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廃屋調査
仲良し?
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運転席に乗り込んで来た
新堀さんは元気よく挨拶すると
仮面を外した。
仮面の下にはまるでタヌキみたいな
人懐っこい笑顔。
髪型はショートでフワフワの茶髪に
ちょっと太めの眉。
チャーミングって言葉がよく似合う可愛い人だった。でも、それより気になる事がある。
そして、それは瞬時に声に出ててた。
「え、外して良いんだ!!」
そう私が驚いていると、
彼女のハツラツとした笑い声が
車内に響いた。
「あはは!それめっちゃわかります!
ダメかと思いますよね!
屋敷外で有れば
外しても良いとのことっすよ!」
新堀さんはケラケラ笑いながら
ドアを閉めて、
助手席と運転席の間から
こちらの後部座席に顔を出す。
「でもね!!屋敷内で外してると
すんごい剣幕で怒られるんすよ!
この前なんてちょっと面に
虫が入って外しただけなのに…
使用人長からビンタされましたよー
"貴女!!死にたいんですか!?"って!
あははっ!」
彼女は今まで会った使用人たちとは
全っ然、印象が違う。年も若そうで、
多分私達と同い年くらい?
なんというか、ちょっとビックリ…。
ポカンと彼女を見ていると
了さんが私の肩に触れる。
「彼女は俺が指名しました。
新人ではありますが、
他の使用人と違って辛気臭くなくて
いいでしょう?
ちょっと、うるさいですけど。」
了さんが話し終えるや否や
すぐ新堀さんが返す。
「お褒めに預かり光栄です!
若輩者ですが、
よろしくお願いいたします!」
新堀さんはシートベルトを締めると
助手席にお面を置いて、車を発進させた。
彼女はお喋りなのか
運転しながらまた話し始める。
「…にしても、
なんでお面、被るんすかねー??
家事の時もちょー不便なんす。お面。」
新堀さんが指でハンドルを叩きながら、
口を尖らせてそう言うと
禊さんが話しに入ってくる。
すごく嬉しそうにニヤニヤしながら。
「しょうがないよ…
それは…加護のなごり…
昔、使用人が屋敷内の
怪異にやられたからつけ始めたやつでね…」
嬉々とした禊さんの言葉に了さんが被せる様に話す。
多分、長話の気配を察知したんだと思う。
「今となっては、屋敷内に怪異なんていないんだから、あんなキモい風習
やめたらいいと思いますけどねぇー」
了さんが私の頭を撫で回しながら
そう言い、私の顔を軽く覗き込む。
「…」
"…怪異なんていない…"か
彼の口から
スッと出たその言葉を脳内で咀嚼する。
"贄女"は屋敷内の怪異だ…
やっぱり…知らないのかも…
私がそんな事を
真面目な顔で考えていると、
了さんの軽い声がそれを吹き飛ばす。
「あ、しかもあのオカメの髪の部分って!
昔の飯島家の人の髪なんですよー
マジでキモくないですか??」
その言葉に
禊さんがまた眼を輝かせる。
ちょっと鼻息が荒い。
どんだけ怪異の話したいの?この人。
「じっ…!
人毛なのには意味が…あるんだ…
にえ…屋敷内の怪異は
飯島の血筋を恐れるから…で…
文献によると…実にその歴史は…」
「禊。
うんちくとか要らない。」
語り始めた禊さんを
了さんは再びピシャリと制止する。
「…こっからがいいとこなのに…」
禊さんはしゅんとしてピアスを弄り始めた。
そうして、ほんの少しの静寂が訪れると
新堀さんの微笑ましい様な
笑い声がした。
「あははっ!使用人長の言ってた通り。
了様と禊様ってやっぱり
めちゃ仲良いっすよねー。」
それを聞くと、了さんと禊さんが
同時に顔を顰めて、
そして全く同時に言った。
「仲良く"ありません」
"ないよ」
ハモった…
次の瞬間にゴッと重い音がして
理不尽にも禊さんが殴られる。
まるで漫画みたいだなぁ…
禊さんはギャン!と犬みたいな悲鳴を上げ、
頭を抑える。
「新堀。そんなことより、説明していただけます?今回の廃屋について。」
了さんは振るったばかりの拳を
ハンカチで拭きながら、
ひきつった笑顔で新堀さんに聞いた。
よっぽど禊さんと仲良し呼ばわりされたのが
嫌だったらしい。
対象的に新堀さんはニカっと笑って返す。
「えーだって、了様と禊様って
幼稚園から大学院までずっーと
一緒だって聞きましたよ。
仲良しじゃ…」
「ただの腐れ縁です。
はやく廃屋の説明をしろ。」
了さんが痺れを切らしたのを察したのか新堀さんはこれ以上の言及をやめた。
「は-い、かしこまりました。
ではお手元のデータ資料を
ご覧くださーい。」
すると直ぐに了さんの手元のノートパソコンから軽快な電子音が聞こえて、
資料が送られてきた。
私達3人はその画面を覗き込む。
そこには
真っ暗い画面に白い文字で
『えんのした様の噂』
と書いてあった。
新堀さんは元気よく挨拶すると
仮面を外した。
仮面の下にはまるでタヌキみたいな
人懐っこい笑顔。
髪型はショートでフワフワの茶髪に
ちょっと太めの眉。
チャーミングって言葉がよく似合う可愛い人だった。でも、それより気になる事がある。
そして、それは瞬時に声に出ててた。
「え、外して良いんだ!!」
そう私が驚いていると、
彼女のハツラツとした笑い声が
車内に響いた。
「あはは!それめっちゃわかります!
ダメかと思いますよね!
屋敷外で有れば
外しても良いとのことっすよ!」
新堀さんはケラケラ笑いながら
ドアを閉めて、
助手席と運転席の間から
こちらの後部座席に顔を出す。
「でもね!!屋敷内で外してると
すんごい剣幕で怒られるんすよ!
この前なんてちょっと面に
虫が入って外しただけなのに…
使用人長からビンタされましたよー
"貴女!!死にたいんですか!?"って!
あははっ!」
彼女は今まで会った使用人たちとは
全っ然、印象が違う。年も若そうで、
多分私達と同い年くらい?
なんというか、ちょっとビックリ…。
ポカンと彼女を見ていると
了さんが私の肩に触れる。
「彼女は俺が指名しました。
新人ではありますが、
他の使用人と違って辛気臭くなくて
いいでしょう?
ちょっと、うるさいですけど。」
了さんが話し終えるや否や
すぐ新堀さんが返す。
「お褒めに預かり光栄です!
若輩者ですが、
よろしくお願いいたします!」
新堀さんはシートベルトを締めると
助手席にお面を置いて、車を発進させた。
彼女はお喋りなのか
運転しながらまた話し始める。
「…にしても、
なんでお面、被るんすかねー??
家事の時もちょー不便なんす。お面。」
新堀さんが指でハンドルを叩きながら、
口を尖らせてそう言うと
禊さんが話しに入ってくる。
すごく嬉しそうにニヤニヤしながら。
「しょうがないよ…
それは…加護のなごり…
昔、使用人が屋敷内の
怪異にやられたからつけ始めたやつでね…」
嬉々とした禊さんの言葉に了さんが被せる様に話す。
多分、長話の気配を察知したんだと思う。
「今となっては、屋敷内に怪異なんていないんだから、あんなキモい風習
やめたらいいと思いますけどねぇー」
了さんが私の頭を撫で回しながら
そう言い、私の顔を軽く覗き込む。
「…」
"…怪異なんていない…"か
彼の口から
スッと出たその言葉を脳内で咀嚼する。
"贄女"は屋敷内の怪異だ…
やっぱり…知らないのかも…
私がそんな事を
真面目な顔で考えていると、
了さんの軽い声がそれを吹き飛ばす。
「あ、しかもあのオカメの髪の部分って!
昔の飯島家の人の髪なんですよー
マジでキモくないですか??」
その言葉に
禊さんがまた眼を輝かせる。
ちょっと鼻息が荒い。
どんだけ怪異の話したいの?この人。
「じっ…!
人毛なのには意味が…あるんだ…
にえ…屋敷内の怪異は
飯島の血筋を恐れるから…で…
文献によると…実にその歴史は…」
「禊。
うんちくとか要らない。」
語り始めた禊さんを
了さんは再びピシャリと制止する。
「…こっからがいいとこなのに…」
禊さんはしゅんとしてピアスを弄り始めた。
そうして、ほんの少しの静寂が訪れると
新堀さんの微笑ましい様な
笑い声がした。
「あははっ!使用人長の言ってた通り。
了様と禊様ってやっぱり
めちゃ仲良いっすよねー。」
それを聞くと、了さんと禊さんが
同時に顔を顰めて、
そして全く同時に言った。
「仲良く"ありません」
"ないよ」
ハモった…
次の瞬間にゴッと重い音がして
理不尽にも禊さんが殴られる。
まるで漫画みたいだなぁ…
禊さんはギャン!と犬みたいな悲鳴を上げ、
頭を抑える。
「新堀。そんなことより、説明していただけます?今回の廃屋について。」
了さんは振るったばかりの拳を
ハンカチで拭きながら、
ひきつった笑顔で新堀さんに聞いた。
よっぽど禊さんと仲良し呼ばわりされたのが
嫌だったらしい。
対象的に新堀さんはニカっと笑って返す。
「えーだって、了様と禊様って
幼稚園から大学院までずっーと
一緒だって聞きましたよ。
仲良しじゃ…」
「ただの腐れ縁です。
はやく廃屋の説明をしろ。」
了さんが痺れを切らしたのを察したのか新堀さんはこれ以上の言及をやめた。
「は-い、かしこまりました。
ではお手元のデータ資料を
ご覧くださーい。」
すると直ぐに了さんの手元のノートパソコンから軽快な電子音が聞こえて、
資料が送られてきた。
私達3人はその画面を覗き込む。
そこには
真っ暗い画面に白い文字で
『えんのした様の噂』
と書いてあった。
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