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第五話 二人の騎士
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急いで家の外に出た村長は、すでに走り出している二人の騎士に大声で伝えたのだ。
「騎士様!! 子供らが入った森は、村の左手側の川をさらに奥に進んだ先です! 騎士様、子供たちをお願いします!!」
村長の声が聞こえた騎士は、走りながらも後ろを振り向き言うのだ。
「任せろ。子供たちは、俺たちで必ず見つける!!」
青銀の髪をした騎士がそう言うと、隣を走る栗色の髪の騎士も親指を立てて見せたのだ。
二人の騎士は、全速力で教えられた森に入っていった。
日差しの入らない、薄暗い森の中、意識を集中させる青銀の髪をした騎士は、栗色の髪の騎士に顎をしゃくって見せる。
「オーエン、見て見ろ」
青銀の髪をした騎士にそう言われた騎士、オーエンは、言われた場所を見て眉を顰めたのだ。
そこには、熊が自分の縄張りを示すために残したと思われる爪痕があったのだ。
「まずいな。子供らが、この奥にいた場合……。ユーリ、急ぐぞ」
「言われるまでもない!」
短いやり取りの後、二人は森の奥に全力疾走で入っていったのだ。
程なくして、二人の騎士は子供たちの姿を目にすることとなる。
子供たちは、手に持った籠に目の前に生えている木の実を採っては入れるということを繰り返したいたのだ。
二人の騎士は、子供たちの無事な姿に安堵の息を吐く。
子供たちを驚かせないように、オーエンが出来るだけ優しい声を出して呼びかける。
「おーい、君たち。そこは危ないから、俺たちと一緒に、村に戻ろう」
オーエンに声をかけられた子供たちは、一斉に声の方を振り返ったのだ。
見つかる前に、木の実を採って帰るつもりだった子供たちは、ばつが悪そうな顔でお互いのことを肘で突きながらも、素直に言うのだ。
「ごめんなさい」
「騎士様、ごめんなさい」
素直に謝る子供たちを見て、互いに苦笑いの表情を浮かべるオーエンとユーリは、忍び寄る気配に気が付き、剣を抜いていたのだ。
二人は、素早く子供たちに駆け寄り、その身を守るようにして、周囲を警戒する。
「一匹……。どうする?」
「できれば、このままやり過ごしたいところだな。オーエンは、どう思う?」
「う~ん。そうだな。子供たちに血を見せたくはないかな?」
「分かった。それじゃ……」
短い相談の後、ユーリは、口の中で小さく呪文を唱える。
次の瞬間、周囲の音が消え去り、しんと静かになっていた。そのことに驚く子供たちに、ユーリは、口元に人差し指を当てて、静かにするようにと合図を送る。
それを見た子供たちは、意図を正確に理解し、それぞれ自分の口を両手で塞いで黙り込む。
しばらくして、騎士たちが警戒していた気配が遠のいていた。
ユーリが再び何かの呪文を口にすると、周囲の音が戻っていたのだ。
オーエンは、子供たちに視線を向けて安心させるように言うのだ。
「それじゃあもどろうか。村長たちがものすごく心配してるから、戻ったらちゃんと謝るんだぞ?」
オーエンの諭すような言葉に、子供たちは口々に「ごめんなさい」と言うのだった。
何事もなく、子供たちを確保したユーリとオーエンは、脇に落ちていた木の実の入った籠を持ち上げると、ゆっくりとした歩調で、子供たちを連れて村に戻るのだった。
「騎士様!! 子供らが入った森は、村の左手側の川をさらに奥に進んだ先です! 騎士様、子供たちをお願いします!!」
村長の声が聞こえた騎士は、走りながらも後ろを振り向き言うのだ。
「任せろ。子供たちは、俺たちで必ず見つける!!」
青銀の髪をした騎士がそう言うと、隣を走る栗色の髪の騎士も親指を立てて見せたのだ。
二人の騎士は、全速力で教えられた森に入っていった。
日差しの入らない、薄暗い森の中、意識を集中させる青銀の髪をした騎士は、栗色の髪の騎士に顎をしゃくって見せる。
「オーエン、見て見ろ」
青銀の髪をした騎士にそう言われた騎士、オーエンは、言われた場所を見て眉を顰めたのだ。
そこには、熊が自分の縄張りを示すために残したと思われる爪痕があったのだ。
「まずいな。子供らが、この奥にいた場合……。ユーリ、急ぐぞ」
「言われるまでもない!」
短いやり取りの後、二人は森の奥に全力疾走で入っていったのだ。
程なくして、二人の騎士は子供たちの姿を目にすることとなる。
子供たちは、手に持った籠に目の前に生えている木の実を採っては入れるということを繰り返したいたのだ。
二人の騎士は、子供たちの無事な姿に安堵の息を吐く。
子供たちを驚かせないように、オーエンが出来るだけ優しい声を出して呼びかける。
「おーい、君たち。そこは危ないから、俺たちと一緒に、村に戻ろう」
オーエンに声をかけられた子供たちは、一斉に声の方を振り返ったのだ。
見つかる前に、木の実を採って帰るつもりだった子供たちは、ばつが悪そうな顔でお互いのことを肘で突きながらも、素直に言うのだ。
「ごめんなさい」
「騎士様、ごめんなさい」
素直に謝る子供たちを見て、互いに苦笑いの表情を浮かべるオーエンとユーリは、忍び寄る気配に気が付き、剣を抜いていたのだ。
二人は、素早く子供たちに駆け寄り、その身を守るようにして、周囲を警戒する。
「一匹……。どうする?」
「できれば、このままやり過ごしたいところだな。オーエンは、どう思う?」
「う~ん。そうだな。子供たちに血を見せたくはないかな?」
「分かった。それじゃ……」
短い相談の後、ユーリは、口の中で小さく呪文を唱える。
次の瞬間、周囲の音が消え去り、しんと静かになっていた。そのことに驚く子供たちに、ユーリは、口元に人差し指を当てて、静かにするようにと合図を送る。
それを見た子供たちは、意図を正確に理解し、それぞれ自分の口を両手で塞いで黙り込む。
しばらくして、騎士たちが警戒していた気配が遠のいていた。
ユーリが再び何かの呪文を口にすると、周囲の音が戻っていたのだ。
オーエンは、子供たちに視線を向けて安心させるように言うのだ。
「それじゃあもどろうか。村長たちがものすごく心配してるから、戻ったらちゃんと謝るんだぞ?」
オーエンの諭すような言葉に、子供たちは口々に「ごめんなさい」と言うのだった。
何事もなく、子供たちを確保したユーリとオーエンは、脇に落ちていた木の実の入った籠を持ち上げると、ゆっくりとした歩調で、子供たちを連れて村に戻るのだった。
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