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本編
第五章 欠陥姫と暗殺者(2)
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実はシューニャは、こっそり観察する過程で、ミリアリアとセイラの音による会話方法について、学習していたのだ。
ミリアリアの簡単な問いかけは分かるようになっていたため、会話が可能となっていたのだ。
しかし、長文などを汲み取るには至らなかったため、基本的にシューニャが話して、ミリアリアが聞き役となっていた。
ある時、ミリアリアはずっと気になっていたことをシューニャに尋ねていた。
(ねぇ。もしかして、前にわたしを助けてくれたのはシューニャなの?)
そう言って、鈴を鳴らして小さく首を傾げたミリアリアを見たシューニャは、驚きの表情をした後に気まずそうにしながらも言ったのだ。
「あぁぁ……。耳のいいお姫様には分かっちゃったか……。うん。あの時、お姫様が服を裂かれたときに割って入ったのは俺だよ……」
そう言ったシューニャは、ミリアリアには見えていなかったが、眉をひそめて言ったのだ。
「ミドガルズ王国の王女がやりすぎだったからさ、黙ってみてられなくて。ついつい口を挟んじまったんだよ。あのめちゃくちゃな王女さんの所為で俺まで鞭打ちされて散々だったよ。まぁそんなことはどうでもいいんだよ」
最後の方は小声で文句を言っていたシューニャだったが、一度口を噤んだ後に縋るようなまなざしでミリアリアに言ったのだ。
「なぁ、聞いてくれるか? 俺の話……。で、覚えていて欲しいんだ。俺という人間がいたことを」
そう言った後、シューニャは自分の生い立ちをミリアリアに語って聞かせたのだった。
「俺は、ミンズ王国の孤児として生まれたんだ。小さい頃に、教会に捨てられてたんだって。そんで、小さい頃は貧しいながらも、神父様やシスター、同じように教会に拾われたっていう兄弟たちと結構楽しく暮らしてたんだ。でも、俺の住んでいた領地で飢饉があったんだ。神父様は俺たちに食わせるために頑張ってくれたんだけど、みんな飢えで次々に死んでいったよ。それで、俺って、小さい頃から姿はみすぼらしかったけど綺麗な見た目してたから、自分を売って教会を助けようとしたんだよね。で、売られた先が闇組織で、よくある話かもだけど暗殺者として仕込まれたんだよね。で、そんなある日だよ。帝国にうちの国の王女さんが花嫁名目で人質になることが決まったのは。それで、王女さんを可愛がっている王様がさ、身代わりを考えたんだよね。それと、気にくわない皇帝を暗殺しようともね。そこで、闇組織で見目のいい俺に白羽の矢が立ったって訳」
そこまで話したシューニャは、首にはまっているチョーカーを一撫でした後に続けて言ったのだ。
「うちの王様さ、ぶっちゃけ家臣のいいなりでさぁ。頭の悪い家臣の提案を呑んじゃった訳よ。で、美少年な俺を着飾らせて、王女に仕立てた訳。でも、俺は、王様たちに信用されてなかったから首輪を付けられちゃったのよ。笑えることに、無理に外すそうとすると首輪に仕込まれた毒が回るんだよね。かと言って、逃げることもできない。なんたって、二年以内に国に戻って中和剤を呑まないと死んじゃうんだ。この首輪、毎日微量の毒が体内に回るようになってるらしくてさ……。笑っちゃうよ。皇帝を射止めて、油断したところを暗殺ってさ……。計画がお粗末なんだよ。仮に皇帝を殺したとして、ミンズ王国から送られてきた人間がやったら、ミンズ王国は帝国に滅ぼされるってのに……」
そこまで一気に話したシューニャを気遣うように、ミリアリアは、シューニャに手を伸ばしていた。
それに気が付いたシューニャは、薄く笑って軽い口調で言ったのだ。
「まぁ、結局さ。家臣に嫁されることになったんだけどね。でも、死にたくないって思った俺はさ、子爵家に向かう旅の途中で、悪天候の中無理に馬車を走らせて事故を起こさせたんだよ。運よく馬車は崖から落ちてさ、俺は自分の死を偽装することに大成功! で、急いで王宮に戻ってきた俺は、皇帝の弱点を見つけて、それを餌に皇帝を始末しようとしたんだよね。でも、結局折角見つけた皇帝の弱点に危害を加えることもできずに今に至るって訳。ごめんな、長々と……」
話を聞き終わったミリアリアは、そっと手を伸ばしシューニャが逃げられない原因になっているチョーカーに手を伸ばしていた。
細く細工の施された首輪は、一見お洒落なチョーカーに見えたが、その実毒が仕込まれた忌まわしい物だったのだ。
ミリアリアは、その細い首輪を指で撫でた後に、何かを思い出すように首を傾げていたのだ。
そして、昔読んだ本の内容を思い出していたのだ。
それは、古代文字で綴られた禁書に書かれていた物で、奴隷に嵌める隷属の首輪の内容に酷似していたのだ。
無理に外そうとすれば毒が回り、定期的に中和剤を呑まないと仕込まれた微量の毒によって中毒を起こして死に至るというものだ。
幼い時、偶然それを読んだミリアリアは、恐ろしさに身を震わせたのを思い出したのだ。
それと同時に、首輪が開発されたよりも後の時代に、奴隷を廃止する運動の中、隷属の首輪の対抗策が講じられたのだ。
それを思い出したミリアリアは、シューニャに言ったのだ。
(太陽石と月の石、ガラスの小瓶……、それといくつかの薬草を持ってきて欲しいの)
ミリアリアの簡単な問いかけは分かるようになっていたため、会話が可能となっていたのだ。
しかし、長文などを汲み取るには至らなかったため、基本的にシューニャが話して、ミリアリアが聞き役となっていた。
ある時、ミリアリアはずっと気になっていたことをシューニャに尋ねていた。
(ねぇ。もしかして、前にわたしを助けてくれたのはシューニャなの?)
そう言って、鈴を鳴らして小さく首を傾げたミリアリアを見たシューニャは、驚きの表情をした後に気まずそうにしながらも言ったのだ。
「あぁぁ……。耳のいいお姫様には分かっちゃったか……。うん。あの時、お姫様が服を裂かれたときに割って入ったのは俺だよ……」
そう言ったシューニャは、ミリアリアには見えていなかったが、眉をひそめて言ったのだ。
「ミドガルズ王国の王女がやりすぎだったからさ、黙ってみてられなくて。ついつい口を挟んじまったんだよ。あのめちゃくちゃな王女さんの所為で俺まで鞭打ちされて散々だったよ。まぁそんなことはどうでもいいんだよ」
最後の方は小声で文句を言っていたシューニャだったが、一度口を噤んだ後に縋るようなまなざしでミリアリアに言ったのだ。
「なぁ、聞いてくれるか? 俺の話……。で、覚えていて欲しいんだ。俺という人間がいたことを」
そう言った後、シューニャは自分の生い立ちをミリアリアに語って聞かせたのだった。
「俺は、ミンズ王国の孤児として生まれたんだ。小さい頃に、教会に捨てられてたんだって。そんで、小さい頃は貧しいながらも、神父様やシスター、同じように教会に拾われたっていう兄弟たちと結構楽しく暮らしてたんだ。でも、俺の住んでいた領地で飢饉があったんだ。神父様は俺たちに食わせるために頑張ってくれたんだけど、みんな飢えで次々に死んでいったよ。それで、俺って、小さい頃から姿はみすぼらしかったけど綺麗な見た目してたから、自分を売って教会を助けようとしたんだよね。で、売られた先が闇組織で、よくある話かもだけど暗殺者として仕込まれたんだよね。で、そんなある日だよ。帝国にうちの国の王女さんが花嫁名目で人質になることが決まったのは。それで、王女さんを可愛がっている王様がさ、身代わりを考えたんだよね。それと、気にくわない皇帝を暗殺しようともね。そこで、闇組織で見目のいい俺に白羽の矢が立ったって訳」
そこまで話したシューニャは、首にはまっているチョーカーを一撫でした後に続けて言ったのだ。
「うちの王様さ、ぶっちゃけ家臣のいいなりでさぁ。頭の悪い家臣の提案を呑んじゃった訳よ。で、美少年な俺を着飾らせて、王女に仕立てた訳。でも、俺は、王様たちに信用されてなかったから首輪を付けられちゃったのよ。笑えることに、無理に外すそうとすると首輪に仕込まれた毒が回るんだよね。かと言って、逃げることもできない。なんたって、二年以内に国に戻って中和剤を呑まないと死んじゃうんだ。この首輪、毎日微量の毒が体内に回るようになってるらしくてさ……。笑っちゃうよ。皇帝を射止めて、油断したところを暗殺ってさ……。計画がお粗末なんだよ。仮に皇帝を殺したとして、ミンズ王国から送られてきた人間がやったら、ミンズ王国は帝国に滅ぼされるってのに……」
そこまで一気に話したシューニャを気遣うように、ミリアリアは、シューニャに手を伸ばしていた。
それに気が付いたシューニャは、薄く笑って軽い口調で言ったのだ。
「まぁ、結局さ。家臣に嫁されることになったんだけどね。でも、死にたくないって思った俺はさ、子爵家に向かう旅の途中で、悪天候の中無理に馬車を走らせて事故を起こさせたんだよ。運よく馬車は崖から落ちてさ、俺は自分の死を偽装することに大成功! で、急いで王宮に戻ってきた俺は、皇帝の弱点を見つけて、それを餌に皇帝を始末しようとしたんだよね。でも、結局折角見つけた皇帝の弱点に危害を加えることもできずに今に至るって訳。ごめんな、長々と……」
話を聞き終わったミリアリアは、そっと手を伸ばしシューニャが逃げられない原因になっているチョーカーに手を伸ばしていた。
細く細工の施された首輪は、一見お洒落なチョーカーに見えたが、その実毒が仕込まれた忌まわしい物だったのだ。
ミリアリアは、その細い首輪を指で撫でた後に、何かを思い出すように首を傾げていたのだ。
そして、昔読んだ本の内容を思い出していたのだ。
それは、古代文字で綴られた禁書に書かれていた物で、奴隷に嵌める隷属の首輪の内容に酷似していたのだ。
無理に外そうとすれば毒が回り、定期的に中和剤を呑まないと仕込まれた微量の毒によって中毒を起こして死に至るというものだ。
幼い時、偶然それを読んだミリアリアは、恐ろしさに身を震わせたのを思い出したのだ。
それと同時に、首輪が開発されたよりも後の時代に、奴隷を廃止する運動の中、隷属の首輪の対抗策が講じられたのだ。
それを思い出したミリアリアは、シューニャに言ったのだ。
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