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コツコツさん
コツコツさんの噂
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とある大学の第一講義室、
そこでこんな話をする二人がいた。
「ねぇコツコツさんって知ってる?』
「なにそれ?都市伝説?」
訝しげに一人がそう尋ねると
もう一人は楽しそうに頷く。
「そう。あの事故の多い踏切!
最近も女子高生が電車に引かれたじゃない?
友達がさ、現場見たらしいんだけど、
体が胴体から真っ二つに切れててぇ…
内臓が飛び出して
ものすごかったらしいよ、4丁目の踏切。」
彼女はニヤニヤしながらそこまで話すと
ここからが本題だと言わんばかりに
身を乗り出して続ける。
「それでね、夜に踏切を通ると
後ろから、その子の幽霊が付いてきて‥
『コツコツ』って
足音みたいな音がするんだって、
それは毎日、毎日近づいてきて‥言うの‥
『私の足‥返して』
で、追いつかれたらヤバいらしいよ!」
もう一人はそこまで聞いて
失笑した。
「えっ?ちょっと待って、
足がないのにコツコツ?
おかしくない?靴履いてんじゃん。
てか、ヤバいって何?」
「知らなーい。私も聞いただけだし」
その話はそんな無責任なセリフで終わり
私は溜息をついて抗議室を後にした。
いつもの私だったら、
こんな話くだらない噂だと思えた。
でも、違う。
今の私にはそんな風に思えなかった。
それは私、水島 楓の身に
この怪談話とまるで同じことが起こっているから。
講義が終わると、私はアルバイトに向かう。
4丁目のコンビニへと。
ここまでは問題ないけど、
問題は帰りだ。
私の家へはあの事故のあった踏切を
通らないと帰れない。
しかも、シフトは主に深夜、
もちろんそこを通るのもその時間。
そして、今日も
あの踏切に差し掛かる。
『コツコツ』。
やっぱり、聞こえる。
踏切に赤く照らされた夜の住宅街に
響く乾いた音。
それは後ろから‥
徐々に私に近づいてきて、はやくなる。
『コツコツコツコツ!』
…!!
私は怖くなって振り返りもせず走り出す。
たったったったっ
『コツコツコツコツコツコツッ!!』
走る私のすぐ真後ろで音が聞こえて、
この音はマンションに入っても
ずっと追いかけてくる。
私はエレベーターを待つこともできず
急いで階段を駆け上り、
自分の部屋の扉に手をかけた。
バンっ
なんとか私は家の中に駆け込み
鍵をかけて、ドアを背にへたり込む。
バクバクなる心臓を抑えて
ふーっとため息を吐く。
「もう‥なんなのよ‥」
バイトがある日はいつもそう…
しかも、
この足音は徐々に近づいているのだ。
初めは、踏切から10メートルくらいしか
着いてついてこなかった。
なのに今は家まで来てる…
けれど、私にはどうしようもなかった。
彼が来るまでは。
そこでこんな話をする二人がいた。
「ねぇコツコツさんって知ってる?』
「なにそれ?都市伝説?」
訝しげに一人がそう尋ねると
もう一人は楽しそうに頷く。
「そう。あの事故の多い踏切!
最近も女子高生が電車に引かれたじゃない?
友達がさ、現場見たらしいんだけど、
体が胴体から真っ二つに切れててぇ…
内臓が飛び出して
ものすごかったらしいよ、4丁目の踏切。」
彼女はニヤニヤしながらそこまで話すと
ここからが本題だと言わんばかりに
身を乗り出して続ける。
「それでね、夜に踏切を通ると
後ろから、その子の幽霊が付いてきて‥
『コツコツ』って
足音みたいな音がするんだって、
それは毎日、毎日近づいてきて‥言うの‥
『私の足‥返して』
で、追いつかれたらヤバいらしいよ!」
もう一人はそこまで聞いて
失笑した。
「えっ?ちょっと待って、
足がないのにコツコツ?
おかしくない?靴履いてんじゃん。
てか、ヤバいって何?」
「知らなーい。私も聞いただけだし」
その話はそんな無責任なセリフで終わり
私は溜息をついて抗議室を後にした。
いつもの私だったら、
こんな話くだらない噂だと思えた。
でも、違う。
今の私にはそんな風に思えなかった。
それは私、水島 楓の身に
この怪談話とまるで同じことが起こっているから。
講義が終わると、私はアルバイトに向かう。
4丁目のコンビニへと。
ここまでは問題ないけど、
問題は帰りだ。
私の家へはあの事故のあった踏切を
通らないと帰れない。
しかも、シフトは主に深夜、
もちろんそこを通るのもその時間。
そして、今日も
あの踏切に差し掛かる。
『コツコツ』。
やっぱり、聞こえる。
踏切に赤く照らされた夜の住宅街に
響く乾いた音。
それは後ろから‥
徐々に私に近づいてきて、はやくなる。
『コツコツコツコツ!』
…!!
私は怖くなって振り返りもせず走り出す。
たったったったっ
『コツコツコツコツコツコツッ!!』
走る私のすぐ真後ろで音が聞こえて、
この音はマンションに入っても
ずっと追いかけてくる。
私はエレベーターを待つこともできず
急いで階段を駆け上り、
自分の部屋の扉に手をかけた。
バンっ
なんとか私は家の中に駆け込み
鍵をかけて、ドアを背にへたり込む。
バクバクなる心臓を抑えて
ふーっとため息を吐く。
「もう‥なんなのよ‥」
バイトがある日はいつもそう…
しかも、
この足音は徐々に近づいているのだ。
初めは、踏切から10メートルくらいしか
着いてついてこなかった。
なのに今は家まで来てる…
けれど、私にはどうしようもなかった。
彼が来るまでは。
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