私の番がスパダリだった件について惚気てもいいですか?

バナナマヨネーズ

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第七話

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 私の名前はファイ。
 番からの口づけで心臓が爆発寸前で意識を飛ばしたバイパーだ……。
 
 意識を飛ばしていたのは一瞬だったようで、横目に見た窓の外の景色は昼間の景色だった。
 だがしかしだ。
 どうして私はいまだにクロスの腕の中なんだよ!!
 ああ、いい匂い。
 っは!! いかんいかん。
 
「ご主人様……。そろそろ放してくださいませんか……」

「おっ、意識が戻ったな。んじゃ、舌入れていいか?」

「は……っ!! あぶな……っ。駄目です! 駄目に決まってます!!」

「…………入れたい。お前は舌の根も乾かないうちに僕に嘘を吐くのかよ」

「………………」

「僕の願いを叶えてくれるんだろう?」

 そう言ったクロスは、色気を感じさせる笑みを浮かべる。
 ぐっ、本当は何でも言うことを聞いてやりたいのは山々だが、お前の命に係わるお願いは却下なんだよ!!
 
 バイパーの本能は厄介なんだよ!
 私は今までそういった行為を一切してこなかったから免疫がない……。
 つまり、そういうことになったら主従契約があったとしてもクロスが危なくなる可能性がある。
 そんなの無理だ。無理に決まっている。
 
 バイパーの捕食行為は双方の性欲を刺激するんだとか。
 相手を気持ちよくしている間に血を吸ってしまう。
 それで、バイパーも吸った血の所為で気持ち良くなっちまうらしい。
 
 今まで他人の血なんて汚くて触るのすら嫌だと思っていた……。
 それなのに、目の前のクロスの血はどうしようもなく美味しそうで堪らない。
 あの健康そうな肌に歯を立てて、その体に流れる血を思う存分飲み干してしまいたい……。
 無意識にゴクリと喉を鳴らした私に気が付いたんだろう。
 クロスは私を誘惑する。
 
「なぁ、お前だった興味あるだろう?」

 そう言ってクロスは、見せつけるように舌を出すのだ。
 どうしようもなく視界が揺れるのを止められない。
 番なうえに一目惚だ……。
 ああ、私の意志はどうしてこんなに弱いんだ……。
 
「ほら、ファイ」

 優しく名を呼ばれればどうしようもなかった。
 緩んだ口元を見たクロスは、ニヤリとした表情になる。
 それを合図にクロスは緩んだ私の口内に侵入してきたのだ。
 温かくて柔らかい舌に口内を優しく蹂躙される。
 抵抗なんて頭にない私の舌を美味しそうにしゃぶるクロスの舌に翻弄される。
 お互いの混ざり合った唾液を嚥下し、息継ぎの合間に喘ぐように口を開けると、待っていたとばかりにクロスの舌が深く侵入してくる。
 
「あっ……。んっ……」

「可愛いな。んっ。ちゅっ」

「んっ、はぁっ」

 堪らない。唾液が甘く感じることが不思議でならない。
 お互いの境界線が無くなってしまうかと思うほどのキスを交わす。
 キスに夢中になっているが、それと同時にどうしようもないほどの喉の渇きが私を襲う。
 無防備な舌を噛んで、その血を啜りたい。
 ああ、喰いたい……。
 
 そんな考えが頭をよぎった時だった。
 太腿に何か硬いものが……。何だコレ?
 
 クロスと激しい口づけをしつつも、身を捩ると、太ももに感じていた硬さがさらに増した気がした。
 私の太腿の下は……。
 そこで私はそれが何なのかに思い至る。
 
「んっ!! ちん……、あっん!!」

「ちゅっ!! 悪い。ファイトのキスが良すぎて勃った」

「たっ……勃った?」

 何を言われたのか分からない私は本気で首を傾げていた。
 それを見たクロスはニヤニヤとした表情になると、それまで膝に乗せていた私をソファーに降ろした。
 そして、指先で何かを指した。
 私はその指先を追って視線を下に向けると、そこには先ほどは無かったはずの不自然な盛り上がりがあったのだ。
 
「これは……、立派に勃ってますね……」

 なんで? キスは気持ちよかった。
 だが、股間のそれがそそり勃つ理由が分からない。
 いや、唾液か? 私の唾液でそういう感じになったというのか?
 私は知識はあるが実際のバイパーの捕食行為について詳しくなかった。
 今までフェロモンか何かで相手を気持ちよくさせるのかと思っていたが、唾液だったのか?
 誰か教えてくれ、バイパーの捕食行為の実態を!!
 
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