335 / 366
番外編 EX EDITION
■番外編EX『戦いを捧げろ!』#5/10
しおりを挟む
N&SinMFC シリーズ番外編『戦いを捧げろ!』#5/10
※同世界設定同士の物語登場人物による、
俗に言うパラレルの様なそうでもないような番外編です やや長め
「驚愕の事実!なんと、今回は1ヶ月以上放置されました」
驚愕という割には淡々と述べる紫魔導師。
※解説※
まぁ色々あって続きをやる時間が無かったようです。突発的にこんな長いモノ始めるのが良くないのですよ
「別に驚愕でも何でもないのでは」
少々どころか相当にわざとらしいレッドの言葉にトリスはいつもの通り、無関心な応答を返した。
「そう言わずに、こんな具合じゃ次はいつになるのかわかりませんよ!もっと、もっと責めておかないといけません。書いてる人を追い込むべきです」
そーですねー。
忠告もらうといきなり目が覚めてとんでもない速度で応答したりしますからね、これ書いている人。
それにしても……確かに間を開けすぎましたすいません。
「いやぁ、こういう場合はそうだなぁ。某近未来のSFな話もなかなか再開できず本当にこんなのやっていていいんだろうか?……などと。もっとイタいところを突いてやるべきだろう」
(無事再開したからそのツッコミは不可になったぞ)
※解説※
SRPU-3-の内容が割とガチすぎてトビラの終わりごろと一緒にやるのが辛くなったので長く止めておりました。ご迷惑おかけしました~
更に、既に完結済みです
「……大丈夫なのか?」
心配してくれているのは今回、というか前回の超後半からの追加解説ゲスト『突っ込み要員』のルインである。
「どっかの主人公みたいにダメ人間じゃないはずだから」
「自他ともに認める負けず嫌いです」
「というか、俺が思うに叩かれると飛び出るタイプだと思うな。こう、変な方向に。やるといったらとことんやる、という」
ハイドロウ、レッド、トリスのその言葉にルインは………一人頭を掻く。
「あー……そっか……。なら、そうだなぁ」
その微妙な態度を見せるルインにレッド、ハイドロウに向けてこっそりと耳打ちで尋ねてみるのだった。
「あの、すいませんが」
「なんだい?」
「僕、資料でしかルインさんの事はわからないんですけど……あの方はどいう人なのでしょう?今の態度の意味がよくわからないのですが」
「ああ、それは見ての通りだよ」
ハイドロウはあえてルインに聞こえるように言った。
「某チキン軍師と違って責任能力 だ け は あ る 、彼はそういう奴なんだよ。言われたらとことんやる、打たれると飛び出るタイプさ。変な方向に」
「あぁあ、だからああいう微妙な態度を」
「……お前ら、そーいうヒソヒソ話は当人に聞こえないようにやれッ!」
流石突っ込み要員、最初からかっ飛ばしております。
さて、現状解説からお願いしよう。
「そうだな、ではそろそろ始めよう。イシュタル国は闘技の町エズにて、スペシャルでお遊びもいいところであるトーナメントが組まれている。今初戦がすべて終わった所でこれからシード枠での対戦が始まるのだが……」
机の上で手を組み、解説のトリスがそう語るとレッド、用意してあったのだがあえて今まで表に出していなかった対戦表を出して立てて来た。
「なんでそれを最初から出さないのさ」
もっともな意見を出すハイドロウに、
「どーせアレだろ、対戦相手と最初に分かってたら面白くないだろう、的な意図じゃね?」
「鋭いですね、実はそうです」
あっさり認めたレッドにルイン、面白くなさそうである。
そこは、ち、ちち、違うバァカ!とか図星って慌ててくれるからこそツッコミのし甲斐があるというものだというのに。基本的にこういうイレギュラーな態度で躱してくる人物がルインは苦手であったりする。……誰とはあえて言わないが!
「次の対戦カードは誰だろう、わくわく、というのも司会は読者にプレゼンしてやらねばならないのです。司会役の大変地道な作業なのですよ」
「どこが地道だ」
相手が弱みを見せるまでひたすら攻撃、流石某SFでは攻撃特化機。ツッコミ属性は天性の才能であるように炸裂し続ける。
対しレッド、かゆい所に手が届くツッコミにしびれていた。
「ううん、いいですね。やはりこれです、このテンポのよいボケと突っ込みが必要なんですよ」
何に必要だというのだ。
ルイン、思わずツッコミの口を休んで呆れてしまう。
どこぞの世界で、割と苦手とする人物に属性が似ている気がして素直に引いてしまっていたのだ。
※解説※
やっぱりSF某のKFさんである。突っ込んでボタンを押してしまうと、予測していない方向から棚が飛び出してくるタイプだ
「いかんな司会役。この調子だといつまでたっても対戦が始まらないぞ」
苦笑気味なトリスの言葉にレッド、それは失礼しいましたと対戦トーナメント表を改めて立てて状況確認を再開。
「初戦に行われたシード枠戦では『間違いなく強い剣士』さん同士での対戦となっておりました。すなわちブレイズさんとバンクルドさんの対戦です。こちら、魔法剣には弱いという意外というか致し方ない弱点につきバンクルドさんの敗退となっております。そして今、勝ち進んだブレイズさんとシード枠……ぶっちゃけてこの闘技場のオーナーでいらっしゃいますアベルさんとの対戦が、始まろうとしています」
「オーナーという立場においての特別シード枠、という事だな」
そういうわけでようやくこの、ぶっちゃけ都合は全部忘れてくださいお遊び対戦、の続きが始まる。
いつでも長いのは前ふり会話が漸く終わるが実は、戦いは……彼らがくっちゃべっている時間よりはるかに短く決着がついている。
十数話も文章しかない小説で引っ張るの無理ですしね。
っていうかブログ媒体でそんな十数話になるようなテキストいきなり書くな。
黒目、黒髪の多分好青年、ブレイズ。
対するは赤目赤髪という遠東方人先祖返り種、アベル。
二人が闘技場の中央に姿を現していた。
その様子を確認し、司会・解説・特別ゲスト・&ツッコミの4人は状況を思い思いに語りだす。
好き勝手語っても話が成り立つのが……ぶっちゃけスペシャルなクオリティ。
「うん?なんだか彼女、ちょっと不機嫌そうじゃないかい?」
「ああ、おかげさまでブレイズが対応に困っているぞ」
「……それは違う。奴が困るのはあの場に限った事じゃない。いつでもどこでも、だ」
ハイドロウとルインのやり取りを聞いてレッド、
「ブレイズさん、少々まごついているようなのですが彼は、もしかして女性が苦手だとか?」
「いや、それはむしろダークの方だ」
「ダァクだと逆に喜ぶのだろうけどな」
トリスが小さくぼやく。
「ややこしいですねぇ、似たような名前は」
※解説※
クドいようだが今回のスペシャル、由来的には同じながら表記的に『ダーク』と『ダァク』という非常に紛らわしい名前同士の別人が存在する。性格真逆なので注意されたし
「それはともかく。で、なぜブレイズ君はあのように少々まごついているのだろう」
赤毛のアベルが不機嫌だというのは一目瞭然である。
ブレイズを前にする以前にすでに、何かよくわからないが負のオーラを纏って舞台に現れていた。
鈍いだの、天然だの言われてしまうブレイズでも察するくらいである。
その不機嫌な彼女を前にブレイズ、何か話しかけようとしているのかそれが出来ずちょっと挙動不審気味に陥っているという具合だ。
「……一方的にぶん殴られて終わるんじゃね?あれ」
「誰が?……ブレイズが殴れるはずないから彼女が殴るのか」
「そーですねぇ、彼女は誰だろうと遠慮なく殴りますねぇ」
「……といか、彼女魔法剣士なのにグーパンで戦うのか?」
うっさいわね、殴らないわよ!
流石古代有能種、司会・解説席の4人の奔放な会話を聞いていたにとどまらず、強引に割り込み一喝し黙らせてしまった。
女だてらに前衛を務める彼女の気迫に、魔法使い系4人はすくみあがった!
『竜の咆哮』に匹敵する彼女の叫びは、魔法使いに限らず観客の多くの1ターンを奪う始末。
これに唯一耐え抜いたのは、目の前に立っている同じく前衛剣士、ブレイズのみだったりする。
「あー……ええと、機嫌悪い?」
見て分からないの?という彼女の訴えとともに放たれたのは『竜の睨み』。
それを持ち前の『超天然』で華麗に受け流し、ブレイズは苦笑い長い前髪を弄る。
ようやく硬直から立ち直り、解説シートが動き出す。
「こ……これは、案外いい勝負になるのでは」
「ああいうのは意外と相性がいいものらしいな」
「みたいですね」
レッドとトリスの会話に……。
「………」
「…………」
果てしない沈黙で応える特別ゲストとツッコミ役。
「あ、別にあなたたちの事を言っている訳じゃないですよ」
「うるせぇよ、お前一言余計なんだよ!」
「あたりまえだろルイ、吠えるな……みっともない」
そう言って危険な気配を漂わせ始めたハイドロウにレッドは肩をすくめる。
「ねぇ、勝敗のルールって何?」
そこへ、有無を言わさず質問が投げ込まれ、4人はいつの間にやら解説席付近の真下までやってきていたアベルを見降ろしていた。
「トリスさん、解説をどうぞ」
レッドから容赦なく状況解説を振られ、トリスは苦り切りった笑みをこぼす。
「この至近距離で俺が、かぁ……ええと、彼女は説明書を一切読まない、あるいは読めない人だそうだ」
「……ありがとうございます」
「……レッド、誰それ?」
すでに彼女の攻撃圏内に入っているのは魔法使い連中しっかり把握はしている。
内心震えあがりながら……目には見えない巨大なドラゴンとにらみ合い。
「彼は解説のカンペを読み上げただけです、殴るなら書いた人を」
レッド、一応解説の際どい仕事をしっかりこなした事に敬意を表し、トリスをかばうべくお得意の詭弁をひるがえす。
「書いた奴?誰?」
レッド、さわやかな笑みを浮かべてこれに答えた。
「こんなこと書くのはそりゃ、ヤトしかいないじゃないですかッ★」
貴女の事よっく分かってる人は彼だけですよ!とか、
誰をおだてているのか、いやおだててはいないようだと不穏な気配を感じつつルイン、仕事をこなす。
「おい、黒い星印ついてんぞ」
「しっ……とばっちり食らいたくなかったら今は黙ってろ」
泣く子も黙る北神のご先祖様も今は一時の危険を感じ必死に気配を消していた。
それほどにアベルの纏う雰囲気がエラい事になっているようである。
「ふうん?あいつがねー…………それでレッド、悪いんだけどあたし棄権していい?」
ふっと怒りを腹に収め、アベルはとんでもない事を言い出した。
「……え?」
ルインが惚けるもレッド、冷静にメガネのブリッジを押し上げながらアベルに向けて応えた。
「そもそも、あたしも組み込みなさいよと強引にシードに入り込んだのは……ああ、はいはい。そうですねオーナ、貴方はこのトーナメントのネ申でした。それで、どうしてそういう心変わりをしたのかという事をご説明はしてくれないのですか?」
その問いに、アベルはふっと……中央で何事かと目を丸くしているブレイズを伺ってから、ほんの少し困った顔でこちらにふり返る。
「やっぱり、それって説明しないとよね」
「そうですねぇ、僕が納得しませんので」
「お前じゃなくてブレイズが、だろ?」
口出しすべきじゃないと思っていても思わず突っ込んでしまう、ルインの仕事は完璧だ。
レッド、恐れ行ってメガネのブリッジを押し上げながらこれに答える。
「いいえ、彼は納得しますよ。トリスさん、解説お願いします」
「君、俺にめんどくさいところ全部押し付けてきてないか?まぁいい……恐らくブレイズ君は女の子と戦うのを嫌がるから彼女の棄権の目的など求めないだろう。『なぜ?』などと求めるのは、その結果に満足がいっていないからだ。満足すれば理由などどうでもいい事だろうさ」
「流石天位青魔導、パーフェクトです」
その、パーフェクトですという言葉に求められたクオリティそのままお届けした事を察し、トリスは余計なひと言を口に出す決意を決めていた。……実はひねくれている心の中にひそませている『遊び心』が発動したとお察しください。
「……蛇足を述べるなら。ブレイズは某誰かさん達のように戦いバカではない。理由も結果もすべて超越した次元で彼女のやりたい事を止める事は無いという事だ。たぶん、あとで『なんで彼女棄権したんだろ?』とか気付くタイプであろう。で、最終的には『ま、いっか』で終わるタイプでもある」
「……それが無ければブレイズの面目も立つだろうに……」
おそらくレッドはわざとトリスにとどめを引き出させた。
密かに青魔導師を手玉に取ろうとする向上心あふれる紫魔導師の行いに、ハイドロウは呆れの意味でのため息を漏らす。
「という事で、どうしたんですかアベルさん」
「むー……そんなのあたしの勝手でしょ?」
「何ですか?もしかしてヤトが先に敗れちゃったので面白くないから棄権でs」
「なんでそんな理由になるのよ!」
見よ、世界よ、これが正しいツンデレだ!
隠しようも無いクソデカ感情を込めて竜の咆哮が放たれて、またしてもワンターン削られた魔導師であるが辛うじて同じパーティを組んでいて耐性を持ちつつあるレッドが回避している。
「ちょっっっとだけ、興味あったんですよねー?師匠と戦ってみたかったりしたんですよねー?」
「だから、違うって言ってるでしょ!なんでそんな決めつけるのよ!」
「じゃぁ、棄権しなければいけないちゃんとした理由を述べてください。ほら、聞いているんですよ。イシュタル国エズにおいて、闘技は神聖な儀式であって舞台に上がったらそれ相応の形式にのっとり……」
「あーあー!わかったわよもう!」
そういえばコイツって嫌な奴だったわ!というあきらめの様子でアベルは肩を落とす。
「……その……ね、あたしは戦う側に入るの初めてなものだから。その、色々緊張しちゃって」
舞台に現れた時の形相は、明らかに緊張している面持ちではなかったが。
という、ツッコミはおっかなかったので声に出さず、抑え込むルイン。
「で……ね、その。あたしもこれで腕には自信あるんだけど。……見渡してみたら女の子で参加ってあたし一人じゃない?」
女の子ってガラか?
……まぁ、最初のアレとかなかったら普通に可愛い女の子だろうがな……。
という、ツッコミはやっぱり心の中にしまいこむルイン。
「だから……ね。………もし、あたしが勝ち残っちゃったら……ね?……なんか、その」
「すごい強い女戦士ですねと拍手喝采が」
「黙れ!」
ドラゴンのモノを言わさぬ気迫に流石に今回はレッドは黙らされた。
「いい加減にしないと殴るわよ!」
「アベルさん、ヤトはともかく僕までも暴力で統率できるとは考えない方が身の為です」
とか平然と机に肘をついて手を組みいいながら、実は机の下に隠れているレッドの足がちょっとガクガク震えているのをリスは見て見ぬふりをしていたのが、一応フォローという事で言葉をアベルに向ける。
「女の子らしく振舞いたいのならまず、その言動と行動予告をどうにか改善すべきだろう。いいかい、女の子というのはその事実だけで武器ともなるものだ。君は、暴力ではなくその『女の子』で勝ち進めばいい。その時、最後に下される評価はまた違ったものになるだろう」
「……何言ってるかさっぱりわからない」
おおっと、こういう子だったとやや調子を狂わされ、トリス苦笑い。
理解力の足りない子向けに噛み砕いてさらに解説。
「そうだなぁ……闘技場における勝敗のルールは、相手を屈服させてるか相手にギブアップといわせるかだ、と聞いている。すでに舞台は開かれ、イシュタルトに捧げる闘技の儀式は始まっているはずだ。棄権の申し出は俺達に言うべきではなく、彼に伝えるべきではないのかな」
確かにルール上それが最もですと、レッド隣で頷いている。
「そうね……舞台の上には戦う二人以外、何人たりとも入れない。決着がつくまでここは閉じられた舞台だわ」
エズの闘技場オーナーだけあり、イシュタル国の闘技ルールは熟知しているアベルはそのように、トリスの言葉に納得は行ったようで中央に引き返して行った。
「えー……では、改めて戦いを……」
「あのね、ええと。ブレイズさん?」
レッドの司会が聞こえているだろうがあえて無視してアベルは言った。
「なんだい?」
「あたしね……貴方と戦いたくないの」
事の成り行きを見守るに、比較的静かだった闘技場にどよめきが走る。
トリス、顎に手を置いて苦笑いがやめられない。
「……悪くは無いんだが……どうにも。その言い方は……」
「悪い方向に転びそうな会話だね」
何しろ相手は超天然だぞ、とハイドロウあきれ顔で呟く。ルインも小さく笑いながら頭を掻いた。
「……こういう時、理由を省くのは逆効果なんだよなぁ」
「そう言う事ですね」
アベルの激白(?)に、ブレイズは少し驚きながらも答えた。
「それは……俺だってそうだよ」
「あたしだからじゃないのそれ?」
「正直に言えばそれもある。でも、君だけに限らず俺は、積極的に戦いたいわけじゃない」
苦笑いを浮かべ、ブレイズは穏やかな表情で目を閉じた。
「戦いたくない……か、なら、どうしてこんな企画に参加したんだい?」
ぶっちゃけていえばお前らの意見など聞いてない(byかいているひと)
「それはあんただって同じでしょ?……うん、あたしの理由は不純なんだけど」
「俺は巻き込まれて流されて、だ。……こうやって流される悪い癖、直さないといけないな」
ブレイズは閉じていた目を開けた。
そして、突然剣を引き抜きそれを、すなわち……剣を。
……場外へぶん投げる。
あっけにとられる観客、およびアベル。
「あ、転んだ」
「悪い方向にな」
「流石キング・オブ・ナチュラル……我々の思惑の斜め上方向にこれまたエラい勢いで飛んで行ったものだ」
「何時から彼キングになったんですか。……アービスさんとタメ張れますねこれは……」
という事で。
「剣士ブレイズさんから剣とったら、ただの人懐っこい天然な領主さんです。この戦い、アベルさんの……」
「ちょっとまてー!なんでそうなるのよ!ええええッ!おかしいじゃない!」
「おかしくありません、はいはい、アベル・エトオノさんの勝ちでした拍手~では、次の戦いはじまりますから退いた退いた!」
「信じらんない!あんた!あんたバカじゃないの!?」
状況を把握出来ないブレイズの胸倉をつかむ自称女の子が、係りの人に押し切られるように退場していった。
「……戦わせろよちゃんと」
ルインが呆れる隣で、ハイドロウもまた間抜けな決着に向けてため息を漏らす。
「しかたないだろ、彼女が相手じゃブレイズがまともに戦えないんだから。β版は命令と目的があったからいいとして、任意で戦いを楽しむようなこういう場において彼は『戦う』意義を見いだせないんだよ。だから最初からこうなる予測は出来なくもない」
ハイドロウがこの展開を予測していた事に向け、トリスは正直に関心している。
「予測範囲だったか、ふぅむ、そのあたりは流石と言わざるを得ないな」
「β版とSF版が混じってる様ですがこれは今回の仕様ですのでご了承ください」
さて……と、レッド。伏せていた対戦カードを再び立てる。
「では、次の対戦に参りましょうか」
*** 続く ***
※同世界設定同士の物語登場人物による、
俗に言うパラレルの様なそうでもないような番外編です やや長め
「驚愕の事実!なんと、今回は1ヶ月以上放置されました」
驚愕という割には淡々と述べる紫魔導師。
※解説※
まぁ色々あって続きをやる時間が無かったようです。突発的にこんな長いモノ始めるのが良くないのですよ
「別に驚愕でも何でもないのでは」
少々どころか相当にわざとらしいレッドの言葉にトリスはいつもの通り、無関心な応答を返した。
「そう言わずに、こんな具合じゃ次はいつになるのかわかりませんよ!もっと、もっと責めておかないといけません。書いてる人を追い込むべきです」
そーですねー。
忠告もらうといきなり目が覚めてとんでもない速度で応答したりしますからね、これ書いている人。
それにしても……確かに間を開けすぎましたすいません。
「いやぁ、こういう場合はそうだなぁ。某近未来のSFな話もなかなか再開できず本当にこんなのやっていていいんだろうか?……などと。もっとイタいところを突いてやるべきだろう」
(無事再開したからそのツッコミは不可になったぞ)
※解説※
SRPU-3-の内容が割とガチすぎてトビラの終わりごろと一緒にやるのが辛くなったので長く止めておりました。ご迷惑おかけしました~
更に、既に完結済みです
「……大丈夫なのか?」
心配してくれているのは今回、というか前回の超後半からの追加解説ゲスト『突っ込み要員』のルインである。
「どっかの主人公みたいにダメ人間じゃないはずだから」
「自他ともに認める負けず嫌いです」
「というか、俺が思うに叩かれると飛び出るタイプだと思うな。こう、変な方向に。やるといったらとことんやる、という」
ハイドロウ、レッド、トリスのその言葉にルインは………一人頭を掻く。
「あー……そっか……。なら、そうだなぁ」
その微妙な態度を見せるルインにレッド、ハイドロウに向けてこっそりと耳打ちで尋ねてみるのだった。
「あの、すいませんが」
「なんだい?」
「僕、資料でしかルインさんの事はわからないんですけど……あの方はどいう人なのでしょう?今の態度の意味がよくわからないのですが」
「ああ、それは見ての通りだよ」
ハイドロウはあえてルインに聞こえるように言った。
「某チキン軍師と違って責任能力 だ け は あ る 、彼はそういう奴なんだよ。言われたらとことんやる、打たれると飛び出るタイプさ。変な方向に」
「あぁあ、だからああいう微妙な態度を」
「……お前ら、そーいうヒソヒソ話は当人に聞こえないようにやれッ!」
流石突っ込み要員、最初からかっ飛ばしております。
さて、現状解説からお願いしよう。
「そうだな、ではそろそろ始めよう。イシュタル国は闘技の町エズにて、スペシャルでお遊びもいいところであるトーナメントが組まれている。今初戦がすべて終わった所でこれからシード枠での対戦が始まるのだが……」
机の上で手を組み、解説のトリスがそう語るとレッド、用意してあったのだがあえて今まで表に出していなかった対戦表を出して立てて来た。
「なんでそれを最初から出さないのさ」
もっともな意見を出すハイドロウに、
「どーせアレだろ、対戦相手と最初に分かってたら面白くないだろう、的な意図じゃね?」
「鋭いですね、実はそうです」
あっさり認めたレッドにルイン、面白くなさそうである。
そこは、ち、ちち、違うバァカ!とか図星って慌ててくれるからこそツッコミのし甲斐があるというものだというのに。基本的にこういうイレギュラーな態度で躱してくる人物がルインは苦手であったりする。……誰とはあえて言わないが!
「次の対戦カードは誰だろう、わくわく、というのも司会は読者にプレゼンしてやらねばならないのです。司会役の大変地道な作業なのですよ」
「どこが地道だ」
相手が弱みを見せるまでひたすら攻撃、流石某SFでは攻撃特化機。ツッコミ属性は天性の才能であるように炸裂し続ける。
対しレッド、かゆい所に手が届くツッコミにしびれていた。
「ううん、いいですね。やはりこれです、このテンポのよいボケと突っ込みが必要なんですよ」
何に必要だというのだ。
ルイン、思わずツッコミの口を休んで呆れてしまう。
どこぞの世界で、割と苦手とする人物に属性が似ている気がして素直に引いてしまっていたのだ。
※解説※
やっぱりSF某のKFさんである。突っ込んでボタンを押してしまうと、予測していない方向から棚が飛び出してくるタイプだ
「いかんな司会役。この調子だといつまでたっても対戦が始まらないぞ」
苦笑気味なトリスの言葉にレッド、それは失礼しいましたと対戦トーナメント表を改めて立てて状況確認を再開。
「初戦に行われたシード枠戦では『間違いなく強い剣士』さん同士での対戦となっておりました。すなわちブレイズさんとバンクルドさんの対戦です。こちら、魔法剣には弱いという意外というか致し方ない弱点につきバンクルドさんの敗退となっております。そして今、勝ち進んだブレイズさんとシード枠……ぶっちゃけてこの闘技場のオーナーでいらっしゃいますアベルさんとの対戦が、始まろうとしています」
「オーナーという立場においての特別シード枠、という事だな」
そういうわけでようやくこの、ぶっちゃけ都合は全部忘れてくださいお遊び対戦、の続きが始まる。
いつでも長いのは前ふり会話が漸く終わるが実は、戦いは……彼らがくっちゃべっている時間よりはるかに短く決着がついている。
十数話も文章しかない小説で引っ張るの無理ですしね。
っていうかブログ媒体でそんな十数話になるようなテキストいきなり書くな。
黒目、黒髪の多分好青年、ブレイズ。
対するは赤目赤髪という遠東方人先祖返り種、アベル。
二人が闘技場の中央に姿を現していた。
その様子を確認し、司会・解説・特別ゲスト・&ツッコミの4人は状況を思い思いに語りだす。
好き勝手語っても話が成り立つのが……ぶっちゃけスペシャルなクオリティ。
「うん?なんだか彼女、ちょっと不機嫌そうじゃないかい?」
「ああ、おかげさまでブレイズが対応に困っているぞ」
「……それは違う。奴が困るのはあの場に限った事じゃない。いつでもどこでも、だ」
ハイドロウとルインのやり取りを聞いてレッド、
「ブレイズさん、少々まごついているようなのですが彼は、もしかして女性が苦手だとか?」
「いや、それはむしろダークの方だ」
「ダァクだと逆に喜ぶのだろうけどな」
トリスが小さくぼやく。
「ややこしいですねぇ、似たような名前は」
※解説※
クドいようだが今回のスペシャル、由来的には同じながら表記的に『ダーク』と『ダァク』という非常に紛らわしい名前同士の別人が存在する。性格真逆なので注意されたし
「それはともかく。で、なぜブレイズ君はあのように少々まごついているのだろう」
赤毛のアベルが不機嫌だというのは一目瞭然である。
ブレイズを前にする以前にすでに、何かよくわからないが負のオーラを纏って舞台に現れていた。
鈍いだの、天然だの言われてしまうブレイズでも察するくらいである。
その不機嫌な彼女を前にブレイズ、何か話しかけようとしているのかそれが出来ずちょっと挙動不審気味に陥っているという具合だ。
「……一方的にぶん殴られて終わるんじゃね?あれ」
「誰が?……ブレイズが殴れるはずないから彼女が殴るのか」
「そーですねぇ、彼女は誰だろうと遠慮なく殴りますねぇ」
「……といか、彼女魔法剣士なのにグーパンで戦うのか?」
うっさいわね、殴らないわよ!
流石古代有能種、司会・解説席の4人の奔放な会話を聞いていたにとどまらず、強引に割り込み一喝し黙らせてしまった。
女だてらに前衛を務める彼女の気迫に、魔法使い系4人はすくみあがった!
『竜の咆哮』に匹敵する彼女の叫びは、魔法使いに限らず観客の多くの1ターンを奪う始末。
これに唯一耐え抜いたのは、目の前に立っている同じく前衛剣士、ブレイズのみだったりする。
「あー……ええと、機嫌悪い?」
見て分からないの?という彼女の訴えとともに放たれたのは『竜の睨み』。
それを持ち前の『超天然』で華麗に受け流し、ブレイズは苦笑い長い前髪を弄る。
ようやく硬直から立ち直り、解説シートが動き出す。
「こ……これは、案外いい勝負になるのでは」
「ああいうのは意外と相性がいいものらしいな」
「みたいですね」
レッドとトリスの会話に……。
「………」
「…………」
果てしない沈黙で応える特別ゲストとツッコミ役。
「あ、別にあなたたちの事を言っている訳じゃないですよ」
「うるせぇよ、お前一言余計なんだよ!」
「あたりまえだろルイ、吠えるな……みっともない」
そう言って危険な気配を漂わせ始めたハイドロウにレッドは肩をすくめる。
「ねぇ、勝敗のルールって何?」
そこへ、有無を言わさず質問が投げ込まれ、4人はいつの間にやら解説席付近の真下までやってきていたアベルを見降ろしていた。
「トリスさん、解説をどうぞ」
レッドから容赦なく状況解説を振られ、トリスは苦り切りった笑みをこぼす。
「この至近距離で俺が、かぁ……ええと、彼女は説明書を一切読まない、あるいは読めない人だそうだ」
「……ありがとうございます」
「……レッド、誰それ?」
すでに彼女の攻撃圏内に入っているのは魔法使い連中しっかり把握はしている。
内心震えあがりながら……目には見えない巨大なドラゴンとにらみ合い。
「彼は解説のカンペを読み上げただけです、殴るなら書いた人を」
レッド、一応解説の際どい仕事をしっかりこなした事に敬意を表し、トリスをかばうべくお得意の詭弁をひるがえす。
「書いた奴?誰?」
レッド、さわやかな笑みを浮かべてこれに答えた。
「こんなこと書くのはそりゃ、ヤトしかいないじゃないですかッ★」
貴女の事よっく分かってる人は彼だけですよ!とか、
誰をおだてているのか、いやおだててはいないようだと不穏な気配を感じつつルイン、仕事をこなす。
「おい、黒い星印ついてんぞ」
「しっ……とばっちり食らいたくなかったら今は黙ってろ」
泣く子も黙る北神のご先祖様も今は一時の危険を感じ必死に気配を消していた。
それほどにアベルの纏う雰囲気がエラい事になっているようである。
「ふうん?あいつがねー…………それでレッド、悪いんだけどあたし棄権していい?」
ふっと怒りを腹に収め、アベルはとんでもない事を言い出した。
「……え?」
ルインが惚けるもレッド、冷静にメガネのブリッジを押し上げながらアベルに向けて応えた。
「そもそも、あたしも組み込みなさいよと強引にシードに入り込んだのは……ああ、はいはい。そうですねオーナ、貴方はこのトーナメントのネ申でした。それで、どうしてそういう心変わりをしたのかという事をご説明はしてくれないのですか?」
その問いに、アベルはふっと……中央で何事かと目を丸くしているブレイズを伺ってから、ほんの少し困った顔でこちらにふり返る。
「やっぱり、それって説明しないとよね」
「そうですねぇ、僕が納得しませんので」
「お前じゃなくてブレイズが、だろ?」
口出しすべきじゃないと思っていても思わず突っ込んでしまう、ルインの仕事は完璧だ。
レッド、恐れ行ってメガネのブリッジを押し上げながらこれに答える。
「いいえ、彼は納得しますよ。トリスさん、解説お願いします」
「君、俺にめんどくさいところ全部押し付けてきてないか?まぁいい……恐らくブレイズ君は女の子と戦うのを嫌がるから彼女の棄権の目的など求めないだろう。『なぜ?』などと求めるのは、その結果に満足がいっていないからだ。満足すれば理由などどうでもいい事だろうさ」
「流石天位青魔導、パーフェクトです」
その、パーフェクトですという言葉に求められたクオリティそのままお届けした事を察し、トリスは余計なひと言を口に出す決意を決めていた。……実はひねくれている心の中にひそませている『遊び心』が発動したとお察しください。
「……蛇足を述べるなら。ブレイズは某誰かさん達のように戦いバカではない。理由も結果もすべて超越した次元で彼女のやりたい事を止める事は無いという事だ。たぶん、あとで『なんで彼女棄権したんだろ?』とか気付くタイプであろう。で、最終的には『ま、いっか』で終わるタイプでもある」
「……それが無ければブレイズの面目も立つだろうに……」
おそらくレッドはわざとトリスにとどめを引き出させた。
密かに青魔導師を手玉に取ろうとする向上心あふれる紫魔導師の行いに、ハイドロウは呆れの意味でのため息を漏らす。
「という事で、どうしたんですかアベルさん」
「むー……そんなのあたしの勝手でしょ?」
「何ですか?もしかしてヤトが先に敗れちゃったので面白くないから棄権でs」
「なんでそんな理由になるのよ!」
見よ、世界よ、これが正しいツンデレだ!
隠しようも無いクソデカ感情を込めて竜の咆哮が放たれて、またしてもワンターン削られた魔導師であるが辛うじて同じパーティを組んでいて耐性を持ちつつあるレッドが回避している。
「ちょっっっとだけ、興味あったんですよねー?師匠と戦ってみたかったりしたんですよねー?」
「だから、違うって言ってるでしょ!なんでそんな決めつけるのよ!」
「じゃぁ、棄権しなければいけないちゃんとした理由を述べてください。ほら、聞いているんですよ。イシュタル国エズにおいて、闘技は神聖な儀式であって舞台に上がったらそれ相応の形式にのっとり……」
「あーあー!わかったわよもう!」
そういえばコイツって嫌な奴だったわ!というあきらめの様子でアベルは肩を落とす。
「……その……ね、あたしは戦う側に入るの初めてなものだから。その、色々緊張しちゃって」
舞台に現れた時の形相は、明らかに緊張している面持ちではなかったが。
という、ツッコミはおっかなかったので声に出さず、抑え込むルイン。
「で……ね、その。あたしもこれで腕には自信あるんだけど。……見渡してみたら女の子で参加ってあたし一人じゃない?」
女の子ってガラか?
……まぁ、最初のアレとかなかったら普通に可愛い女の子だろうがな……。
という、ツッコミはやっぱり心の中にしまいこむルイン。
「だから……ね。………もし、あたしが勝ち残っちゃったら……ね?……なんか、その」
「すごい強い女戦士ですねと拍手喝采が」
「黙れ!」
ドラゴンのモノを言わさぬ気迫に流石に今回はレッドは黙らされた。
「いい加減にしないと殴るわよ!」
「アベルさん、ヤトはともかく僕までも暴力で統率できるとは考えない方が身の為です」
とか平然と机に肘をついて手を組みいいながら、実は机の下に隠れているレッドの足がちょっとガクガク震えているのをリスは見て見ぬふりをしていたのが、一応フォローという事で言葉をアベルに向ける。
「女の子らしく振舞いたいのならまず、その言動と行動予告をどうにか改善すべきだろう。いいかい、女の子というのはその事実だけで武器ともなるものだ。君は、暴力ではなくその『女の子』で勝ち進めばいい。その時、最後に下される評価はまた違ったものになるだろう」
「……何言ってるかさっぱりわからない」
おおっと、こういう子だったとやや調子を狂わされ、トリス苦笑い。
理解力の足りない子向けに噛み砕いてさらに解説。
「そうだなぁ……闘技場における勝敗のルールは、相手を屈服させてるか相手にギブアップといわせるかだ、と聞いている。すでに舞台は開かれ、イシュタルトに捧げる闘技の儀式は始まっているはずだ。棄権の申し出は俺達に言うべきではなく、彼に伝えるべきではないのかな」
確かにルール上それが最もですと、レッド隣で頷いている。
「そうね……舞台の上には戦う二人以外、何人たりとも入れない。決着がつくまでここは閉じられた舞台だわ」
エズの闘技場オーナーだけあり、イシュタル国の闘技ルールは熟知しているアベルはそのように、トリスの言葉に納得は行ったようで中央に引き返して行った。
「えー……では、改めて戦いを……」
「あのね、ええと。ブレイズさん?」
レッドの司会が聞こえているだろうがあえて無視してアベルは言った。
「なんだい?」
「あたしね……貴方と戦いたくないの」
事の成り行きを見守るに、比較的静かだった闘技場にどよめきが走る。
トリス、顎に手を置いて苦笑いがやめられない。
「……悪くは無いんだが……どうにも。その言い方は……」
「悪い方向に転びそうな会話だね」
何しろ相手は超天然だぞ、とハイドロウあきれ顔で呟く。ルインも小さく笑いながら頭を掻いた。
「……こういう時、理由を省くのは逆効果なんだよなぁ」
「そう言う事ですね」
アベルの激白(?)に、ブレイズは少し驚きながらも答えた。
「それは……俺だってそうだよ」
「あたしだからじゃないのそれ?」
「正直に言えばそれもある。でも、君だけに限らず俺は、積極的に戦いたいわけじゃない」
苦笑いを浮かべ、ブレイズは穏やかな表情で目を閉じた。
「戦いたくない……か、なら、どうしてこんな企画に参加したんだい?」
ぶっちゃけていえばお前らの意見など聞いてない(byかいているひと)
「それはあんただって同じでしょ?……うん、あたしの理由は不純なんだけど」
「俺は巻き込まれて流されて、だ。……こうやって流される悪い癖、直さないといけないな」
ブレイズは閉じていた目を開けた。
そして、突然剣を引き抜きそれを、すなわち……剣を。
……場外へぶん投げる。
あっけにとられる観客、およびアベル。
「あ、転んだ」
「悪い方向にな」
「流石キング・オブ・ナチュラル……我々の思惑の斜め上方向にこれまたエラい勢いで飛んで行ったものだ」
「何時から彼キングになったんですか。……アービスさんとタメ張れますねこれは……」
という事で。
「剣士ブレイズさんから剣とったら、ただの人懐っこい天然な領主さんです。この戦い、アベルさんの……」
「ちょっとまてー!なんでそうなるのよ!ええええッ!おかしいじゃない!」
「おかしくありません、はいはい、アベル・エトオノさんの勝ちでした拍手~では、次の戦いはじまりますから退いた退いた!」
「信じらんない!あんた!あんたバカじゃないの!?」
状況を把握出来ないブレイズの胸倉をつかむ自称女の子が、係りの人に押し切られるように退場していった。
「……戦わせろよちゃんと」
ルインが呆れる隣で、ハイドロウもまた間抜けな決着に向けてため息を漏らす。
「しかたないだろ、彼女が相手じゃブレイズがまともに戦えないんだから。β版は命令と目的があったからいいとして、任意で戦いを楽しむようなこういう場において彼は『戦う』意義を見いだせないんだよ。だから最初からこうなる予測は出来なくもない」
ハイドロウがこの展開を予測していた事に向け、トリスは正直に関心している。
「予測範囲だったか、ふぅむ、そのあたりは流石と言わざるを得ないな」
「β版とSF版が混じってる様ですがこれは今回の仕様ですのでご了承ください」
さて……と、レッド。伏せていた対戦カードを再び立てる。
「では、次の対戦に参りましょうか」
*** 続く ***
0
あなたにおすすめの小説
喪女だった私が異世界転生した途端に地味枠を脱却して逆転恋愛
タマ マコト
ファンタジー
喪女として誰にも選ばれない人生を終えた佐倉真凛は、異世界の伯爵家三女リーナとして転生する。
しかしそこでも彼女は、美しい姉妹に埋もれた「地味枠」の令嬢だった。
前世の経験から派手さを捨て、魔法地雷や罠といったトラップ魔法を選んだリーナは、目立たず確実に力を磨いていく。
魔法学園で騎士カイにその才能を見抜かれたことで、彼女の止まっていた人生は静かに動き出す。
あざとしの副軍師オデット 〜脳筋2メートル義姉に溺愛され、婚外子から逆転成り上がる〜
水戸直樹
ファンタジー
母が伯爵の後妻になったその日から、
私は“伯爵家の次女”になった。
貴族の愛人の娘として育った私、オデットはずっと準備してきた。
義姉を陥れ、この家でのし上がるために。
――その計画は、初日で狂った。
義姉ジャイアナが、想定の百倍、規格外だったからだ。
◆ 身長二メートル超
◆ 全身が岩のような筋肉
◆ 天真爛漫で甘えん坊
◆ しかも前世で“筋肉を極めた転生者”
圧倒的に強いのに、驚くほど無防備。
気づけば私は、この“脳筋大型犬”を
陥れるどころか、守りたくなっていた。
しかも当の本人は――
「オデットは私が守るのだ!」
と、全力で溺愛してくる始末。
あざとい悪知恵 × 脳筋パワー。
正反対の義姉妹が、互いを守るために手を組む。
婚外子から始まる成り上がりファンタジー。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる