怪盗ダーク ―5人の怪盗、世界を欺く―

七梨

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Trap

第25話 司令塔の矜持

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 俺が自信たっぷりに言ったのを見て、皆も顔を綻ばせる。

「なんか、タカが言うと大丈夫な気がする」

「そうじゃの。司令塔がハッキリした態度だと、安心するのぅ」

「オレはその顔ムカつくけどな」

「鷲尾をギャフンと言わせヨ!」

 一人余計な事を言った奴がいたが、乗せられるな。無視だ。

「この記事の事柄……、船の出港時刻やピンクダイヤモンドの存在、府知事就任予定の田中氏のこと等、全て事実であることは確認済みだ」

「ちなみにオレが確認した」

「分かってるよまさかりさん」

「今から各々、期日までに準備してもらう事柄のメモを渡す」

 俺はまさかりさん、エリンギ、じーさんにそれぞれメモを渡す。
 3人はすぐにメモに目を通した。

「……あの、おれには?」

「おれももらってないっ!」

 けいはともかく、ひかるまで悲しそうな顔をする。

「ひかるは言った。ひたすら筋トレしておけ」

「えぇー……。いいよ。どーせおれは朝飯だけをひたすら作っとくよ」

「マーマー。すねないでヨひかる」

「エリンギに励まされてもなぁ……」

 おれはおれは?
 と、けいがしつこく問い詰めるので、渋々答える。

「……そう。一番の問題はお前なんだよ」

「えぇ? なになにっ?」

 ……問題だと言っているのに、何故目を輝かせるんだ。

「お前は縛る練習をしなければならない」

「しばる? なにを?」

「俺を」

「……ぅええっ?」

 まさかりさんが飲んでたジュースを吹き出した(流石に作戦会議中は禁酒している)。

「プッ……、んな、何ステキすぎるM発言しちゃってんの? 高英くん」

「うっさい黙ってまさかりさん。真剣なんだってば」

 俺はまさかりさんを歯牙にもかけずに続ける。

「詳しいことは後で話す。じーさんも俺が縛るからな」

「わしも?」

「あとじーさん。他人を変装させることは可能だな?」

「もちろん、元はコスプレイヤー向けにメイクしてたからのう。しかし今回は、前回よりえらい変装リストが増えるのぉ」

 じーさんに渡したメモには、変装リストが書いてある。

「船中で2回、違う人物に入れ替わることになる。出来るな」

「出来ること前提で聞いてるぜ、じーさん」

「手厳しいのぅ。まぁやってみせようじゃないか」

 じーさんがそう言うのを確認して、俺は畳から立ち上がって自分のベッドに一度上る。
 そこから見取り図を取り出し、卓袱台に広げた。

 見取り図にはダーク及びDKの行動ルートを示した線を、分かりやすく色分けして引いている。

「オォ……! さすが豪華客船だネ!」

「おっきいなー。迷わないかなぁ」

「けいはほぼ俺やじーさんと行動を共にするが、ひかるは全て単独行動だ。マップは全て頭に詰め込んでおけ」

「えぇ……、大丈夫かなあ……」

「お前は筋トレしかやる事ないんだから、死ぬ気で覚えろ」

「はい……」

 ひかるはしゅんとして肩を落とした。

「それじゃあ作戦を説明する。質問は全て後で受け付けるから、黙って聞いていろ」





 数十分の後作戦を説明し終えると、皆感嘆のため息をついた。

「まぁ前回もそうじゃが、よくここまで……」

「タカってほんとすごいよねぇ。おれも頭よくなりたいなぁ」

「今回はDK大活躍だネ。けいの役割も上手い様に出来てるシ」

「泣き真似がここで生かされるなんて……。思いもしなかった」

「なぁ高英、オレの出番前より減ってねーか!?」

 約一名(まさかりさん)、不満の声が聞こえる。

「不服か? あんたには嬉しいことだと思ったんだが」

「オレはもっと目立ちてーし、活躍したいの!」

 あぁもう、本当にこの人は面倒臭いな!
 最近はひかるの存在よりも厄介だ。

「時間帯は正午の真っ昼間だから、照明のことは必要ないからな。あんたにも仕事を与えただろう。それに事前の準備はエリンギのサポートもしてもらう。分かったか? あんたは十分活躍してんだよ」

「わっかりーましぇーん」

 ダンッ!

 俺が卓袱台を叩くと、皆驚いて息を呑んだ。
 まさかりさんが睨んでくるので、俺も鋭く睨み返してやる。

「司令塔は俺だ。お前らは、黙って司令塔の俺の言うことだけを聞いていればいい。不服があるなら俺を納得させてみろ」

「なんだその上から目線はぁ……! 年下のくせに、ちょっと頭がいいからっていい気になってんじゃ……」

 ピンポーン

 まさかりさんの言葉を遮るように玄関チャイムが鳴った。

 玄関チャイムによって言葉を遮られたまさかりさんは、一度舌打ちしてからまた続ける。

「……いい気になってんじゃねーよ」

 少し熱の冷めた言い方になってしまった。

 ピンポーン

 間髪を容れず鳴り響くチャイムに、イラッとする。

「ア……、ボクが出るヨ」

 玄関に一番近かったエリンギが立ち上がる。
 そして俺も見取り図を片付け始める。

 パワフルかもしれない。
 あいつなら有無を言わさず、ずかずかとここに立ち入るだろう。

「ハーイ」

 玄関から声が聞こえる。

「何か用ですカ?」

「あぁ、友達がここに住んでる筈なんですけど」

「ハァ……、名前ハ?」

「いやまぁなんつーか。そいつの名前思い出せなくて……はは」

「……ハイ?」

 声で分かった。優輝だ。

 アイツ、アポ無しで来やがった……。
 しかも会いに来た友人の名前(偽名)を忘れるなんて、あり得ないだろ!

「いや……、確か『たか』ってついたような。ナントカたかナントカ」

「……木谷高英くん?」

「そう! そうですそれそれ!」

 俺が大股で玄関に行くと、優輝はパァと嬉しそうな顔をした。

「タカフミ~! 久しぶりー!」

 俺は優輝の肩を掴んで玄関の外へ連れ出す。

「来い」

「はぁ? 何でだよ、あがらせろよ。光里にも会いた――」

「いいから!」

 俺と優輝がバタバタと外に出ていくのを、エリンギは唖然として見ていた。




 
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