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番外編 EX EDITION

◆トビラ番外編 EX EDITION『旅の途中で一杯のコーヒー』

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◆トビラ番外編 EX EDITION『旅の途中で一杯のコーヒー』
※何時でも読める セリフ多めの与太話系※

 このコーナー短編ブログや書いて埋める系のブログから来ている都合、こんな話もありました。
 ……コーヒー豆からターキッシュコーヒーを作って飲んでみようというコーナーです。
 写真入りの作り方解説でしたが、勿論今回そのようなものはありません。

 *** *** ***

 今回の案内役は、有翼人の、すっかり回復係が板についてしまった上位神官のナッツといいます。
「あーあーあー、なんかさー、最近ストレス展開なんだよなぁ ……あ、ちわっす。一応人柱……じゃなくって!リーダー役の戦士ヤトだ」

 ※どうやら7章後くらいの話だったようです

 ストレス展開?それって、君だけの話だろう?

「うぐぐ……何か言い返せないのは何故だろう、何故だ?俺はストレスで精神ポイントに致命的なダメージを受けた様だ。受けた様だ!」

 はいはい、仕方が無いなぁ。コーヒー入れてあげるから回復しやがりなさい。

「ういっす、ナッツさんの淹れてくれるコーヒー大好きー……って、コーヒーってマジックポイント回復するんかな?」

 うーん、某ゲームなんかだと飲み物系はMPに作用するよねぇ。というかコーヒーは元々薬草として書物に登録されている列記としたハーブだからね。効能として正しく淹れて飲めば体に良いんだよ。

 と云う事で、この度淹れる旅の途中で飲める『ターキッシュコーヒー』をご紹介しよう。

 勿論、中での名称はソレじゃないけどね、要するにターキッシュコーヒーだよね、っていう。

 豆は生のものを都度ローストして使うがベストだよ。ローストされた状態や、ましてや挽いた状態では密閉しても長期保存は難しいんだ。
 旅をして、持ち運ぶならできれば生豆、最低でも軽く炒った豆状態がいいだろうね。
 僕は生豆で持ち運んで、都度ロースト、粉砕してコーヒー淹れて上げてるよ。こっちの世界には魔法って云う便利な手段があるから、専用機器で熱したり冷ましたり材料を粉砕したりするのに、魔法っていう手段があるのなら余計な機器が必要ないんだよ。
 ちなみに僕は薬剤師兼ねてるから、粉砕は乳鉢使って自力でやるけどロースト作業は魔法でやっちゃう。

 でれきればエスプレッソ向けにハイローストするのがいい。

 ミルっていう、豆を挽く機械は勿論この世界にもあるけど、そんなのは一々旅には持って歩けないし文化レベル的に言ってどこでも売ってるモノじゃない。大体中世くらいの世界設定の世界を旅してるからさ、フツーに乳鉢なんかでゴリゴリがデフォルトだよ。粉砕も魔法でしてしまえばいいって?いやぁ、熱を加えるよりかは遥かに加減が難しいんだよねぇ……飛び散らないようにとか気を付けないとでしょ?だったら手慣れたすり鉢とか薬研で自力で挽いた方が早い。
 この豆を挽いてる時が一番アロマが香り立つわけで……僕もコーヒーは嫌いじゃないからね、薬剤師はこういう作業そのものに意味を見出してる所があるんじゃないかな、と思うよ。

 でも、重労働には変わりない。ということで、はい、これ。

「え、何スかこのすり鉢は……」
 自分で飲む分くらい自分で挽いてねー。
「えー、なんかこーさー、魔法とかで細挽きとかに出来ないもんなの?」
 そういう風に最適化された魔法も無いわけじゃないけどさ、そういうのは魔法技術を使った料理魔導師が使う為にそれなりに開発されてるらしいんだけど、僕は魔導師じゃないんだから。そういう、家庭的な魔法には縁が無いよ。
「家庭的か?……逆に言うと、そういう魔法が在るんだな……料理人向けに。そんな魔法も開発する魔導師ってアホだなと思う瞬間だ。自分で挽けよ、どこまで肉体労働拒否ってんだよあいつら」
 僕も思わず苦笑を還しちゃうけど、まぁまぁ、挽いてる時が一番良い香りを楽しめるんだよ。そう言ったら流石はコーヒージャンキー、ヤト・ガザミ。即座豆挽を開始。
「おお、ゴリゴリ…… ホントだ!ゴリゴリ…… うーむ、トレビアーン……」

 君、トレビアンの意味分かって使ってる?
 ともかく、戦士なヤト君のお力であっという間に細挽きが完成したよ。

 ところで何故ターキッシュコーヒーかというと、濾過する必要が無いからだよ。
 探した事は無いけど、この世界じゃまず紙フィルターなんて存在しないだろうし、ドリップで一般的な布濾しも冒険者だから不衛生になるだろう……とすると一番考えられるのは古くからあるコーヒーの飲み方である、リアルにおける『トルコ式』だろうって事さ。

 超細挽きに、パウダー状になるまで擂るべし擂るべし!

 当然壷型鍋なんて一々装備品には無いので、何時もの小型鍋を使用すいるよ。
 粉末状にしたコーヒー豆と、砂糖を少々と水を入れて……。
 さて僕らは道中、どうやって水を確保するかって?いやいや、熟練の魔法使いが2人もいるわけだからね。そんなのはちょろっと空気中から生成すればいいんだよ。でもそうすると不純物が無くてね……つまり、超軟水って事なんだけど。これはこれであまり調理とかには向いてない気がするよ、多少の雑味成分は在った方がコーヒーも美味しく淹れられたりするんだ。
 だから大抵は綺麗な湧き水なんかを汲んで使っているね。
 無ければ、雨水や泥水などを、魔法手段で最低限のレベルまで濾過する方法で飲料水を得ているかな。
 公害汚染とか無い世界だからね、雨水だって一煮立ちさせれば十分飲めるのさ。
 ……とか言ってる間に煮立って来た。
 時折かき混ぜながら弱火で3度……一度火から降ろして沸騰して粉が湧いたものを沈ませて、それから煮立せるを3回繰り返すんだ。

「わー、なんかもうその匂い嗅いでるだけで俺はイきそうなくらいに幸せなんですが」
 君は本当にコーヒー好きなんだね。ちなみにこの方法で作ったコーヒーは、どうしても煮詰めちゃうからねぇ……香りという点では劣るんだ。
「いいよ俺、ニセコーヒーじゃなきゃなんでもいいよ。苦菊根茶は嫌。カフェイン!カフェイン!」
 カフェイン含有量だったら緑茶だって同じようなものなのにね。そうだ、どっかで抹茶とか扱ってないかなぁ……気候的には遠東方辺り?南国の市とかなら扱ってるかな?僕が住んでたファマメント国だと大抵は発酵茶だったけど、緑茶とかは無いのかな?
 是非今度探してみよう。
「しかし、元々薬剤師系の技能って持ってたのかお前?」
 そりゃぁバックアップ後方支援を目指してキャラ作成したからね。出来る限りの回復支援を極めると薬剤系技能は取らざるを得ないでしょ?割りとこの世界の設定ってピーキーでさ、魔法とか技術力とか相当に発展してて普遍化してるんだけど、使いこなされてるのってすごい底辺の技術だけみたいなんだ。
 あとは理論抜きで使われている感じがするね。
「アレか?コンピューターは使えるけど仕組みが分ってないという、アベルみたいな奴が一杯だ、と。割りと現状は現代社会と同じか……技術が魔法か機械かの違いって奴?」
 そうだね。その中で、薬学と薬膳的なものが相当に高いレベルで民間に下りてるんだよね。割りとバカに出来ないレベルだ。……誰か技術力を引っ張り上げたNPCでもいたのかもしれない。その辺りの技術を結構沢山取得してるよ。

 さて、少し置いて、粉を沈殿させたあとゆっくりカップに注いで完成!

「わーい!旅先で疲れた時に一杯のコーヒーが飲めるなんて!……まずは……薄いというが十分ある、匂いを堪能する!……ああ……幸せか……いい…………あ、酒?酒もいいけどウチのパーティー弱い奴も居るからな」
 そうだね、アベルが致命的に弱いらしいけど、どのくらい?
「料理酒でも酒精トんでないとダメなくらい。あれだ、奈良漬で酔うタイプだ」
 リアルだとそこまででも無いよね?
「だからなお悪い、リアルのノリでちょっとくらいって飲んでヤベェ事になるんだ」
 ……成程……。
「さてさてお味は……とろっとした感じで、焙煎はしっかりしていた割に苦味はそんなに感じないな。苦味が好きな俺としてはちょっと物足りないかな……」
 でも、悪くないだろ?
「ああ、逆に苦手な酸味はどこにも見当たらず、まったりとしていてコクの深味わい。砂糖が微かに効いててエラく飲みやすいぜ。疲れた体と脳にも優しいってわけだ」
 生豆でロースト不足にするとどうしても酸味が出るからね、それもそれで疲れている時には良いと思うんだけど。
「はー、俺断然にブラック派だったけど、こういうコーヒーも良いもんだな。やべぇ、癖になりそうだ…… ご馳走様でした~!」

 ああ、ちなみに豆をそのまま煮出すので、古い豆や品質が悪い豆は使わない方が良いそうだよ。理由としては、豆から淹れるコーヒー全般的に言える事なんだけど、ターキッシュの場合豆をずっと煮込むから、悪い成分が抽出されやすくなるんだ。

「重要なポイントだからな、セーブしとけよ!」



 おわり。
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