307 / 366
完結後推奨 番外編 妄想仮想代替恋愛
◆トビラ後日談 A SEQUEL『妄想仮想代替恋愛 -2-』
しおりを挟む
◆トビラ後日談 A SEQUEL『妄想仮想代替恋愛 -2-』
※本編終了後閲覧推奨、古谷愛ことアインさんメインの後日談です※
「あれー、一人だー」
「……一人で悪いか?」
時間ぴったりに待ち合わせ場所に駆けつけた所、ヤト氏が今にもお帰りしそうな最底辺なテンションで一人、席に収まっているのを見つけた。
ちなみに、ここはよく私達が待ち合わせに使う某ファミリーレストラン通称ファミレス。
ヤト氏は多分、待ち合わせ時間に誰も現れないからこの場に居るのが堪えられなくなって『逃げ出す』寸前だったのかも。
で、ようやく現れたのが私な訳でしょ?
なんかねー、今だに誤解されまくってるのよ私。
「珍しいなぁ、みんな遅刻かー?」
「てか、まさかまた俺を罠にハメたとか、そんなんじゃないよな?」
ほら、すんごい警戒されてるよ。でもそれは自意識過剰で被害妄想過剰だよヤト氏。
「何時から居たの?」
「……5分前くらい?」
ああ、そう言えば彼には別段遅刻属性は無いのだった。
……遅刻しない人物と言えば、
「レッド君は?」
ヤト氏、ちょっと顔を顰めた。
ちなみに私は『彼女』の事をあえて『レッド君』と呼ぶ事にしている。
「なんで奴の都合を……」
俺が把握していなければいけない、という所はごにょごにょと口ごもりつつそっぽ向いちゃった。
ああもう、ツンデレめ!可愛い奴!
「ごめんね、あたしも危うく遅刻する所で急いで来たから……」
鞄を肩に掛けていまにも席を立ち上がりそうなヤト氏をシート席の奥に追いやるように行動を封じながら携帯端末を取り出す。
ああ、やっぱり連絡来てた~慌てててチェック出来てなかった~。
連絡無しに遅刻するのはナギちゃんで……なっつん事ナツメ氏はこの会合が発案された時点で遅刻予告を貰っている。ナギちゃん以外は遅刻理由を事前に連絡くれるけど……ずぼらなのか何なのか、タイミングがずれてるのが……アベちゃん。彼女のの連絡は遅い。アベちゃっていうのは通称だとアベルって呼ばれてる、カインちゃんの妹でカインちゃんと同じく男勝りで気が強い女の子ね。
彼女、このもっぱらチキンだとかダメ人間だとか言われているヤト氏からフラれた伝説を持っている。伝説なの、在る意味、それは伝説級だと私は思うな。
ああいう恋愛話はフツー無いでしょ。ヤト氏の性格からして無い。ゆえに伝説級だ。
元ネタがあれだからってそこまでフラグ折ってどーすんだって所が私的には萌えるんだけどそれは、顔には出さないわよ、そりゃーね。
「んー……照井氏は急な家事手伝いがあって遅れるらしいし、メージンからは……ヤト氏、何か連絡届いてない?」
「ん?」
言われてのろのろとヤト氏、自分の携帯端末を取り出してああ、なんか来てるけどレッドからだぞ、とか言いながら。
文面読んで私の方を見やる。
「ほら、レッド君からの連絡はあたしじゃなくて、ヤト氏に行ってる」
メージンとナギちゃんとレッドは、別のファミレスで勉強会していてそれがちょっと煮詰まりすぎて、遅れるという連絡があたしの所にメージンから来ていたんだ。
やっぱりナギちゃんは連絡他人任せだった。まぁいつもの事だ。
で、私はアベちゃんに直接電話。
「もしもしアベちゃん?」
通話相手がアベちゃんと知ってかヤト氏、少しびくついている。反応が一々分かりやすくて面白いよ、もう。
『ごめーん、間に合うかなーと思ったんだけど、やっぱり間に合わなかった』
「だったらそうと連絡くらい寄越しなさいよ、心配するでしょ?」
『今それを打ってたんだよ~』
遅刻確定してからじゃなくて、遅刻しそうだったら連絡を寄越しなさいってば。その大雑把な所本当にカインちゃんそっくりなんだから。
「ふぅ、」
通話を終えて携帯の電源を落とすと同時に、ヤト氏今度こそ腰を浮かせて退散のポーズを見せている。
すかさず腕を掴んで止める。
途端固まって動けなくなるのはチキンっ子の仕様かしら?
「というわけで、今回も30分押し集合になるみたい」
「……今度から集合時間の30分後に来よう……」
「んー……あのね、現時点ですでに30分押してるんだけど」
「あ?」
「だからね、いっつもみんな遅刻してくるじゃない、でヤト氏先に帰ろうとするんですよってレッド君が言ってたからさ。今回、毎度遅刻メンバーには30分早い集合予定時刻を伝えてあったのよ」
あ、ヤト氏、項垂れて深いため息を漏らしてますね。
「ごめんね、こう云う時に限って言い出しっぺのあたしが定時に終われそうになくってさ。ヤト氏が来てるのは分かってたから急いできたんだ」
私は遅刻出来ないよね、当然だけど。
でもその当然の気遣いとかにこの子、無駄に感動してしまうタイプであるのは把握済み。
勝手に帰ろうとした事に後ろめたい感情はあるらしく、途端大人しくなって鞄を肩から降ろしてくれた。
「急いできたからおなか減ったんだ~先頼んでよ」
そういって強引にメニュー端末の片方を渡す、こんな時強気になれず流されてしまうのがヤト氏クオリティ。
「何食べよっかな?今日はね、がっつり食べたい気分なんだ」
さて、暫く彼と二人っきりか。
何を話せばいいかな?
引っ込み思案を穴から突っつき出すのはこれで、結構得意と心得る私である。
ドリンクバーに向かい並んだ所、コーヒーが出来上がるのを待つ彼の横でティーポットに湯を注ぎながら私は早速仕掛ける事にした。
「ヤト氏はさ、タチとネコどっちがいい?」
「は?」
即答即座返答が返ってまいりました。彼のスルースキルは低い。噂によるとリアルでもMッ気があって知り合いのドSの人にしょっちゅうイジられていると聞いている。
「だからぁ、せ……」
「そー言う話をこんな所でするな!」
小声で遮られた所、どうやら理解はしているようだと把握。
「どっちかって言ったらどっちなら『許せる?』」
「そりゃ、聞くまでもないだろ?」
「あ、にゃんにゃんの方がいいんだ?」
一歩確実に背後に引いた。そして、反撃を言いよどんでおります。不用意に逆を口にも出せないで困っておりますね。
お湯の満たされたティーカップをトレイに乗せながら私は笑う。
「中途半端に誤魔化して答えるからいけないのよー」
「てか、なんでそんな話を俺に振る!」
「それはもちろん、そーいう本を作るに参考にするからよ」
「うぉおい!冗談だろう!」
「ううん、ガチ」
なんかねー、誤解されまくってるからこの際はっきり言っておこうと思うんだ。
「私ね、結構ヤトちゃん好きよ」
一瞬怯んでから冷静に誰を好きだと私が言ったのかを把握し、立ち直って……やっぱり憤るヤト氏。
「!……って、だから、なんでそれが!」
からかうと面白いから多分、ヤト氏はみんなから弄られるんだと思うよ?
「じゃ、続きはテーブルでね~」
「……俺の事は振ったじゃねぇか……」
席に戻る間の短い間、ヤト氏が小さくぼやいたの、ちゃんと聞えてるんだけどな?
「多分ね、それが運命なんだよ」
「……運命って」
トビラの中でもやっぱり、ヤトはアインさんにアタックしたのよね。
それで、種族や年齢的な問題もあるからダメってチビドラゴンのアインさんはヤトを振っちゃったんだ。
実際には……ヤト・ガザミの本当に感情に気が付いていたからアインさんは断ったのだと思う。
他人事みたいに言うのね、って?仕方ないよ。
私、トビラの中では確かにチビドラゴンのアインの中の人だけど、トビラ世界の記憶や感情はね……あの世界の本質が『夢』である都合全部、正しく現実に持ち帰る事が出来ないんだ。だからついつい他人事みたいになっちゃう。
私だけじゃないよ。トビラをプレイしたみんなそうなんだって。
ヤト氏もそう。彼はトビラ世界のヤト・ガザミだけれどその時の記憶や、感情をこちらに全部持って帰れてない。
全て持って帰る事が可能ならみんなみんな、トビラを経て性格や人格、考え方さえ変化してしまう事になっちゃうでしょ?
そうはならない、持って帰れないのは仕様じゃないよ。
そんな事は出来ないんだよ。
変わるのって難しい事なんだから。その難しい事が出来ているように仮想世界では騙されているだけ。
だから、中と外じゃぁ人格違う人も居るのは当然でしょう?
中のヤトは、自分がどういう心理でチビドラゴンに本気の告白を行っているのか『分かってない』みたいだった。
その時、彼の心の中には分かりやすく、たった一人しかいないのがチビドラゴンにもバレバレなのにね。
どんなに本人が口や行動でその事実を否定しても、どうしようもなく『たった一人』の事を大切に思っているのが分かるんだもん。それの次にあたしを含め、多くの人達を同列に『大切』に思っているのがチビドラゴンにも分かったんだよ。一番に好きだから告白じゃないんだよ。一番を選べない都合があるから二番目に、っていう事だったんだよ、それは。
……ヤトはたった一人を選べなかったのだと思う。
たった一つとその他大勢を秤に掛けてしまって……その他大勢を選んだ結果、その他大勢代表としてチビドラゴンさんに告白という事になってしまったのだと思うんだ。
そして現実で、フルヤ-アイもまたヤト氏の遠回しな告白を拒絶したりしてみた。
ヤト氏ってば、アベちゃんの事本当は好きな癖にそういう事しちゃう子なのね。彼女の事を大切にする自信がないばっかりに逃げてばかり。
あたしとか、逃げる為の口実にされちゃ適わないわよ、って……ちょっとキツめに言い過ぎたかもしれない。
でもヤト氏は……色々と理解して、それで吹っ切れてくれたみたい。
結果的には良かったのかな。
この『好き』だっていう思いは、すれ違う運命なんだ。
だって私が好きなのは……目の前のサトウ-ハヤト氏じゃなくて、間違いなくトビラの中のヤト・ガザミの方なんだし。
私は、絶対に交わらない世界の人、ようするに空想の方を愛している。
ヤト氏とヤト・ガザミは同じだろうって?違うのよ、全然違う。
実際ゲームを夢として世界を共有し、ともに戦ったからこそ実は同じであるはずの二人の違いが際だって見えているだけ?
そんな事ないでしょ、だって、会話のテンションからしてヤト氏とヤトじゃ全然違うじゃない。
別人だよ。あたしにしてみれば『別キャラ』なんだって。
今ある事実は関係ないの、私が好きなのはヤト・ガザミっていうキャラクターの方だって事でもある。
そりゃね、この口数少ない癖に感情ばっちり顔に出ちゃうヤト氏も見てて楽しいんだけど、なまじリアルな男として目の前に居る所為か、仮想妄想に慣れきった都合か、トビラん中のちょっと俺様が入っている方がなんというか……色々と崩し甲斐がある?
こっちのリアルヤト氏、押し弱いんだもん。
……なんかあっさり押し倒されてそう。
一昔こういう乙女チックな男が流行った事もあったそうだけど、なんだっけ、草食系?
私は受けっぽいメンズが好きという訳じゃぁない。腐女子ってのは好きな子単体が好きなんじゃなくて、好き合っている関係性が好きってトコがあるかもね。
私も昔はね、男同士でラブラブイチャイチャしているだけで満足してたかもしれない。でもそれは、その時はまだそーいうのに照れがあったからだと思うの。そーいうの、ってのは要するに性別関係がちょっとオカしな恋愛形態にときめく感情の事よ。
それは代替恋愛な訳じゃない、あたしは本当に腐ってるって言われても男同士の恋愛が好きだと主張すればする程に、都合の良い代替受けキャラには萌えなくなっている事に気が付いてしまった。
代替受けキャラっていうのはようするに、女の子っぽい猫役の男の子の事ね。寝る方、と言うことで『ねこ』とか呼ばれたりする。逆は立てる方で『たち』、基本用語としては攻めとも言う。
昔から有る腐女子小話を挟めておこうかな。
皆さん~『攻める』の反対語は『受ける』じゃなくて『守る』ですよ~。漢字テストで腐女子が間違いやすい箇所です、要注意ね~。
話逸れたわ、……とにかくこう、弱そうでヘタレな受けキャラにあたしの食指が動かなく成りつつある訳ね。
そういうのに『自分』を投影してた時期が確実にあったんだろうけど、今はそれが出来なくなった。
ぶっちゃけて言う、あたしはツン誘い受けがガチ。
ようするに、簡単にフラグ成立されるよりは複雑で攻略しにくい方が断然に萌える。
リアルヤト氏は腐ったあたしから見てどう見ても完全に受け属性なのよね。
彼がガツガツしてるイメージが湧いてこない。どう考えてもレッド君の方が上になっているイメージさえある。……ごめんねレッド君。
……本人らには言わないけど、脳内妄想に留めておりますけれども!
逆にトビラの中のヤトちゃん、王道嫌いって散々脇道に逸れる属性持ってて色々事情も単純じゃない。それに、何だかんだ言いつつちゃんと『リーダー』してる。
ヤト・ガザミはちゃんと、強いと思う。
実際には昔に比べては格段に『弱く』なったらしいけど。
よく分からないな?GM君と比較してって事なのだろうか。
ヤト・ガザミは『過去』を殺し、それと決別するに弱さを選んだらしい……というのは分かるけど、だからってあのGM君とどう関係があるのかあたしとかにははっきり教えてくれないのよね。
エズ3人組は重要な事はいつも申し合わせたように黙りだし。
GM君は完全にリアルヤト氏の逆すぎて、完全他人も良い所、みたいにあたしには感じるかな。あそこまで突き抜けてるんならドS極めて最強の攻めキャラでも良いと思うなぁお姉さんは。そしてそういう属性を押し倒したい私の性癖ッ!
ヤト・ガザミは……リアルヤト氏とGM君、二人の丁度中間にいる感じかな。
ツンだけど受けっていう属性がガチのあたしにはそこがっ、とても重要!
『どっちにもなりうる』リバーシブルなトコがイイのかもね。ふふふ……。美味しいよね、もうやりたい放題よ、ぐふふふ……。
ココアと、お茶のポットをトレイに乗せて席に戻ると、ヤト氏は運命って何だと、何やら考えているみたい。不機嫌な様子をあからさましたままコーヒー啜って、そっぽを向いている。
その横顔を眺めているのも楽しい。
楽しいけれど、……あたしはマジなんだよお兄さん。
マジでヤト・ガザミが好きだからその思いを成就したい。
空想、恋愛なんだけどさ。
その空想に全力で立ち向かうのが腐女子の一つの側面だし、腐女子同人者の天命みたいなものだよ。
少なくとも私はそう思ってる。
だから、誰が何って言おうとガチでヤル気でいるから!
同人誌で!
「……でさ、また黙って勝手に好き勝手改変されるのはヤでしょ?」
一方的に話を再開してみる。
「勿論だ」
乱暴にカップをソーサに戻しつつヤト氏、真面目な顔で、そっぽを向いたまま言う。なんで真面目な顔してるのか分かるかって言うと、ガラスに写ってるからね。
「だからって許可なんか出さないからな、俺は!」
断ればいいってもじゃねぇぞ、と威嚇してるみたいね。
ふふん。
「じゃ、黙って出せば良かったんだ?黙っていれば勝手に改変しても良いって事?見えない所でこっそり楽しめばいいだろ~って?俺の見えない所、知らない所ならいいって言うんだ?」
「……あのな!」
「いいじゃない、ヤトはヤトでしょ、代理なんだから。てゆーかキャラ的に正規版とか始まったらこの手の個人の妄想は絶対避けて通れないわよ?上の人達は二次創作規制は考えていないって云う話じゃない」
という話はレッド君からちゃっかり仕入れています。
「私みたいな配布者が現れないにせよ、想像を規制することは出来ないんだから」
「俺だって人の妄想まで規制するつもりは……だから、なんでそれを配布するんだ、と!」
「だっておいしいもの、美味しい夢を見たいんだよ。世の中には美味しい夢を『つくる』人がいる、同じ思いを共有しているからこそ美味しい方がいいって事」
ヤト氏もエロいメディアコンテンツを同人誌含め、嗜まない訳ではない都合、全面的に否定は出来ずに困っているのかもしれない。
「……あんたの妄想に付き合う奴なんかいるのか?」
「バカね、居るに決まってるじゃない」
しっかり腐ってる私が断言するわ!
「だからって、……あんた達でやるなよ」
……恥ずかしい、そのように小さくぼやいたの、聞えてるってばヤト氏!はっきり言いなさいよ!そういう所、カインちゃんから男らしく無いとか言われちゃうんでしょー?
「その恥じらいすらも萌えにするのが同人魂ってもんよぅ」
どんなに止めてもあたしがヤル気である事は察したようだ。
ヤト氏、テーブルに突っ伏してしまった。
「それで、俺の代理の人が可愛そう過ぎるとは思わないのか」
ヤト・ガザミの事?
「あはん、可愛い子ほど苛めたくなるものでしょ?ヤト氏、勘違いしてない?別にあたしはヤト氏やヤト君を苛めたい訳じゃないのよ?逆、大好きだから大好きだって言う為の本を出すの」
「だからってどーしてそーいう方向性になる!?」
そーいう方向性とは男同士のイチャコラ話という事ね。
顔を上げて憤るヤト氏だけど……そうねぇ、理由はちゃんとあるんだけれど。
説明すると長くなるなぁ。
それに……ちょっと自分から言うのは件の……タブーに触れる気がする。
理由をはっきりヤト氏に言ったら、私が見ようとしている夢が醒めちゃうよ。
だから、言えないな。
「何も知らせなかった方がよかったかな?ちょっとだけ妥協してね、ヤト氏が許せる範囲で許可を貰った上で活動しようかなって思ったんだけど」
「俺はいかなるシチュも認めません!」
「なら健全ならいいの?」
「何が健全だ!」
「男女カプ」
あ、コーヒー吹いた。
「それただのエロになるんじゃないのかアンタらのクオリティだと!」
「だって、同性同士は不健全だとか思ってるんでしょ?」
「バカか!なんでどーしてそこまでして俺、というか俺の代理の人でなければいけないんだよ!」
だーから、それはヤトちゃんが好きだからだって。
夢が醒めるから言わないけれど。
ようするに……ヤトちゃんになりたいんだよ、私は。
トビラの中のヤトが羨ましいんだ、みんなから愛されててさ、その愛を素直に受け取れなくてツンツンしちゃって。
そういうのを口説き落としたいのよ。
そういうのを、組み伏せてみたいわけですよ!
あと、現実でなかなか近づけない人と仮想世界で仲良くしてるのとか見てるとさ。
私はヤトになりたいって思っちゃうもんだよ。
この気持ちは言えないや。
思わず視線を逸らし、十分に蒸らした紅茶をカップに注ぎ入れる。
「わかった、エロは入れないから!キス止まりで我慢する!」
「だからそーいう事を力一杯言うな!」
※本編終了後閲覧推奨、古谷愛ことアインさんメインの後日談です※
「あれー、一人だー」
「……一人で悪いか?」
時間ぴったりに待ち合わせ場所に駆けつけた所、ヤト氏が今にもお帰りしそうな最底辺なテンションで一人、席に収まっているのを見つけた。
ちなみに、ここはよく私達が待ち合わせに使う某ファミリーレストラン通称ファミレス。
ヤト氏は多分、待ち合わせ時間に誰も現れないからこの場に居るのが堪えられなくなって『逃げ出す』寸前だったのかも。
で、ようやく現れたのが私な訳でしょ?
なんかねー、今だに誤解されまくってるのよ私。
「珍しいなぁ、みんな遅刻かー?」
「てか、まさかまた俺を罠にハメたとか、そんなんじゃないよな?」
ほら、すんごい警戒されてるよ。でもそれは自意識過剰で被害妄想過剰だよヤト氏。
「何時から居たの?」
「……5分前くらい?」
ああ、そう言えば彼には別段遅刻属性は無いのだった。
……遅刻しない人物と言えば、
「レッド君は?」
ヤト氏、ちょっと顔を顰めた。
ちなみに私は『彼女』の事をあえて『レッド君』と呼ぶ事にしている。
「なんで奴の都合を……」
俺が把握していなければいけない、という所はごにょごにょと口ごもりつつそっぽ向いちゃった。
ああもう、ツンデレめ!可愛い奴!
「ごめんね、あたしも危うく遅刻する所で急いで来たから……」
鞄を肩に掛けていまにも席を立ち上がりそうなヤト氏をシート席の奥に追いやるように行動を封じながら携帯端末を取り出す。
ああ、やっぱり連絡来てた~慌てててチェック出来てなかった~。
連絡無しに遅刻するのはナギちゃんで……なっつん事ナツメ氏はこの会合が発案された時点で遅刻予告を貰っている。ナギちゃん以外は遅刻理由を事前に連絡くれるけど……ずぼらなのか何なのか、タイミングがずれてるのが……アベちゃん。彼女のの連絡は遅い。アベちゃっていうのは通称だとアベルって呼ばれてる、カインちゃんの妹でカインちゃんと同じく男勝りで気が強い女の子ね。
彼女、このもっぱらチキンだとかダメ人間だとか言われているヤト氏からフラれた伝説を持っている。伝説なの、在る意味、それは伝説級だと私は思うな。
ああいう恋愛話はフツー無いでしょ。ヤト氏の性格からして無い。ゆえに伝説級だ。
元ネタがあれだからってそこまでフラグ折ってどーすんだって所が私的には萌えるんだけどそれは、顔には出さないわよ、そりゃーね。
「んー……照井氏は急な家事手伝いがあって遅れるらしいし、メージンからは……ヤト氏、何か連絡届いてない?」
「ん?」
言われてのろのろとヤト氏、自分の携帯端末を取り出してああ、なんか来てるけどレッドからだぞ、とか言いながら。
文面読んで私の方を見やる。
「ほら、レッド君からの連絡はあたしじゃなくて、ヤト氏に行ってる」
メージンとナギちゃんとレッドは、別のファミレスで勉強会していてそれがちょっと煮詰まりすぎて、遅れるという連絡があたしの所にメージンから来ていたんだ。
やっぱりナギちゃんは連絡他人任せだった。まぁいつもの事だ。
で、私はアベちゃんに直接電話。
「もしもしアベちゃん?」
通話相手がアベちゃんと知ってかヤト氏、少しびくついている。反応が一々分かりやすくて面白いよ、もう。
『ごめーん、間に合うかなーと思ったんだけど、やっぱり間に合わなかった』
「だったらそうと連絡くらい寄越しなさいよ、心配するでしょ?」
『今それを打ってたんだよ~』
遅刻確定してからじゃなくて、遅刻しそうだったら連絡を寄越しなさいってば。その大雑把な所本当にカインちゃんそっくりなんだから。
「ふぅ、」
通話を終えて携帯の電源を落とすと同時に、ヤト氏今度こそ腰を浮かせて退散のポーズを見せている。
すかさず腕を掴んで止める。
途端固まって動けなくなるのはチキンっ子の仕様かしら?
「というわけで、今回も30分押し集合になるみたい」
「……今度から集合時間の30分後に来よう……」
「んー……あのね、現時点ですでに30分押してるんだけど」
「あ?」
「だからね、いっつもみんな遅刻してくるじゃない、でヤト氏先に帰ろうとするんですよってレッド君が言ってたからさ。今回、毎度遅刻メンバーには30分早い集合予定時刻を伝えてあったのよ」
あ、ヤト氏、項垂れて深いため息を漏らしてますね。
「ごめんね、こう云う時に限って言い出しっぺのあたしが定時に終われそうになくってさ。ヤト氏が来てるのは分かってたから急いできたんだ」
私は遅刻出来ないよね、当然だけど。
でもその当然の気遣いとかにこの子、無駄に感動してしまうタイプであるのは把握済み。
勝手に帰ろうとした事に後ろめたい感情はあるらしく、途端大人しくなって鞄を肩から降ろしてくれた。
「急いできたからおなか減ったんだ~先頼んでよ」
そういって強引にメニュー端末の片方を渡す、こんな時強気になれず流されてしまうのがヤト氏クオリティ。
「何食べよっかな?今日はね、がっつり食べたい気分なんだ」
さて、暫く彼と二人っきりか。
何を話せばいいかな?
引っ込み思案を穴から突っつき出すのはこれで、結構得意と心得る私である。
ドリンクバーに向かい並んだ所、コーヒーが出来上がるのを待つ彼の横でティーポットに湯を注ぎながら私は早速仕掛ける事にした。
「ヤト氏はさ、タチとネコどっちがいい?」
「は?」
即答即座返答が返ってまいりました。彼のスルースキルは低い。噂によるとリアルでもMッ気があって知り合いのドSの人にしょっちゅうイジられていると聞いている。
「だからぁ、せ……」
「そー言う話をこんな所でするな!」
小声で遮られた所、どうやら理解はしているようだと把握。
「どっちかって言ったらどっちなら『許せる?』」
「そりゃ、聞くまでもないだろ?」
「あ、にゃんにゃんの方がいいんだ?」
一歩確実に背後に引いた。そして、反撃を言いよどんでおります。不用意に逆を口にも出せないで困っておりますね。
お湯の満たされたティーカップをトレイに乗せながら私は笑う。
「中途半端に誤魔化して答えるからいけないのよー」
「てか、なんでそんな話を俺に振る!」
「それはもちろん、そーいう本を作るに参考にするからよ」
「うぉおい!冗談だろう!」
「ううん、ガチ」
なんかねー、誤解されまくってるからこの際はっきり言っておこうと思うんだ。
「私ね、結構ヤトちゃん好きよ」
一瞬怯んでから冷静に誰を好きだと私が言ったのかを把握し、立ち直って……やっぱり憤るヤト氏。
「!……って、だから、なんでそれが!」
からかうと面白いから多分、ヤト氏はみんなから弄られるんだと思うよ?
「じゃ、続きはテーブルでね~」
「……俺の事は振ったじゃねぇか……」
席に戻る間の短い間、ヤト氏が小さくぼやいたの、ちゃんと聞えてるんだけどな?
「多分ね、それが運命なんだよ」
「……運命って」
トビラの中でもやっぱり、ヤトはアインさんにアタックしたのよね。
それで、種族や年齢的な問題もあるからダメってチビドラゴンのアインさんはヤトを振っちゃったんだ。
実際には……ヤト・ガザミの本当に感情に気が付いていたからアインさんは断ったのだと思う。
他人事みたいに言うのね、って?仕方ないよ。
私、トビラの中では確かにチビドラゴンのアインの中の人だけど、トビラ世界の記憶や感情はね……あの世界の本質が『夢』である都合全部、正しく現実に持ち帰る事が出来ないんだ。だからついつい他人事みたいになっちゃう。
私だけじゃないよ。トビラをプレイしたみんなそうなんだって。
ヤト氏もそう。彼はトビラ世界のヤト・ガザミだけれどその時の記憶や、感情をこちらに全部持って帰れてない。
全て持って帰る事が可能ならみんなみんな、トビラを経て性格や人格、考え方さえ変化してしまう事になっちゃうでしょ?
そうはならない、持って帰れないのは仕様じゃないよ。
そんな事は出来ないんだよ。
変わるのって難しい事なんだから。その難しい事が出来ているように仮想世界では騙されているだけ。
だから、中と外じゃぁ人格違う人も居るのは当然でしょう?
中のヤトは、自分がどういう心理でチビドラゴンに本気の告白を行っているのか『分かってない』みたいだった。
その時、彼の心の中には分かりやすく、たった一人しかいないのがチビドラゴンにもバレバレなのにね。
どんなに本人が口や行動でその事実を否定しても、どうしようもなく『たった一人』の事を大切に思っているのが分かるんだもん。それの次にあたしを含め、多くの人達を同列に『大切』に思っているのがチビドラゴンにも分かったんだよ。一番に好きだから告白じゃないんだよ。一番を選べない都合があるから二番目に、っていう事だったんだよ、それは。
……ヤトはたった一人を選べなかったのだと思う。
たった一つとその他大勢を秤に掛けてしまって……その他大勢を選んだ結果、その他大勢代表としてチビドラゴンさんに告白という事になってしまったのだと思うんだ。
そして現実で、フルヤ-アイもまたヤト氏の遠回しな告白を拒絶したりしてみた。
ヤト氏ってば、アベちゃんの事本当は好きな癖にそういう事しちゃう子なのね。彼女の事を大切にする自信がないばっかりに逃げてばかり。
あたしとか、逃げる為の口実にされちゃ適わないわよ、って……ちょっとキツめに言い過ぎたかもしれない。
でもヤト氏は……色々と理解して、それで吹っ切れてくれたみたい。
結果的には良かったのかな。
この『好き』だっていう思いは、すれ違う運命なんだ。
だって私が好きなのは……目の前のサトウ-ハヤト氏じゃなくて、間違いなくトビラの中のヤト・ガザミの方なんだし。
私は、絶対に交わらない世界の人、ようするに空想の方を愛している。
ヤト氏とヤト・ガザミは同じだろうって?違うのよ、全然違う。
実際ゲームを夢として世界を共有し、ともに戦ったからこそ実は同じであるはずの二人の違いが際だって見えているだけ?
そんな事ないでしょ、だって、会話のテンションからしてヤト氏とヤトじゃ全然違うじゃない。
別人だよ。あたしにしてみれば『別キャラ』なんだって。
今ある事実は関係ないの、私が好きなのはヤト・ガザミっていうキャラクターの方だって事でもある。
そりゃね、この口数少ない癖に感情ばっちり顔に出ちゃうヤト氏も見てて楽しいんだけど、なまじリアルな男として目の前に居る所為か、仮想妄想に慣れきった都合か、トビラん中のちょっと俺様が入っている方がなんというか……色々と崩し甲斐がある?
こっちのリアルヤト氏、押し弱いんだもん。
……なんかあっさり押し倒されてそう。
一昔こういう乙女チックな男が流行った事もあったそうだけど、なんだっけ、草食系?
私は受けっぽいメンズが好きという訳じゃぁない。腐女子ってのは好きな子単体が好きなんじゃなくて、好き合っている関係性が好きってトコがあるかもね。
私も昔はね、男同士でラブラブイチャイチャしているだけで満足してたかもしれない。でもそれは、その時はまだそーいうのに照れがあったからだと思うの。そーいうの、ってのは要するに性別関係がちょっとオカしな恋愛形態にときめく感情の事よ。
それは代替恋愛な訳じゃない、あたしは本当に腐ってるって言われても男同士の恋愛が好きだと主張すればする程に、都合の良い代替受けキャラには萌えなくなっている事に気が付いてしまった。
代替受けキャラっていうのはようするに、女の子っぽい猫役の男の子の事ね。寝る方、と言うことで『ねこ』とか呼ばれたりする。逆は立てる方で『たち』、基本用語としては攻めとも言う。
昔から有る腐女子小話を挟めておこうかな。
皆さん~『攻める』の反対語は『受ける』じゃなくて『守る』ですよ~。漢字テストで腐女子が間違いやすい箇所です、要注意ね~。
話逸れたわ、……とにかくこう、弱そうでヘタレな受けキャラにあたしの食指が動かなく成りつつある訳ね。
そういうのに『自分』を投影してた時期が確実にあったんだろうけど、今はそれが出来なくなった。
ぶっちゃけて言う、あたしはツン誘い受けがガチ。
ようするに、簡単にフラグ成立されるよりは複雑で攻略しにくい方が断然に萌える。
リアルヤト氏は腐ったあたしから見てどう見ても完全に受け属性なのよね。
彼がガツガツしてるイメージが湧いてこない。どう考えてもレッド君の方が上になっているイメージさえある。……ごめんねレッド君。
……本人らには言わないけど、脳内妄想に留めておりますけれども!
逆にトビラの中のヤトちゃん、王道嫌いって散々脇道に逸れる属性持ってて色々事情も単純じゃない。それに、何だかんだ言いつつちゃんと『リーダー』してる。
ヤト・ガザミはちゃんと、強いと思う。
実際には昔に比べては格段に『弱く』なったらしいけど。
よく分からないな?GM君と比較してって事なのだろうか。
ヤト・ガザミは『過去』を殺し、それと決別するに弱さを選んだらしい……というのは分かるけど、だからってあのGM君とどう関係があるのかあたしとかにははっきり教えてくれないのよね。
エズ3人組は重要な事はいつも申し合わせたように黙りだし。
GM君は完全にリアルヤト氏の逆すぎて、完全他人も良い所、みたいにあたしには感じるかな。あそこまで突き抜けてるんならドS極めて最強の攻めキャラでも良いと思うなぁお姉さんは。そしてそういう属性を押し倒したい私の性癖ッ!
ヤト・ガザミは……リアルヤト氏とGM君、二人の丁度中間にいる感じかな。
ツンだけど受けっていう属性がガチのあたしにはそこがっ、とても重要!
『どっちにもなりうる』リバーシブルなトコがイイのかもね。ふふふ……。美味しいよね、もうやりたい放題よ、ぐふふふ……。
ココアと、お茶のポットをトレイに乗せて席に戻ると、ヤト氏は運命って何だと、何やら考えているみたい。不機嫌な様子をあからさましたままコーヒー啜って、そっぽを向いている。
その横顔を眺めているのも楽しい。
楽しいけれど、……あたしはマジなんだよお兄さん。
マジでヤト・ガザミが好きだからその思いを成就したい。
空想、恋愛なんだけどさ。
その空想に全力で立ち向かうのが腐女子の一つの側面だし、腐女子同人者の天命みたいなものだよ。
少なくとも私はそう思ってる。
だから、誰が何って言おうとガチでヤル気でいるから!
同人誌で!
「……でさ、また黙って勝手に好き勝手改変されるのはヤでしょ?」
一方的に話を再開してみる。
「勿論だ」
乱暴にカップをソーサに戻しつつヤト氏、真面目な顔で、そっぽを向いたまま言う。なんで真面目な顔してるのか分かるかって言うと、ガラスに写ってるからね。
「だからって許可なんか出さないからな、俺は!」
断ればいいってもじゃねぇぞ、と威嚇してるみたいね。
ふふん。
「じゃ、黙って出せば良かったんだ?黙っていれば勝手に改変しても良いって事?見えない所でこっそり楽しめばいいだろ~って?俺の見えない所、知らない所ならいいって言うんだ?」
「……あのな!」
「いいじゃない、ヤトはヤトでしょ、代理なんだから。てゆーかキャラ的に正規版とか始まったらこの手の個人の妄想は絶対避けて通れないわよ?上の人達は二次創作規制は考えていないって云う話じゃない」
という話はレッド君からちゃっかり仕入れています。
「私みたいな配布者が現れないにせよ、想像を規制することは出来ないんだから」
「俺だって人の妄想まで規制するつもりは……だから、なんでそれを配布するんだ、と!」
「だっておいしいもの、美味しい夢を見たいんだよ。世の中には美味しい夢を『つくる』人がいる、同じ思いを共有しているからこそ美味しい方がいいって事」
ヤト氏もエロいメディアコンテンツを同人誌含め、嗜まない訳ではない都合、全面的に否定は出来ずに困っているのかもしれない。
「……あんたの妄想に付き合う奴なんかいるのか?」
「バカね、居るに決まってるじゃない」
しっかり腐ってる私が断言するわ!
「だからって、……あんた達でやるなよ」
……恥ずかしい、そのように小さくぼやいたの、聞えてるってばヤト氏!はっきり言いなさいよ!そういう所、カインちゃんから男らしく無いとか言われちゃうんでしょー?
「その恥じらいすらも萌えにするのが同人魂ってもんよぅ」
どんなに止めてもあたしがヤル気である事は察したようだ。
ヤト氏、テーブルに突っ伏してしまった。
「それで、俺の代理の人が可愛そう過ぎるとは思わないのか」
ヤト・ガザミの事?
「あはん、可愛い子ほど苛めたくなるものでしょ?ヤト氏、勘違いしてない?別にあたしはヤト氏やヤト君を苛めたい訳じゃないのよ?逆、大好きだから大好きだって言う為の本を出すの」
「だからってどーしてそーいう方向性になる!?」
そーいう方向性とは男同士のイチャコラ話という事ね。
顔を上げて憤るヤト氏だけど……そうねぇ、理由はちゃんとあるんだけれど。
説明すると長くなるなぁ。
それに……ちょっと自分から言うのは件の……タブーに触れる気がする。
理由をはっきりヤト氏に言ったら、私が見ようとしている夢が醒めちゃうよ。
だから、言えないな。
「何も知らせなかった方がよかったかな?ちょっとだけ妥協してね、ヤト氏が許せる範囲で許可を貰った上で活動しようかなって思ったんだけど」
「俺はいかなるシチュも認めません!」
「なら健全ならいいの?」
「何が健全だ!」
「男女カプ」
あ、コーヒー吹いた。
「それただのエロになるんじゃないのかアンタらのクオリティだと!」
「だって、同性同士は不健全だとか思ってるんでしょ?」
「バカか!なんでどーしてそこまでして俺、というか俺の代理の人でなければいけないんだよ!」
だーから、それはヤトちゃんが好きだからだって。
夢が醒めるから言わないけれど。
ようするに……ヤトちゃんになりたいんだよ、私は。
トビラの中のヤトが羨ましいんだ、みんなから愛されててさ、その愛を素直に受け取れなくてツンツンしちゃって。
そういうのを口説き落としたいのよ。
そういうのを、組み伏せてみたいわけですよ!
あと、現実でなかなか近づけない人と仮想世界で仲良くしてるのとか見てるとさ。
私はヤトになりたいって思っちゃうもんだよ。
この気持ちは言えないや。
思わず視線を逸らし、十分に蒸らした紅茶をカップに注ぎ入れる。
「わかった、エロは入れないから!キス止まりで我慢する!」
「だからそーいう事を力一杯言うな!」
0
あなたにおすすめの小説
迷惑異世界のんびり道中記~ちびっ子勇者とともに~
沢野 りお
ファンタジー
なんということもない普通の家族が「勇者召喚」で異世界に召喚されてしまった。
兄、橘葵二十八歳。一流商社のバリバリエリートのちメンタルに負担を受け退職後、一家の主夫として家事に精を出す独身。
姉、橘桜二十五歳。出版社に勤める美女。儚げで庇護欲をそそる美女。芸能人並みの美貌を持つオタク。あと家事が苦手で手料理は食べたら危険なレベル。
私、橘菊華二十一歳。どこにでいもいる普通の女子大生。趣味は手芸。
そして……最近、橘一家に加わった男の子、右近小次郎七歳。両親が事故に亡くなったあと、親戚をたらい回しにされ虐げられていた不憫な子。
我が家の末っ子として引き取った血の繋がらないこの子が、「勇者」らしい。
逃げました。
姉が「これはダメな勇者召喚」と断じたため、俗物丸出しのおっさん(国王)と吊り上がった細目のおばさん(王妃)の手から逃げ……られないよねぇ?
お城の中で武器を持った騎士に追い詰められて万事休すの橘一家を助けたのは、この世界の神さまだった!
神さまは自分の落ち度で異世界召喚が行われたことは謝ってくれたけど、チート能力はくれなかった。ケチ。
兄には「生活魔法」が、姉には「治癒魔法」が、小次郎は「勇者」としてのチート能力が備わっているけど子どもだから鍛えないと使えない。
私には……「手芸創作」って、なにこれ?
ダ神さまにもわからない能力をもらい、安住の地を求めて異世界を旅することになった橘一家。
兄の料理の腕におばさん軍団から優しくしてもらったり、姉の外見でおっさんたちから優遇してもらったり、小次郎がうっかりワイバーン討伐しちゃったり。
え? 私の「手芸創作」ってそんなことができちゃうの?
そんな橘一家のドタバタ異世界道中記です。
※更新は不定期です
※「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています
※ゆるい設定でなんちゃって世界観で書いております。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)
水鳥楓椛
恋愛
「お姉様、コレちょーだい」
無邪気な笑顔でオネガイする天使の皮を被った義妹のラテに、大好きなお人形も、ぬいぐるみも、おもちゃも、ドレスも、アクセサリーも、何もかもを譲って来た。
ラテの後ろでモカのことを蛇のような視線で睨みつける継母カプチーノの手前、譲らないなんていう選択肢なんて存在しなかった。
だからこそ、モカは今日も微笑んだ言う。
「———えぇ、いいわよ」
たとえ彼女が持っているものが愛しの婚約者であったとしても———、
追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~
ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。
そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。
「荷物持ちでもいい、仲間になれ」
その言葉を信じて、俺は必死についていった。
だけど、自分には何もできないと思っていた。
それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。
だけどある日、彼らは言った。
『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』
それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。
俺も分かっていた。
だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。
「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」
そう思っていた。そのはずだった。
――だけど。
ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、
“様々な縁”が重なり、騒がしくなった。
「最強を目指すべくして生まれた存在」
「君と一緒に行かせてくれ。」
「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」
穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、
世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい――
◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる