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ヒロセと、悪役令嬢の狂気
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ちみっこ妖精から話を聞いた後、俺たちは急いでニアの街に戻った。一刻も早くスラちゃんを救出しないとな。。
「ちみっこ妖精、、疲れているとこ悪いけど、俺たちをスラちゃん誘拐の現場まで案内してくれないか?」
「分かったよー。ヒロセー」
ちみっこ妖精は俺の肩からよろよろと飛び立った。いつもだったら、パタパタわーいと元気よく飛んでいるのにその面影はまったくない。
そりゃそうだ。あの体の大きさでニアの街から俺たちに全速力で助けを求めにきだんだ。。ちみっこ妖精は最後の力を振り絞っているにちがいない。
「大丈夫ですの? 妖精さん?」
シアがちみっこ妖精を気遣うように聞く。
「大丈夫だよー。スラちゃんのためだもん」
ちみっこ妖精は大丈夫だよーと言う。全然大丈夫そうではないけど、ちみっこ妖精はスラちゃんのためにパタパタよろよろと俺たちを案内し始めた。
しばらく、大通りを歩いていると、
「こっちだよー」
そう言ってちみっこ妖精は大通りから俺たちのマンションに通じる脇道へと入っていった。
◇
そのころ、ニアの街のとある屋敷では執事のシツージが高飛車お嬢様の部屋のドアをノックしていた。
「お嬢様、下っ端どもが例の仕事を終えたようです」
シツージは高飛車お嬢様に報告する。
「そう……。思ったよりも早かったようね。いつも通り、報酬を支払ってやりなさい」
高飛車お嬢様はにやりとほほの端を上げていやらしい笑みをこぼす。常人が見たら悲鳴を上げそうな笑みだが、ここにはそれを指摘するものはいない。
お嬢さまが法律なのである。
「そ、それが……」
シツージが少し歯切れ悪くなる。
「それがどうしたのかしら? もしかして何か失敗したのじゃあないでしょうね?」
高飛車お嬢様は持っていた扇子を勢いよくパシリと閉じた。扇子の持ちての部分がぎりぎりと音を立てている。
「……、下っ端どもを連れてきております」
「分かったわ。部屋に入れなさい」
扇子のぎりぎりと握られる音が不気味に部屋に響く。よっぽど高飛車お嬢様は怒っているのだろう。
「はっ」
「おい、お前たちお嬢様の許しが出た。早く部屋に入れ」
「「へい」」
下っ端2人組は頭を上げずにドアをくぐり、そのまま高飛車お嬢様の前に素早く移動し、そして、
「「へへー」」
素早く土下座した。
しかし、
「それで、あなたたちどうしたんですの? なんだか、ブルブル震えているようだけど」
「い……、いえ」
「それよりちゃんとうまくいったのでしょうね?」
高飛車お嬢様お嬢様の鋭い視線が土下座している下っ端たちに突き刺さる。
もちろん、下っ端たちは土下座しているのでそれを見てはいないが、自分たちの背中にすさまじい重圧がかかるのを感じているようだ。
「へ、へい。まずはこちらを……」
すさまじい重圧の中、下っ端アニキは高飛車お嬢様に小汚い袋を一つ差し出した。
「これは?」
「へい。お嬢様から頼まれた例のスライムになりやす」
「そう。これがあのヒロセがペットで飼っているスライムというわけね」
高飛車お嬢様は袋の口を開けて中をのぞき込んで言った。中ではいまだにスラちゃんが気絶している。
「それで、もう一匹ヒロセには妖精のペットがいたと思うのだけど? 妖精はどうしたの?」
ギロリと鋭い視線を下っ端アニキに向ける。下っ端アニキはおっかねえとばかりにブルブルと震えている。
「そ、それが。。こいつがへまをやらかしやして」
「ア、アニキ―」
「それで?」
「そ、それで、す、すいやせん。妖精には逃げられてしやいやして……」
…………。
……。
…。
一瞬の沈黙。
しかし、その一瞬は下っ端どもにとっては一生にも思えるほどだった。時計の針の動く音がいつもより大きく聞こえる。
「そう」
高飛車お嬢様はそう答えると、てのひらを上に向けてシツージに目配せをした。
「はっ」
◇
ビシっ、ビシっ。。
ビシっ、ビシっ。。
ビシっ、ビシっ。。
「「ひー、お許しをー」」
ニアの街のとある屋敷のとある部屋からは、ムチのしなるような音と、下っ端どもの悲鳴。
それから、
「オー、ホッホっホホホ、オー、ホッホっホホホ、オー、ホッホっホホホ。オー、ホッホっホホホ、オー、ホッホっホホホ、オー、ホッホっホホホ」
高飛車お嬢様の狂気に満ちた笑い声が聞こえてきたという。
だが、それを知るのは屋敷の住人だけなのであった。
「ちみっこ妖精、、疲れているとこ悪いけど、俺たちをスラちゃん誘拐の現場まで案内してくれないか?」
「分かったよー。ヒロセー」
ちみっこ妖精は俺の肩からよろよろと飛び立った。いつもだったら、パタパタわーいと元気よく飛んでいるのにその面影はまったくない。
そりゃそうだ。あの体の大きさでニアの街から俺たちに全速力で助けを求めにきだんだ。。ちみっこ妖精は最後の力を振り絞っているにちがいない。
「大丈夫ですの? 妖精さん?」
シアがちみっこ妖精を気遣うように聞く。
「大丈夫だよー。スラちゃんのためだもん」
ちみっこ妖精は大丈夫だよーと言う。全然大丈夫そうではないけど、ちみっこ妖精はスラちゃんのためにパタパタよろよろと俺たちを案内し始めた。
しばらく、大通りを歩いていると、
「こっちだよー」
そう言ってちみっこ妖精は大通りから俺たちのマンションに通じる脇道へと入っていった。
◇
そのころ、ニアの街のとある屋敷では執事のシツージが高飛車お嬢様の部屋のドアをノックしていた。
「お嬢様、下っ端どもが例の仕事を終えたようです」
シツージは高飛車お嬢様に報告する。
「そう……。思ったよりも早かったようね。いつも通り、報酬を支払ってやりなさい」
高飛車お嬢様はにやりとほほの端を上げていやらしい笑みをこぼす。常人が見たら悲鳴を上げそうな笑みだが、ここにはそれを指摘するものはいない。
お嬢さまが法律なのである。
「そ、それが……」
シツージが少し歯切れ悪くなる。
「それがどうしたのかしら? もしかして何か失敗したのじゃあないでしょうね?」
高飛車お嬢様は持っていた扇子を勢いよくパシリと閉じた。扇子の持ちての部分がぎりぎりと音を立てている。
「……、下っ端どもを連れてきております」
「分かったわ。部屋に入れなさい」
扇子のぎりぎりと握られる音が不気味に部屋に響く。よっぽど高飛車お嬢様は怒っているのだろう。
「はっ」
「おい、お前たちお嬢様の許しが出た。早く部屋に入れ」
「「へい」」
下っ端2人組は頭を上げずにドアをくぐり、そのまま高飛車お嬢様の前に素早く移動し、そして、
「「へへー」」
素早く土下座した。
しかし、
「それで、あなたたちどうしたんですの? なんだか、ブルブル震えているようだけど」
「い……、いえ」
「それよりちゃんとうまくいったのでしょうね?」
高飛車お嬢様お嬢様の鋭い視線が土下座している下っ端たちに突き刺さる。
もちろん、下っ端たちは土下座しているのでそれを見てはいないが、自分たちの背中にすさまじい重圧がかかるのを感じているようだ。
「へ、へい。まずはこちらを……」
すさまじい重圧の中、下っ端アニキは高飛車お嬢様に小汚い袋を一つ差し出した。
「これは?」
「へい。お嬢様から頼まれた例のスライムになりやす」
「そう。これがあのヒロセがペットで飼っているスライムというわけね」
高飛車お嬢様は袋の口を開けて中をのぞき込んで言った。中ではいまだにスラちゃんが気絶している。
「それで、もう一匹ヒロセには妖精のペットがいたと思うのだけど? 妖精はどうしたの?」
ギロリと鋭い視線を下っ端アニキに向ける。下っ端アニキはおっかねえとばかりにブルブルと震えている。
「そ、それが。。こいつがへまをやらかしやして」
「ア、アニキ―」
「それで?」
「そ、それで、す、すいやせん。妖精には逃げられてしやいやして……」
…………。
……。
…。
一瞬の沈黙。
しかし、その一瞬は下っ端どもにとっては一生にも思えるほどだった。時計の針の動く音がいつもより大きく聞こえる。
「そう」
高飛車お嬢様はそう答えると、てのひらを上に向けてシツージに目配せをした。
「はっ」
◇
ビシっ、ビシっ。。
ビシっ、ビシっ。。
ビシっ、ビシっ。。
「「ひー、お許しをー」」
ニアの街のとある屋敷のとある部屋からは、ムチのしなるような音と、下っ端どもの悲鳴。
それから、
「オー、ホッホっホホホ、オー、ホッホっホホホ、オー、ホッホっホホホ。オー、ホッホっホホホ、オー、ホッホっホホホ、オー、ホッホっホホホ」
高飛車お嬢様の狂気に満ちた笑い声が聞こえてきたという。
だが、それを知るのは屋敷の住人だけなのであった。
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