拝み屋一家の飯島さん。

創作屋 鬼聴

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えんのした様

検証開始!!

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「これが噂の縁の下…!
ぅうん…暗くて全然見えないな…」

「禊。懐中電灯出せ。」

「あっそうか…」

何の怯えも躊躇もなく
禊さんと了さんは
噂の縁の下を覗き込んでいる。

もの凄く嫌だったけど
見ないのも逆に怖いので
禊さんに続いて噂の縁の下を覗き込む。

縁の下は本当に真っ暗。
懐中電灯で照らしても全然見えない。
もしかして私、今目を閉じてる?って
思うくらい暗い。
しかも、なんか…変な匂いがする気もする…
生ゴミみたいな…動物臭…?みたいな…

「ひとまず、噂通りになるのかどうか
試してみましょうか。
一見は百聞に如かずと言いますし。」

了さんは手に持っていた
あからさまに高そうな革製の
クラッチバッグからスーパーボールを
出した。地球儀みたいな柄の
チープなやつだ。

なんか、そのアンバランスさが
ちょっと面白い。そして禊さんのテンションはさらに上がっていっている。

「僕らはまだ"返して"とは言われてないけど
血が付いて戻って来たらいいなぁ…!」

「ですね。」

なんも良くない。ドン引き顔の私を
横目にボールが縁の下に投げられる。
ボールは砂利の上を跳ね、
側面を汚しながら転がり
闇の中に消えていった。

「…」

「…」

「…」


私達は黙って待つ。山間から冷たく
湿った風が吹いてくる。
そういえばいつの間にか日が
すっかりと暮れてしまっている。

縁の下も、辺りも真っ暗で…
心臓がぐらりと揺らぐ様な不安感が
募る。風の音が人の声の様に
聞こえる気すらする。
まるで子供の声みたいな…

噂に聞いた子供の声…

「…ダメですかね…??」

痺れを切らした了さんが言うと
禊さんも眉を顰める。

「…そうかも…」

私は黙ったまま縁の下の中の暗闇を
を見つめていた。すると

「え…」

闇の中から浮き上がってくる様に
さっき投げたボールが帰ってくる。
真っ直ぐまるで誰かが狙いを定めて
転がしたみたいに。

禊さんもそれに気がつき大声をあげ
即座にボールをぶん取った。

「おお!!帰ってきたぁ…!
…うわ!!すごぉい…二人ともみてよ…!!
血もついてる…!!噂通りぃ!!!!
これは熱いよ…!!」

「へぇ、
傾斜があるわけでも無さそうなのに。
奥の物にぶつかったりしてるんですかね?」

「よぉし、僕が入って調べてくる!」

「えっうそでしょ?!禊さん本気?」

「当たり前でしょ…これ持ってて!!」

禊さんは私にスタッズと缶バッチまみれの
合皮のカバンを預けると懐中電灯を咥えて
匍匐前進で縁の下の中に入っていった。
しかもゴキブリみたいに素早い。

「うわぁマジで…?禊さんすご…」

「アイツこう言う時だけ
アグレッシブなんですよね。
でも今回は子供の霊なんで
まだマシな方です。」

「ふぅん?」

大人の霊の方がテンション上がるもの
なのかな…??変人の考えなんて
よくわからない。

しばらくその縁の下の暗闇を眺めていると
禊さんが匍匐前進でバックしながら帰ってきた。バックなのに素早くてキモい。

「おい。禊どうだった?」

「ダメだった…金網があって進めない…
家の下を囲うみたいに金網が貼ってあるね。一周したけど人が入れるような穴はない。

けど金網に血は付いてなかったから
調査の価値ありだね。」

一周してあのスピード?凄っ。

「なるほど…。暗いし
これ以上の調査はできないか。
今日は一泊して霊が出るか見てから
明日の朝、祓いましょう。」

了さんがハッキリそう言い放って家の中に
戻って行くので私も渋々ついていく。

「えぇ~…それって今
適当に祓うんじゃダメなんですか…?」

「ダメですよ~
楓さんってばチョー素人ですねぇ。

祓うにしても、
"家そのものが呪われている"のか、
"呪物などの影響"なのか、
それとも"所有者が呪われている"のかで

対応が変わってくるし、お祓いなら基本
朝から午前二時と相場が決まってるんです」

「ふぅん…?」

そういうもの…??
そんな"ジョーシキですよ"って感じで
言われてもピンとこないなぁ

そんなことを思いながら、
家の中に戻るために縁側に足を乗せると
床板の軋む音と同時に何か
か細い声の様なものが聞こえた。



『かえして…』



「!!!?!ぇっ?!!ええ?!」

思わず後退ると私の背中を
禊さんがキャッチする。禊さんは
迷惑そうな顔をしてこちらを見た。

「え?何?どうしたの?」

「どうしたのって!!今の!!
今の二人とも聞いてなかったの??!
声したよね!?
噂通りの『返して』って声!!」

了さんと禊さんの顔を交互に見て訴えたけど
二人はポカンとした顔のまま、首を捻る。

「何も聞いてませんね…」

「僕も何も聞こえなかった。」

「そ…そんなぁ…!?
なんで私ばっか、怖い思いしてるの~…??
嫌すぎる…私霊感なんて無いはずなのに…」

了さんは禊さんから奪い取る様にして
私の肩を抱き、また部屋の中へと歩き出す。

「まぁ、霊には相性がありますし、
もしかしたら俺たちより、楓さんの方が
相性が良いのかも知れませんね。」

「そんなの嬉しく無いよぉ…」

私達は室内に戻り比較的綺麗だった
居間に拠点を構える事にした。
そこはさっき調べた縁の下の真上、
畳張りの和室で10畳ほどの
ほとんど正方形の部屋だ。

幸い電気はまだ生きているみたいで
お婆ちゃんの家みたいな、
やや和風の四角いシェードのついた古くさい
ヒモ付き蛍光灯の照明が部屋を照らす。

掛け軸と壺の置いてある床間もあって、
柱には振り子時計が掛かっている。
振り子時計はカチカチと音を立てていて、
どうやら時間はまだ正確らしい。
けれどテーブルなどは
無く、不思議と殺風景な部屋だった。

部屋に着くなり禊さんは謎の儀式をして
結界を張っているし、了さんはメイクを
落として美顔器を当てて
パックまでし始めた。

「本当に慣れてるんですね…
心霊スポットに泊まるの…」

私は了さんにスキンケアされながら
呆れ半分、関心半分で、苦笑いした。

「まぁ仕事なので。でも、流石に
不衛生な現場とかだとかなりキツイですね。
そういう時は禊だけ置いて
俺はモニタリングします。」

了さんの大きくてすべすべした掌が
私の頰に美容液を塗ったくっていく。
せめて自分でやるって言ったけど
無駄だったので諦めた。

了さんとずっといたら垢抜けできそう。

「了さん毎日美顔器とかも当ててるの?
ほんと美意識高い…」

「まぁ、元々俺は超ド級の顔整いですから
手を掛けたくなるのは当然ですよ。」

…了さんはサラッとそう言って笑う。
…何も反論の余地がないのが
ちょっとムカつく…。
あとちょっとドヤ顔なのもムカつく。

「さて、あとは電気を消して
朝までカメラを回しつつ
徹夜して霊を待つだけですね。」

了さんが照明からぶら下がる
古ぼけた紐を引き電気を消す。
カピンッと蛍光灯特有の
ガラスを叩く様な音がして

部屋は暗闇に包まれた。

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感想 18

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みんなの感想(18件)

美愛
2026.01.21 美愛

更新ありがとうございます😭
怖がってる楓さん面白くて好きです笑
次の更新楽しみに待ってます!!

2026.02.07 創作屋 鬼聴

ご感想ありがとうございます!
不定期にはなってしまいますが頑張ります!

解除
美愛
2025.09.07 美愛

更新ありがとうございます♪
次の更新も楽しみに待ってます(๑>◡<๑)

2025.09.08 創作屋 鬼聴

ありがとうございます😊✨!
じわじわ頑張ります!

解除
美愛
2025.07.28 美愛

更新ありがとうございます!😭
ビビってる楓ちゃんめっちゃ面白いです笑
続きめっちゃ気になりすぎて次の更新が楽しみです😆

2025.07.29 創作屋 鬼聴

おかげさまで久々に更新出来ました!
ありがとうございます!
次の更新もぼちぼち頑張ります!

解除

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