デイトん家に嫁に行くんだろ」
ヤト、酒は抜けきったと思うんだけど。
「え?嫁に行ってもいいの?」
……それってわざと惚けたのか?それとも、素なのか?
俺は素で返すけどな。
「男の嫁は要りません」
「冗談の通じねぇ奴だなぁ」
と、コピさんはヤトに言ったと思うのだけど。
「だよな、こいつカタすぎると俺も思う」
「ほほぅ、そいつは初耳だ。やる事はやってんじゃねぇか」
「俺はいたってノーマルなだけですよ!」
「いいじゃねぇか、男だったらどーんと構えていりゃいーんだよ」
「ぶっちゃけ、俺、ナッツん家なら嫁に行ってもいいけどな」
「……だから、お前ら話かみあってないから!」
END
そして、懺悔を読む というオマケがありました
再び分岐の為、読みたい方はおまけ裏裏ページに移動してください
番外編短編-5『嫁にキてもいいですか』
お互い示し合わせていた訳じゃないんだけど、たまたま上京予定が次期的に同じで、久しぶりに会ったら一緒に上京しようって事で意気投合になった。
慣れない環境で一人暮らすのは心もとないのは誰だって同じだ。
そうやって東京に出てその年のクリスマス、クリスマスだという事をゲーム画面の中で味わっている俺は、一応成り行きでケーキと酒という最悪な食い合せをやらかしながら…………ヤトん家にいた。
困った事に男ばかりの二人きりクリスマスだ。
いや、クリスマスというのは関係なく、こうやっていつもの通り一緒にネットゲームしてただけなんだけど……。
たまたま俺は会社の付き合いで良い酒を手に入れたので持ち寄り、ヤトもバイト先で予約させられたというクリスマスケーキを持って……仮想世界でクリスマス一色に飾り付けられた様子を空しく眺めながら、いたしかたなくクリスマスというものを認識せざるを得なくなっていたりして。
「お前は特に誰かと予定とか、なかったのかよ」
自然と話はそーいう方向になってしまう。
俺たちはただのゲームバカだけど一応、男だし。
「無い、今日の定例がクリスマス特例で無くなったのに嫉妬の炎をたぎらせてるトコだ」
ケーキ半分にぶったぎったのをもくもくと食べながらヤトはぶっきらぼうに答え、ひたすらゲーム画面を眺めている。
「何当然の事聞いてんの」
「この所忙しくて、定例が休みになったの分かってなかっただけだよ」
MMORPGゲームをするに、よく俺はヤトん家に上がりこんで一緒に定例と言われるゲーム内の集まりに参加している。
決まった曜日に行っているものなんだけど、今回たまたまクリスマスにぶつかり、クランの仲間達はクリスマスに用事があるとかで欠席が相次いだ。それで、クランリーダーのコピさんがキレてクリスマス一時解散宣言が出ている。
コピさんはキレついでにクリスマスシーズン、オンしないとまで宣言しちゃってね、クラン仲間うちでは冗談交じりに封印期間とされて、クラン仲間達のオンライン率がやや低い。
コピさんがキレる気持ちは分かる方だけどさ、しょうがないだろう。ウチのクランは妻子持ちや旦那持ちのプレイヤーも結構いるんだからさ。
家庭サービスで参加出来ない時だってあるだろ?
まぁ、俺も一人さびしいクリスマスが嫌でヤトん家に来てるわけだけど。
「……あえて聞いてなかったけど、今年正月どうすんだ?」
俺は持ってきた焼酎を開けながら尋ねる。
「実家帰るのか?」
「いや、帰らないけど。……久し振りに自宅でゆっくりするつもり」
「あ、じゃぁ久しぶりに俺がお前ん家行ってもいいか?」
「……俺は久しぶりに自宅でゆっくりしたいんだが」
「つまり俺ん家に遊びに来てくれないって事だろ?」
確かに、寂しいからいつでも遠慮なく来て、というこいつのお言葉に甘えこうやって入り浸っているとはいえ……男二人、いつまでもこれはいけないと思うんだけどなぁ。
さびしいんだよ、と遠慮なく甘えてくる親友のおでこを叩いてやる。
「引っ付くな!」
「あ、俺にも一杯」
空のコップを差し出してくるヤトに、俺は……少しだけ注いでやる。度数高いんだけど、まぁ今日は別に他とパーティーは組まないし……酔っぱらって寝落ちになってもいいか。
量の少なさにケチといいつつ、うわツヨ、とかいいながら舐めるようにおっかなびっくり飲んでいるヤト。
俺は結構酒に強いと自覚するけど、ヤトはそうでもないからな。というか、俺のペースに合わせて飲もうとして潰れてしまう事が結構ある。
潰さないように俺がセーブすればいいんだけど……どうにもあるとガンガン飲んでしまう俺。
焼酎1本くらい、とか俺は思っているが、一緒に飲んでいる方はそうでもない。
……。
気がついたらヤトのゲーム操作が大変怪しい事になっている。
チャット打つに盛大に誤爆したり、間違ってシャウトしたり、マクロボタン押し間違えたり。
戦闘中に寝てて気がついたら敵いっぱいリンクさせててタコ殴りにされて死んでたり。
ゲームにならないからオチろと言ったら、ぐだぐだ文句言い始めるし。
酔いを覚まさせるために、寒い外に連れ出す事にした。
ケーキをつまみにしたのは不味かった。どうにも口がさびしくなったのでコンビニで買い出し行ってくるって言ったら、俺を一人にしないでくれとか何とか、ああもぅ。
「寒いなぁ」
「ちょっと、お前何薄着で来てるんだよ。風邪ひくぞ」
「大丈夫大丈夫」
そういって遠慮なく抱きついてくる、この酔っ払い。
「おおい、重くて歩けないぞ」
「寒いんだよぅ」
「だから、上着着て来いって言っただろ」
とはいえ、ここから家に戻すと……そもそもちゃんと戻れるのか、途中で倒れて寝たりしないか、家の戸をあけっぱなしにしたりするんじゃないのか、とにかく諸々心配だ。
……俺が心配するのもどーかとも思ったけどほおっておけない、そんな自分にため息を漏らす。
「離れろってば、人から見られたら恥ずかしいだろ?」
「なんで?」
「なんでって、おい、いい加減しゃっきっとしろよ!」
人通りがある通りに出る前になんとかヤトを引きはがそうとするが、まだアルコールが存分に回っているらしく奴め、楽しそうに俺をからかい始める。
引きはがそうとするとパッと離れ、油断した俺の背後からがっちり掴みかかったり……お前、ほとんどマトモな意識ねーだろ?
そのように暴れていたらぐん、と一層背後にしがみつく重さが増す。
「何やってんだお前ら」
そう言って俺の腰にしがみついてたヤトを引きはがし、遠慮なく壁に叩きつけ抑え込みながら立っているのは……クランリーダーのコピさんだ。
僕らより10歳ほど年上だったりする、商社勤めのサラリーマンなんだけど……真面目な勤務の裏ではとんでもない本性を持つ、元ネトゲ廃人。今は一応昼間はちゃんと会社勤めしているらしいが、その本性は見事に隠しているのだろうな。
一見真面目そうな姿をしているけれど、とんでもない!
この人、とんでもない人なんだよ!
「あ、久しぶりですね」
ゲーム内ではほぼ毎日チャットしているけど、リアルで会うのは月数回くらい。
「おぅ、定例一時解散だから遊びに来てやったぞ。どーせお前らは俺と同じでヒマだろうからな」
そう言って、足でヤトの背中を抑えてビルの壁に貼り付けたままコピさんは……暴れているヤトを見やる。
「なんだ?何飲ませた?」
「……焼酎を少々」
「弱ぇなぁ相変わらず。おらヤト、しっかりしろよ」
そう言って……襟首つかんで引きよせて遠慮なく頬を殴打。
「ん?コピさん?」
「目ぇ覚めたか」
「……そのコート暖かそうだなぁ」
……覚めてないね。
モコモコした羽毛コートを着た、ドSなピコさんにがっちりしがみつく。
……いい度胸だ。
「寒いのか?」
「うん、ちょっと……ね」
「しゃぁねぇな、コート貸してやるから一旦離れろ」
素直に離れたヤトに、コピさん命令。
「じゃ、まずそこに座れ。正坐」
なぜか素直にその通りにしてしまう……ヤト。条件反射かもしれない。
「背筋伸ばせ」
「寒いよコピさん~コートくださいよぅ」
「誰もあげるとはいってねぇ、貸してやるだけだ」
「じゃぁ早く貸してくださいよ、貸してくださいコピ様」
そう言って、土下座が必要なのだろうと日頃叩きこまれている習性に基づき冷たいコンクリの床に座っているヤトだ。
……会うたびに、どっちかっていうとドMなヤトはこうやってドSなコピさんに苛められているんだね。で、その時に叩き込まれた作法がしっかりしみついてるみたい。
「まぁまて、今からあったかくしてやっからよ、」
そう言って、正坐して組んだ上から足を乗っけて行動を制限しておいて、遠慮なく……ヤトの上着を引っぺがすコピさん。
あーあぁ~……。
知らないぞ俺は。コピさんおっかないから俺は、逆らったりしないんだからな。
そんなこんなするうちにどうやら酔いは冷めたようだ。
明るいコンビニ店内に、ヤトは借りたコートをきっちり上までチャックを絞め……蒼白な顔で入店。ニヤニヤ笑っているコピさんに背中を無理やり押されながら、籠を持つように言われ苦しい表情を浮かべようとして、笑えよと頬をなでられている。
……実はコートの下、上半身裸にされたあげく着ていた服で簡易緊縛されてんのな。
籠を持つ手が震えているのは体勢がキツいからだろう。かといって、体を曲げたら決して長くはないコートの背中がめくれて背中丸出し、縛られているのが丸見えになってしまうのだ。
胸の前でそろえている両手は、実は巧妙に隠されているがしっかり縛られている。その両手で握るカゴに、遠慮なくビールやら重いものをぶちこむコピさん。
この人のドSっぷりは半端ないからな……。
おしおきはまだ続く。
「よぅし、レジのお姉ちゃんが空いたから、そっちに並ぼうか」
こそっと背後から囁き、動けないでいるヤトの尻を叩く。
「あと、おにぎりはあったかくして貰えよ」
そう言って万札を動かせない右手指の隙間にねじ込む。
「おつりはしっかり返してもらうからな」
そういって……俺の腕を強引に掴み、俺達は外で待ってるぞと……かわいそうな状況のヤトを中に放置。
外に出て、コピさん満足そうに笑う。
「くははは……あいつ、恥ずかしくて耳まで真赤になって出てくるぜ!」
「相変わらず容赦ないですねぇ……」
「ふん、俺が容赦なくなったらこんなもんじゃすまねぇよ」
ガードレールに腰かけて、コピさんは俺を横目で窺う。
「お前が止めてなきゃあいつは今頃、俺の行きつけの地下クラブで心身ともどもズタボロになってんじゃねぇの?いいかデイト、人間の格付けってのはあるんだ。何度も言うようだがあいつはクズだ」
コピさんは吐き捨てて、コンビニ店内で手が動かせず苦労しているヤトを……少し睨む。
「地下で生きてる奴らにはそれなりの意義や理由がある。それを何一つ持たない奴はクズになるしかねぇ、最低な奴らがいきつく先は破滅だ。俺はクズ野郎は大嫌いだ、どうしてもイジめたくなっちまう。……あいつに社会勉強させてやるつもりだったんだぞ。なんで止めた」
うん、止めた事があるね。
東京出てきて初めてネット友人のコピさんとリアルで会ってみて、楽して大金稼げるバイトを所望したヤトにいいとこ案内してやんよとコピさんが寄ってきたのを……。
俺は、マトモなトコじゃないからやめておけって止めたんだよな。
「……コピさんが言うとおり、多分ヤトは潰れちゃうよ」
「クズなら潰れちまってもそれまでだろうな、とは思っていたがな。居ても迷惑なだけだ。そう思うだろ」
「コピさんはいいじゃないか。強いからそうやって誰かを踏みにじる事が出来るんだろ。俺は……たぶん、全面的にアイツの事こきおろせないから」
「くくく……弱いものを隣に置いてないと安心できねぇ、二流が」
「ほんと容赦ないや」
……否定は出来ない。
俺は、多分ダメな親友を隣に感じる事で、自分はダメじゃない事を確認しているのかもしれない。
「ところで、俺は別にサドを極めるつもりないんだけど」
「何トボケてやがるんだか。お前がいなきゃあれは、俺が貰ってたんだぞ」
コピさんはゲイなのかって?違うよ、単純に男に対しても女に対してもドSなだけ。苛める対象の性別は問わないというもっぱらの話だから……性癖的には両刀なのかな?
「で、お前らどこまで行った?」
「ああ、一応前回落としたレベル分は挽回したけど、調整がキツいかなぁ。絶対この前の調整はおかしいから、そのうちまた修正入ると思うんだけど、それ待ってたらダメかな?」
「何の話をしている」
「何って、……ゲームだろ?」
「ちげぇよ、お前らどうやら夫婦らしいともっぱらの噂じゃねぇかよ」
「コピさん、噂で動いても何もウマい事はないと思うよ」
俺は、にっこり笑って慌てず騒がず対処する。
ここで取り乱してはコピさんのペースにはまってしまう事をよぉく知っているからね。隙を見たらば誰であろうと、ひたすらイジメようとするんだよこの人。
ヤトを隣で見ているからこそ、ああはなってたまるかという意識が俺には、あるよ?
「何言ってやがる、クリスマスに路上で抱きあってる奴らが」
「路上で脱がせて緊縛SMおつかいプレイするような人から言われたくないです」
「ナッツぅううう!」
「ぐわっ!」
胸の前から動かせない両手に、重い袋とお釣りをなんとか握りしめたヤトからタックルを決められ、コピさんからの言葉攻めに対処してた俺はバランスを崩し、枯れて葉の落ちたツツジの生垣に倒れてしまう。
「いたた、いた、どいてって!」
「待って、あたた、動けないんだってば俺!ちょっとナッツ、ちゃんと受け止めてよ俺の事!」
「バカ言うな、突っ込んでくると分かってれば避けてるよ!」
「ひどいよナッツさん~!」
「おいおいヤト、せっかくあっためて貰ったおにぎり潰すんじゃねぇよ」
身動きできないヤトを背後から掴みあげ、取り除いてくれてなんとか俺は起き上がる。
「お釣りもばら撒きやがって、ほら、拾え、残さず拾え。デイト、手伝うな、ヤトにやらせろ」
「ひでぇよコピさん、」
「文句垂れるな、酔っぱらって前後不覚になってたのはどこのどいつだ?デイトが居なかったら危うく俺から誘拐監禁されてるところだぞ?」
「冗談も程ほどにしろよ!てか、屈めないんですが!解いてもらわないと拾えないんですが!」
「違う、解いてくださいだろう。最近の奴らは礼儀がまずなってねぇ。土下座しろ、頭を地面にこすりつけながら俺の靴を舐めろ」
「いい加減にしろよホント、ああ、なんで俺こんな事になってんだよ!」
ようやく本当に酔いが覚めてきたらしい。
俺はため息を漏らし、コピさんから舌打ちされながらもヤトの腕を解いてやった。
もぅ、きつく縛るなよな……。
よれよれになった服を着て、ヤトはコピさんを警戒し俺の背後にしがみついている。
「なんなんだよ、なんでアンタがここにいるんだ?」
「何、どうせ独り身でゲームしているだろうお前にクリスマスらしい飾り付けてもしてやろうかと思ってな。そしたらなんだ、二人でいちゃつきやがって」
「いちゃついてなんかいねーよ!」
バカだなぁ、反抗したらますます面白がって苛められるぞヤト。
「どうだ、暖まっただろう」
「バーカ!コピさんのバーカ!ドエス野郎!」
「そんな褒めたらご褒美やりたくなるじゃねぇか」
と、言って拳を両手で握って鳴らすコピさん。
「帰ろうぜナッツ、寒いよマジで」
「薄着で出てくるお前が悪いんだろ?」
その通りだと、ヤトはバツが悪そうな顔をしている。
「とにかく、俺先帰ってるから!」
「じゃ、後でゆっくり旦那と一緒にうかがうぜ」
そういって、コピさんわざとらしく俺の首に手を回す。
「ああ?……何言ってるんだ、コピさんはうちに出入り禁止!鍵かけてやる」
「じゃぁ、デイトも入れないな……。よぅ、たまには一緒に飲みにでも行くかデイト?」
「いいね、そうしようかな」
コピさんも結構酒強いらしいけど、俺も結構強い自信あるからね?一度酔いつぶしてなんとかこの人の弱みを握るのもいいかもしれない。
「えええ~」
一人寂しいのヤダというのを露骨にヤトが非難の声を上げる。
コピさん、ニヤニヤ笑って目を細めた。
「旦那取られてやきもちか?」
「旦那って何だよ、わけわからん」
「お前デイトん家に嫁に行くんだろ」
ヤト、酒は抜けきったと思うんだけど。
「え?嫁に行ってもいいの?」
……それってわざと惚けたのか?それとも、素なのか?
俺は素で返すけどな。
「男の嫁は要りません」
「冗談の通じねぇ奴だなぁ」
と、コピさんはヤトに言ったと思うのだけど。
「だよな、こいつカタすぎると俺も思う」
「ほほぅ、そいつは初耳だ。やる事はやってんじゃねぇか」
「俺はいたってノーマルなだけですよ!」
「いいじゃねぇか、男だったらどーんと構えていりゃいーんだよ」
「ぶっちゃけ、俺、ナッツん家なら嫁に行ってもいいけどな」
「……だから、お前ら話かみあってないから!」
END
そして、懺悔を読む というオマケがありました
再び分岐の為、読みたい方はおまけ裏裏ページに移動してください
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