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完結後推奨 番外編 妄想仮想代替恋愛

◆トビラ後日談 A SEQUEL『妄想仮想代替恋愛 -1-』

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◆トビラ後日談 A SEQUEL『妄想仮想代替恋愛 -1-』
 ※本編終了後閲覧推奨、古谷愛ことアインさんメインの後日談です※

 そんな身構えなくたって、別に取って喰ったりはしないわよ。
 このお話は、ヤト氏とかには申し訳ないけれど、まぁ一つのコメディとして部分的に面白半分にお付合い頂ければ幸いかな。
 ヤト氏的にも、それに……私的にもね。

 ついにこの日がやってきたの、そう、分かる?
 私の脳内会話が駄々漏れになる番外編をこれからやるんですって!
 私?私はええと、何って名乗ればいいのかしら?
 トビラの中ではチビドラゴン、中の人は自他共に認める腐女子筆頭。
 私の名前は……れっきとした『仮面』だけどアイン。
 アベちゃんの実姉であるカインちゃんと一緒に、サークル組んでる同人者。
 同人って何?サークルって何?とかいう疑問については各自ググるか、あるいはなっつんがやってる解説ページを参照してね★
 あ、それは今そこまで詳しくやって無いかもしれないの?じゃぁ理解しきれない事に関しては『俺には関係のなことだ』って感じで素直に諦めてブラウズ閉じるか、あとは自分で沼かもしれない虎穴を覗きに行ってね★

 あ、でもね一応分かり易くはやってくつもり。
 ヤト氏はそんなとこは掘り下げてやる必要ねー、とか喚いてるけどね。
 だって、私の脳内妄想が駄々漏れになっちゃうんだよ?
 それに弁解の一つや二つはしたいじゃない。誤解されないためにも解説は入れときたい。私はいいけど……私は、腐女子だという自覚があるわけだけど、この話の中ではその代表をやってしまうとして、全ての腐女子が私と同じだとは思われたらいけないものね。
 少なくとも私は違うと思うな、だって、同じ腐でもカインちゃんと私じゃ色々好みとか、主義とか、かなり違うし。
 腐女子ったって色々なタイプがある事も知っておいて貰いたい、私代表で理解されたら他の人達はきっと堪らないとは思うわ。

 それに、これは変な属性はついているかもしれないけど、これでちゃんとした『私』の番外編なのよね。完全に完結後の話なので『後日談』って形になってるわ。
 脳内妄想も駄々漏れになるけど、それに伴い割と誤魔化してきた私の本音もしっかり漏れちゃうんだ。
 こういう話に私自身、積極的に為れないのは……それが割と諸刃の剣なトコがあるのを、知ってるからなのよねぇ。
 でもね、何時までも自分のこと誤魔化しているのもどうかなぁって思う。
 正直に言ってしまえば私は、自分の人生一生腐っててもいいとか覚悟はしてる。してるから、現実から目を逸らし続けている事も分かってるんだ。
 ……最初から分かってた事じゃない。
 今はね、今は。
 トビラを経た事で更に強く、かな。
 そう云う事をより一層意識しちゃったりするのね。
 未だに腐ってるのは全くこれっぽっちも否定出来ない、むしろ肯定しちゃう私だけど……これでもそんな自分を俯瞰してみて……このままでいいのかな、とかいう疑問も……無い訳じゃないんだからね?

 今回は私の番外編。

 私、アイン……いいえ、フルヤ-アイを理解して貰う為に設けられた折角の機会だものね。
 ちょっとがんばって、現実に目を向けてみようと思うの。
 現実から目を背けていたのは私だけじゃない。
 新型ゲームのテストプレイヤーとして集った仲間の中には私と同じように、私とは異なった方法で現実から逃げていた人達が居たわ。
 その子達は今どうしてる?
 ……負けていられないわよね。
 今、現実と呼べるこの世界で私は、みんなのお姉さんなんだしさ。


 さて、それで……どっから始めようか。
 まずは腐女子というものは何か、それを私はどう思っているかとかいう話から始めようかな。
 分かってる皆様方にはそっからかよー、かもしれないけれど大切な事だからちゃんと説明するね。

 腐女子にも選り好みはあるの。
 何でもかんでも男同士でハァハァ妄想する訳じゃないのよ?男同士じゃないカップリングだってあるんだから。具体的な事は……なんというか、掘り下げると全体的に沼なので私からは言わないでおくわ。
 とにかく、妄想するに至る経過は……あると思う。
 人それぞれに、だけれど。
 それで妄想してる間はそんな事、割と気が付かないかもね。
 自分の夢、妄想に恋して溺れているみたいな感じかな。
 そうやって溺れてる状況を愛だって言い切って、それで全部片付けようとするのかも。
 愛があれば全て許されているとは思っちゃいけないのかもしれない、けれど残念ながら許されると思い込んじゃうのが……恋って奴なんじゃない?

 そういう『恋愛』をね、リアルに向けられないのよ、私達、腐女子ってのはさ。

 刺激が強い妄想恋愛に溺れた結果かもしれない。
 夢を見すぎているから現実が怖いのかもしれない。
 そういう夢を仮想世界に作り出して、他人と共有する楽しみを味わい過ぎていて、抜け出せないってのが私たちの欠点として在ると思う。
 欠点だよ、そこは間違いない。
 現実を現実として歩く勇気が無くて夢に逃げてるんだもの。

 それでね、それでもいいやって開き直れる人を勇者と呼べるのかもしれない。
 でも、勇者って実は現実では愚か者の称号だったりするんだ。

 で、私は割とその愚かな勇者の方だ。
 逃げて開き直って、私は一生現実なんか見ないと断言しちゃってる所がある。ヤト氏の事、悪く言えない、私も同じくらいのダメ人間だよ。

 それから―――大事な事なんだけど、腐女子や同人者ってエロが好きと決まってるわけじゃないからね?
 私は、エロ好きだけど。
 逆に苦手だけど腐女子って子も居るし、エロ要素ゼロに近い方の同人者はもっともっといるはずだよ。
 エロは無くてもいい、っていう一種悟りを開いたような腐女子も居る。それはそれで、また別だろうけどさ。腐女子もピンからキリまでいるんだよね。それで、腐女子だけどエロ苦手っていう子が存在するトコが初々しいわよね。そういう子はまだ腐りきって無いっていうか、あくまで部分的に腐ってるだけっていうか。
 いずれ自然な形で、女性だって性欲って奴には目覚めちゃうんだと思うから、そういうのとどう折り合いつけていくかー、だとは思ったりするけど。
 少なくとも男性向けの二次や2.5次エロ好きさんと、腐女子はなんか違う気がする。
 萌えと呼ばれるものを共有するのは男女同じだと思うんだけど……うーん。
 そうねぇ、私も特に男性向け同人者と交友があるわけじゃないしなぁ。
 なんかこう、男性向けとは世界が違う、気がするのよね。結構お互い棲み分けははっきりしてるからよく分からないって言うのが本音なんだけど……女性向けの場合エロは必須じゃない訳だし……。
 男性向けの場合エロかそうでないか、シチュ萌えなのかギャグなのか、とにかくオカズ需要へ答える一つの供給口である為か、はっきりしてる様な気がするのよね。偏見かもしれない、間違ってたらごめんね。
 ぶっちゃけるけど、女性も割と同じモノを求めていると私は思うの。
 でも多分オカズの味付け方とかが男性向けと異なるんじゃないのかな。
 脳内妄想する燃料は欲しいけど、それがリアルであったり具体的であったりする必要はない……?

 うーん……。私はぁー、あった方が良いけどぉー。

 ……だって私字専だし、絵とか自分であんま上手く描けないし……。どうせ萌えるなら理想的な絵とか在った方が断然イイ訳じゃない?

 そこんとこ、私の相方をやってるカインちゃんなんかはサバサバしてるというか、私なんかよりも萌えポイント押さえてるっていうか。
 一応彼女、一時期プロ漫画家を目指して学校に通っていただけはある。
 私よりも断然に話の組み立て方が上手い。当然絵も上手い。エロシーンたまらなくスゴい。
 でも、無理にエロに突入する展開は好きじゃないみたい。
 この場合は濡れ場の見せ方は焦らした方が良いとか、この濡れ場がメインであるならそれに至るシチュはもっと練った方が良いとか。
 妄想のままに脳内を吐き出すと端から見ると無秩序になるって事、私は彼女から何度と無く教えて貰ってるんだ。

 妄想を語る事はね、昨日見た夢を他人に話すような事なのよって彼女は言う。
 楽しかった夢を理解して貰う為には、夢の見せ方が重要だって言うの。
 でも彼女は私がひたすら萌え小説を量産するのを決して止めようとはしない。それは、私とは逆に彼女、脳内妄想である夢を際限なく吐き出すのがヘタだからかな。
 結構な辛口で私の作品を評価しながら、時に……でもこのシチュはいい、萌えると共感出来る所を探し出してそれを、絵にしてみようと言ってくれるんだ。
 他に人とも共有できる形にしようと提案してくれる。
 そして、彼女は私の妄想をマンガという形にしてくれるの。
 他人に見せる事が出来るようになった妄想、すなわち……『夢』は、何って呼べばいいのかな?
 私は、それが同人……というか、素人創作の一つの形であると思うのね。

 あ、もちろん文章だけでも不可能ではないわよ?
 妄想駄々漏れの文章じゃ理解して貰えるのはごく一部かもしれないけれど、それは文章もマンガも同じだと思う。
 カインちゃんに会う前までの私はただ、妄想を脳内で練ってはそれを思いつくまま文字にして吐き出すだけだった。
 時に短いシチュエーションに、前後をつけて物語を生み出し山を作り、谷を作る。着地点を作って一応『作品』にする。
 それは簡単な事じゃない、ひたすら好きな所だけ妄想してた方が断然楽しい。
 だけどそれをちょっとだけ我慢してさ、ちゃんと作品作るっていうのは難しい事だけど達成感もひとしおなのよね。
 それに、より多くの人に理解してもらえるようになる。
 夢を、より多くの人と共有出来るようになる。

 何だかんだ言って人はさぁ、『それ』をやりたいだけだと思ったりもする。

 他人の妄想を理解したいのだと思うの。
 近しく触れ合って、気持ちを一つにしたいのだと思う。
 自分の事、自分の夢を知って貰いたい。そう言う事。

 自分の事、理解して貰いたいと思うから人は誰かに恋をするのだと思うんだ。
 あるいは、その人を理解したいと思った時『恋』をしているのかもしれない。
 仮想世界の人物に恋したら、当たり前だけどその人は絶対『私』を振り向いてはくれない訳じゃない?
 だから大好きな人がいるその仮想世界に『私』の分身を送り込んだり、あるいは代理として仮想世界の誰かに成り代わって大好きな人と恋愛する物語を妄想するんだと思う。

 そういう事、私は勿論分かってる。
 否定は出来ない。

 でも『分かってる』っていうのは私達の『世界』では……御法度なのかもしれないね。
 触れてはいけないタブーなんだ。
 タブーには触れないという約束を守っている限り、恋した相手が存在する仮想世界を相手に夢見る事が許されている。
 タブーに触れたら途端、夢は醒めちゃうから。
 それと同時に恋は終わっちゃうから禁忌には触れちゃダメ。
 ずっと夢を見続けていたいから、だから……ダメだって事は分かっているけど私たちは現実を見ないの。

 現実なんて見て見ぬ振りをして、夢という妄想世界に浸っている。

 それは『トビラ』の中においては、過剰なリアル用語を使ってはならないというルールと似てるかもしれない。
 仮想世界に浸りきり、仮想世界に打ち立てた仮想自分を演じきるのが『真』で、現実と呼ぶべき事や思想は『偽』。

 腐女子コミュニティでは現実へ繋がるリアリティなんて必要じゃない。
 一緒に夢を見る為に繋がってる。
 それはある意味『トビラ』と同じかもしれないね。
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