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第六話
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私の名前はファイ。
クロスがなぜこんな場所にいるのか、その理由によっては……。まぁ、クロスの話をここは大人しく聞こう。
「あぁ、ちょっとな。ハンターの仕事で赤竜と戦って、何とか勝ったんだが……」
そこまで聞いた私はピンと来ていた。
「ああ……。赤竜の最後のスカしっ屁ですか」
「………………格好悪」
「大丈夫ですよ! 初見殺しってやつです」
ああ、私も若い頃に竜狩りをしていたとき、赤竜の最後のあがきで見知らぬ場所に強制転移させられるって話を聞いたことを思い出す。
それよりも。
「ご主人様は人の身で赤竜をぶち殺したことの方が素晴らしいです!! 私のようなバイパーならまだしも、ご主人様のような華奢な方が……。ご無事で何よりです」
最後は少し涙目になってしまった私は、クロスの無事を心から喜んでいた。
だが、当のクロスは不満そうな顔をする。
「華奢じゃねぇし……」
「くくっ。引っ掛かるところはそこなんですか? ああ、なんて可愛らしいんですか!!」
「てっ、てめぇーー!! お前だってガリガリだろうがよ!! どっちかっていうとお前の方がほせぇーよ!!」
肩を上下させてそう豪語するクロスは、悪戯を思いついた子供のような表情で私の顔を見つめた。
「なら見せてやるよ! 僕の力を!!」
そう言ったクロスは、思いのほか強い力で私の腕をぐっと引いた。
「どうだ。僕の力は」
そう言って、どや顔で私を横抱きしたのだ。
今はガリガリだが、高身長の私を危なげなく抱き上げたその腕は、華奢なはずなのに力強く、びくともしなかった。
間近に見上げるクロスの顔と甘く香る首筋に私の心臓は爆発してしまいそうだった。
「まぁ、多少僕よりデカいからな。だが、お前なんて簡単に抱けるんだぜ」
どや顔でそう言うクロスが、更に顔を近づけて私の目を見つめてくるのだ。
私は、何度も唾を飲み込み、全く力のこもらない両手でクロスの胸を押し返すことしかできなかった。
「ん? お前、顔が赤いが大丈夫か?」
「だっ大丈夫です! 大丈夫ですから放してください!!」
「ふふ。そうやって僕の腕の中でもがくお前を見ると……なんか……こう……」
やばいやばい!!
なんか、変な空気になってることに私は慌てふためくも、何故か体が動かなかった。
体が動かない私は、少しでもこの空気から抜け出すため弱々しくも抵抗を続ける。
「ああ、そうかよ。これって、僕がお前のこと可愛いって感じたからか……。なぁ、いいか?」
「はい?」
「へへっ。ちゅっ」
はえ? ちょっーーーーーーー!!
今のは、そう言う返事じゃないから!
疑問形だっただろうが!!
「ちゅっ。ちゅーっ」
ナニコレ……。
唇が当たってるだけなのに……。
不味い。この空気に呑まれたら何かを失う気がする……。
抵抗しないといけないのに、私の体は乾いた大地が水を求めるかのようにクロスの行為を受け入れてしまう。
「ちゅっ。なぁ、舌入れたい」
口をくっ付けながらそう懇願された私は、余りの刺激に爆散しそうだった。
その結果、完全に意識が飛んだのは言うまでもないな。
クロスがなぜこんな場所にいるのか、その理由によっては……。まぁ、クロスの話をここは大人しく聞こう。
「あぁ、ちょっとな。ハンターの仕事で赤竜と戦って、何とか勝ったんだが……」
そこまで聞いた私はピンと来ていた。
「ああ……。赤竜の最後のスカしっ屁ですか」
「………………格好悪」
「大丈夫ですよ! 初見殺しってやつです」
ああ、私も若い頃に竜狩りをしていたとき、赤竜の最後のあがきで見知らぬ場所に強制転移させられるって話を聞いたことを思い出す。
それよりも。
「ご主人様は人の身で赤竜をぶち殺したことの方が素晴らしいです!! 私のようなバイパーならまだしも、ご主人様のような華奢な方が……。ご無事で何よりです」
最後は少し涙目になってしまった私は、クロスの無事を心から喜んでいた。
だが、当のクロスは不満そうな顔をする。
「華奢じゃねぇし……」
「くくっ。引っ掛かるところはそこなんですか? ああ、なんて可愛らしいんですか!!」
「てっ、てめぇーー!! お前だってガリガリだろうがよ!! どっちかっていうとお前の方がほせぇーよ!!」
肩を上下させてそう豪語するクロスは、悪戯を思いついた子供のような表情で私の顔を見つめた。
「なら見せてやるよ! 僕の力を!!」
そう言ったクロスは、思いのほか強い力で私の腕をぐっと引いた。
「どうだ。僕の力は」
そう言って、どや顔で私を横抱きしたのだ。
今はガリガリだが、高身長の私を危なげなく抱き上げたその腕は、華奢なはずなのに力強く、びくともしなかった。
間近に見上げるクロスの顔と甘く香る首筋に私の心臓は爆発してしまいそうだった。
「まぁ、多少僕よりデカいからな。だが、お前なんて簡単に抱けるんだぜ」
どや顔でそう言うクロスが、更に顔を近づけて私の目を見つめてくるのだ。
私は、何度も唾を飲み込み、全く力のこもらない両手でクロスの胸を押し返すことしかできなかった。
「ん? お前、顔が赤いが大丈夫か?」
「だっ大丈夫です! 大丈夫ですから放してください!!」
「ふふ。そうやって僕の腕の中でもがくお前を見ると……なんか……こう……」
やばいやばい!!
なんか、変な空気になってることに私は慌てふためくも、何故か体が動かなかった。
体が動かない私は、少しでもこの空気から抜け出すため弱々しくも抵抗を続ける。
「ああ、そうかよ。これって、僕がお前のこと可愛いって感じたからか……。なぁ、いいか?」
「はい?」
「へへっ。ちゅっ」
はえ? ちょっーーーーーーー!!
今のは、そう言う返事じゃないから!
疑問形だっただろうが!!
「ちゅっ。ちゅーっ」
ナニコレ……。
唇が当たってるだけなのに……。
不味い。この空気に呑まれたら何かを失う気がする……。
抵抗しないといけないのに、私の体は乾いた大地が水を求めるかのようにクロスの行為を受け入れてしまう。
「ちゅっ。なぁ、舌入れたい」
口をくっ付けながらそう懇願された私は、余りの刺激に爆散しそうだった。
その結果、完全に意識が飛んだのは言うまでもないな。
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