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第2章
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「う……ん……」
意識がゆっくりと浮上してくる。
なんだか身体が重い。特に頭。
昨日の夜、調子に乗ってエナドリがぶ飲みしながら深夜アニメ見てたからか?
いや、そもそも俺、トラックに轢かれて……。
そこまで思い出して、俺はバッと目を開いた。
目に飛び込んできたのは、うっそうと茂る木々の天井。
見たこともないような巨木が何本も天を突き、その隙間から木漏れ日がキラキラと差し込んでいる。
足元にはふかふかとした苔。
鼻をくすぐるのは、濃密な土と植物の匂い。
小鳥のさえずりや、風が葉を揺らす音が、やけにクリアに聞こえる。
「……森? しかも、なんかこう、ファンタジー的な?」
上半身を起こして周囲を見渡す。
どう見ても日本の森林公園とかじゃない。
空気の濃さが違う。
生命の密度が違う。
まさに、ラノベで読んだ「異世界の森」そのものだ。
「おお! 完璧にファンタジー世界だ! ってことは、俺、本当に転生したんだ!」
女神様の顔が脳裏に浮かぶ。
軽いノリだったけど、仕事はきっちりしてくれたみたいだ。
興奮と期待で胸が高鳴る。
まずは、お約束のアレを確認しないとな。
「ステータス、オープン!」
S
Fチックなウィンドウが目の前にポップアップするのを期待して叫んでみる。
……が、何も起こらない。
「あれ? ダメ? じゃあ、念じればいいのか? ええと、俺の能力は……」
そう思った瞬間、頭の中に直接情報が流れ込んでくるような感覚があった。
【名前】アマギ・リク
【称号】異世界人、女神の祝福を受けし者
【種族】人族(ヒューマン)
【状態】健康
【レベル】1
【HP】100/100
【MP】50/50
【筋力】10
【耐久】8
【敏捷】12
【魔力】15
【スキル】魔砲 Lv.1、言語理解
「おお! 本当にステータスだ! しかもMPあるってことは、魔法も……ん?」
スキル欄に燦然と輝く文字。
【魔砲 Lv.1】。
「まほう……砲? 大砲の砲か。まあ、魔法の一種なんだろうな。攻撃魔法が得意ってことか? さすが女神様、わかってる!」
細かいことは気にしない。
とにかく「まほう」という文字が入っているだけで、俺のテンションはマックスだ。
早く試してみたい!
キョロキョロと獲物を探すハンターのように森の中を見渡すと、前方、木の根元あたりで何かがぷるぷると震えているのを発見。
青くて、半透明で、不定形。大きさはバスケットボールくらいか。
「あれは……スライム! うおお、定番中の定番、最弱雑魚モンスターの代名詞!」
しかもご丁寧に三匹もいやがる。
まるで「さあ、俺たちでチュートリアルをどうぞ」と言わんばかりの配置だ。
「よし! 早速、俺の華麗なる魔法デビューといくか!」
意気揚々とスライムたちに近づく。
気分はもう一人前の魔法使いだ。
腕を前に突き出し、中二病全開で魔法の構えを取る。
「えーっと、まずは基本の火魔法だよな。燃えろ、俺のコスモ! いでよ、炎の精霊! 我が呼び声に応え、敵を焼き尽くせ!――【ファイアボール】!」
ラノベで読み漁った、それっぽい詠唱を口にする。
気分は最高潮だ。
さあ来い、俺の初魔法!
ちっちゃな火の玉でもいいぞ!
ところが、だ。
詠唱の途中から、右腕に奇妙な感覚が走り始めた。
ピキピキ、と微かな音が聞こえる。
まるで、腕の中で何かが凍って、ヒビ割れていくような……。
「え? なんだこれ? なんか腕が……」
異変に気づき、詠唱を中断して自分の右腕に視線を落とす。
その瞬間、俺は自分の目を疑った。
俺の右腕が、肘から先、青白い燐光に包まれ始めているのだ。
「は? ひ、光ってる?」
次の瞬間、メキメキメキッ! と骨が軋むような、筋肉が引き千切れるような、そんな冒涜的な音が響き渡った。
「い、痛くは……ないけど、でも、何だこれ!?」
俺の意思とは無関係に、右腕の形状がみるみる変化していく。
皮膚が硬質化し、まるで金属のような光沢を帯び始める。
指はなくなり、腕そのものが太く、長く、そして円筒形に――。
それは、まさしく。
「えええええええ!? 腕が! 俺の右腕が大砲になってるうううううううう!!!」
もはや腕ではない。
それは、SF映画に出てくるような、美しい流線形を描く青い砲身だった。
表面には複雑な紋様が走り、淡い光を放っている。
訳が分からない。
魔法ってこんなのだっけ!?
ファイアボールって、手から火の玉出すやつだよな!?
腕が大砲に変形するなんて、一言も聞いてないぞ!
パニックに陥る俺の脳裏に、女神様の言葉が蘇る。
『あなたに【魔砲(まほう)の祝福】を授けましょう♪』
魔砲……これ、魔法じゃなくて、魔『砲』の方かあああああ!?
砲身の先端が、さらに強く輝きを増していく。
エネルギーが急速にチャージされていくのが、肌で感じ取れる。
目の前のスライムたちが、何事かとこちらを不思議そうに見ている。
ぷるぷる震えるその姿が、なぜか今は死刑執行を待つ罪人のように見えた。
そして――次の瞬間。
【マジック・バースト】
スキル名なのか何なのか、そんな単語が頭に響いたと同時に、俺の右腕――いや、魔砲から、極太の青白い閃光が轟音と共に迸った。
ズドドドドドドオオオオオオオオンッッ!!!
凄まじい衝撃と熱波。鼓膜が破れそうなほどの爆音。
一瞬遅れて、視界が回復する。
目の前にいたはずのスライム三匹は、跡形もなく消し飛んでいた。
まあ、それはいい。
いや、よくないけど、まだいい。
問題は、その奥だ。
スライムたちがいた場所から、直線状に、森の木々が薙ぎ払われ、大地がえぐられ、まるで巨大な爪で引っ掻いたかのような、幅数十メートル、長さ数百メートルはあろうかという更地が誕生していたのだ。
薙ぎ倒された古代樹は軽く十数本じゃ済まない。
そのいくつかは、根元から蒸発したかのように消滅している。
そして、はるか遠くの空には、見事なきのこ雲がもくもくと立ち上っていた。
「…………」
口をあんぐりと開けたまま、俺は呆然と立ち尽くす。
あれ? ファイアボールって、こんな戦略兵器みたいな威力だったっけ?
いや、そもそもこれ、ファイアボールじゃないし。
完全に未知の何かだし。
ぷるぷるぷる!
ハッと我に返ると、爆心地から辛うじて逃げ延びたらしい数匹のスライムたちが、見たこともないような速度でプルプルと震えながら、森の奥へと猛ダッシュで逃げていくところだった。
その姿は、恐怖におののいているようにしか見えない。
うん、俺も怖い。
「と、とりあえず、この腕……元に戻さないと……」
まだ青白い光を放ち続けている右腕の魔砲を見下ろす。
どうやったら戻るんだこれ。
「戻れ……戻ってくれ……俺の頼れる右腕に……!」
必死に、強く念じる。
すると、先ほどとは逆のプロセスで、砲身がゆっくりと収縮し始め、青白い光が薄れ、徐々に人間の腕の形を取り戻していく。
メキメキという音はしないが、代わりにキィンという金属が冷えるような微かな音が響いた。
数秒後、俺の右腕は、完全に元の人間の腕に戻っていた。
触ってみる。
うん、普通の皮膚だ。
指もちゃんと五本ある。
「何だったんだ、今の……。魔法、じゃないよな、完全に……」
広大な爪痕が残る森と、自分の右手を見比べながら、俺はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
これが、女神様がくれた「まほう」の力……。
俺の異世界魔法使いライフ、開始数分でとんでもない方向に舵を切った気がする。
意識がゆっくりと浮上してくる。
なんだか身体が重い。特に頭。
昨日の夜、調子に乗ってエナドリがぶ飲みしながら深夜アニメ見てたからか?
いや、そもそも俺、トラックに轢かれて……。
そこまで思い出して、俺はバッと目を開いた。
目に飛び込んできたのは、うっそうと茂る木々の天井。
見たこともないような巨木が何本も天を突き、その隙間から木漏れ日がキラキラと差し込んでいる。
足元にはふかふかとした苔。
鼻をくすぐるのは、濃密な土と植物の匂い。
小鳥のさえずりや、風が葉を揺らす音が、やけにクリアに聞こえる。
「……森? しかも、なんかこう、ファンタジー的な?」
上半身を起こして周囲を見渡す。
どう見ても日本の森林公園とかじゃない。
空気の濃さが違う。
生命の密度が違う。
まさに、ラノベで読んだ「異世界の森」そのものだ。
「おお! 完璧にファンタジー世界だ! ってことは、俺、本当に転生したんだ!」
女神様の顔が脳裏に浮かぶ。
軽いノリだったけど、仕事はきっちりしてくれたみたいだ。
興奮と期待で胸が高鳴る。
まずは、お約束のアレを確認しないとな。
「ステータス、オープン!」
S
Fチックなウィンドウが目の前にポップアップするのを期待して叫んでみる。
……が、何も起こらない。
「あれ? ダメ? じゃあ、念じればいいのか? ええと、俺の能力は……」
そう思った瞬間、頭の中に直接情報が流れ込んでくるような感覚があった。
【名前】アマギ・リク
【称号】異世界人、女神の祝福を受けし者
【種族】人族(ヒューマン)
【状態】健康
【レベル】1
【HP】100/100
【MP】50/50
【筋力】10
【耐久】8
【敏捷】12
【魔力】15
【スキル】魔砲 Lv.1、言語理解
「おお! 本当にステータスだ! しかもMPあるってことは、魔法も……ん?」
スキル欄に燦然と輝く文字。
【魔砲 Lv.1】。
「まほう……砲? 大砲の砲か。まあ、魔法の一種なんだろうな。攻撃魔法が得意ってことか? さすが女神様、わかってる!」
細かいことは気にしない。
とにかく「まほう」という文字が入っているだけで、俺のテンションはマックスだ。
早く試してみたい!
キョロキョロと獲物を探すハンターのように森の中を見渡すと、前方、木の根元あたりで何かがぷるぷると震えているのを発見。
青くて、半透明で、不定形。大きさはバスケットボールくらいか。
「あれは……スライム! うおお、定番中の定番、最弱雑魚モンスターの代名詞!」
しかもご丁寧に三匹もいやがる。
まるで「さあ、俺たちでチュートリアルをどうぞ」と言わんばかりの配置だ。
「よし! 早速、俺の華麗なる魔法デビューといくか!」
意気揚々とスライムたちに近づく。
気分はもう一人前の魔法使いだ。
腕を前に突き出し、中二病全開で魔法の構えを取る。
「えーっと、まずは基本の火魔法だよな。燃えろ、俺のコスモ! いでよ、炎の精霊! 我が呼び声に応え、敵を焼き尽くせ!――【ファイアボール】!」
ラノベで読み漁った、それっぽい詠唱を口にする。
気分は最高潮だ。
さあ来い、俺の初魔法!
ちっちゃな火の玉でもいいぞ!
ところが、だ。
詠唱の途中から、右腕に奇妙な感覚が走り始めた。
ピキピキ、と微かな音が聞こえる。
まるで、腕の中で何かが凍って、ヒビ割れていくような……。
「え? なんだこれ? なんか腕が……」
異変に気づき、詠唱を中断して自分の右腕に視線を落とす。
その瞬間、俺は自分の目を疑った。
俺の右腕が、肘から先、青白い燐光に包まれ始めているのだ。
「は? ひ、光ってる?」
次の瞬間、メキメキメキッ! と骨が軋むような、筋肉が引き千切れるような、そんな冒涜的な音が響き渡った。
「い、痛くは……ないけど、でも、何だこれ!?」
俺の意思とは無関係に、右腕の形状がみるみる変化していく。
皮膚が硬質化し、まるで金属のような光沢を帯び始める。
指はなくなり、腕そのものが太く、長く、そして円筒形に――。
それは、まさしく。
「えええええええ!? 腕が! 俺の右腕が大砲になってるうううううううう!!!」
もはや腕ではない。
それは、SF映画に出てくるような、美しい流線形を描く青い砲身だった。
表面には複雑な紋様が走り、淡い光を放っている。
訳が分からない。
魔法ってこんなのだっけ!?
ファイアボールって、手から火の玉出すやつだよな!?
腕が大砲に変形するなんて、一言も聞いてないぞ!
パニックに陥る俺の脳裏に、女神様の言葉が蘇る。
『あなたに【魔砲(まほう)の祝福】を授けましょう♪』
魔砲……これ、魔法じゃなくて、魔『砲』の方かあああああ!?
砲身の先端が、さらに強く輝きを増していく。
エネルギーが急速にチャージされていくのが、肌で感じ取れる。
目の前のスライムたちが、何事かとこちらを不思議そうに見ている。
ぷるぷる震えるその姿が、なぜか今は死刑執行を待つ罪人のように見えた。
そして――次の瞬間。
【マジック・バースト】
スキル名なのか何なのか、そんな単語が頭に響いたと同時に、俺の右腕――いや、魔砲から、極太の青白い閃光が轟音と共に迸った。
ズドドドドドドオオオオオオオオンッッ!!!
凄まじい衝撃と熱波。鼓膜が破れそうなほどの爆音。
一瞬遅れて、視界が回復する。
目の前にいたはずのスライム三匹は、跡形もなく消し飛んでいた。
まあ、それはいい。
いや、よくないけど、まだいい。
問題は、その奥だ。
スライムたちがいた場所から、直線状に、森の木々が薙ぎ払われ、大地がえぐられ、まるで巨大な爪で引っ掻いたかのような、幅数十メートル、長さ数百メートルはあろうかという更地が誕生していたのだ。
薙ぎ倒された古代樹は軽く十数本じゃ済まない。
そのいくつかは、根元から蒸発したかのように消滅している。
そして、はるか遠くの空には、見事なきのこ雲がもくもくと立ち上っていた。
「…………」
口をあんぐりと開けたまま、俺は呆然と立ち尽くす。
あれ? ファイアボールって、こんな戦略兵器みたいな威力だったっけ?
いや、そもそもこれ、ファイアボールじゃないし。
完全に未知の何かだし。
ぷるぷるぷる!
ハッと我に返ると、爆心地から辛うじて逃げ延びたらしい数匹のスライムたちが、見たこともないような速度でプルプルと震えながら、森の奥へと猛ダッシュで逃げていくところだった。
その姿は、恐怖におののいているようにしか見えない。
うん、俺も怖い。
「と、とりあえず、この腕……元に戻さないと……」
まだ青白い光を放ち続けている右腕の魔砲を見下ろす。
どうやったら戻るんだこれ。
「戻れ……戻ってくれ……俺の頼れる右腕に……!」
必死に、強く念じる。
すると、先ほどとは逆のプロセスで、砲身がゆっくりと収縮し始め、青白い光が薄れ、徐々に人間の腕の形を取り戻していく。
メキメキという音はしないが、代わりにキィンという金属が冷えるような微かな音が響いた。
数秒後、俺の右腕は、完全に元の人間の腕に戻っていた。
触ってみる。
うん、普通の皮膚だ。
指もちゃんと五本ある。
「何だったんだ、今の……。魔法、じゃないよな、完全に……」
広大な爪痕が残る森と、自分の右手を見比べながら、俺はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
これが、女神様がくれた「まほう」の力……。
俺の異世界魔法使いライフ、開始数分でとんでもない方向に舵を切った気がする。
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これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
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