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番外編 EX EDITION

■番外編EX『戦いを捧げろ!』#6/10

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N&SinMFC シリーズ番外編『戦いを捧げろ!』#6/10

※同世界設定同士の物語登場人物による、
 俗に言うパラレルの様なそうでもないような番外編です やや長め


 2回戦目ともなると……登場キャラクターについてイジるという会話も出来なくなる訳でして。

「いや、しなくてもいいから」
「ルインさん、仕事熱心なのはいい事ですが会話以外にまでツッコミしなくてもいいんですよ。」
「ツッコミたくもなるだろう。何かお前ら、さんざん酷い事ここでくっちゃべってた訳だよな?」
「いいじゃないですか、もう終わったことです」
「遠い目でごまかすんじゃねぇ……!」
 そんな二人を見ながら和やかにトリスは、休憩の紅茶を飲みながら笑う。
「何がおかしいテメェ」
「いや、注釈がないとお前がヤト君ではない、というのが分からないなぁと思って」
「そりゃ、上の人の書き分け能力の低さだろ。ああ、その低能っぷりを笑ってたわけか。言いがかりつけて悪かったな」
 素直にメンチを切った事について謝るルインである。
「素直さでは彼の方が3倍マシです。せめてこれくらいの脳みそは有していてほしかったですねぇ彼……」
 レッドが自分の所のヤト氏を散々扱き下ろすので、ルインは若干同情に似た感情が芽生えつつあったりする。
「そんなダメ人間か、お前んとこのリーダーは」
「例えるなら、貴方の所のチキン軍師さんの軍師、を取っ払った感じです」
 分かりやすいたとえを貰い、思わず想像するルイン。
 ちなみに、外見情報も同じなので二人とも同じ顔です。オービットの方が背が高く線が細いものの、趣味嗜好までほぼ同じです。例のキャラ使いまわしなのでご了承ください。
「………ああ、そりゃダメ人間だ」
 すまないヤト君、俺もこれ以上のフォローは無理だ。
 トリスはそのように……青い空を眺めるのであった。


「休憩もそろそろ終わりだね、それで、次の対戦は誰と誰なの?」
 一時的に散会していたスタジアムに、続々と人が戻ってくるのが見える。
「なんだよハイド、お前なんだかんだいって興味津津なのか?」
「うるさいな、どーでもいいと思っていたから誰が勝ち残ってたのか、あんまちゃんと覚えてなかったんだよ。……ダークは負けちゃったんだよね。ということはあの脳みそまで筋肉なお兄さんと……」
「俺を負かしたクリスっつー大剣使いとの対戦だな」
「その通りです。次の試合はウチの脳みそまでガチに筋肉、テリー・Wとトリスさんの所の謎の出土品、クリス・八撃星さんの対戦です」
「出土品って、なんだ?……そういやなんか人間ぽくない奴だったが、もしかして人形だとか?おーとまーたとかって奴?」
 ルインの質問にレッドは首を振って違いますと流し、二人の視線はトリスへ。
「ふむ、俺の仕事か。……クリスは『成人の姿で生まれた』という肩書を持つ謎の人物だ」
 司会がレッドで解説はトリスの役どころ、ではあるものの。
「トリスさん、某読み顕著すぎ」
「察したまえ、わざとだ………ごほん……あー、イシュタル国は北方フィガールにて水晶の中から生じたらしい。発掘者ティナ嬢で、彼の名前を考えたのも彼女だ。故に冗談なのか本気なのか、出土、という表記があったりする。実際にはちゃんと血の通った人なのだが」
 あえて資料の棒読みを行ったトリス、彼は彼の意見としてクリスを説明する気はないのだ。そうしてしまうと某原作に致命的なネタバレが発生しかねない、という事なのだろうとレッドは察するが。
 今更じゃないですかそんなの、とこっそり思ったりする。
 なにはともあれルイン、そういう意図はどうでもいいとばかりに納得しつつ、自分が感じた疑問を投げる。
「そうなのか、しかし……見た感じ右半身不具だったり……するか?」
「割とそうだと気がつかない人もいるが実は、そうだ。右腕、右足などに不具を抱えていてまともに動かせない障害を持っていて、動かせる部分と左半身でカバーしている。それでかなり、本来の能力は削られている状況のようだな」
 そんなトリスの解説に、ハイドロウ……横目でルインを窺う。
「お前はそんなのに負けたんだな」
「……う、うるせぇよ。そんなのとか、奴に失礼だぞハイド」
「ふん、」
 不機嫌にハイドロウ、顔をそむけた。
「おれを負かした奴だかんな。……どうにか勝ち進んでほしいぜ」
「お前が勝手に自爆したんだろ」
「うるせぇっつってんだろ!魔法が効かないとか、裏設定ありすぎなんだよ奴ぁ!」

 実際そうである。
 実は本編でもまだはっきり彼の『性能』については明かされていない部分が多い。……すでに本編を連載始めて◎年立つ癖に。

 ※解説※
 クリスの属する物語は『精霊異譚エレメンタラティナ』連載開始はすでにフタケタ年前にさかのぼる。ようするにフタケタ年前から連載中。すでに超超長編に属している話で、更新を止めているが裏では最終章クライマックス書いてる つまりまだ完結デキテナイ。

 そういう所、すなわちクリスのスペックを最初から把握している人物は……カンペを読み上げるのみである。
「外見から何の種であるのかが把握できていないが怪力の持ち主。また瞬発力なども相当なものがある」
「……ここでちろっと答え言っちゃいませんか?」
 レッド、そそのかしてみるが。
「言わないぞ、これ困った事にブログ掲載してるんだから。誰がどこで読んでるか分からないじゃないか」

 ※解説※
 ブログ連載で、誤字脱字の激しい……ほぼ見直しナシのイッキ書き下ろしだから……的な奴もそのまま絶賛放置中!!こちら誤字脱字直しバージョン!!

「激しく理由になってませんよトリスさん」
 と、さわやかな黒い笑顔でレッドは迫ってみる。
「さらっと貴方の活躍するお話をリアルの方にて読ませていただきましたが、こう、わかる人は分かる、みたいな具合に彼の正体ばらまき過ぎてます。ですからきっと多くの人はもう察してます。ネタバレしたところで誰も驚きませんから」
「にこやかに迫って来てももダメなものはダメだ。本編でネタが割れたところで誰も驚かないだろう事はすでに上の人も察している。驚くのは登場人物らだけだろうな☆」
「それでいいいんですか、どっちかっていうとミステリー属性の書きモノとして★」
「……上の人はそんなの目指してないぞ☆」
「みたいですね★」

 飛び交う謎の星マークにルイン、たじたじである。

「なんだ、あの星マークは」
「ああ、魔導師連中の専売特許だよ」
 さらっと嘘をすりこむ、ハイドロウにも魔導師としての片鱗はしっかりあるようだ。


「仕切り直しまして、謎の怪力青年と相対するは我らがキング・オブ・ノウマデ・マッスル」
「……これ、本人ら聞いたら怒ると思うんだがどうだろう」
 トリスのぼやきをレッドはあえて無視。
 聞かせようと思わなければ聞こえてないから問題はないので無視。
「テリー・Wは先の戦いで怪我を負っていますね」
「そういや、そうらしいな。……ちゃんと治してやれよ」
 ルインはハイドロウに言った。彼なら治せる事を知っているからそのように言っている。が、いいんですとレッドは止めた。
「これはそういう勝ち抜き戦であり、ダメージ蓄積は後半に響くという事を事前に説明してあるのです。テリーさんはそれを承知でダークさんに無茶な戦法を取った。……ああでもしなければ活路が見出せなかったとテリーさんが判断したか……」
「あるいは、闘ってる間はそんな事すっかり忘れて夢中になっちゃったか」
 ハイドロウの言葉にレッド、額を抑えて首横に振る。
「ウチの前衛どもは揃いも揃って戦いヴァカで困ります」
「問題ない、ウチもそうだ」
 にこやかにトリス断言。
「上の人の戦いヴァカ(巻き舌)スキーっぷりには困ったもんです。と、そのように話をしているにどうやら舞台は整ったようですね。お二人が出てまいりました」


 すでに、何かよからぬアナウンスをしているに違いないと予測して、こちらを睨みながら出てきたのがテリー。巨大な剣、ドラゴントースを引きずってやってきたのがクリスである。

「上で変な事言われる前に、とっととおっぱじめようぜ」
 硬く包帯で巻きつけ、石膏で固めた拳を打ち鳴らす。怪我を知っているクリスは少し眉をひそめていた。
「……大丈夫なのか」
「敵の心配をするのかお前は?」
「武器とか、使ったらどうだろうと思って」
 その言葉にテリーは苦笑い少し頭を下げた。
「闘技場で戦う以上、それは封印なんだよ……俺の大切な美学だ」
 そう言って、問答無用で戦いを始めるに地面を蹴り上げた。
 複雑骨折の為ギブスの巻かれた右拳で、遠慮なく殴りかかって来たのをクリスはドラゴントースの広い刃を盾にして防いぐ。


「おっと、こっちであれこれ言う前に始められてしまいましたね」
「……いっそ拳を壊す覚悟なのだろうか」
 破損しているだろう右で殴りかかって行った行動を見てトリスは目を細める。猛勇と評価するべきか、あるいは右を使っているのは一種ハンディキャップを補うための作戦なのか測り損ねているのだろう。
「彼ならやりかねません。……なんたって戦いヴァカです」
「戦いと勝利の為なら肉体の破損も厭わない、……たとえ、永久に失うとしてもか」
 ふっと笑い、レッドはメガネのブリッジを押し上げた。
「彼らは時に我々の予測などたやすく蹴散らしてくれるものですからホント、僕も困っていますよ。そんな事するはずがないって事ばっかりヤラれてしまって、その先の未来が見えていないのかと思わず尋ねずにはいられなくなる、理解不能な行動の数々には僕も何度泣かされたことか」
「で、実際先を見てないと」
 彼らの話がマジメに続くはずがない。トリス、もちろん心得ている。
「そーなんですよ!全く、これだからヴァカはッ!」
 思わず膝を叩いてしまうレッドに、トリスは思い当たる節が無いでもないので苦笑い。
「それでも真面目にいえば、彼らの価値観が僕らには理解できないのでしょう」
「そうだな、俺も理解は不能だ。……理解しようと努めた事はあるが。実に無駄に終わった気配もする」

 巨大な剣が振り回される、それをギリギリで躱してテリーは拳を振り上げた。
 テリーの反射神経はやや人間の越えたところがあるが、どっこいクリスの方も明らかに人間ではない、外見からして魔種の何らかである。
 先ほどから下で繰り広げられる、思わず見る方も手に汗握る追って追われての攻防戦は……双方一歩も譲らずの展開になっていた。
 もはや詳細については早すぎて目で追えていないものも多いだろう。
 斬られたと思ったらそれは残像で、捉えたと思ったら拳は空を掴んでいる。

「ちっ、すばしこい奴だな……!」
 回し蹴りを3回も連続で繰り出され、背後に逃げ場がなくなったところ壁を蹴り、一瞬でテリーの背後に回り込んだクリス。引きずる剣を振りまわすも……動作は一拍遅れていてたやすくテリーからは逃げられてしまう。
「お前、その武器見合ってねぇんじゃねぇの」
 その指摘はやや図星と心得ていて、クリスは動揺を隠せず小さく身構えた。
 戦いに集中している間無駄口を叩く程の余裕はクリスには無い。
「お前は俺と同じ、拳一つで戦った方が『見合ってる』ような気がするが……」
 そうするつもりは無い、その答えを示すようにクリスは剣を下段から中段に引き上げた。
 瞬間的かつ爆発的な加速で突きを見舞う。
 対しテリー、すでに迎え撃つ態勢で腰を低く落として左腕を背後に構えている。
 クリスの人間離れした加速にテリーが合わせた。
 得意の衝撃波を打ち出してこれを盾にし、クリスを迎撃。

 その一瞬の交戦を目視で捕らえられたものはごくわずかであろう。

 空気が割れ、摩擦によってまず火花が散りその後、衝撃と音が闘技場を襲った。

 会場の多くが結末としてまず目にしたのは、剣を握ったまま後ろの壁まで吹っ飛ばされ叩きつけられたクリスである。それが、亀裂を生じさせている壁からずり落ちる瞬間を見たに違いない。
 慌てもう一人はどうなったかと中央に目を戻す。
 そこには、腰を低く据えて左腕をまっすぐ前に突き出した格好で固まっているテリーがいた。

「……ふぅ」
 深く、足元の砂さえ吹き飛ばすような重い息を吹き出しテリーが構えを解いた。
 その間、クリスはなんとか剣を杖にして立ちあがる。
「こいつを真っ正面から近距離で喰らって……立ち上がった奴は多くねぇぞ」
 好戦的にそのように呟きゆっくりと構え直す。
「いいねぇ、なかなか頑丈で俺もぶちのめしがいがある。へらへらよけられっぱなしってのは、ストレスがたまるもんな」
 誰かさんとの対戦を例えに出して剣を左手に引きずり、こちらに戻ってこようとするクリスを出迎える。
「……っ」
 一方、クリスの方はなんとか立ち上がったもののまだダメージによって頭が揺れていた。
 それを必死に隠しながら……ゆっくり、舞台の中央へ戻るべく足を前に踏み出す。
 歩ける、まだ大丈夫だとクリスは闘争心を呼び戻し武器を構えた。

 しかし……一体何をされたのかよくわからない。

 吹き飛んでいるのは相手のはずなのに、なぜかこっちが壁に衝突している。混乱する頭で何が起きたのか思いだすに……相手の正面に見えない壁があるような感覚を思い出す事が出来る。
 目の前にあるのが岩だとしても打ち破る自信のあるクリスだが……今目の前にした障壁は貫けなかった。貫けなかったどころか逆にこっちが吹き飛んだ。この壁のようなものに向けた力が自分に逆流してきたのを思い出している。

 そう、そして反対側の壁まで押しつぶされた。

 巨大な拳によって跳ね返された、それだ。
 ……攻撃に対するイメージを固め終わり、ほぼ中央に戻ってクリスは再び中段に構える。

「凝りねぇな」
「……斬る」

 再び跳躍、今度は突きではなく横薙ぎであるのをテリーは目視したが、あえて同じ対処をする。
 衝撃波を前方に放つ……これによってクリスの一撃は無効化され吹き飛んだ訳だが、クリスはこの迫ってくる見えない攻撃を……斬るという行動に出た。
 見えない壁を突破した、ドラゴントースの描く軌跡の分、衝撃を吹き飛ばした。
 そこまではいい。問題はそのあとである。

 大きく横にないで隙だらけのクリスに、下方から衝撃が見舞う。
 今度こそ確実に脳が揺らぎ、意識が途切れたのがクリス自身でもわかった。

 地面に不時着した衝撃で目を覚ましたが……遅い。
 首がおかしい、顎を強打されたのが今、理解出来ている。

 相手は追撃をしてこない、それを知り再び立ち上がったものの……今回は足がふらつくのを抑えられない。
 一瞬気を失ったものの手放さなかったドラゴントースを杖にして、なんとか姿勢制御が出来ている状況だが……クリス自身が困惑していた。

「無防備すぎるんだよ、……立ちあがったのは褒めてやるがお前、それだけだな」
「何?」
「頑丈なのはいいがそれだけだってんだ。相手になんねぇんだよ、出直してこい」
 ふらつく足元をなんとか左足一本で支える。
 ドラゴントースを無防備にぶら下げ、クリスは……迷いなく不自由な右足の、動く部分を総動員して次の一歩を踏み出した。
「……その心意気に免じ応える……か」

 無遠慮なドラゴントースの一撃を、テリーは事もあろうか右手のギプスで往なした。

 固めていた石膏が弾け、その替わり確実にテリーの体をおおざっぱに狙っていた巨大な剣の軌道を反らす。
 クリスは確実にその巨大な剣に振り回されていた。
 この大きくて、弾きようがないはずの一撃を『弾く』相手はクリスにとってこれが初めてではない。
 剣を教わる師たる、ダァクもまたこのようにたやすくクリスの一撃を往なしてくる。

 瞬間、的確に急所を狙った拳が叩きこまれてきたのをクリスは察知したが、避ける事は出来ない。
 今度こそ意識は途切れ、しばらく……舞台を降りても戻らずに医務室送りとなったのだった。


「力だけでは、このレベルともなるとどうしようもありませんね」
 クリスの代わりにレッドが代弁する。
 おそらく同じと事をクリスは、目を覚ました後考える事だろう。
「経験不足は仕方ないだろう、そもそも彼は剣……ごにょごにょ」
「なんですかトリスさん、言いたい事があるならはっきりおっしゃってください」
「いや、なでもない。なんでもないよ☆」
「……ヘタな事覚えさせてしまいました。星飛ばさないでください、貴方の性格的に非常に違和感なんですから」
「うん、そうだな、キモいって言われる気がしてきた。ここだけにしておく。……しかし、実に見事な戦いだったな。ここは経験値の豊富さでテリー君の圧勝となってしまったが……」
 都合につきリプレイ映像をスローで再生する窓をハイドロウが展開し、今何が起こったのか見ている。
「これでまたテリーさんの右手の治癒が遅れますよ。これでは最終戦まで治りません。……わざとやりましたね、あれ」
「そのようだ。……ああいう行為が我々には理解不能、な訳だが」
「なんだー、思ったよりガチだったな。俺の出番ほとんどなかったじゃねぇか」
 と、ツッコミ足りないのかルインがこぼす。
「いいじゃないですか、アベルさん時に散々仕事してくれましたし。この調子で最終戦までよろしくお願いしますよ」
「うーん、けどな。今後はずっと、こんな感じだろう?今みたいなちゃんとした戦いになるんだろ?」
 そこでレッド一瞬沈黙。
「いや?分かりませんよ?」
「……お前、その笑みすげぇ黒ぇ」
「ふふふ、お褒め頂き光栄です」
「褒めてねぇよ!う、やっぱりなんかアイツを思い出す……」
 なぜか引いているルインに、僕何か変な事貴方にしましたか?とレッドは首をかしげた。
「ああ、じゃぁもしかして今回はこれで終わりなのかな?」
 終り、というのはようするに……ここで一旦小休止(続きはまた今度!的な)になるという意味である。 
「というか、ここまで来たならあと全部やってしまったらどうだろうなどと、そんな事もぼやいてみるが」
「最もですね、あと2戦なんですからやっちゃえばいいでしょうに」
 まぁそう言わないでください。ページの都合とか……あと、ペース的な問題で。

 近日中にやりますから。

「本当でしょうかね?いったい全体、前回から何カ月開いたと思って」

 ※解説※
 実際にはものすっごい間が開きました ごめんさい

「それで、最後の対戦カードは何なんだい?」
 ハイドロウは本気で誰の対戦が残っていないのか覚えてないらしい。
 それもそのはず、実はアベルがシードで入って来た所為で、トーナメント表的に偏ったものになっているのだ。
 次は2回戦および3回戦目となる対戦で、初戦某主人公をあっさり破ってしまったナンパな剣士ダァクと、ブレイズを強制的に敗退させてしまったアベルとの対戦である。
 そして、その勝者と今回の最後の対戦の勝者すなわち、テリーとの決勝戦となるのだ。
「……一難去ってまた一難、彼女の対戦相手はブレイズ君の次はダァクか……これもまた微妙なカードだな」
「というと、どういう事でしょうトリスさん」
「……全部俺に言わせるつもりかな君は」
「いや、ほら僕ってばダァクさんの事よく知りませんし?」
 悪意を持ってとぼけるレッドに、トリスは苦笑して額を抑えた。
「まぁいいだろう、ダァク・S・バメルダは自称女の子至上主義な剣士だ。女性には、一方的に弱いと言っていい。まぁもっとも幼女とか人間じゃないのには無効らしいが……」
「……幼女って、そんなん出るんかオタクん所」
 ルイン、突っ込み所と心得て問う。
「……あまり大声では言えないが実は……な」
 何しろその幼女と形容しているものはすこぶる地獄耳なのだ。
 伊達に破壊魔の名前を背負っていない、とんでもない性格をよく知っているトリスは慎重に答える。ヘタな事を言うののを控え、誤魔化した。
「ふぅん、じゃぁ一方的にダァクが再び棄権する可能性もあるって事?」
「流石に二回もそのパターンだとアベルさんがキレそうで怖いですねぇ……」
 一回目、ダァクがこのお遊び対戦にすこぶる消極的だった事を一同思い出している。負けず嫌いな性格とはいえ、格下と把握した相手に本気になるほどではない。そのように容易く相手の技量を図ってしまうからこそ本来、積極的に戦うという選択肢は取らない性格である。
 という事は、これ以上勝ち進む事を辞退すべくアベルに勝利を譲ってしまうという事も十二分にありうるのだ。
「なにはともあれ、今回はこれにてお開きだ。……今度こそ次で最後になるだろう。なるのだよな?もう一回分お付き合い願おう」

◆◆◆◆ その4に続く ◆◆◆◆
 ※解説※
 ここまでが3回目のブログに記載されていた内容です。テキスト版は文字量を分断するのでページはもう少し先があります

 *** 続く ***
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