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第三話 冷酷将軍
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翌日、クロケット男爵家に沢山の荷物が届いていた。
現在、節約と称して使用人を雇っていないクロケット男爵家では、リリルとクロムウェルがその荷物の整理にあたっていた。
そして、荷物を届けに来た男が持ってきた手紙に書かれていたことを思い出してリリルは、盛大なため息を吐いていたのだ。
「はぁ。昨日のアレは夢ではなかったのですね……」
ため息を吐くリリルの手にあった手紙は、とても簡潔な内容だった。
『リリル・クロケット令嬢へ
受け取ってくれ
フェデュイ・シュタット』
昨日、リリルに婚約を通り越して結婚を申し込んできた男からの物だった。
クロムウェルは、リリルを見て心配そうに言ったのだ。
「リリル? 嫌だったら、嫌だと断ってもいいんだよ。たとえ相手が、あの方でも」
リリルは、クロムウェルから説明された男の身分を思い出して首を振っていた。
相手の男は、フェデュイ・シュタット侯爵。この国の将軍職に就いている人で、公爵家の次期当主と目されている男だった。
その武勇は他国にまで聞こえるほどだという。何よりもその冷酷無慈悲な男の恐ろしい逸話は、実しやかに囁かれていた。
例えば、命乞いをする敵国の兵士を何の感情のなく切り捨てたとか、逆らった部下を無情にも切り捨てたとか。
そんな感情を見せない冷酷なフェデュイを恐れた者たちは口々にこう呼んだのだ。
冷酷将軍と。
そんなフェデュイは現在、侯爵の身分ではあるが、いづれは公爵家を継ぐという、クロケット男爵家とは身分差が天と地ほども離れた相手だった。
そんな相手が、獣と忌み嫌われている自分を何故? とリリルは頭が痛くなっていた。
リリルは、荷物を受け取るべきか返すべきか悩んだ結果、とりあえず開けずに預かるという結論に至った。
そのうちフェデュイが正気を取り戻した時に、贈ったものを返してといってくるかもしれないと考えた結果の結論だった。
とりあえず、荷物を使っていない部屋に移動させたリリルは、何も見なかったことにして洗濯に取り掛かった。
洗濯物を干した後に、庭で育てている野菜の世話をして、いくつかを収穫していく。
そのあとは、家の掃除と痛んでいる場所の修繕作業を進める。
その間に、クロムウェルと男爵が必要書類に目を通して、それが終わったら夕食のために狩に出掛けて行った。
リリルは、狩が上手くいけば今日も肉が食べられるとにこにこしながら、夕食の準備に取り掛かっていた。
夕暮れ時、クロムウェルと男爵が重い足取りで屋敷に帰ってきた。
「おかえりなさい」
笑顔で二人を迎えたリリルは、どんよりとした表情のクロムウェルと男爵を見て、笑顔を見せていた。
「今日は、お庭で採れたジャガイモ料理だよ。とっても美味しくできたから温かいうちに食べよう」
狩りに失敗して落ち込む二人を励ますようにそう言ったリリルを見たクロムウェルと男爵は、リリルを思わずといった様子で抱きしめていた。
「リリル~。明日は、明日こそは肉を食べさせてあげるからね」
「すまん。不甲斐ない父で……。明日こそ、狩りを成功させるかなら」
「大丈夫です。お肉は昨日いっぱい食べたので。それに、私、お野菜も大好きだから!」
「「リリル~」」
二人を気遣う優しいリリルの言葉に感動したクロムウェルと男爵は、リリルに抱き着きその柔らかくもちもちのほっぺに頬擦りをしていた。
いつものやり取りに、リリルも尻尾を揺らして笑い声を上げていた。
こうして、いつものありふれた日常に触れることで、届けられて荷物について忘れることに成功したリリルだったが、このことを後悔する日はすぐそこまで迫っていた。
数日後、鬼のような形相のフェデュイが屋敷に乗り込んでくることになるとは、夢にも思っていなかったのだ。
現在、節約と称して使用人を雇っていないクロケット男爵家では、リリルとクロムウェルがその荷物の整理にあたっていた。
そして、荷物を届けに来た男が持ってきた手紙に書かれていたことを思い出してリリルは、盛大なため息を吐いていたのだ。
「はぁ。昨日のアレは夢ではなかったのですね……」
ため息を吐くリリルの手にあった手紙は、とても簡潔な内容だった。
『リリル・クロケット令嬢へ
受け取ってくれ
フェデュイ・シュタット』
昨日、リリルに婚約を通り越して結婚を申し込んできた男からの物だった。
クロムウェルは、リリルを見て心配そうに言ったのだ。
「リリル? 嫌だったら、嫌だと断ってもいいんだよ。たとえ相手が、あの方でも」
リリルは、クロムウェルから説明された男の身分を思い出して首を振っていた。
相手の男は、フェデュイ・シュタット侯爵。この国の将軍職に就いている人で、公爵家の次期当主と目されている男だった。
その武勇は他国にまで聞こえるほどだという。何よりもその冷酷無慈悲な男の恐ろしい逸話は、実しやかに囁かれていた。
例えば、命乞いをする敵国の兵士を何の感情のなく切り捨てたとか、逆らった部下を無情にも切り捨てたとか。
そんな感情を見せない冷酷なフェデュイを恐れた者たちは口々にこう呼んだのだ。
冷酷将軍と。
そんなフェデュイは現在、侯爵の身分ではあるが、いづれは公爵家を継ぐという、クロケット男爵家とは身分差が天と地ほども離れた相手だった。
そんな相手が、獣と忌み嫌われている自分を何故? とリリルは頭が痛くなっていた。
リリルは、荷物を受け取るべきか返すべきか悩んだ結果、とりあえず開けずに預かるという結論に至った。
そのうちフェデュイが正気を取り戻した時に、贈ったものを返してといってくるかもしれないと考えた結果の結論だった。
とりあえず、荷物を使っていない部屋に移動させたリリルは、何も見なかったことにして洗濯に取り掛かった。
洗濯物を干した後に、庭で育てている野菜の世話をして、いくつかを収穫していく。
そのあとは、家の掃除と痛んでいる場所の修繕作業を進める。
その間に、クロムウェルと男爵が必要書類に目を通して、それが終わったら夕食のために狩に出掛けて行った。
リリルは、狩が上手くいけば今日も肉が食べられるとにこにこしながら、夕食の準備に取り掛かっていた。
夕暮れ時、クロムウェルと男爵が重い足取りで屋敷に帰ってきた。
「おかえりなさい」
笑顔で二人を迎えたリリルは、どんよりとした表情のクロムウェルと男爵を見て、笑顔を見せていた。
「今日は、お庭で採れたジャガイモ料理だよ。とっても美味しくできたから温かいうちに食べよう」
狩りに失敗して落ち込む二人を励ますようにそう言ったリリルを見たクロムウェルと男爵は、リリルを思わずといった様子で抱きしめていた。
「リリル~。明日は、明日こそは肉を食べさせてあげるからね」
「すまん。不甲斐ない父で……。明日こそ、狩りを成功させるかなら」
「大丈夫です。お肉は昨日いっぱい食べたので。それに、私、お野菜も大好きだから!」
「「リリル~」」
二人を気遣う優しいリリルの言葉に感動したクロムウェルと男爵は、リリルに抱き着きその柔らかくもちもちのほっぺに頬擦りをしていた。
いつものやり取りに、リリルも尻尾を揺らして笑い声を上げていた。
こうして、いつものありふれた日常に触れることで、届けられて荷物について忘れることに成功したリリルだったが、このことを後悔する日はすぐそこまで迫っていた。
数日後、鬼のような形相のフェデュイが屋敷に乗り込んでくることになるとは、夢にも思っていなかったのだ。
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