25 / 69
Trap
第25話 司令塔の矜持
しおりを挟む俺が自信たっぷりに言ったのを見て、皆も顔を綻ばせる。
「なんか、タカが言うと大丈夫な気がする」
「そうじゃの。司令塔がハッキリした態度だと、安心するのぅ」
「オレはその顔ムカつくけどな」
「鷲尾をギャフンと言わせヨ!」
一人余計な事を言った奴がいたが、乗せられるな。無視だ。
「この記事の事柄……、船の出港時刻やピンクダイヤモンドの存在、府知事就任予定の田中氏のこと等、全て事実であることは確認済みだ」
「ちなみにオレが確認した」
「分かってるよまさかりさん」
「今から各々、期日までに準備してもらう事柄のメモを渡す」
俺はまさかりさん、エリンギ、じーさんにそれぞれメモを渡す。
3人はすぐにメモに目を通した。
「……あの、おれには?」
「おれももらってないっ!」
けいはともかく、ひかるまで悲しそうな顔をする。
「ひかるは言った。ひたすら筋トレしておけ」
「えぇー……。いいよ。どーせおれは朝飯だけをひたすら作っとくよ」
「マーマー。すねないでヨひかる」
「エリンギに励まされてもなぁ……」
おれはおれは?
と、けいがしつこく問い詰めるので、渋々答える。
「……そう。一番の問題はお前なんだよ」
「えぇ? なになにっ?」
……問題だと言っているのに、何故目を輝かせるんだ。
「お前は縛る練習をしなければならない」
「しばる? なにを?」
「俺を」
「……ぅええっ?」
まさかりさんが飲んでたジュースを吹き出した(流石に作戦会議中は禁酒している)。
「プッ……、んな、何ステキすぎるM発言しちゃってんの? 高英くん」
「うっさい黙ってまさかりさん。真剣なんだってば」
俺はまさかりさんを歯牙にもかけずに続ける。
「詳しいことは後で話す。じーさんも俺が縛るからな」
「わしも?」
「あとじーさん。他人を変装させることは可能だな?」
「もちろん、元はコスプレイヤー向けにメイクしてたからのう。しかし今回は、前回よりえらい変装リストが増えるのぉ」
じーさんに渡したメモには、変装リストが書いてある。
「船中で2回、違う人物に入れ替わることになる。出来るな」
「出来ること前提で聞いてるぜ、じーさん」
「手厳しいのぅ。まぁやってみせようじゃないか」
じーさんがそう言うのを確認して、俺は畳から立ち上がって自分のベッドに一度上る。
そこから見取り図を取り出し、卓袱台に広げた。
見取り図にはダーク及びDKの行動ルートを示した線を、分かりやすく色分けして引いている。
「オォ……! さすが豪華客船だネ!」
「おっきいなー。迷わないかなぁ」
「けいはほぼ俺やじーさんと行動を共にするが、ひかるは全て単独行動だ。マップは全て頭に詰め込んでおけ」
「えぇ……、大丈夫かなあ……」
「お前は筋トレしかやる事ないんだから、死ぬ気で覚えろ」
「はい……」
ひかるはしゅんとして肩を落とした。
「それじゃあ作戦を説明する。質問は全て後で受け付けるから、黙って聞いていろ」
◆
数十分の後作戦を説明し終えると、皆感嘆のため息をついた。
「まぁ前回もそうじゃが、よくここまで……」
「タカってほんとすごいよねぇ。おれも頭よくなりたいなぁ」
「今回はDK大活躍だネ。けいの役割も上手い様に出来てるシ」
「泣き真似がここで生かされるなんて……。思いもしなかった」
「なぁ高英、オレの出番前より減ってねーか!?」
約一名(まさかりさん)、不満の声が聞こえる。
「不服か? あんたには嬉しいことだと思ったんだが」
「オレはもっと目立ちてーし、活躍したいの!」
あぁもう、本当にこの人は面倒臭いな!
最近はひかるの存在よりも厄介だ。
「時間帯は正午の真っ昼間だから、照明のことは必要ないからな。あんたにも仕事を与えただろう。それに事前の準備はエリンギのサポートもしてもらう。分かったか? あんたは十分活躍してんだよ」
「わっかりーましぇーん」
ダンッ!
俺が卓袱台を叩くと、皆驚いて息を呑んだ。
まさかりさんが睨んでくるので、俺も鋭く睨み返してやる。
「司令塔は俺だ。お前らは、黙って司令塔の俺の言うことだけを聞いていればいい。不服があるなら俺を納得させてみろ」
「なんだその上から目線はぁ……! 年下のくせに、ちょっと頭がいいからっていい気になってんじゃ……」
ピンポーン
まさかりさんの言葉を遮るように玄関チャイムが鳴った。
玄関チャイムによって言葉を遮られたまさかりさんは、一度舌打ちしてからまた続ける。
「……いい気になってんじゃねーよ」
少し熱の冷めた言い方になってしまった。
ピンポーン
間髪を容れず鳴り響くチャイムに、イラッとする。
「ア……、ボクが出るヨ」
玄関に一番近かったエリンギが立ち上がる。
そして俺も見取り図を片付け始める。
パワフルかもしれない。
あいつなら有無を言わさず、ずかずかとここに立ち入るだろう。
「ハーイ」
玄関から声が聞こえる。
「何か用ですカ?」
「あぁ、友達がここに住んでる筈なんですけど」
「ハァ……、名前ハ?」
「いやまぁなんつーか。そいつの名前思い出せなくて……はは」
「……ハイ?」
声で分かった。優輝だ。
アイツ、アポ無しで来やがった……。
しかも会いに来た友人の名前(偽名)を忘れるなんて、あり得ないだろ!
「いや……、確か『たか』ってついたような。ナントカたかナントカ」
「……木谷高英くん?」
「そう! そうですそれそれ!」
俺が大股で玄関に行くと、優輝はパァと嬉しそうな顔をした。
「タカフミ~! 久しぶりー!」
俺は優輝の肩を掴んで玄関の外へ連れ出す。
「来い」
「はぁ? 何でだよ、あがらせろよ。光里にも会いた――」
「いいから!」
俺と優輝がバタバタと外に出ていくのを、エリンギは唖然として見ていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」
(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。
王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。
風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる