錬金術師の恋

バナナマヨネーズ

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第一部

第12話 天使がいる!!

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 翌朝、なんとタイガ君は完全回復していた。
 そんなわけで、元気になったタイガ君をお風呂に入れようと思うの。
 タイガ君は、何日もお風呂に入っていなかったようで、かなり汚れていたのだ。
 昨日は緊急事態だったので、お風呂にも入れずに寝かせてしまったのでシーツや枕カバーを洗わないといけないわ。
 と、言う訳で今日はお店は臨時休業にして、タイガ君に必要な物を買いに行こうと思うの。
 お店の入り口には、臨時休業の張り紙を出したし問題ないだろう。

 実は引っ越した後に、お風呂場を日本風に改装したから、使い方が分かるか心配だわ。
 この世界のお風呂は、西洋風だったのだ。
 そう、お風呂の中で身体を洗ってっていうあれね。
 生活魔法の水魔法を使って、水とか出し放題ならではの、西洋風と私は勝手に推察したわ。

 でも、私は湯船浸かってのんびりしたり、半身浴したり、お風呂の外で体や髪を洗いたかったのよ。
 なので、ギルドに相談して、お風呂場の改装をしたの。ついでに、簡易シャワーも作ってもらったわ。
 生活魔法で水は出せるけど、どう頑張っても、シャワーみたいにお湯を出せなかったのよね。
 そんな訳で、使い方が分からない可能性を危惧した私は、タイガ君と一緒にお風呂に入ることにした。
 まだ、歳は聞いていなかったけど、小学生くらいに見えるから、タイガ君が嫌じゃなければ一緒に入ろうと思ったのだ。

「タイガ君、お風呂の使い方わかる?分からなければ、私が入れてあげるよ?」
「!!!、だっ、大丈夫です。僕一人でも使い方を教えてもらえば入れます!!」
「君はまだ小さいし、二人でも十分湯船に浸かれると思うから心配しなくてもいいのに」
「でも、僕!!」
「何やってんの?」
「タイガ君をお風呂に入れてあげようと思って」
「っ!俺が入れるから大丈夫だよ!!」

 何故か駆君が真っ赤になって叫んでいた。
 まぁ、男の子同志の方が気軽でいいわよね。
 タイガくんとお風呂に入る権利は、駆君に譲ってあげよう。
 そうだ。二人がお風呂に入っている間に、アレを作ろう。湯上りには最高だよね。
 時間がないので錬金窯さんにお手伝いしてもらうことにした私は、オレンジ、塩、砂糖、生クリーム、レモン果汁と大きめの器を入れたら、いつものように「錬金窯さん、よろしくお願いします」と、上手く行くようにお願いする。
 数分ほど待っていると、オレンジシャーベットが完成した。
 一緒に入れた器からシャーベットを小皿に移して、余った分は冷蔵庫(仮)の冷凍庫部分に入れて置く。
 そうしていると、お風呂場から二人がやってきた。

「さぁ、お風呂の後のお楽しみだよ。はい、冷たいシャーベットを召し上がれ」

 そう言いつつ、二人を見た私はフリーズした。なんと、駆君の隣に、美少年がいたのだ。
 陶器のような白く、すべすべのお肌に、天使の輪が見える綺麗な銀髪。
 吸い込まれそうな蒼い瞳。
 天使がいる!!

「天使がいる!!」

 あっ、思わず口に出てしまったわ。

「ぷっ、小春さん。大げさですよ」
「そうだぜ、風呂に入って垢を落としただけでそこまで驚くなよ。まぁ、風呂場で少し髪は切ったけど」

 そう、天使の正体はタイガ君だった。
 というか、つまりはそこまで汚れていたんだね。
 汚れていた時も、可愛らしいとは思っていたが、綺麗になったらそれはそれで、天使レベルってすごいよ。
 お姉さん、びっくりだよ。
 昨日の話だと、何日も食事をしていなかったみたいで、体はほぼ骨と皮な状態。
 それがかえって、儚さを醸し出し天使らしくみせている要因かも知れないわ。
 いっぱい美味しいものを食べさせてあげて、タイガ君を少しは太らせないといけないと私が決意したのは言うまでもないわね。

「ささ、気を取り直して、溶けないうちに召し上がれ」

 そう言って、改めて二人にシャーベットを差し出した。

「~~~~。冷たくて美味しいです~」
「うまっ!風呂上がりに冷たいものは最高だな」

 良かった、二人ともシャーベットを気に入ってくれたみたいで。

 昨日タイガ君が使ったベッドのシーツと枕カバーは洗って、布団と、枕と一緒に干してあるので、タイガ君に必要な物を三人で買いに行こう。
 現在タイガ君は、駆君の服を無理やり着ている。最初はサイズ的に私の服を貸そうとしたのだけれど、断固拒否されてしまった。
 そのため、タイガ君はだぼだぼな状態なのだ。
 最初は、お留守番してもらうことも考えたけど、自分の使うものはで選びたいよね。
 なので、最初に服を見て、買った服に着替えてから日用品を買いに行こうと思うの。
 いい案でしょ?異論はないとは思うけど二人に今日の行動計画を話した。
 そしたら、タイガ君は思いもよらなかったとびっくりしていたっけ。

「えっ!僕、ここでお世話になってもいいんですか?」
「もちろん。タイガ君さえよければ」
「すごくありがたいです。僕、もうどこにも行く場所がなくて……」
「今日から、ここが君のお家だよ」

 そう言って、タイガ君を見ると目が潤んでいたが泣くことはなかった。我慢したのかな、男の子だね。
 そんなことを考えていたら、駆君が思いもよらないことを言いだした。

「働かざる者食うべからず。タイガには店番とか、俺の手伝いをしてもらうぞ」
「えっ!良いじゃない、まだ小さいんだし。私が養うよ」
「いえ、お手伝いさせてください!」

 そっか、お手伝いしてくれるんだ。いい子だね。でもとても残念。
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