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飯島家本家
鳥居の奥のお屋敷
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今日の朝、飯島さんに抱えられて、
大きな黒塗りの車に乗った。
中は広く、
大人2人が寝転がっても余裕がある。
「あー!もう‥だいっ好きですよ。
楓さん‥」
飯島さんはずっとこの調子で、
永延とラブコールが止まらない‥
私を押し倒す様に組み敷いて、
覆い被さりながら、
飯島さんは私を抱きしめていた。
なんか、抱き枕みたいな感じで。
「‥わかったから‥飯島さん。
縄解いてほしいな…?」
飯島さんがヤバイ人なのはわかってるし、
怖いけど、慣れてきたかも。
言うこと聞いてれば、機嫌いいし。
「いやです!縛っておかないと心配なんですよ!
それに動けない楓さん‥可愛いし‥」
「走ってる車から飛び降りるわけないでしょ‥
早く、ほ、ど、い、て。」
「もう、仕方ないですね。楓さんはー」
そんな会話をしながら、走る事2.3時間‥
‥絶望を感じる‥
もはや窓の外は山に山に山に‥川‥
そして、また山。
車はどんどんと隔離された世界に
入り込もうとしていた。
「…私‥どうなるんだろ‥」
「どうって‥もちろん幸せにしますよ!
俺のお嫁さんですから!」
この人の嫁な時点で幸せとは
程遠いのでは‥?
「着いたら、うちの両親に見せびらかしていいですか?きっと喜ぶなぁ‥!
こんなに可愛くて綺麗な
五体満足のお嫁さんですからね!」
飯島さんは私のほおに触れて顔を近づける。
私の顔って正直、普通だと思うけど、
まぁ"可愛くて綺麗な‥"は悪い気はしない。
わざわざ五体満足って言われたのは
引っかかりまくり…
私は彼から目を背けるように窓の外を見ると、遠くに大きな鳥居が見えた。
蒼い空と入道雲の前に浮かぶ、
黒い鳥居は
こんな山奥に不相応なくらい大きい。
多分、15メートルくらい。
「お、見えてきましたね。
いやぁ‥我が実家ながら山奥すぎますよねー。
まぁ都合がいいですけど。」
都合がいい‥監禁するのにって意味?
そう言おうとしてやめた。
飯島さんは私を車のドアと自分の身体で挟むように背後から窓を覗きこむ。
「ほら、あの鳥居の奥の家です。
見えますか?」
良く見えなくて、じっと見ていると、
どんどん鳥居は近づいてくる。
そしてその鳥居の前に止まった。
鳥居の奥には‥
とんでもなく大きくて立派な
お屋敷があった。
東照宮の入り口みたいな大きな門に、大きな鬼瓦。美しい彫刻のついた欄間。
豪華ながらも、木造で趣のある家。
最近世界遺産に登録された神社だ、
と言われても納得できるぐらい立派なお屋敷だった。
「うぁ‥凄‥っ‥なにこれ‥」
「無駄に広いんで、
迷わないようにしてくださいね。
‥手、繋ぎましょうか?」
「え…遠慮しておきます…。」
丁重にお断りすると、飯島さんが何か
紐状の物を取り出してにこりと笑う。
「じゃあ、首輪にしましょうか。」
「やっぱり手繋ぐ。」
あまり逆らうといい事がなさそうなので、
不本意ながら飯島さんと手を繋いで家の中に入る。
ガラガラと鳴る戸をくぐると
飯島さんはピシャリと閉めて鍵をかけた。
飯島さんの手は冷たくて、力強い。
‥逃げる事はできなそうだ。
玄関に上がると、木の床が小気味良く軋む。
ひんやりとした空気と木の香りが私を包んでいた。
「さぁ‥行きましょうか。楓さん。」
私が小さく頷くと、
飯島さんは綺麗な薄い唇に弧を描かせ、
不敵に笑う。
彼はその微笑みで、いつも通りの言葉を
私に投げかけた気がした。
「俺から逃げないでくださいね?」と。
大きな黒塗りの車に乗った。
中は広く、
大人2人が寝転がっても余裕がある。
「あー!もう‥だいっ好きですよ。
楓さん‥」
飯島さんはずっとこの調子で、
永延とラブコールが止まらない‥
私を押し倒す様に組み敷いて、
覆い被さりながら、
飯島さんは私を抱きしめていた。
なんか、抱き枕みたいな感じで。
「‥わかったから‥飯島さん。
縄解いてほしいな…?」
飯島さんがヤバイ人なのはわかってるし、
怖いけど、慣れてきたかも。
言うこと聞いてれば、機嫌いいし。
「いやです!縛っておかないと心配なんですよ!
それに動けない楓さん‥可愛いし‥」
「走ってる車から飛び降りるわけないでしょ‥
早く、ほ、ど、い、て。」
「もう、仕方ないですね。楓さんはー」
そんな会話をしながら、走る事2.3時間‥
‥絶望を感じる‥
もはや窓の外は山に山に山に‥川‥
そして、また山。
車はどんどんと隔離された世界に
入り込もうとしていた。
「…私‥どうなるんだろ‥」
「どうって‥もちろん幸せにしますよ!
俺のお嫁さんですから!」
この人の嫁な時点で幸せとは
程遠いのでは‥?
「着いたら、うちの両親に見せびらかしていいですか?きっと喜ぶなぁ‥!
こんなに可愛くて綺麗な
五体満足のお嫁さんですからね!」
飯島さんは私のほおに触れて顔を近づける。
私の顔って正直、普通だと思うけど、
まぁ"可愛くて綺麗な‥"は悪い気はしない。
わざわざ五体満足って言われたのは
引っかかりまくり…
私は彼から目を背けるように窓の外を見ると、遠くに大きな鳥居が見えた。
蒼い空と入道雲の前に浮かぶ、
黒い鳥居は
こんな山奥に不相応なくらい大きい。
多分、15メートルくらい。
「お、見えてきましたね。
いやぁ‥我が実家ながら山奥すぎますよねー。
まぁ都合がいいですけど。」
都合がいい‥監禁するのにって意味?
そう言おうとしてやめた。
飯島さんは私を車のドアと自分の身体で挟むように背後から窓を覗きこむ。
「ほら、あの鳥居の奥の家です。
見えますか?」
良く見えなくて、じっと見ていると、
どんどん鳥居は近づいてくる。
そしてその鳥居の前に止まった。
鳥居の奥には‥
とんでもなく大きくて立派な
お屋敷があった。
東照宮の入り口みたいな大きな門に、大きな鬼瓦。美しい彫刻のついた欄間。
豪華ながらも、木造で趣のある家。
最近世界遺産に登録された神社だ、
と言われても納得できるぐらい立派なお屋敷だった。
「うぁ‥凄‥っ‥なにこれ‥」
「無駄に広いんで、
迷わないようにしてくださいね。
‥手、繋ぎましょうか?」
「え…遠慮しておきます…。」
丁重にお断りすると、飯島さんが何か
紐状の物を取り出してにこりと笑う。
「じゃあ、首輪にしましょうか。」
「やっぱり手繋ぐ。」
あまり逆らうといい事がなさそうなので、
不本意ながら飯島さんと手を繋いで家の中に入る。
ガラガラと鳴る戸をくぐると
飯島さんはピシャリと閉めて鍵をかけた。
飯島さんの手は冷たくて、力強い。
‥逃げる事はできなそうだ。
玄関に上がると、木の床が小気味良く軋む。
ひんやりとした空気と木の香りが私を包んでいた。
「さぁ‥行きましょうか。楓さん。」
私が小さく頷くと、
飯島さんは綺麗な薄い唇に弧を描かせ、
不敵に笑う。
彼はその微笑みで、いつも通りの言葉を
私に投げかけた気がした。
「俺から逃げないでくださいね?」と。
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