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第十話
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「どうか、貴方様の僕にしてください。ご主人様!!」
私の名前はファイ。
番であるクロスのリミットを外すため、命を全て譲渡したため死んだはずなのに……。
だというのに、これはどういう状況なんだろうか?
意識が暗転したと思った次の瞬間。
私は、初めてクロスと出会った日に発したセリフを口走っていたのだ。
いつかのように床に這いつくばり、額を床に擦り付ける姿勢のままで私は混乱していた。
考えられることは二つ。
一つは、今までのことが長い夢だった。
二つ目は、時間が巻き戻った。
うん。理由は分からないが時間を巻き戻ったという方があり得そうな気がする。
今までもあの時間が夢だったとは思えないからだ。
クロスの匂い、感触……。
あれが全部夢なはずがないんだ。
意識を失う前、クロスはなんと言った?
たしか……。
あれ? 思い出せない。
ついさっきのことなのに、何も思い出せない……。
とりあえずだ。
今はクロスと改めて主従契約を結んで彼を私の魔の手から守ることが最優先だ。
「この私と主従契約を結んでください。何からもご主人様をお守りすることを誓わせてください!!」
前回と同様に迷う隙を与えることなく主従契約を結んでしまおうと、私は前と同じ言葉を口にしていた。
「主従契約……?」
あれ?
「はい。私を貴方様の僕にして頂きたいのです!!」
「う~ん」
あれ? 何かおかしい……。
「主従契約ってちょっとピンとこないな……」
そう言ったクロスは、しゃがみ込んで私の顎をすくい、視線を合わせたのだ。
綺麗な紫色の瞳と視線が合うと、どことなく恥ずかしさが込み上げる。
私のすべてを見透かすような、そんな視線に耐えられなくなった私は、逃げるように視線を逸らしてしまう。
「逃げるな。僕の目を見ろよ」
強い言葉だった。だけど、懇願するような、そんな響きを含んでいるように感じて、私は視線を戻した。
綺麗な目だと、そう思った。
ぼんやりとそんなことを思っていると、クロスの顔が近づき、唇が触れるほどの近さで止まる。
「僕はクロスだ。ハンターをしている。とある理由で、この屋敷の近くに飛ばされてきた。この屋敷が目についた時、ここが気になってな」
「あ……、ああ」
「勝手に入らせてもらった。悪いな。だが、心が惹かれた理由はすぐに分かったよ」
「…………」
「ここにはお前がいた。一目見てお前が欲しいと、そう感じた。一目惚れだと思う」
「…………」
前回の出来事と全く違う展開に私は戸惑うが、クロスの瞳の色、匂い、全てが同じだった。
「お前の名は?」
「私は……。私の名前はファイ」
「ファイ……。ファイだな」
そう言って微笑む表情は前と変わらない。
夢でも時間の巻き戻りでも、どちらでもよかった。
こうしてまた、クロスと同じ時間を過ごせる、それだけが重要だった。
だが……。おかしい……。
クロスはどうしてここまで積極的なんだ?
私は分かる。 クロスとの思い出があるからな。
だが、クロスとは初対面のはずなんだが?
「主従ではなくて、僕はファイと恋人同士になりたいんだけど?」
熱を帯びた紫色の瞳で見つめられた私は、胸が高鳴ってしまう。
だが、ここで折れるわけにはいかない。バイパーの本能に負けてクロスを失いかねない。
いや……。
待ってくれ。
私は何かをしくじって今の時間に戻ってきたとしたら……。
私は何を間違ったんだ?
番契約の仕方か?
それとも主従契約に何か不備があったのか?
クロスはあの時なんと言ったんだ?
私の名前はファイ。
番であるクロスのリミットを外すため、命を全て譲渡したため死んだはずなのに……。
だというのに、これはどういう状況なんだろうか?
意識が暗転したと思った次の瞬間。
私は、初めてクロスと出会った日に発したセリフを口走っていたのだ。
いつかのように床に這いつくばり、額を床に擦り付ける姿勢のままで私は混乱していた。
考えられることは二つ。
一つは、今までのことが長い夢だった。
二つ目は、時間が巻き戻った。
うん。理由は分からないが時間を巻き戻ったという方があり得そうな気がする。
今までもあの時間が夢だったとは思えないからだ。
クロスの匂い、感触……。
あれが全部夢なはずがないんだ。
意識を失う前、クロスはなんと言った?
たしか……。
あれ? 思い出せない。
ついさっきのことなのに、何も思い出せない……。
とりあえずだ。
今はクロスと改めて主従契約を結んで彼を私の魔の手から守ることが最優先だ。
「この私と主従契約を結んでください。何からもご主人様をお守りすることを誓わせてください!!」
前回と同様に迷う隙を与えることなく主従契約を結んでしまおうと、私は前と同じ言葉を口にしていた。
「主従契約……?」
あれ?
「はい。私を貴方様の僕にして頂きたいのです!!」
「う~ん」
あれ? 何かおかしい……。
「主従契約ってちょっとピンとこないな……」
そう言ったクロスは、しゃがみ込んで私の顎をすくい、視線を合わせたのだ。
綺麗な紫色の瞳と視線が合うと、どことなく恥ずかしさが込み上げる。
私のすべてを見透かすような、そんな視線に耐えられなくなった私は、逃げるように視線を逸らしてしまう。
「逃げるな。僕の目を見ろよ」
強い言葉だった。だけど、懇願するような、そんな響きを含んでいるように感じて、私は視線を戻した。
綺麗な目だと、そう思った。
ぼんやりとそんなことを思っていると、クロスの顔が近づき、唇が触れるほどの近さで止まる。
「僕はクロスだ。ハンターをしている。とある理由で、この屋敷の近くに飛ばされてきた。この屋敷が目についた時、ここが気になってな」
「あ……、ああ」
「勝手に入らせてもらった。悪いな。だが、心が惹かれた理由はすぐに分かったよ」
「…………」
「ここにはお前がいた。一目見てお前が欲しいと、そう感じた。一目惚れだと思う」
「…………」
前回の出来事と全く違う展開に私は戸惑うが、クロスの瞳の色、匂い、全てが同じだった。
「お前の名は?」
「私は……。私の名前はファイ」
「ファイ……。ファイだな」
そう言って微笑む表情は前と変わらない。
夢でも時間の巻き戻りでも、どちらでもよかった。
こうしてまた、クロスと同じ時間を過ごせる、それだけが重要だった。
だが……。おかしい……。
クロスはどうしてここまで積極的なんだ?
私は分かる。 クロスとの思い出があるからな。
だが、クロスとは初対面のはずなんだが?
「主従ではなくて、僕はファイと恋人同士になりたいんだけど?」
熱を帯びた紫色の瞳で見つめられた私は、胸が高鳴ってしまう。
だが、ここで折れるわけにはいかない。バイパーの本能に負けてクロスを失いかねない。
いや……。
待ってくれ。
私は何かをしくじって今の時間に戻ってきたとしたら……。
私は何を間違ったんだ?
番契約の仕方か?
それとも主従契約に何か不備があったのか?
クロスはあの時なんと言ったんだ?
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