拝み屋一家の飯島さん。

創作屋 鬼聴

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飯島 了

飯島から逃げて。

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『今回は』ってなに?!
前回があった?
私の前にこんな目にあった人がいるの?!

そんな心を見透かすように、
飯島さんは笑う。

「あれ?話してませんでした?
白石麻耶のこと。」

白石‥??確かコツコツさんになってしまった女子高生‥まさか‥


「おっ!わかりました?!では答えをどうぞ!」

そう言って、
飯島さんは私の口の拘束を外す。

それどころじゃないのに、私はその答えを言う。
真相が気になってしまった。


「あんたが‥
白石さんを轢かせて殺したの‥?
私みたいにして‥」


「ピンポーン!大正解です!
因みに!ここで死んだ他の6人も
俺がやりましたー!」


飯島さんのふざけた態度に
私は状況も考えず激昂する。


「ありえない!!人を殺しておいて!
何考えてんの!?!ふざけるなっ!!!
頭おかしいんじゃない!?」


「まぁ、俺もわざとやったんじゃないですよ?

楓さんと同じで、逃げようとしたから、
足だけ切り落とすつもりでした。」


「……っ」

ドン引きする私を横目に
飯島はわざとらしく悲しそうな顔をして見せた。

「なのに、彼女は線路の上で暴れて‥
胴体がブッツリ‥
俺もあれはショックでした。

あんなに可愛い人が肉塊に、しかもその後は
化け物になっちゃったんですもん。」


‥もはや言葉が出ない。


「白石さん、可愛かったなー‥
下校中の彼女に一目惚れして、
毎日見ていました‥懐かしいなぁ」


飯島さんはただの美しい思い出のように語るが要する、ストーカーだ。

「それで俺は彼女を家に連れ込んだんですけど、まぁ後は知っての通りって感じですね!」


‥このままでは私も同じ末路、いや、 
もっと最悪の道へ進むかもしれない。
そんなのは嫌だ‥

私の目から涙が溢れ、レールに落ちる。

すると、ポンポンと飯島さんが
私の頭を撫でる。


「大丈夫ですよ。楓さん
俺は言うこと聞かない白石さんより、

ちょっとでもお利口で
可愛い楓さんが好きです

ヤキモチ焼かなくていいですよ?
いっぱい愛してあげますから。」


「‥そっそんなことで泣いてるんじゃないっ‥
ふざけるなっ!この狂人‥!!」


涙を溜めながら精一杯、飯島さんを睨みつける。

カンカンと踏切が鳴り始める。

飯島さんはスッと踏切から道に退いた。


「えーじゃあなんだろ‥?
あっ!わかった。止血ですね!?
大丈夫ですよ!輸血パックと止血剤
用意してますから!」


暗闇の向こうから電車のライトが見えて、
もはや私はパニックに陥っていく。


「ああ…電車が…ああっっ!!いや!!
嫌だ!!飯島さんっ‥!!お願い!!助けて!!」


もう、電車はすぐそこに迫っている。
もうなりふり構っていられない。


「えー‥どうしよっかなー。
楓さん逃げちゃうからなあ‥」


涙がボロボロ流れてくる。
私が動くたび縄がギシギシ軋む。


「逃げないから‥!お願い!!お願い‥!!」


痛いのは嫌…!痛いのは嫌だ‥!!
バラバラになんかなりたくない!!!
必死で彼に縋るしかなかった。

彼は私の逃げないと言う言葉に
少し声のトーンをあげた。


「ホントですか?!えっっどうしよっかな!
良い子にしてくれますか?
俺の言うことなんでも聞いてくれます?」


飯島さんは屈託のない満面の笑みで聞いてくる。それが恐ろしくてたまらない。


けれど、今の私に選択肢はない。


「良い子にする!
言うこともなんでも聞くから!!
早く‥!はやく‥っ!!!たすけて!」


レールから電車の振動が伝わってきて、
ガタガタという音がどんどん近づいてくる。

まだ飯島さんは私に質問してくる。

ああっ!!もう間に合わない‥!


もうギリギリなのに飯島さんは
恍惚と笑みを浮かべて
悠々と美しい顔を歪める。


「じゃあ‥楓さん。
俺のこと愛してますか?」


‥!!?
何言ってるの?そんな訳ないでしょ?!
こんなことをしておいて!!

などという思考は鳴り響く踏切の音が
掻き消した。


「愛してます!愛してますから‥!
飯島さんっ!!!たすけて‥!」



……!!



そう言った瞬間、電車が踏切を通り抜けた。


カンカン‥という、
踏切音が小さくなっていく。


「はぁっ‥はぁっ‥はぁぁっ‥」


私は縛られたまま、
飯島さんの腕の中で泣いていた。
息を荒くして、バクバク心臓がならしている。

怖かった‥!怖かった‥‥


飯島さんはギリギリで私を助けあげた。
私の足は無事だ。


「ふふっ良い子ですね。楓さん。
俺は楓さんと付き合えて幸せです。」


飯島さんは私を強く抱きしめながら
びしょ濡れになった前髪を掻きあげて、
顔を見てくる。


「涙と汗でグチョグチョですよ?
そういうの好きなんですよねぇ‥俺」


そう言うと私の顔をベロリと舐める。
冷たくて赤い舌は丹念に私の頬を舐める。

抵抗する体力も勇気もない。
私はされるがままだ。

飯島さんは私を横抱きにして、歩き始めた。

「…どこ…行くの‥?」

朦朧とした意識の中そう聞くと
彼は少し驚いてから笑った。


「決まってるじゃないですか!
俺らのスイートホームですよ。
恋人とはイチャつきたいじゃないですか!」

‥死んだほうがマシだったかもしれない。

そんな私の憂鬱をよそに飯島さんは
機嫌良く私の額に軽いキスを落とした。


「愛してますよ。楓さん。
とっーても大事にしてあげますね!

もう一生、俺から逃げちゃいけませんよ?」


あぁ…なるほど……

私は今更…コツコツさんの
言っていた言葉の内容が分かった。

多分…
『い‥から‥に‥‥て‥に‥‥』は





「飯島から逃げて‥」だ。








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