欠陥姫の嫁入り~花嫁候補と言う名の人質だけど結構楽しく暮らしています~

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
34 / 97
本編

第五章 欠陥姫と暗殺者(5)

 シューニャの指示を聞いたセイラが悩んだのは一瞬だった。この状況でシューニャはミリアリアの味方なのだと判断したセイラは、ミリアリアの元に走り出したのだ。
 そして、ミリアリアの手を掴んで逃げ出そうとしたところで、兵士に前を塞がれてしまったのだ。
 少し離れたところで兵士と戦っていたシューニャは、それに気が付き手に持っていた短剣を投げつけていた。
 短剣は見事にセイラの前に立ちふさがっていた兵士の背中に突き刺さっていた。
 それでも、兵士は痛みに耐えながらセイラの背後にいるミリアリアに腕を伸ばしたのだ。
 しかし、兵士の手がミリアリアに届くことはなかった。
 セイラが近くにあったティーポットを兵士に投げつけていたのだ。
 まだ熱い紅茶を頭から被った兵士は、その場でもんどりをうったのだった。
 
 その隙にセイラは、ミリアリアの手を引いて部屋を抜け出そうとしたのだ。
 しかし、多勢に無勢。短剣を失ったシューニャは、防戦一方で押し寄せる兵士に押されていたのだ。
 幾人かの兵士を動けないようにしたシューニャだったが、ついには腹を刺されて床に膝を付いてしまったのだった。
 それに小さな悲鳴を上げたセイラだったが、今はミリアリアの安全が最優先だと何とかこの場を切り抜けようとミリアリアの手を引いて逃げ回っていたのだ。
 
 なかなかミリアリアを捕らえることが出来ずにイライラしだした男は、苛立たし気にまだ動ける兵士に命令したのだ。
 
「生きていれば餌になる。手足を切ってでも捕らえろ!!」

 そう命じられた兵士たちは、剣を抜いてミリアリアとセイラを追い詰め始めたのだ。
 それを見たシューニャは、腹から血を流しながらも立ち上がり、ミリアリアを守ろうと兵士の剣を奪って再び戦い始めていたのだ。
 
 しかし、セイラに手を引かれて逃げる途中、目の見えないミリアリアは、床に倒れていた兵士につまずき転んでしまったのだ。
 
 セイラがあっと思った時には、ミリアリアは倒れてしまっていたのだ。
 そして、ミリアリアの動きを止めようと剣を振り上げた兵士を見たセイラは、ミリアリアを庇うよに覆いかぶさったのだ。
 
 
 ザクッ!!!
 
 
 兵士の振り上げた剣は、セイラの体を深々と貫いていたのだ。
 セイラは、口から血を吐きながらも近くに落ちていた燭台を掴み、自分を刺した兵士に突き立てていたのだ。
 油断していた兵士は、セイラの突き立てた燭台が首に深々と突き刺さり、よろよろと後退った後に膝から崩れ落ちるようにして倒れたのだった。。
 
 シューニャが抗戦したお陰で、ほとんどの兵士が床に転がる事態となっていた。
 それを見た男は、計画は失敗したと早々に判断し、無事な兵士を自身の護衛として連れてその場から逃げ出してしまっていたのだ。
 
 
 ミリアリアの使っていた部屋は、血で溢れかえっていた。
 出血量はあったが、何とか急所を外すことが出来たシューニャは、よろよろとミリアリアとセイラに近づいた。
 しかし、一目見てセイラがもう助からないことがシューニャには分かったのだ。
 二人の最後の時間を邪魔しないように、血の出る腹を押さえながら、床に転がる兵士たちを縛り上げていたシューニャだったが、最後の一人を縛り上げたところで力尽き、床に体を投げ出していたのだった。
 
 そして、掠れる声でミリアリアに最後の言葉を伝えるセイラの声を聴いていた。
 
 

 ミリアリアは、腕の中にいるセイラの体が次第に冷たくなっていくことに動揺して涙を流し続けていた。
 そんなミリアリアの頬を優しく撫でながらセイラは、懺悔の言葉を吐いたのだ。

感想 182

あなたにおすすめの小説

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~

湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。 「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」 夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。 公爵である夫とから啖呵を切られたが。 翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。 地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。 「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。 一度、言った言葉を撤回するのは難しい。 そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。 徐々に距離を詰めていきましょう。 全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。 第二章から口説きまくり。 第四章で完結です。 第五章に番外編を追加しました。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜

しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。 高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。 しかし父は知らないのだ。 ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。 そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。 それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。 けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。 その相手はなんと辺境伯様で——。 なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。 彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。 それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。 天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。 壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。

婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」  枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。  土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。  「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」  あなた誰!?  やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!  虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。

一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む

浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。 「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」 一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。 傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。