拝み屋一家の飯島さん。

創作屋 鬼聴

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飯島家本家

庭先の恐怖。

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縁側に座って一人
作戦会議をする事にした。

縁側には夏なのに妙に冷たい風が吹いていて、月明かりが照らしている。

目の前は森。
飲み込まれそうなくらい不気味で真っ暗だ。

「今、逃げても、遭難するだけ‥」

溜息をつく。

‥でも、思っていたより、飯島さんの
ガードは緩い気がする。
今も私から目を離してるし。

手足を踏切で切り落とそうとした人とは思えない。山の上だから逃げれないって思ってる?


「‥‥」


スマホはあるし、辺りは照らせる。
道にさえ出れば‥イケるのでは?
逃げれるのでは‥?

道に出て、警察に‥
いや、タクシーを呼んで逃げる…。
…流石に街中まで出てたら手荒な事はできないはず。

行動するなら早いほうがいい。
ていうか…今逃げないと私の貞操が!!


「よし‥」

半ば焦りに身を任せ、縁側から出て
置いてあった下駄を履く。きっとないよりはマシ。

背後の部屋にいる飯島さんに警戒しつつ
暗闇の方へと歩き草を掻き分けて森の中に入った。

正確には庭だろうか‥

暗い。スマホの明かりでなんとか見えるけど
今日は月さえ出ていない。
コレ、本当にいける?
車でもかなり時間が掛かったのに…。

でも、あんな家に居たくないし
ましてや飯島さんと結婚なんて絶対嫌。

優良物件とかそんなの関係ない。だって
どう考えてもあの人、頭おかしいもん。
今は良くたって、いつか彼の機嫌を損ねて
私も白石さんみたいに殺されるかも知れない。

進もう。進むしかない。
今更戻ったって逃げようとしたのが
バレるかもしれない。

気味の悪い山の中を
ガサガサと草木をかき分けて進む。


「多分こっちだよね…」


そう呟いた時、暗闇の中に気配を感じた。
それと足音。

ザッザッと容赦のない大きな足音は
どんどんと早くなる。


「ひっ‥え?なに‥?!なに?!」


そして、耳元で


『ザシャンッ』


という刃物が擦れる音がした。


「ひあああぁっっ!!?」


悲鳴を上げ、音のした方を振り返ると
能面を被った使用人さんがいた。
大きな枝切り鋏を持って。


「楓様?どちらへ?」


「えっ‥いや‥その‥!!?」


心臓がバクバクと音を立てて、
嫌な汗が流れる。

腰を抜かした私は座ったままズリズリと後退りする。

いや、しようとした。
ドンっと後ろの何かに背が当たる。

振り返ると、


「楓様、どちらへ行くおつもりだったのですか?」


別の使用人がいて、
気がつくと5人ほどの使用人に囲まれていた。


「ひいっ!!?いつからいたんですか?!」


「ずぅっとですよ。楓様。
貴女が了様の信頼を得るまで、
24時間体制で、この館を80人で見張っております。」


「80?!」


「ええ、了様のご指示で。
楓様を逃さぬようにと。
もし、その兆候が見られたら‥処置をしろと。」


処置‥?その言葉を聞いて、私は地面の草を握りしめた。嫌な予感がする。


「処置‥ってなんでしょう‥?」


そう私が尋ねると
使用人の能面がグニャリと笑った気がした。
そして、手に持った大きな枝切り鋏が光る。


「それが何か、お分かりでしょう?
楓様。さぁ皆さん、彼女を抑えてください。」


使用人がそう言うと、
他の四人が私の手足を抑えつける。


「ごめんなさい!!ごめんなさい!!
違うんです!!本当に!!」


半泣きで暴れても、使用人達はピクリともしない。
それどころか手足が折れそうなくらいの
人間離れした力で押さえつけられる。

ああ!!だから、
飯島さんは私から目を離してたんだ‥
私は泳がされてた‥!!あぁ‥!!


「では、右足から参ります。」


「ひいっ!!!あぁ!!やめて!!
もうしないから!!」


「大丈夫ですよ、楓様。止血の準備も、
ショック死しない様にも、しますから。
心配いりません。」


右脚を抑えている使用人が穏やかな口調で言う。


「そんな心配してないよ!!助けて!!
誰か!!いやぁああ!!」


私の悲鳴だけが、森にこだまし、

冷たい刃がゆっくりも太ももに触れた…
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