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第八話
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私の名前はファイ。
駄目バイパーだ……。
バイパーなのに、バイパーのことを何も知らない……。
これは私が悪い。
バイパーは数が少ない。
その分、バイパーのコミュニティがあり、そこで色々なことを学ぶらしい。
昔の私は他人の血が汚いもので絶対に飲むなんてありえないと考えていた。
他人の血を飲むバイパーを嫌悪していたんだ。
だから、コミュニティの存在は知っていてもそれに関わろうとはしなかった……。
過去の私のバカ……。
過去の自分を呪ってもどうしようもない。
今は、クロスの股間をどうにかして、この何とも言えない空気を変えなくてはな。
だが、どうしたら元に戻るんだこれ?
じっと股間のモノを見つめて、過去に呼んだ書物を思い返す。
「ちょっ、そんな真面目な顔で見つめすぎなんだが。はぁ、僕が悪かった……。もう少し手順を踏むべきだったよ」
そう言ったクロスは私の額にキスをした後立ち上がり応接室を出て行ってしまう。
数分後、すっきりした表情で戻ってきたクロスは私の目を見て宣言する。
「ファイ。お前のこと好きになった。必ず落とすから覚悟しろな」
「えっ?」
「ははっ。まん丸な目ぇして、本当にかわいいな。初めて見た時、お前が欲しいって思ったのは勘違いじゃなかったみたいだ。悪いが僕には時間がないから、覚悟してくれよな」
そう言って、クロスは私の唇にキスをした。
普段の私だったら色々と気がつけたはずなのに、この時の私にはそんな余裕などなく、この見過ごしを悔いることになる。
それから数週間。
クロスとの甘すぎる生活が続いていた。
クロスが現在十九歳ということは私の寿命は六年。
六年間クロスとの甘い生活を守り切ることが出来れば、クロスを私から守り抜くことが出来るのだ。
しかし、私の何がいいのか、クロスは私を事あるごとに誘惑してくるのだ。
クロスのために食料を調達し、共に食事をするようになってから、少しずつ以前の体つきを取り戻していた。
筋肉量はそこまで戻らないが、ガリガリの体からそれなりの体つきにはなっただろう。
クロスは私の作る食事を美味しいと言って、残さずに食べてくれる。
それが嬉しくて、過去の自分の趣味に感謝した。
自分で食べる気もないが料理に没頭した時期があったのだ。
もちろん作った料理はきちんと食べたさ。
自分では美味しいとも不味いとも感じられなかったがな。
だが今は、喉はからからに乾いているが、生まれて初めて食い物の味を感じていた。
これが恋の力だとでもいうかのように、クロスは私に色々な感情を与えてくれた。
嬉しい、寂しい、腹立たしい、悲しい……。
共に暮らすようになってクロスのことを少しずつ知っていく。
細いわりに大食いなところが好き。
繊細に見えて大雑把なところが好き。
豪快な笑い方が好き。
寂しがり屋なところが好き。
綺麗好きなところが好き。
私に触れる指先が好き。
毎日好きが増えてしまう。
ああ、クロスを残して死ぬのは嫌だな……。
いつしかそんなことを考えてしまう私がいた。
だが、クロスの誘惑を受けると弱い私がそれを許さない。
「ファイ。おいで」
そう言ってクロスは私を手招いた。
クロスの僕になってからの日課だ。
夕食後、風呂に入る前の短い時間だ。
ソファーに座るクロスに呼ばれた私は、慣れた様でクロスの足の間に座る。
後ろから抱きしめながらクロスは私の匂いを嗅ぐのだ。
「ファイの匂い。好きだな。安心するし、興奮する」
「そうですか……」
「ああ。こうしてると生きてるって実感できるし、長生きできそうな気もする」
「何ですかそれ?」
「ははっ!」
楽しそうな笑い声に私が表情を緩めていると、体の向きを変えられる。
クロスの膝を跨ぐような格好に体勢を変えられた私の唇にクロスの唇が触れた。
触れるだけの物から次第に激しい物へと変わっていく。
どちらのものか分からない唾液を飲み込み、雄の顔になっているクロスのお願いを今日も却下する。
「なぁ、そろそろ次に進みたいんだけど……」
「進まないです」
「でもさぁ」
「次に進みたいというのでしたら、その理由を教えてください」
「それは何度も言っている。ファイが好きだからだ」
「ですから、私のどこがいいんです? 顔はいいと自負していますがそれだけですよ?」
「全部だよ!! 一目惚れだと何度僕に言わせる気だ!!」
クロスの顔は真っ赤で、一目惚れは本当なのだろうと思えた。
だが、キス以上の行為に進んで万が一と言うこともある。
だから、それ以上は弱い私が許さないし、許せない。
「ありがとうございます。私だってご主人様のことが大好きです」
「なら!」
「それとこれとは別です。私は、ご主人様が大切だからこれ以上には進みたくないんです」
「…………なぁ、お前は僕がいなくなったらどうする? 僕を追いかけてくれるか?」
「えっ? 私はご主人様の僕ですよ? 逃がすわけないじゃないですか?」
「そう……か。うん。ありがとな」
そう言ったクロスは、最後に軽くキスをした後に風呂に向かった。
何故かその後ろ姿に不安を感じてしまった。
クロスが消えてしまうような、そんな言いようのない不安が私の身を揺さぶったのだ。
駄目バイパーだ……。
バイパーなのに、バイパーのことを何も知らない……。
これは私が悪い。
バイパーは数が少ない。
その分、バイパーのコミュニティがあり、そこで色々なことを学ぶらしい。
昔の私は他人の血が汚いもので絶対に飲むなんてありえないと考えていた。
他人の血を飲むバイパーを嫌悪していたんだ。
だから、コミュニティの存在は知っていてもそれに関わろうとはしなかった……。
過去の私のバカ……。
過去の自分を呪ってもどうしようもない。
今は、クロスの股間をどうにかして、この何とも言えない空気を変えなくてはな。
だが、どうしたら元に戻るんだこれ?
じっと股間のモノを見つめて、過去に呼んだ書物を思い返す。
「ちょっ、そんな真面目な顔で見つめすぎなんだが。はぁ、僕が悪かった……。もう少し手順を踏むべきだったよ」
そう言ったクロスは私の額にキスをした後立ち上がり応接室を出て行ってしまう。
数分後、すっきりした表情で戻ってきたクロスは私の目を見て宣言する。
「ファイ。お前のこと好きになった。必ず落とすから覚悟しろな」
「えっ?」
「ははっ。まん丸な目ぇして、本当にかわいいな。初めて見た時、お前が欲しいって思ったのは勘違いじゃなかったみたいだ。悪いが僕には時間がないから、覚悟してくれよな」
そう言って、クロスは私の唇にキスをした。
普段の私だったら色々と気がつけたはずなのに、この時の私にはそんな余裕などなく、この見過ごしを悔いることになる。
それから数週間。
クロスとの甘すぎる生活が続いていた。
クロスが現在十九歳ということは私の寿命は六年。
六年間クロスとの甘い生活を守り切ることが出来れば、クロスを私から守り抜くことが出来るのだ。
しかし、私の何がいいのか、クロスは私を事あるごとに誘惑してくるのだ。
クロスのために食料を調達し、共に食事をするようになってから、少しずつ以前の体つきを取り戻していた。
筋肉量はそこまで戻らないが、ガリガリの体からそれなりの体つきにはなっただろう。
クロスは私の作る食事を美味しいと言って、残さずに食べてくれる。
それが嬉しくて、過去の自分の趣味に感謝した。
自分で食べる気もないが料理に没頭した時期があったのだ。
もちろん作った料理はきちんと食べたさ。
自分では美味しいとも不味いとも感じられなかったがな。
だが今は、喉はからからに乾いているが、生まれて初めて食い物の味を感じていた。
これが恋の力だとでもいうかのように、クロスは私に色々な感情を与えてくれた。
嬉しい、寂しい、腹立たしい、悲しい……。
共に暮らすようになってクロスのことを少しずつ知っていく。
細いわりに大食いなところが好き。
繊細に見えて大雑把なところが好き。
豪快な笑い方が好き。
寂しがり屋なところが好き。
綺麗好きなところが好き。
私に触れる指先が好き。
毎日好きが増えてしまう。
ああ、クロスを残して死ぬのは嫌だな……。
いつしかそんなことを考えてしまう私がいた。
だが、クロスの誘惑を受けると弱い私がそれを許さない。
「ファイ。おいで」
そう言ってクロスは私を手招いた。
クロスの僕になってからの日課だ。
夕食後、風呂に入る前の短い時間だ。
ソファーに座るクロスに呼ばれた私は、慣れた様でクロスの足の間に座る。
後ろから抱きしめながらクロスは私の匂いを嗅ぐのだ。
「ファイの匂い。好きだな。安心するし、興奮する」
「そうですか……」
「ああ。こうしてると生きてるって実感できるし、長生きできそうな気もする」
「何ですかそれ?」
「ははっ!」
楽しそうな笑い声に私が表情を緩めていると、体の向きを変えられる。
クロスの膝を跨ぐような格好に体勢を変えられた私の唇にクロスの唇が触れた。
触れるだけの物から次第に激しい物へと変わっていく。
どちらのものか分からない唾液を飲み込み、雄の顔になっているクロスのお願いを今日も却下する。
「なぁ、そろそろ次に進みたいんだけど……」
「進まないです」
「でもさぁ」
「次に進みたいというのでしたら、その理由を教えてください」
「それは何度も言っている。ファイが好きだからだ」
「ですから、私のどこがいいんです? 顔はいいと自負していますがそれだけですよ?」
「全部だよ!! 一目惚れだと何度僕に言わせる気だ!!」
クロスの顔は真っ赤で、一目惚れは本当なのだろうと思えた。
だが、キス以上の行為に進んで万が一と言うこともある。
だから、それ以上は弱い私が許さないし、許せない。
「ありがとうございます。私だってご主人様のことが大好きです」
「なら!」
「それとこれとは別です。私は、ご主人様が大切だからこれ以上には進みたくないんです」
「…………なぁ、お前は僕がいなくなったらどうする? 僕を追いかけてくれるか?」
「えっ? 私はご主人様の僕ですよ? 逃がすわけないじゃないですか?」
「そう……か。うん。ありがとな」
そう言ったクロスは、最後に軽くキスをした後に風呂に向かった。
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クロスが消えてしまうような、そんな言いようのない不安が私の身を揺さぶったのだ。
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